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出張
PHASE-07
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「いやっほぉぉぉぉぉぉお」
部屋割りをする前に、重圧から解放された喜びで、ソファにダイブな四十路の男の姿がそこにはあった。
移動が面倒なくらい広いリビングの中央ではしゃいでいる。僕も開放感に浸って同じようにしたかったけど、おっさんのそれを見て、なんか萎えた……。
――しっかし広いな~。天井には絢爛豪華なシャンデリア。大きな一枚ガラスの窓が壁の代わりをしていて、リビングから下層の庭園が丸見え。
――奢侈である。
まったくもって身の丈に合っていない。ソファでゴロゴロしている整備長をそのままに、移動。
リビングに設けられたドレッシングエリアだけでも僕の部屋の二倍はある。
――奢侈である。
罰が当たるし、何よりもこんな凄い部屋になぜおっさんと二人でいなければならないのか! ロールさんと一緒に出張したかった! 心の底で叫ぶ。おっさんいなかったら大音声まったなしだ。
ベッドルームに移れば、僕の部屋の四倍はある広さ。そこにドンと構えるキングサイズの天蓋付きベッド。腰を下ろせばふっかふか。横になれば直ぐにでも眠りに誘われること間違いなし。
――奢侈である。
スイートはホテルのグレードを示す大切なシンボルと言われる。
まず間違いなくこのホテルが素晴らしいというのはこの室内を見れば理解出来る。
だが、今現在ここを利用している存在がいただけない……。自分でそう思ってて情けなくもあるが、いただけない……。
――奢侈である…………。
空が闇に覆われて、まん丸なお月様が暗がりをよく照らしている。
古都は月明かりに頼らなくてもよいほどの明るさで、最上階からは、午前の時に負けないくらいの賑わいの街並みを見る事が出来る。
一面のガラスの前にはアンティークなテーブルセットに茶器。
クローゼットに準備されたシルクのナイトガウンで身を包み、椅子に座って、カップから立ち上がるフルーティな香りを鼻孔で楽しむ。
下の賑わいを高見から楽しんでいるところ。
――――……。
いかん! なんか気分がお金持ちの嫌な奴になりかけている。落ち着け、僕はただの庶民であって、ここに宿泊しているのは不死王さんのご厚意だ。
贅沢の魔法にかかるところだった。
「おい! こんなところで街の状況みてないで行こうぜ」
随分と上機嫌ですな。夜も更けるというのに、いったいどこに行きたいのか。
「行きたいのか? って、分かってるだろ?」
たまに心を読まれるけども、読まれやすいのかな~、僕の思考。
まあ、行きたい場所ってのは、こっちもその顔見てたら分かるけどね。
「わたくし、ニーズィー・ブートガイ。歓楽街に行って参ります」
こちらがここから動かないと判断するや、敬礼して、軽快なスキップでリビングを飛び出し昇降機にて退室。
――――折角だから見送ってやろう。
ホテルから外へと続く石畳に目を向ける。
等間隔に設置された街灯のおかげで、石畳を歩く人影はよく見える。
――――………………。
ふむん……。間違いない。あの噴水をスキップで一周してから外に出て行ったのが整備長だろう……。
歓楽街、主にピンク色のお店に行くんだろうな……。
紅茶を一飲み。もちろん僕だって男。興味はある。しかし、そんなところに行ったことがもし、ロールさんやカグラさんに知れたら、冷ややかな目で見られるだろう。
整備長はいい歳だ。軽蔑されてもそういう年代だからでかたづけられるが、十代の僕がそこに赴くとなると、いい歳ではかたづけられない。
不潔と、レッテルを貼られるかもしれない。あの二人が僕に振り向かないとは限らない。ならば可能性を少しでも上げるためにも、ここは真面目一徹がいいと思うの。
なんて、自問自答してみる。
「寝るしかない」
考えれば考えるほどリビドー要素で悶々としそうだから、紅茶飲み干して、歯を磨いてからベッドにダイブ。
天蓋付きのキングサイズのベッド。僕の部屋にあったら、これだけで占拠される大きさ。こんな経験、まあないだろうとベッドの上でゴロリと転がり回って広さを体感しながら、一度起き上がり、
「いや、本当に――――――ロールさんと来たかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」
心の叫びを、おっさんいなくなったから、大音声で叫んでやった。
ベッドにダイブ。柔らかく体を包んでくれる布団の中で、僕は直ぐに眠りに誘われた。
部屋割りをする前に、重圧から解放された喜びで、ソファにダイブな四十路の男の姿がそこにはあった。
移動が面倒なくらい広いリビングの中央ではしゃいでいる。僕も開放感に浸って同じようにしたかったけど、おっさんのそれを見て、なんか萎えた……。
――しっかし広いな~。天井には絢爛豪華なシャンデリア。大きな一枚ガラスの窓が壁の代わりをしていて、リビングから下層の庭園が丸見え。
――奢侈である。
まったくもって身の丈に合っていない。ソファでゴロゴロしている整備長をそのままに、移動。
リビングに設けられたドレッシングエリアだけでも僕の部屋の二倍はある。
――奢侈である。
罰が当たるし、何よりもこんな凄い部屋になぜおっさんと二人でいなければならないのか! ロールさんと一緒に出張したかった! 心の底で叫ぶ。おっさんいなかったら大音声まったなしだ。
ベッドルームに移れば、僕の部屋の四倍はある広さ。そこにドンと構えるキングサイズの天蓋付きベッド。腰を下ろせばふっかふか。横になれば直ぐにでも眠りに誘われること間違いなし。
――奢侈である。
スイートはホテルのグレードを示す大切なシンボルと言われる。
まず間違いなくこのホテルが素晴らしいというのはこの室内を見れば理解出来る。
だが、今現在ここを利用している存在がいただけない……。自分でそう思ってて情けなくもあるが、いただけない……。
――奢侈である…………。
空が闇に覆われて、まん丸なお月様が暗がりをよく照らしている。
古都は月明かりに頼らなくてもよいほどの明るさで、最上階からは、午前の時に負けないくらいの賑わいの街並みを見る事が出来る。
一面のガラスの前にはアンティークなテーブルセットに茶器。
クローゼットに準備されたシルクのナイトガウンで身を包み、椅子に座って、カップから立ち上がるフルーティな香りを鼻孔で楽しむ。
下の賑わいを高見から楽しんでいるところ。
――――……。
いかん! なんか気分がお金持ちの嫌な奴になりかけている。落ち着け、僕はただの庶民であって、ここに宿泊しているのは不死王さんのご厚意だ。
贅沢の魔法にかかるところだった。
「おい! こんなところで街の状況みてないで行こうぜ」
随分と上機嫌ですな。夜も更けるというのに、いったいどこに行きたいのか。
「行きたいのか? って、分かってるだろ?」
たまに心を読まれるけども、読まれやすいのかな~、僕の思考。
まあ、行きたい場所ってのは、こっちもその顔見てたら分かるけどね。
「わたくし、ニーズィー・ブートガイ。歓楽街に行って参ります」
こちらがここから動かないと判断するや、敬礼して、軽快なスキップでリビングを飛び出し昇降機にて退室。
――――折角だから見送ってやろう。
ホテルから外へと続く石畳に目を向ける。
等間隔に設置された街灯のおかげで、石畳を歩く人影はよく見える。
――――………………。
ふむん……。間違いない。あの噴水をスキップで一周してから外に出て行ったのが整備長だろう……。
歓楽街、主にピンク色のお店に行くんだろうな……。
紅茶を一飲み。もちろん僕だって男。興味はある。しかし、そんなところに行ったことがもし、ロールさんやカグラさんに知れたら、冷ややかな目で見られるだろう。
整備長はいい歳だ。軽蔑されてもそういう年代だからでかたづけられるが、十代の僕がそこに赴くとなると、いい歳ではかたづけられない。
不潔と、レッテルを貼られるかもしれない。あの二人が僕に振り向かないとは限らない。ならば可能性を少しでも上げるためにも、ここは真面目一徹がいいと思うの。
なんて、自問自答してみる。
「寝るしかない」
考えれば考えるほどリビドー要素で悶々としそうだから、紅茶飲み干して、歯を磨いてからベッドにダイブ。
天蓋付きのキングサイズのベッド。僕の部屋にあったら、これだけで占拠される大きさ。こんな経験、まあないだろうとベッドの上でゴロリと転がり回って広さを体感しながら、一度起き上がり、
「いや、本当に――――――ロールさんと来たかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」
心の叫びを、おっさんいなくなったから、大音声で叫んでやった。
ベッドにダイブ。柔らかく体を包んでくれる布団の中で、僕は直ぐに眠りに誘われた。
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