64 / 604
熱砂地帯の二王
PHASE-08
しおりを挟む
――――歩かされるな~。
自分たちの尺度で考えすぎじゃないかな魔王軍。一般人としては、ただでさえ舗装されていない獣道みたいなとこばかり歩かされているんだけども……。
まだ邪神の時の神殿が眠る森の方が良かった……。あそこは一応、人が通れるようになってたからね。神殿の行き届いた掃除からして、道も僕たちが来る前にハッタさんや信徒さん達が整えてくれてたんだろうね。
――それに比べてこの悪路。
自分たちの体力とこちらの体力を一緒にしてほしくないところだ。
木の根になんど足を取られているか。その度に転びそうになって、ロールさんに迷惑を掛けている。
――…………。
これ以上は流石に気が引けてくる。
「はぁ、はぁ――」
肩で息をし始めたロールさんに体を預けるのは心が痛い。
幸せな時間だけども、きつそうな表情を見ると罪悪感だ。
「もう、大丈夫です」
心苦しいので、名残惜しいけどもロールさんから離れる。
「本当にいいの?」
額の汗を見せられては、まだ無理ですなんて言えないですよ。
笑顔で、対応。
そしたら、優しい笑顔が返ってきた。
「しんどかったら、俺が肩かしてやるからな」
あ、いいです。
拇指立てて、リスペクトポイント上げたいのに躍起でしょうけども、葉煙草臭い体はちょっと……。
がんばって、歩かせてもらいまする。
――――これ……。歩き終えたら、足の裏は相当の水ぶくれが出来てるだろうね。
今度から、こういう出張時は、移動の利便性を考えてもらえるように企画書を提出しよう。
――――。
やっと、ついた……。もう、やだ……。
真っ暗だよ。夜ですよ。お風呂入りたい。寝たい。
不満がたらたらと浮かび上がってきます。
――テントが並んでます。それも不満だ。
てっきり、館なんかがドンと構えてるのかと思ったら――、テントですよ。
なんですか、この異様な光景は、
まるで、兵隊さんの軍事演習みたいな雰囲気なんですけども。
「この先でお待ちしております」
え~、明日になりませんかね。流石にもうクタクタです……。
ルガールさん。貴男の横のパゼットさんを見てくださいよ。貴男の小言で、僕たち以上にげっそりしておりますよ。
お願いです、横になりたいです。
「行くか」
ふぁ~。なんでそこで否定しないんすか? いつもなら悪態ついてキレるところでしょう。
心を入れ替えたんですか整備長。
――ひときわ大きなテントの前で待たされる。
なぜに一貫してテントのカラーリングはモスグリーンなのだろうか?
大きなテントの前に設営されたいくつものテント。
ただ、並んでいるだけじゃない。気持ちが悪いほど揃っている。
僕も整備局の人間。最低限の建築や設営には精通している。
姑みたいに、テントの端々に目を向けると、固定しているロープから、ペグの角度まで、寸分違わない。もはや、芸術を通り越してオカルトに近い。
並ぶテントの最前列から見れば、先頭のテントしかないのでは? と、思えるくらい、整えられている。
一体どんな教養を受けたらこうなるのか。教養じゃなくて、強要されているとしか思えない。
王都の兵隊が宿営に張るテントでもこんなではない。異常だ。
まさかテントだけで、ここまで興味を惹かれるとは思いもしなかったよ。
「よくぞ、おいでくださいました。この様な場所への招待で申し訳ありません」
おお! 美人だ! 美人だけどもなんなのだろうかその服装は、
「こちらもこの様に遅い時間となりました。予定とはズレが生じまして」
「いえ、お気になさらず。聞けば、我が部下と、そちらのパゼットが悶着を起こして、危うくそちらに死者が出てしまうところだったとか」
美人さんと整備長のやり取りだけども、僕の隣にはルガールさんがいる。いつ、悶着の事を伝えたのだろう? そんな行動はなかったようだけども。
すでに、周知の事実と、ご立腹な美人さんが、壌獣王さんである、キド・キキ・ギダさん。
種族はダークエルフだ。
褐色の肌と、銀色の髪の持ち主。髪型はストレートのロング。エメラルドグリーンの瞳。目と髪の色がロールさんと同じだ。横に並ばせたら姉妹に見えなくもない。
とんがった耳が特徴的。
その、とんがった耳が、僕を危機に陥らせた事に不快感を持っているのか、ピクピクと動きながら、切れ長の瞳でパゼットさんを睨み付けている。
炯眼を恐れるパゼットさんは、ルガールさんの背に隠れるように移動した。
「本当になんと言っていいのか。ジュラルミンの罪も考えますれば、司令官である私の責任」
おう、責任をとれる責任者だよ。整備長、よく目にしておくんだ。手本がいるぞ。
――って、司令官ってなんだ? 王でしょ王。壌・獣・王。
「幸い、ルガール氏によって救われましたし、怪我もなかったので、別段問題ないとしましょう。それに、お二方は、こちらのウィザースプーンに周囲が恐怖するくらいの怒りを、心底に刻まれましたから」
おう……、取り乱したのは確かだ……。
正直、あの時の僕を今の僕が見たら、恥ずかしくて赤面だよ。
怒りにまかせて暴言とか、精神のコントロールが出来ない己の未熟さを悟ったからね。
――――それよりも、だ――。
なんなんだ、この整備長の落ち着いた対応は? いつもなら横柄にでもなっているところだけども、なぜこうも紳士的なんだ?
自分たちの尺度で考えすぎじゃないかな魔王軍。一般人としては、ただでさえ舗装されていない獣道みたいなとこばかり歩かされているんだけども……。
まだ邪神の時の神殿が眠る森の方が良かった……。あそこは一応、人が通れるようになってたからね。神殿の行き届いた掃除からして、道も僕たちが来る前にハッタさんや信徒さん達が整えてくれてたんだろうね。
――それに比べてこの悪路。
自分たちの体力とこちらの体力を一緒にしてほしくないところだ。
木の根になんど足を取られているか。その度に転びそうになって、ロールさんに迷惑を掛けている。
――…………。
これ以上は流石に気が引けてくる。
「はぁ、はぁ――」
肩で息をし始めたロールさんに体を預けるのは心が痛い。
幸せな時間だけども、きつそうな表情を見ると罪悪感だ。
「もう、大丈夫です」
心苦しいので、名残惜しいけどもロールさんから離れる。
「本当にいいの?」
額の汗を見せられては、まだ無理ですなんて言えないですよ。
笑顔で、対応。
そしたら、優しい笑顔が返ってきた。
「しんどかったら、俺が肩かしてやるからな」
あ、いいです。
拇指立てて、リスペクトポイント上げたいのに躍起でしょうけども、葉煙草臭い体はちょっと……。
がんばって、歩かせてもらいまする。
――――これ……。歩き終えたら、足の裏は相当の水ぶくれが出来てるだろうね。
今度から、こういう出張時は、移動の利便性を考えてもらえるように企画書を提出しよう。
――――。
やっと、ついた……。もう、やだ……。
真っ暗だよ。夜ですよ。お風呂入りたい。寝たい。
不満がたらたらと浮かび上がってきます。
――テントが並んでます。それも不満だ。
てっきり、館なんかがドンと構えてるのかと思ったら――、テントですよ。
なんですか、この異様な光景は、
まるで、兵隊さんの軍事演習みたいな雰囲気なんですけども。
「この先でお待ちしております」
え~、明日になりませんかね。流石にもうクタクタです……。
ルガールさん。貴男の横のパゼットさんを見てくださいよ。貴男の小言で、僕たち以上にげっそりしておりますよ。
お願いです、横になりたいです。
「行くか」
ふぁ~。なんでそこで否定しないんすか? いつもなら悪態ついてキレるところでしょう。
心を入れ替えたんですか整備長。
――ひときわ大きなテントの前で待たされる。
なぜに一貫してテントのカラーリングはモスグリーンなのだろうか?
大きなテントの前に設営されたいくつものテント。
ただ、並んでいるだけじゃない。気持ちが悪いほど揃っている。
僕も整備局の人間。最低限の建築や設営には精通している。
姑みたいに、テントの端々に目を向けると、固定しているロープから、ペグの角度まで、寸分違わない。もはや、芸術を通り越してオカルトに近い。
並ぶテントの最前列から見れば、先頭のテントしかないのでは? と、思えるくらい、整えられている。
一体どんな教養を受けたらこうなるのか。教養じゃなくて、強要されているとしか思えない。
王都の兵隊が宿営に張るテントでもこんなではない。異常だ。
まさかテントだけで、ここまで興味を惹かれるとは思いもしなかったよ。
「よくぞ、おいでくださいました。この様な場所への招待で申し訳ありません」
おお! 美人だ! 美人だけどもなんなのだろうかその服装は、
「こちらもこの様に遅い時間となりました。予定とはズレが生じまして」
「いえ、お気になさらず。聞けば、我が部下と、そちらのパゼットが悶着を起こして、危うくそちらに死者が出てしまうところだったとか」
美人さんと整備長のやり取りだけども、僕の隣にはルガールさんがいる。いつ、悶着の事を伝えたのだろう? そんな行動はなかったようだけども。
すでに、周知の事実と、ご立腹な美人さんが、壌獣王さんである、キド・キキ・ギダさん。
種族はダークエルフだ。
褐色の肌と、銀色の髪の持ち主。髪型はストレートのロング。エメラルドグリーンの瞳。目と髪の色がロールさんと同じだ。横に並ばせたら姉妹に見えなくもない。
とんがった耳が特徴的。
その、とんがった耳が、僕を危機に陥らせた事に不快感を持っているのか、ピクピクと動きながら、切れ長の瞳でパゼットさんを睨み付けている。
炯眼を恐れるパゼットさんは、ルガールさんの背に隠れるように移動した。
「本当になんと言っていいのか。ジュラルミンの罪も考えますれば、司令官である私の責任」
おう、責任をとれる責任者だよ。整備長、よく目にしておくんだ。手本がいるぞ。
――って、司令官ってなんだ? 王でしょ王。壌・獣・王。
「幸い、ルガール氏によって救われましたし、怪我もなかったので、別段問題ないとしましょう。それに、お二方は、こちらのウィザースプーンに周囲が恐怖するくらいの怒りを、心底に刻まれましたから」
おう……、取り乱したのは確かだ……。
正直、あの時の僕を今の僕が見たら、恥ずかしくて赤面だよ。
怒りにまかせて暴言とか、精神のコントロールが出来ない己の未熟さを悟ったからね。
――――それよりも、だ――。
なんなんだ、この整備長の落ち着いた対応は? いつもなら横柄にでもなっているところだけども、なぜこうも紳士的なんだ?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる