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ブートキャンプへようこそ♪
PHASE-08
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「起床!」
消灯と同じ語調で発せられる言葉と、起床ラッパの吹鳴。耳朶に響く金管の音色で強制的に叩き起こされる。
体を起こすと筋肉痛はあるけど、動けないほどじゃない。風呂に入ってからのストレッチの効果があったみたいだ。
周囲を見ると、皆も気分は良さそう。シナンさんは猫のように体を伸ばしている。
――――。
「冷たい」
流石に、夜に干した半長靴は渇いてるわけもなく、履いた途端に足全体が水気に支配された。
まあ、泥まみれで濡れたのよりましだし、どうせ渇いたとしても、今日の演習で泥まみれになるんだろうし……。
――急ぎテント前に並ぶと、
「点呼!」
僕たちに泥水をぶっかけてたオークの方が立っていた。
1、2、3、4と、声を上げて、揃っている事を伝えると、直ぐに集合となり、駆け足で昨日と同じ場所に皆集合。
「よし! コイツ等以外、全員、腕立てだ」
なぜか僕たちは免除。
連帯責任からすると、僕たちも行うはずでは? そう問うと、百人長は、僕たちはいいと返してくる。
「お前等、ろくに身なりも整えられんのか!」
腕立てが終わると、怒号。僕たちの姿を見ろと周囲に伝える。
向けられる視線に向け返す。皆、昨日の汚いままだ。もちろん女性陣は綺麗だけど、その方達も分隊という事での連帯責任を受けてしまっていた。
「よかったです。ピートさんの言う事を聞き入れておいて」
いや、ロウさん。僕、お風呂に入りたかっただけで、指示も何もしてませんが?
軍服に、半長靴もろくに手入れの出来ない奴らに、味方を守る事なんて出来るかと、百人長、エンレージが炸裂しまくっている。
体や物を大切にしないと、いざという時に、それらは力を発揮しない、してくれない。この演習で徹底的にその事を体に刻んでくれると、豪語しておられる。
――――――――――。
初日と同じ事が、四日間も繰り返された。
違いといえば二日目からは、初日に行った一連の訓練を、感覚を開ける事なく行った事だろう。
アスレチック感溢れる演習場までの悪路を走り、壁を登り、泥のプールを走らされ、仰臥前進からのロープ渡り。
ハーピーさんの風の魔法も、日を追うごとに強くなっていった。
最早、出張と言って良いのだろうか? まさかこんな長期滞在になるとは思ってもみなかった。
心配だ――、僕のサボテン。
一応、ケーシ―さんに頼んで、鍵も渡してるから、水はやってくれてるだろうけど――。
四日目にもなると、堅パンの味気なさから来る嫌気が一周して、慣れてしまう。
そして、お風呂に入れば――――、
「お疲れっす! ピートさん」
と、初日の頃はフレンドリー、悪く言えば馴れ馴れしかったアクシャイさんが、二日目の身だしなみ問題の後から、僕に対する尊敬値が高くなったのか、敬語を使い始め、龍人がそんな対応ならと、他の方々も僕に対して敬語を使い始めた。
龍人は魔王軍の中でも、エリート階級の種族みたいで、アクシャイさんの行動で、僕がこの訓練生たちのリーダー的なポジションに、正真正銘、立たされてしまった。
百人長の【ほう】って感心していた姿が蘇る。
正直な感想――――――――、迷惑です!
いやもうね……、やめていただきたい。初日も慕われてたけども、まさか、二日目で人心を望んでもないのに掌握して、四日目の風呂場では、
「お背中、流します」
アクシャイさんと数人が、腰掛ける僕の背中や、腕を持って、タオルで洗い出す状況だ……。
むさいし、ごついし、おまけに痛いから! 皮膚が持ってかれるよ! 肌、干上がっちゃうよ。
どれだけの馬鹿力を発揮してくれやがりますかね。
逃げ出すように、急いで湯船に入れば、ひりひりとした痛みを味わってしまう。
「ウッス! お供します」
「アクシャイさん。僕よりも自分たちの半長靴を洗いましょう」
まだ、洗ってないみたいだし、そっちに力注いで。僕に注がないで、何が悲しくて、筋骨隆々な方々と、湯船まで一緒にしなければならないのか……。
――――開放されて安堵の息を漏らすと、ググタムさんとロウさんが僕の状況を一部始終、眺めていて笑っていた。
笑ってないで助けてくださいよ……。
分かる事は、皆さん気さくで良い方々って事だね。
でも、僕の心は晴れない……。
もう、四日間もロールさんのご尊顔を窺っておりません。寂しいです。銀髪のサイドテールと優しい笑顔、美しい白い肌に、エメラルドグリーンの瞳を僕に見せてください。心が折れそうです。
四日間も会えないなんて初めてだよ……。仕事場で毎日あってたのに。なんて、嫌な出張なんだろう。
整備長の毒牙にでもかかってないかと心配でならない。
「何を憂い顔で黄昏れている」
背後からのその声は、僕を苦しめてきた者の声。
「アーメイ百人長!」
まさか、一緒の時間に入浴とはね。
この方の登場で場が一気に凍り付く。恐怖だけは刷り込まれてきたからね。仕方ないね。
――――まあ、僕の場合は、この方より、ハーピーさんの方が記憶に残ったけどね……。
今日なんて、ロープ渡りの時に、〝命綱を信じて。手を放しなさい〟って、無茶苦茶な事を言ってたし。
命綱あっても、手を離す勇気は相当だったよ……。
「まさか、お前なんかが、まとめ役になるなんてな」
「僕も意外でした」
なんか、いつもみたいに刺々しくないな。お風呂で、汚れと一緒にそれも削ぎ落とされたかい?
周りは戦々恐々。でも、僕は普通に話すから、周囲はその胆力に凄いと思っているようだ。
「その根性が慕われる理由か」
いや、違うと思います。勘違いじゃないですかね。
まあ、確かに、戦々恐々ってのはないかもね。考えてみれば、貴男の遙か高みである存在と普通に話してますからね。
魔王軍の脅威となるかも知れない、邪神に対しても、内心でシスコンやら馬鹿って罵ってたぐらいだし。
そう思って対応すれば、正直、貴男や罵声を飛ばしてくる方々に恐怖を抱く事は無いかもしれませんね。
初日にビンタされた時は、すっごく怖かったけど……。
「どうだ? まだやれるか」
う~ん。やれるかと言われると、やれるかな。
意外と、いけちゃったよね。初日は死ぬほど辛かったけど、二日目からは立て続けの行動だったけど、基本は同じ事の繰り返しだったから、以外に出来ちゃったね。
基本、公務員ってルーティンワークだからね。その耐性は出来てるのかもね。きついけど、出来ちゃう不思議。
それがこの僕、公務員。
消灯と同じ語調で発せられる言葉と、起床ラッパの吹鳴。耳朶に響く金管の音色で強制的に叩き起こされる。
体を起こすと筋肉痛はあるけど、動けないほどじゃない。風呂に入ってからのストレッチの効果があったみたいだ。
周囲を見ると、皆も気分は良さそう。シナンさんは猫のように体を伸ばしている。
――――。
「冷たい」
流石に、夜に干した半長靴は渇いてるわけもなく、履いた途端に足全体が水気に支配された。
まあ、泥まみれで濡れたのよりましだし、どうせ渇いたとしても、今日の演習で泥まみれになるんだろうし……。
――急ぎテント前に並ぶと、
「点呼!」
僕たちに泥水をぶっかけてたオークの方が立っていた。
1、2、3、4と、声を上げて、揃っている事を伝えると、直ぐに集合となり、駆け足で昨日と同じ場所に皆集合。
「よし! コイツ等以外、全員、腕立てだ」
なぜか僕たちは免除。
連帯責任からすると、僕たちも行うはずでは? そう問うと、百人長は、僕たちはいいと返してくる。
「お前等、ろくに身なりも整えられんのか!」
腕立てが終わると、怒号。僕たちの姿を見ろと周囲に伝える。
向けられる視線に向け返す。皆、昨日の汚いままだ。もちろん女性陣は綺麗だけど、その方達も分隊という事での連帯責任を受けてしまっていた。
「よかったです。ピートさんの言う事を聞き入れておいて」
いや、ロウさん。僕、お風呂に入りたかっただけで、指示も何もしてませんが?
軍服に、半長靴もろくに手入れの出来ない奴らに、味方を守る事なんて出来るかと、百人長、エンレージが炸裂しまくっている。
体や物を大切にしないと、いざという時に、それらは力を発揮しない、してくれない。この演習で徹底的にその事を体に刻んでくれると、豪語しておられる。
――――――――――。
初日と同じ事が、四日間も繰り返された。
違いといえば二日目からは、初日に行った一連の訓練を、感覚を開ける事なく行った事だろう。
アスレチック感溢れる演習場までの悪路を走り、壁を登り、泥のプールを走らされ、仰臥前進からのロープ渡り。
ハーピーさんの風の魔法も、日を追うごとに強くなっていった。
最早、出張と言って良いのだろうか? まさかこんな長期滞在になるとは思ってもみなかった。
心配だ――、僕のサボテン。
一応、ケーシ―さんに頼んで、鍵も渡してるから、水はやってくれてるだろうけど――。
四日目にもなると、堅パンの味気なさから来る嫌気が一周して、慣れてしまう。
そして、お風呂に入れば――――、
「お疲れっす! ピートさん」
と、初日の頃はフレンドリー、悪く言えば馴れ馴れしかったアクシャイさんが、二日目の身だしなみ問題の後から、僕に対する尊敬値が高くなったのか、敬語を使い始め、龍人がそんな対応ならと、他の方々も僕に対して敬語を使い始めた。
龍人は魔王軍の中でも、エリート階級の種族みたいで、アクシャイさんの行動で、僕がこの訓練生たちのリーダー的なポジションに、正真正銘、立たされてしまった。
百人長の【ほう】って感心していた姿が蘇る。
正直な感想――――――――、迷惑です!
いやもうね……、やめていただきたい。初日も慕われてたけども、まさか、二日目で人心を望んでもないのに掌握して、四日目の風呂場では、
「お背中、流します」
アクシャイさんと数人が、腰掛ける僕の背中や、腕を持って、タオルで洗い出す状況だ……。
むさいし、ごついし、おまけに痛いから! 皮膚が持ってかれるよ! 肌、干上がっちゃうよ。
どれだけの馬鹿力を発揮してくれやがりますかね。
逃げ出すように、急いで湯船に入れば、ひりひりとした痛みを味わってしまう。
「ウッス! お供します」
「アクシャイさん。僕よりも自分たちの半長靴を洗いましょう」
まだ、洗ってないみたいだし、そっちに力注いで。僕に注がないで、何が悲しくて、筋骨隆々な方々と、湯船まで一緒にしなければならないのか……。
――――開放されて安堵の息を漏らすと、ググタムさんとロウさんが僕の状況を一部始終、眺めていて笑っていた。
笑ってないで助けてくださいよ……。
分かる事は、皆さん気さくで良い方々って事だね。
でも、僕の心は晴れない……。
もう、四日間もロールさんのご尊顔を窺っておりません。寂しいです。銀髪のサイドテールと優しい笑顔、美しい白い肌に、エメラルドグリーンの瞳を僕に見せてください。心が折れそうです。
四日間も会えないなんて初めてだよ……。仕事場で毎日あってたのに。なんて、嫌な出張なんだろう。
整備長の毒牙にでもかかってないかと心配でならない。
「何を憂い顔で黄昏れている」
背後からのその声は、僕を苦しめてきた者の声。
「アーメイ百人長!」
まさか、一緒の時間に入浴とはね。
この方の登場で場が一気に凍り付く。恐怖だけは刷り込まれてきたからね。仕方ないね。
――――まあ、僕の場合は、この方より、ハーピーさんの方が記憶に残ったけどね……。
今日なんて、ロープ渡りの時に、〝命綱を信じて。手を放しなさい〟って、無茶苦茶な事を言ってたし。
命綱あっても、手を離す勇気は相当だったよ……。
「まさか、お前なんかが、まとめ役になるなんてな」
「僕も意外でした」
なんか、いつもみたいに刺々しくないな。お風呂で、汚れと一緒にそれも削ぎ落とされたかい?
周りは戦々恐々。でも、僕は普通に話すから、周囲はその胆力に凄いと思っているようだ。
「その根性が慕われる理由か」
いや、違うと思います。勘違いじゃないですかね。
まあ、確かに、戦々恐々ってのはないかもね。考えてみれば、貴男の遙か高みである存在と普通に話してますからね。
魔王軍の脅威となるかも知れない、邪神に対しても、内心でシスコンやら馬鹿って罵ってたぐらいだし。
そう思って対応すれば、正直、貴男や罵声を飛ばしてくる方々に恐怖を抱く事は無いかもしれませんね。
初日にビンタされた時は、すっごく怖かったけど……。
「どうだ? まだやれるか」
う~ん。やれるかと言われると、やれるかな。
意外と、いけちゃったよね。初日は死ぬほど辛かったけど、二日目からは立て続けの行動だったけど、基本は同じ事の繰り返しだったから、以外に出来ちゃったね。
基本、公務員ってルーティンワークだからね。その耐性は出来てるのかもね。きついけど、出来ちゃう不思議。
それがこの僕、公務員。
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