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ブートキャンプへようこそ♪
PHASE-04
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気合い入れろ!
ロウさんに比べれば、僕だって軽量だ。
「早く行け。後が使えてんだよ」
罵声役の方々の声を無視して集中。手袋に付いた泥を服で拭って、少しでも摩擦の抵抗を蘇らせて、
「おりゃ!」
ふぬぬぬぬ! きっと、顔は真っ赤だし、血管も浮き出ているだろう。食いしばっている歯だって欠けそうな勢いだ。
人生で一番の力を出して挑戦している。
鑿もって、大石に挑んでいた時なんかよりも、瞬発的な疲労は遙かに上だ。それでも、ここで登り切ってやるという意志でやる。長く続けば体力なんて無い僕には、登る事は出来ない。
下を見ずに上だけを見る。足を使えば泥で滑ってしまうので、体力の無駄だ。あえて腕だけで登っていく。
――掴んでいる手の感覚がなくなってくる。
超根性! ロープに必死になって全身でしがみつく。
――――あっ、なんでこんな単純な事に気付かなかったんだ――、僕。
そうか、棒上りの要領でやればいいじゃないか。
太ももの内側と、足の裏でロープを強く挟んで、後は尺取虫を憑依させたかのようにして、登っていけばいいんだ。
――進む、進む。意外と楽だぞ。これならいける。
棒と違ってロープだから、体を動かせば揺れてバランス取るの難しいけど、斜面に足を付けるより遙かにいい。
――壁の上まで来たところで、シナンさんが僕の手を掴み上げてくれた。
「ありがとうございます、でもこれって、補助とかいいんですかね?」
「分隊行動だから、協力は問題ないニャ」
あ、そうなの。確かに壁の上に立つ罵声担当も何も言ってこないし、いいのか。
――じゃあ、
「ロウさん、ググタムさん――――」
棒上りの容量で登るといいと伝えると、なるほどと、理解してくれたみたいで、僕なんかと違って、重りを付けていても、楽々と壁を登り切った。
僕の声を耳にしていた方々も、ロウさんとググタムさんの登る姿を見て、それを真似てから登り切る。
「よく気付いた。刷り込みからの脱却が攻略のポイントだ」
と、僕の横に立つ、罵声担当のロウさんと同じ種族である、茶色い毛並みの狼の獣人の方が笑みを見せて褒めてくれた。
この壁は斜度が付いている。そうなると、ウェットな泥が付着していても、自然に足を斜面につけて登っていこうと考えるのが当たり前と、思い込むらしい。
泥の壁では摩擦の抵抗もなく、足を滑らせて登れない。斜面の存在にとらわれず、棒上りの要領で登るのも正解の一つだそうだ。
多方面から見て、答えを導き出す事が大事なんだとか。
まあ、僕の場合、体力に限界が来ていたから、必死にしがみついた超根性な結果、閃いただけなんだけどね。
――この演習場の道のりを軽々と移動していた方々でも。ロープ上りには随分と苦戦していたみたいだった。
考えてみれば、普段から、恵まれた体で移動する事しか考えていないんだから、シンプルなものは以外と苦手なのかもね。
こんな訓練しなくとも、このくらいの壁なら、跳躍なり、飛べばいいだろうと考えるだろうから。
魔法を使わないだけでなく、基礎的な体の使い方もここで学ぶようなシステムのようだね。
「ウィザースプーン!」
まったく、勘弁してよ百人長。なんだよ、まだ登り終えて直ぐじゃないか。休憩はないのかな? 僕ばかりをターゲットにしてさ。
怒鳴り声に駈け足で近づき、直立で立つ。
「まったく、お前という奴は余計な事をしやがって!」
なんだよ。僕が何をしたんだ?
「脱落者がいないじゃないか! そいつ等をなじる楽しみを奪ってくれたな」
どうやら、僕が壁登りのロープのコツを口にしたのを耳にした皆さんが、応用して、それで壁登りに成功した事がどうにも気に入らなかったらしい。
知らないよ。そもそもこの中で僕が登れたんだから、皆もそのうち登ってたよ。八つ当たりもいいところだ。
「分隊にだけそういうのは伝えるんだな」
うるせえやい、ロウさん達に伝えたら、必然的に皆に伝わっただけだい。
反論すると、また、殴られそうだし、連帯責任を負わせちゃうかもだけど――、
「お言葉ですが百人長。僕たちは分隊ですが、それ以上に、全体がチームなので、協力するのは当たり前じゃないでしょうか? 何のために同じ色のベレー帽を被ってるんですか?」
ここにいる方々は仲間だ。仲間なら助言をしたって良いじゃないか。ライバル的なのはあれでしょ? 青いベレー帽のちびっ子のチームでしょ。
「ほう、チーム全体が大事か」
「はい」
こいよ、殴りたければ殴ればいい。こんなトカゲのおっさんに負けてたまるか!
「よし! じゃあ、俺に逆らった罰だ。腕立て百。連帯で、分隊ではなく――――全員だ」
それは、ないよ! そんなことしたら、僕は針のむしろだ。このトカゲ、本当に精神を攻めてくるな。
申し訳なくて、周りを見る事も出来ない。視線下方は四十五度になってしまう。
――腕立てを終える。流石に腕が限界だ。上げるのでさえ一苦労だよ……。
そして、腕を上げるよりも、顔を上げるのが嫌だ…………。
「よし、次だ」
重い足取りで足を進めると、背中をバシンと叩かれた。痛みで顔が上がってしまう。
恐る恐る後ろを見ると、龍人の方だった。
怖い、目つきが鋭くてたまらない。流石はドラゴンの一族だ、百人長の目つきより怖い。
鋼よりも強靱と言われる鱗の体。鱗の色は漆黒だ。禍々しさが尋常じゃない。殴られるのかな……。
僕の分隊が直ぐさま遮るように立ってくれるけど、押しのけて僕に接近。
「あんた、よく言ったぜ!」
と、お褒めの言葉だった。
笑顔を向けてくれるんだけども、怖いです……。
「俺はアクシャイっていうもんだ。あの百人長、あんたに重圧与えたくて俺達に敵意を向けさせようとしてたんだろうが、そう上手く乗ってやるかよ」
周囲を見て〝なあ〟って言うと、周りの方々も頷いて、僕に気にしなくていいと、優しく笑顔で伝えてくる。
僕が反論する姿に、溜飲が下がったそうだ。
「おたく、王都の整備局員だろ? 炎竜王様とも親しいんだよね。言いつけちゃえよ」
一人の方がそう言う。
それ、さっき、僕も口にしたんで……。情けなくなったから、止めときます。
――――周囲をいろんな亜人の方々に囲まれて、若干恐怖を感じている。
なぜだか僕に対する信頼が凄い事になっています。
「さっさと来ないか!」
百人長の言に駈け足の僕。そして、その後を皆が付いてきて、率いている感を醸し出している。
その光景に、百人長は――――、
「ほう」
と、何を感心しているのやら……。
僕をリーダー的な感じで見ないでいただきたい。
僕はただの素人の人間ですから!
ロウさんに比べれば、僕だって軽量だ。
「早く行け。後が使えてんだよ」
罵声役の方々の声を無視して集中。手袋に付いた泥を服で拭って、少しでも摩擦の抵抗を蘇らせて、
「おりゃ!」
ふぬぬぬぬ! きっと、顔は真っ赤だし、血管も浮き出ているだろう。食いしばっている歯だって欠けそうな勢いだ。
人生で一番の力を出して挑戦している。
鑿もって、大石に挑んでいた時なんかよりも、瞬発的な疲労は遙かに上だ。それでも、ここで登り切ってやるという意志でやる。長く続けば体力なんて無い僕には、登る事は出来ない。
下を見ずに上だけを見る。足を使えば泥で滑ってしまうので、体力の無駄だ。あえて腕だけで登っていく。
――掴んでいる手の感覚がなくなってくる。
超根性! ロープに必死になって全身でしがみつく。
――――あっ、なんでこんな単純な事に気付かなかったんだ――、僕。
そうか、棒上りの要領でやればいいじゃないか。
太ももの内側と、足の裏でロープを強く挟んで、後は尺取虫を憑依させたかのようにして、登っていけばいいんだ。
――進む、進む。意外と楽だぞ。これならいける。
棒と違ってロープだから、体を動かせば揺れてバランス取るの難しいけど、斜面に足を付けるより遙かにいい。
――壁の上まで来たところで、シナンさんが僕の手を掴み上げてくれた。
「ありがとうございます、でもこれって、補助とかいいんですかね?」
「分隊行動だから、協力は問題ないニャ」
あ、そうなの。確かに壁の上に立つ罵声担当も何も言ってこないし、いいのか。
――じゃあ、
「ロウさん、ググタムさん――――」
棒上りの容量で登るといいと伝えると、なるほどと、理解してくれたみたいで、僕なんかと違って、重りを付けていても、楽々と壁を登り切った。
僕の声を耳にしていた方々も、ロウさんとググタムさんの登る姿を見て、それを真似てから登り切る。
「よく気付いた。刷り込みからの脱却が攻略のポイントだ」
と、僕の横に立つ、罵声担当のロウさんと同じ種族である、茶色い毛並みの狼の獣人の方が笑みを見せて褒めてくれた。
この壁は斜度が付いている。そうなると、ウェットな泥が付着していても、自然に足を斜面につけて登っていこうと考えるのが当たり前と、思い込むらしい。
泥の壁では摩擦の抵抗もなく、足を滑らせて登れない。斜面の存在にとらわれず、棒上りの要領で登るのも正解の一つだそうだ。
多方面から見て、答えを導き出す事が大事なんだとか。
まあ、僕の場合、体力に限界が来ていたから、必死にしがみついた超根性な結果、閃いただけなんだけどね。
――この演習場の道のりを軽々と移動していた方々でも。ロープ上りには随分と苦戦していたみたいだった。
考えてみれば、普段から、恵まれた体で移動する事しか考えていないんだから、シンプルなものは以外と苦手なのかもね。
こんな訓練しなくとも、このくらいの壁なら、跳躍なり、飛べばいいだろうと考えるだろうから。
魔法を使わないだけでなく、基礎的な体の使い方もここで学ぶようなシステムのようだね。
「ウィザースプーン!」
まったく、勘弁してよ百人長。なんだよ、まだ登り終えて直ぐじゃないか。休憩はないのかな? 僕ばかりをターゲットにしてさ。
怒鳴り声に駈け足で近づき、直立で立つ。
「まったく、お前という奴は余計な事をしやがって!」
なんだよ。僕が何をしたんだ?
「脱落者がいないじゃないか! そいつ等をなじる楽しみを奪ってくれたな」
どうやら、僕が壁登りのロープのコツを口にしたのを耳にした皆さんが、応用して、それで壁登りに成功した事がどうにも気に入らなかったらしい。
知らないよ。そもそもこの中で僕が登れたんだから、皆もそのうち登ってたよ。八つ当たりもいいところだ。
「分隊にだけそういうのは伝えるんだな」
うるせえやい、ロウさん達に伝えたら、必然的に皆に伝わっただけだい。
反論すると、また、殴られそうだし、連帯責任を負わせちゃうかもだけど――、
「お言葉ですが百人長。僕たちは分隊ですが、それ以上に、全体がチームなので、協力するのは当たり前じゃないでしょうか? 何のために同じ色のベレー帽を被ってるんですか?」
ここにいる方々は仲間だ。仲間なら助言をしたって良いじゃないか。ライバル的なのはあれでしょ? 青いベレー帽のちびっ子のチームでしょ。
「ほう、チーム全体が大事か」
「はい」
こいよ、殴りたければ殴ればいい。こんなトカゲのおっさんに負けてたまるか!
「よし! じゃあ、俺に逆らった罰だ。腕立て百。連帯で、分隊ではなく――――全員だ」
それは、ないよ! そんなことしたら、僕は針のむしろだ。このトカゲ、本当に精神を攻めてくるな。
申し訳なくて、周りを見る事も出来ない。視線下方は四十五度になってしまう。
――腕立てを終える。流石に腕が限界だ。上げるのでさえ一苦労だよ……。
そして、腕を上げるよりも、顔を上げるのが嫌だ…………。
「よし、次だ」
重い足取りで足を進めると、背中をバシンと叩かれた。痛みで顔が上がってしまう。
恐る恐る後ろを見ると、龍人の方だった。
怖い、目つきが鋭くてたまらない。流石はドラゴンの一族だ、百人長の目つきより怖い。
鋼よりも強靱と言われる鱗の体。鱗の色は漆黒だ。禍々しさが尋常じゃない。殴られるのかな……。
僕の分隊が直ぐさま遮るように立ってくれるけど、押しのけて僕に接近。
「あんた、よく言ったぜ!」
と、お褒めの言葉だった。
笑顔を向けてくれるんだけども、怖いです……。
「俺はアクシャイっていうもんだ。あの百人長、あんたに重圧与えたくて俺達に敵意を向けさせようとしてたんだろうが、そう上手く乗ってやるかよ」
周囲を見て〝なあ〟って言うと、周りの方々も頷いて、僕に気にしなくていいと、優しく笑顔で伝えてくる。
僕が反論する姿に、溜飲が下がったそうだ。
「おたく、王都の整備局員だろ? 炎竜王様とも親しいんだよね。言いつけちゃえよ」
一人の方がそう言う。
それ、さっき、僕も口にしたんで……。情けなくなったから、止めときます。
――――周囲をいろんな亜人の方々に囲まれて、若干恐怖を感じている。
なぜだか僕に対する信頼が凄い事になっています。
「さっさと来ないか!」
百人長の言に駈け足の僕。そして、その後を皆が付いてきて、率いている感を醸し出している。
その光景に、百人長は――――、
「ほう」
と、何を感心しているのやら……。
僕をリーダー的な感じで見ないでいただきたい。
僕はただの素人の人間ですから!
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