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出張
PHASE-02
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「誰を描いてるの?」
気になったので、通りの端っこで数人の子供たちが紫色のクレヨンを手にして描いている人物を質問してみる。
わざわざ紫色を使用しているのだから、人間ではないと推測出来る。魔王軍の方の絵だろう。
「ガルエロン様だよ。僕も将来、不死王軍に入るんだ」
金髪、そばかす、上の前歯が一本ぬけている一人が、澱みのないキラキラと輝かせた瞳で、とんでもない夢を語る。
ガルエロンさん。現在この古都を統治している魔王不死王軍のトップ。カグラさん同様に幹部の方だ。
不死王が示すように、不死であるアンデットの軍を率い、倒れない。空腹にならない。眠らない。と、人間の兵からしたら卑怯すぎる能力を有した兵達によって、この古都は落とされた。
子供たちがこんなにも心酔しているんだから、民心の掌握は行き届いているようだ。だからこそ、住人はこの占拠四十周年祭というふざけたネーミングの祭典を楽しんでいるのだろう。
――小休止を終えて子供たちに別れを告げる。
――――やっとこさ目抜き通りを抜け、最初にくぐった二重の西門と同様の煉瓦造りのアーチ門と城壁が見えてくる。
川をそのまま利用した広大な堀。難攻不落と言われたのがよく分かる。
唯一、城門に繋がる六連アーチからなる壮大な橋を渡りつつ、透明度の高い川を眺め、正面やや上方に目を向ければ白亜の巨城。
とてもアンデットの根城と思えない聖なる感を迸らせてる。
「あ、どうもご苦労様です」
ここにきて、整備長の声のトーンが下がった。疲れたか? 普段からそういうトーンで口を開けば僕や勇者御一行、魔王軍の方々から慕われるかもしれませんよ。
まあどうせ、不死王さんとかにあえば態度でかくなるんだろうけどね。
証明書を見せると、今度は入念なチェックが入る。
「口を開けてください」
番兵の方がそう言うので、それに従い口を開いて、暗器になるような類いの物は持ってない事をアピール。
「どうぞ」
で、通過。
流石は城に入るというだけあって、市街地の西門とは目つきも厳しさも違う。
「おお……」
本当に不死王さんが統治してるんだと――、痛感。
城内になると、人間の兵とともに、警邏、歩哨にアンデットな方々が混在している。
骸骨な方が、ギシギシと鎧が発しているのか、体からのものなのか、分からない音をたてて、中庭を徘徊――――もとい警邏。
塔の壁から突如あらわれたのが、半透明の青白い鎧兵の方。人間の姿はしてるけど、出入り口を無視した移動方法からこの方は幽霊兵あたりの方かもしれない。
「今日、どう一杯? 非番でしょ、寝かさないよ~まあ、俺は寝ないんだけどね」
「その発想、面白いっすね~」
僕らの前を通過する、人間の兵の方と、左手に自分の頭を抱えながら談笑しているデュラハンさん。
なんなのこの摩訶不思議な世界……。
未だかつて経験した事のない僕たち二人は恐怖を抱きつつ、見るもの全てに首を傾げながら一本道を歩いて行く。
――中庭正面の番兵の方が僕たちを確認すると、扉を開いてくれる。
すると、
「案内いたします」
小鳥ほどの体で、灰色の羽根を羽ばたかせた愛らしい女の子の妖精が、僕たちの前で軽く会釈を行う。それにつられて僕たちも会釈。
正面に顔を戻せば白目の部分は充血している。
「バンシーだな」
「バンシーですね」
死者が出ると、それを知らせるために泣くっていわれてる妖精兼アンデットのバンシー。
アンデットでも愛らしいから正義だ。
小さな体に案内されつつ。真っ赤で光沢のある長く続く絨毯の上を歩き、洒脱な作りの螺旋階段を上っていく。
何で階段を上がらにゃならんのか……。もう足は限界突破しているぞ。
昇降機の使用出来ないという張り紙が悪意だ。城内になっても何かしらの悪意を感じてしまう。
――上り終える頃には、二人そろって努力呼吸。
整備長に至っては、顔面蒼白で今にも倒れそうな感じ。アンデットの方に混ざれば分からないくらいの肌色。
葉煙草が原因の体力低下だと思われる。
深呼吸を数回繰り返して、廊下に設けられている椅子に腰を下ろして再び小休止。その間バンシーさんは窓枠に座って、僕たちの息が整うのを待ってくれている。愛らしさに心が癒やされる。
――――再び歩き出して、ようやく扉の前に到着。正直、古都に足を入れてから城まで歩きとか、本当に考えられない。
愚痴ばかりこぼしてしまう。
こんな状態で話なんて出来るのだろうか……。
「失礼します」
僕の感情なんか無視でノックをする緊張気味の整備長。
声が裏返ってる。
――――…………。
破城槌を準備しようか。
これは完全になめられている! いくら現在この古都を統治しているとはいえ、些か調子に乗っているのではなかろうか、ガルエロン氏。
応答がないってどうよ。
「どうぞ」
と、思っていたら、ようやく返答がきて、ガチャンと重々しいノブが動き開いていく。
開かれたドアの両サイドには骸骨兵が二名。
待たせた事を申し訳なかったかのように頭を下げてくる。いかんせん骸骨なもんだから表情が伝わらないけど、罪悪感は感じ取れた。
それよりも、開かれた先に立たれていると、恐怖で心臓に悪い……。
奥に進むと、もう一つの扉があり、先ほどの骸骨兵さん達が足早に移動して開いてくれる。
あれ!? 親切だよ?
気になったので、通りの端っこで数人の子供たちが紫色のクレヨンを手にして描いている人物を質問してみる。
わざわざ紫色を使用しているのだから、人間ではないと推測出来る。魔王軍の方の絵だろう。
「ガルエロン様だよ。僕も将来、不死王軍に入るんだ」
金髪、そばかす、上の前歯が一本ぬけている一人が、澱みのないキラキラと輝かせた瞳で、とんでもない夢を語る。
ガルエロンさん。現在この古都を統治している魔王不死王軍のトップ。カグラさん同様に幹部の方だ。
不死王が示すように、不死であるアンデットの軍を率い、倒れない。空腹にならない。眠らない。と、人間の兵からしたら卑怯すぎる能力を有した兵達によって、この古都は落とされた。
子供たちがこんなにも心酔しているんだから、民心の掌握は行き届いているようだ。だからこそ、住人はこの占拠四十周年祭というふざけたネーミングの祭典を楽しんでいるのだろう。
――小休止を終えて子供たちに別れを告げる。
――――やっとこさ目抜き通りを抜け、最初にくぐった二重の西門と同様の煉瓦造りのアーチ門と城壁が見えてくる。
川をそのまま利用した広大な堀。難攻不落と言われたのがよく分かる。
唯一、城門に繋がる六連アーチからなる壮大な橋を渡りつつ、透明度の高い川を眺め、正面やや上方に目を向ければ白亜の巨城。
とてもアンデットの根城と思えない聖なる感を迸らせてる。
「あ、どうもご苦労様です」
ここにきて、整備長の声のトーンが下がった。疲れたか? 普段からそういうトーンで口を開けば僕や勇者御一行、魔王軍の方々から慕われるかもしれませんよ。
まあどうせ、不死王さんとかにあえば態度でかくなるんだろうけどね。
証明書を見せると、今度は入念なチェックが入る。
「口を開けてください」
番兵の方がそう言うので、それに従い口を開いて、暗器になるような類いの物は持ってない事をアピール。
「どうぞ」
で、通過。
流石は城に入るというだけあって、市街地の西門とは目つきも厳しさも違う。
「おお……」
本当に不死王さんが統治してるんだと――、痛感。
城内になると、人間の兵とともに、警邏、歩哨にアンデットな方々が混在している。
骸骨な方が、ギシギシと鎧が発しているのか、体からのものなのか、分からない音をたてて、中庭を徘徊――――もとい警邏。
塔の壁から突如あらわれたのが、半透明の青白い鎧兵の方。人間の姿はしてるけど、出入り口を無視した移動方法からこの方は幽霊兵あたりの方かもしれない。
「今日、どう一杯? 非番でしょ、寝かさないよ~まあ、俺は寝ないんだけどね」
「その発想、面白いっすね~」
僕らの前を通過する、人間の兵の方と、左手に自分の頭を抱えながら談笑しているデュラハンさん。
なんなのこの摩訶不思議な世界……。
未だかつて経験した事のない僕たち二人は恐怖を抱きつつ、見るもの全てに首を傾げながら一本道を歩いて行く。
――中庭正面の番兵の方が僕たちを確認すると、扉を開いてくれる。
すると、
「案内いたします」
小鳥ほどの体で、灰色の羽根を羽ばたかせた愛らしい女の子の妖精が、僕たちの前で軽く会釈を行う。それにつられて僕たちも会釈。
正面に顔を戻せば白目の部分は充血している。
「バンシーだな」
「バンシーですね」
死者が出ると、それを知らせるために泣くっていわれてる妖精兼アンデットのバンシー。
アンデットでも愛らしいから正義だ。
小さな体に案内されつつ。真っ赤で光沢のある長く続く絨毯の上を歩き、洒脱な作りの螺旋階段を上っていく。
何で階段を上がらにゃならんのか……。もう足は限界突破しているぞ。
昇降機の使用出来ないという張り紙が悪意だ。城内になっても何かしらの悪意を感じてしまう。
――上り終える頃には、二人そろって努力呼吸。
整備長に至っては、顔面蒼白で今にも倒れそうな感じ。アンデットの方に混ざれば分からないくらいの肌色。
葉煙草が原因の体力低下だと思われる。
深呼吸を数回繰り返して、廊下に設けられている椅子に腰を下ろして再び小休止。その間バンシーさんは窓枠に座って、僕たちの息が整うのを待ってくれている。愛らしさに心が癒やされる。
――――再び歩き出して、ようやく扉の前に到着。正直、古都に足を入れてから城まで歩きとか、本当に考えられない。
愚痴ばかりこぼしてしまう。
こんな状態で話なんて出来るのだろうか……。
「失礼します」
僕の感情なんか無視でノックをする緊張気味の整備長。
声が裏返ってる。
――――…………。
破城槌を準備しようか。
これは完全になめられている! いくら現在この古都を統治しているとはいえ、些か調子に乗っているのではなかろうか、ガルエロン氏。
応答がないってどうよ。
「どうぞ」
と、思っていたら、ようやく返答がきて、ガチャンと重々しいノブが動き開いていく。
開かれたドアの両サイドには骸骨兵が二名。
待たせた事を申し訳なかったかのように頭を下げてくる。いかんせん骸骨なもんだから表情が伝わらないけど、罪悪感は感じ取れた。
それよりも、開かれた先に立たれていると、恐怖で心臓に悪い……。
奥に進むと、もう一つの扉があり、先ほどの骸骨兵さん達が足早に移動して開いてくれる。
あれ!? 親切だよ?
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