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熱砂地帯の二王
PHASE-07
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「ここからは、自分が案内しますので。――お前は戻れ」
「はい……」
ジュラルミンさん、申し訳なさそうに立ち上がると、少しでもこちらの機嫌を損ねないようになのか、そろりそろりと歩き、僕の前で止まると、
「本当に申し訳ありませんでした。いつでも削られる覚悟でございます」
涙流して、謝罪して、項垂れた背中で、来た道を戻っていった。
やめてよ……、なんか、僕が罪悪感だよ…………。
死に追いやられそうになった僕が、なんで悪い感じになってるんだよ。
これ、あれか? いじめられっ子が逆上して、いじめっ子を泣かした時の、最初はやめてあげなよ可哀想だよ。から、やだ怖い。泣かしたよ、可哀想。って、外野が掌を返すのに似たものか?
「落ち着いた?」
優しいロールさんの声に頷いて返す。
「あんまり、過激な言葉は聞きたくないかな」
と、チクリと痛みの走る言葉だ。
死にかけて、優しく対応なんて僕には出来ないけども、パゼットさんを見れば、目の下が赤くなってる。ルガールさんの説教と、もう少しで僕の命を奪う事になるところだったと、猛烈に反省しての号泣後だ。
――ジュラルミンさんの去り際の背中を思い出し、――僕、深呼吸。
矢庭に立って、目を閉じる。
そして、言い聞かせる。
そうだよ、僕の仕事なんて危険と背中合わせなんだから、こんな事が起こっても仕方が無いんだ。配属する時に書類に同意だってしたじゃないか。
これで、とち狂ったように怒っていては、これから先、この仕事やっていけない。十代で、そこそこいい給金もらえてるのは、それだけのリスクもあるからだ。
安定した休日に給金。死ぬ思いで働いても、僕より賃金や休みが少ない人もいたりする。甘えてはいけない。
もっと、自分の精神を鍛え上げないと、この先、嫌な奴になってしまう。
切り替えるのだ、ここでリセットしておかないと、今後ギスギスした付き合いになってしまうかもしれない。
――――。
「え~先ほどは取り乱してしまいました。もう、気にしていないので、パゼットさんは正座をやめてください。ジュラルミンさんにも、後で謝罪します。そして、ルガールさん、助けていただき、ありがとうございました」
「結構ですよ。こちらの落ち度なのですから、ただ、怒っていないという事を伝えてもらえれば、十分です」
と、ルガールさん。
「すみませんでした……」
震える声のパゼットさん。
それに笑顔で返してあげた。
彼女が正座から立ってくれる事で、場のピリピリしたものが和らいでいく。まあ、そんな場を作っちゃったのは僕なんだけどね。
気を取り直して、
「では、行きましょうか」
僕が率先する事で、さらに場を和らげさせる。
もう、パゼットさんは自分が案内するとは言わない。
ジュラルミンさんに代わって、ルガールさんが案内を行うと言った事で、それ以上は出しゃばろうとしない。
「まあ、どちらが案内しても、結果は一緒なんですがね」
ルガールさんが些か呆れ口調。
半眼で、パゼットさんを見ている。
「と、言いますと?」
どういう意味なのか、答えを求めると、
「我が主も、パゼットの主も同じ場にいますので……」
どういう事だろうか? それは一体――――、どういう事なのだろうか。
ならば、どうして、お二方は争ったのだろうか? 同じ場所にいる事を知らなかったのかな? もちろんそれは聞くよ。
すると、知ってたと返してきた。
じゃあ、なぜに戦いが始まったのかな? もちろんそれも聞くよ。
「出来れば、私の主に先に挨拶をしていただきたく……」
いやいや、同じ場所にいるんなら、まとめて挨拶をすればいいよね。意味が分からないね。
「我が主に、先に口をきいてもらいたくて」
――――なんだろうか、その子供のような理由は、
自分が一番じゃなきゃ嫌だ! みたいな事で、だだをこねている子供の姿と、貴女が重なって見えました。
そんなくだらない事で死にかけたのかと思うと、僕の背後に、再び殺意という名の仄暗いオーラが纏わり付いてきそうだけども、そうなると話も進まないので、我慢してあげないといけないんですよね~。
――へっ、ストレスで胃の形がエメンタールチーズになりそうだ……。
――――肉体的にではなく、精神的に疲労した足腰で歩かされるのは正直つらい。
「はい」
「?」
なんでしょうか? ロールさん。
自分の肩をポンポン叩いてらっしゃる。
「足下ふらふらでしょ。私の肩に体あずけていいよ」
――結構です。なんて言わない。
女性に体を預けるなんて、情けないんじゃないの? なんて思わない。
この僥倖を目の前にして、断る事が出来るのは、魔王に世界の半分をくれてやるって言われて、――だが断る。と、発言出来ちゃう勇者くらいだろう。
まあ、半分どころか、邪神に世界の全てをくれてやるって言われて、すっぱり断った方の肩を今からお借りするわけですけども――――。
ヒャッハー! 幸せだぜ!
もう、変態でいいよ。だって、いい匂いなんだもの。柔らかいんだもの。このままずっと人生二人三脚で歩んでいきたいと思ってもいいでしょうかね。
こんなご褒美が待っていようとは、亀裂に落ちてみるもんだ。情けなくも取り乱してしまった僕に、こんなに優しくしてくれるなんて、嬉しさが限界突破であります。
なんて献身的なんだろう。体格差もあるのに、出来るだけ負担を掛けないようにはしてるつもりだけど、この優しさは女神そのものです。
女神認定した、グラドさん達の気持ちがいまなら凄く分かる気がする。
ずっと隣のロールさんを見つつ歩くのも照れくさいので、正面に目を向けると、パゼットさんが、ルガールさんに小言を言われながらトボトボと歩いている。
派閥は違っても、ルガールさんの方が上役だと分かる光景。
というか、続くね説教……。げんなりしているよ。可哀想だ……。
――しかし、獣人って初めて見た。
小さい時には、よく、悪さをしたら、獣人に連れて行かれるとか親に言われて、恐怖の対象だったけ。
イメージ的には狼の姿だったけど、黒豹みたいな姿だし、獣人って、いろんなタイプがいるのかな?
それに空も飛んでたな。何でもありだな。
更にルガールさんを眺めていく。
人間とは違って、動物特有のしなやかな筋肉の持ち主って感じだな。
肩が露出した、毛並みと同じ黒色の鎧は、胸部分や腹部が人間の筋肉を象っているデザイン。
ナイスカット! って、口にしたくなる。
細身だけども、鎧も相まって、隆々の筋肉で強そうなイメージ。
ハンターを思わせる鋭い眼光に、周囲を常に警戒しているかのように耳を忙しなく動かしている。
自分たちのテリトリーであっても怠らない姿勢だね。
それもあったからこそ、二人の戦いに即介入で、僕を救ってくれてたんだね。
「はい……」
ジュラルミンさん、申し訳なさそうに立ち上がると、少しでもこちらの機嫌を損ねないようになのか、そろりそろりと歩き、僕の前で止まると、
「本当に申し訳ありませんでした。いつでも削られる覚悟でございます」
涙流して、謝罪して、項垂れた背中で、来た道を戻っていった。
やめてよ……、なんか、僕が罪悪感だよ…………。
死に追いやられそうになった僕が、なんで悪い感じになってるんだよ。
これ、あれか? いじめられっ子が逆上して、いじめっ子を泣かした時の、最初はやめてあげなよ可哀想だよ。から、やだ怖い。泣かしたよ、可哀想。って、外野が掌を返すのに似たものか?
「落ち着いた?」
優しいロールさんの声に頷いて返す。
「あんまり、過激な言葉は聞きたくないかな」
と、チクリと痛みの走る言葉だ。
死にかけて、優しく対応なんて僕には出来ないけども、パゼットさんを見れば、目の下が赤くなってる。ルガールさんの説教と、もう少しで僕の命を奪う事になるところだったと、猛烈に反省しての号泣後だ。
――ジュラルミンさんの去り際の背中を思い出し、――僕、深呼吸。
矢庭に立って、目を閉じる。
そして、言い聞かせる。
そうだよ、僕の仕事なんて危険と背中合わせなんだから、こんな事が起こっても仕方が無いんだ。配属する時に書類に同意だってしたじゃないか。
これで、とち狂ったように怒っていては、これから先、この仕事やっていけない。十代で、そこそこいい給金もらえてるのは、それだけのリスクもあるからだ。
安定した休日に給金。死ぬ思いで働いても、僕より賃金や休みが少ない人もいたりする。甘えてはいけない。
もっと、自分の精神を鍛え上げないと、この先、嫌な奴になってしまう。
切り替えるのだ、ここでリセットしておかないと、今後ギスギスした付き合いになってしまうかもしれない。
――――。
「え~先ほどは取り乱してしまいました。もう、気にしていないので、パゼットさんは正座をやめてください。ジュラルミンさんにも、後で謝罪します。そして、ルガールさん、助けていただき、ありがとうございました」
「結構ですよ。こちらの落ち度なのですから、ただ、怒っていないという事を伝えてもらえれば、十分です」
と、ルガールさん。
「すみませんでした……」
震える声のパゼットさん。
それに笑顔で返してあげた。
彼女が正座から立ってくれる事で、場のピリピリしたものが和らいでいく。まあ、そんな場を作っちゃったのは僕なんだけどね。
気を取り直して、
「では、行きましょうか」
僕が率先する事で、さらに場を和らげさせる。
もう、パゼットさんは自分が案内するとは言わない。
ジュラルミンさんに代わって、ルガールさんが案内を行うと言った事で、それ以上は出しゃばろうとしない。
「まあ、どちらが案内しても、結果は一緒なんですがね」
ルガールさんが些か呆れ口調。
半眼で、パゼットさんを見ている。
「と、言いますと?」
どういう意味なのか、答えを求めると、
「我が主も、パゼットの主も同じ場にいますので……」
どういう事だろうか? それは一体――――、どういう事なのだろうか。
ならば、どうして、お二方は争ったのだろうか? 同じ場所にいる事を知らなかったのかな? もちろんそれは聞くよ。
すると、知ってたと返してきた。
じゃあ、なぜに戦いが始まったのかな? もちろんそれも聞くよ。
「出来れば、私の主に先に挨拶をしていただきたく……」
いやいや、同じ場所にいるんなら、まとめて挨拶をすればいいよね。意味が分からないね。
「我が主に、先に口をきいてもらいたくて」
――――なんだろうか、その子供のような理由は、
自分が一番じゃなきゃ嫌だ! みたいな事で、だだをこねている子供の姿と、貴女が重なって見えました。
そんなくだらない事で死にかけたのかと思うと、僕の背後に、再び殺意という名の仄暗いオーラが纏わり付いてきそうだけども、そうなると話も進まないので、我慢してあげないといけないんですよね~。
――へっ、ストレスで胃の形がエメンタールチーズになりそうだ……。
――――肉体的にではなく、精神的に疲労した足腰で歩かされるのは正直つらい。
「はい」
「?」
なんでしょうか? ロールさん。
自分の肩をポンポン叩いてらっしゃる。
「足下ふらふらでしょ。私の肩に体あずけていいよ」
――結構です。なんて言わない。
女性に体を預けるなんて、情けないんじゃないの? なんて思わない。
この僥倖を目の前にして、断る事が出来るのは、魔王に世界の半分をくれてやるって言われて、――だが断る。と、発言出来ちゃう勇者くらいだろう。
まあ、半分どころか、邪神に世界の全てをくれてやるって言われて、すっぱり断った方の肩を今からお借りするわけですけども――――。
ヒャッハー! 幸せだぜ!
もう、変態でいいよ。だって、いい匂いなんだもの。柔らかいんだもの。このままずっと人生二人三脚で歩んでいきたいと思ってもいいでしょうかね。
こんなご褒美が待っていようとは、亀裂に落ちてみるもんだ。情けなくも取り乱してしまった僕に、こんなに優しくしてくれるなんて、嬉しさが限界突破であります。
なんて献身的なんだろう。体格差もあるのに、出来るだけ負担を掛けないようにはしてるつもりだけど、この優しさは女神そのものです。
女神認定した、グラドさん達の気持ちがいまなら凄く分かる気がする。
ずっと隣のロールさんを見つつ歩くのも照れくさいので、正面に目を向けると、パゼットさんが、ルガールさんに小言を言われながらトボトボと歩いている。
派閥は違っても、ルガールさんの方が上役だと分かる光景。
というか、続くね説教……。げんなりしているよ。可哀想だ……。
――しかし、獣人って初めて見た。
小さい時には、よく、悪さをしたら、獣人に連れて行かれるとか親に言われて、恐怖の対象だったけ。
イメージ的には狼の姿だったけど、黒豹みたいな姿だし、獣人って、いろんなタイプがいるのかな?
それに空も飛んでたな。何でもありだな。
更にルガールさんを眺めていく。
人間とは違って、動物特有のしなやかな筋肉の持ち主って感じだな。
肩が露出した、毛並みと同じ黒色の鎧は、胸部分や腹部が人間の筋肉を象っているデザイン。
ナイスカット! って、口にしたくなる。
細身だけども、鎧も相まって、隆々の筋肉で強そうなイメージ。
ハンターを思わせる鋭い眼光に、周囲を常に警戒しているかのように耳を忙しなく動かしている。
自分たちのテリトリーであっても怠らない姿勢だね。
それもあったからこそ、二人の戦いに即介入で、僕を救ってくれてたんだね。
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