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熱砂地帯の二王
PHASE-09
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紳士だ――――。
おかしい。
相手が褐色の美人さんだからか?
パゼットさんも褐色美人だけども、美しいというより可愛いという言葉が似合う。
整備長は美しい方になびかれるもんね。アレイン局長もそうだったけど。
「こちらの不手際があったとはいえ、些か到着に時間を要しましたね」
そりゃ、歩かされたからね。その分の計算も入れて予定を立てていただきたいよ。その点は、はっきりと言ってください。
「お気になさらず。我々の出立の遅延もあったので」
随分と大人しいな。怪しい。さっきも夜遅いのに、ブーたれずに、素直に面会しようと率先して足を進めたし、
なんだ? 整備長。何があった?
僕は何かを見落としている――。
この人がこんなにも素直に行動するわけがない。下がったリスペクト値を上げたい? 考えられないではないが、この人の場合は、楽して上げたい、という考えで占めている。
自分がしんどい思いをしてまで上げようとはすまいよ。
キドさんの、こちらの不手際で些か。――だが、本当に些かだ。こんなにも時間を要するとは思っていない。
そうなると、整備長の【我々の出立の遅延もあったので】と、言う言葉に引っかかりが生まれるな。
素直に行動する姿勢。出立の遅延。
そこから導き出されるのは――――、
「傾斜五十度のクライムヒル」
ポツリと、そして整備長にはっきりと聞こえる声で呟く。
はたして正になのか、耳にしたおっさんの背がビクンと動く。
おっさん、百八十度回頭。
僕へと接近。
「この事は、秘密で頼むぞ」
ほう、何とも弱々しい口調ですな。僕に対して、いままでそんな口の利き方した事ないんじゃないですかね。
予定通りとか言ってたけど、まったく予定通りじゃなかったんだね。ミスだったんだね。
へ~。
半眼で見てしまう。
「仕方ないだろう。距離感を見誤ったんだよ。ていうか、グライフで移動すると考えてたからな」
そのグライフ君が暑さで、まさかバテるとは思っていなかったと、でも、それ分かってても貴男、賭け事に参加しましたよね。
僕の思いが届いたのか、
「砂漠オオトカゲって、もっと早く移動出来るのかと思ってたんだよね」
空笑いでそう言ってきました。
自分のミスで遅くなったと。もし、時間通りに来ていたら、もしかしたらジュラルミンさんとパゼットさんが悶着を起こさなかったかもしれない。
そう思えてくると、僕はこのおっさんに怒りを覚えてしまうんですがね。この深い森の中に埋めてあげようかと殺意が生まれますよ。
皆には見えないように手を合わせて僕に懇願のおっさん。
僕が落ちそうになった時に、ロールさんを必死で止めていた事を考えてあげると、許してあげてもいいかな~。
僕ってなんて慈愛に満ちてるんだろう。
僕以外を救おうとした事に対しての行為で、許してあげようとしているんだから。
笑顔を作って、首肯。
すると、嬉しそうに僕の背中をパンパン叩いてくる。
「まじで王都に返ったら、奢るから。いいの奢るから」
奢るか……。知ってますか、整備長。
シスコン邪神がアホな訪れ方をした時に、バッカスの支払い、僕がしてるんですよ。
しかも、それに関して貴男は未だに何も口にしないし、僕に支払い分を返す素振りも見せませんよね。
それもふくめて、高いの注文しますから。
いま現在、賭ですっちゃって無一文のおっさんに支払えるかな……。
「あの……いいでしょうか?」
僕たちのやり取りに入ってこれなかったキドさんが、何とか話のきっかけを作ろうと割って入ってきた。
どうでもいいやり取りであったので、メインに戻そうと、僕がどうぞと手を向ける。
それに対して、一礼をすると、
「今宵は遅くなりました。よろしければゆっくりと休まれて、翌日に持ち越しましょう」
大きなテントには食事、その奥に風呂まで用意してあるという。
いいじゃないか。ゆっくりとさせてもらおう。
「て、なに勝手に進めてるのかな~」
なんかテントから、ちっこいのが出てきた。
色白、金髪のツンツン頭で、赤眼の男の子だ。なんか偉そうにキドさんに言い寄っている。
「よく来たね。整備局員の方々」
けっこう、上からな感じがする生意気なお子様ですよ。年の頃は十二、三歳ってところか、一番おませな時かな。
「外見だけで判断しちゃいけないな~そこの錆頭君」
あん! なんだって! このキッズ!
「失礼な事を言うんじゃない!」
うむ、キドさんもっと言ってあげて。
「だってさ、キキ。コイツ、僕の事を子供だと思ってるよ」
「外見がそうなんだから仕方が無い」
なるほど……。外見がって事は、このおチビさんは中身は違うんだね。
「私が紹介を――この者はテト・バンデッタ・ニョルニル。魔王様の幹部である風雷王です」
「そういうことなんだ。だから生意気な態度は取っちゃ駄目だよ、お子様」
むか! なんか、今まで会った幹部の方で、一番むかつくんですけど。
しかもなんなの、キドさんも風雷王…………さんも、なんで、同じような服装なんだよ。
ペアルックかよ! え、なに? 付き合ってんの。充実組かおい。
なんなの、そのテントと同じモスグリーンな上着と、ベレー帽。後、ズボンの緑やら茶色に黒からなる、まだら模様はなんなのだろうか、見た事のない色合いである。
異なるところは、キドさんがグリーンのベレー帽で、ちびっ子がブルーの色のベレー帽ってとこか――――。
「まあ、いいや。入りなよ。ご飯あるよ。――それと、パゼット。説教は演習後だ。一般人を危険にさらした行為は重いよ」
「はい……」
おう、ちびっ子。凄い迫力だった。
流石は風雷王か。外見からは窺えないものを内に秘めている。
おかしい。
相手が褐色の美人さんだからか?
パゼットさんも褐色美人だけども、美しいというより可愛いという言葉が似合う。
整備長は美しい方になびかれるもんね。アレイン局長もそうだったけど。
「こちらの不手際があったとはいえ、些か到着に時間を要しましたね」
そりゃ、歩かされたからね。その分の計算も入れて予定を立てていただきたいよ。その点は、はっきりと言ってください。
「お気になさらず。我々の出立の遅延もあったので」
随分と大人しいな。怪しい。さっきも夜遅いのに、ブーたれずに、素直に面会しようと率先して足を進めたし、
なんだ? 整備長。何があった?
僕は何かを見落としている――。
この人がこんなにも素直に行動するわけがない。下がったリスペクト値を上げたい? 考えられないではないが、この人の場合は、楽して上げたい、という考えで占めている。
自分がしんどい思いをしてまで上げようとはすまいよ。
キドさんの、こちらの不手際で些か。――だが、本当に些かだ。こんなにも時間を要するとは思っていない。
そうなると、整備長の【我々の出立の遅延もあったので】と、言う言葉に引っかかりが生まれるな。
素直に行動する姿勢。出立の遅延。
そこから導き出されるのは――――、
「傾斜五十度のクライムヒル」
ポツリと、そして整備長にはっきりと聞こえる声で呟く。
はたして正になのか、耳にしたおっさんの背がビクンと動く。
おっさん、百八十度回頭。
僕へと接近。
「この事は、秘密で頼むぞ」
ほう、何とも弱々しい口調ですな。僕に対して、いままでそんな口の利き方した事ないんじゃないですかね。
予定通りとか言ってたけど、まったく予定通りじゃなかったんだね。ミスだったんだね。
へ~。
半眼で見てしまう。
「仕方ないだろう。距離感を見誤ったんだよ。ていうか、グライフで移動すると考えてたからな」
そのグライフ君が暑さで、まさかバテるとは思っていなかったと、でも、それ分かってても貴男、賭け事に参加しましたよね。
僕の思いが届いたのか、
「砂漠オオトカゲって、もっと早く移動出来るのかと思ってたんだよね」
空笑いでそう言ってきました。
自分のミスで遅くなったと。もし、時間通りに来ていたら、もしかしたらジュラルミンさんとパゼットさんが悶着を起こさなかったかもしれない。
そう思えてくると、僕はこのおっさんに怒りを覚えてしまうんですがね。この深い森の中に埋めてあげようかと殺意が生まれますよ。
皆には見えないように手を合わせて僕に懇願のおっさん。
僕が落ちそうになった時に、ロールさんを必死で止めていた事を考えてあげると、許してあげてもいいかな~。
僕ってなんて慈愛に満ちてるんだろう。
僕以外を救おうとした事に対しての行為で、許してあげようとしているんだから。
笑顔を作って、首肯。
すると、嬉しそうに僕の背中をパンパン叩いてくる。
「まじで王都に返ったら、奢るから。いいの奢るから」
奢るか……。知ってますか、整備長。
シスコン邪神がアホな訪れ方をした時に、バッカスの支払い、僕がしてるんですよ。
しかも、それに関して貴男は未だに何も口にしないし、僕に支払い分を返す素振りも見せませんよね。
それもふくめて、高いの注文しますから。
いま現在、賭ですっちゃって無一文のおっさんに支払えるかな……。
「あの……いいでしょうか?」
僕たちのやり取りに入ってこれなかったキドさんが、何とか話のきっかけを作ろうと割って入ってきた。
どうでもいいやり取りであったので、メインに戻そうと、僕がどうぞと手を向ける。
それに対して、一礼をすると、
「今宵は遅くなりました。よろしければゆっくりと休まれて、翌日に持ち越しましょう」
大きなテントには食事、その奥に風呂まで用意してあるという。
いいじゃないか。ゆっくりとさせてもらおう。
「て、なに勝手に進めてるのかな~」
なんかテントから、ちっこいのが出てきた。
色白、金髪のツンツン頭で、赤眼の男の子だ。なんか偉そうにキドさんに言い寄っている。
「よく来たね。整備局員の方々」
けっこう、上からな感じがする生意気なお子様ですよ。年の頃は十二、三歳ってところか、一番おませな時かな。
「外見だけで判断しちゃいけないな~そこの錆頭君」
あん! なんだって! このキッズ!
「失礼な事を言うんじゃない!」
うむ、キドさんもっと言ってあげて。
「だってさ、キキ。コイツ、僕の事を子供だと思ってるよ」
「外見がそうなんだから仕方が無い」
なるほど……。外見がって事は、このおチビさんは中身は違うんだね。
「私が紹介を――この者はテト・バンデッタ・ニョルニル。魔王様の幹部である風雷王です」
「そういうことなんだ。だから生意気な態度は取っちゃ駄目だよ、お子様」
むか! なんか、今まで会った幹部の方で、一番むかつくんですけど。
しかもなんなの、キドさんも風雷王…………さんも、なんで、同じような服装なんだよ。
ペアルックかよ! え、なに? 付き合ってんの。充実組かおい。
なんなの、そのテントと同じモスグリーンな上着と、ベレー帽。後、ズボンの緑やら茶色に黒からなる、まだら模様はなんなのだろうか、見た事のない色合いである。
異なるところは、キドさんがグリーンのベレー帽で、ちびっ子がブルーの色のベレー帽ってとこか――――。
「まあ、いいや。入りなよ。ご飯あるよ。――それと、パゼット。説教は演習後だ。一般人を危険にさらした行為は重いよ」
「はい……」
おう、ちびっ子。凄い迫力だった。
流石は風雷王か。外見からは窺えないものを内に秘めている。
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