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ブートキャンプへようこそ♪
PHASE-09
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「がんばれます」
覗き込んでくる縦長の黒目に、そう返してみると、
ニヤリと笑みを見せた。
なんだよ。明日からしんどいのか? 今まで通りでいいよ。それを終わらせて、ロールさんに褒めてもらうんだから。
ぎゅって、してくれないかな~。ないな~。でも、褒めてもらうんだ。そして、切羽詰まっていたからといって、嘘をつく事も、もうしないぞ。
「余裕だな」
なにが?
どうやら、ロールさんに褒めてもらう事を考えている事で、トリップしていたようで、にやついてたようだ。
百人長に呆れられてしまった。
「まあ、アホな想像も大概にしとけよ。お前、顔に出やすいみたいだからな」
おう、その結果がここにいるって事なんだろうけどね。
その辺の胆力も鍛えないとな~。
「明日に備えて、洗った半長靴は燃やさないように注意して、よく渇かしておくんだな」
ん? なんだ? 泥まみれコースじゃないって事なのか?
「それと、こうやって風呂には入れて、ミルクが飲めるのは、お前達がまだ訓練生だからだ。恵まれている事に感謝しろ」
だ、そうだ。
僕たちとは違う場で、正規の配下の方々も演習に汗を流しているそうだ。
その方々は堅パンと水だけだそうで、風呂なんて入る事も出来ないそうだ。
ここに来た時に出された堅パンと、塩のお湯と言ってもいいスープに喉を動かしていたのが今なら理解出来る。
これでも恵まれてるなんて。と、思う都会に染まった僕。そして悲惨だな正規の方々。
――――入浴後は言われたとおりに、テント前で皆と火を熾して、離れた位置に逆さにした半長靴を干す。
黒色の半長靴から湯気が濛々と上がりだす。
――――――。
起床時間。
慣れってのはすごいもんで、起床ラッパの吹鳴前に目が覚めて、臥所の布団をたたみ終えてから外に出て、若干、湿気ている半長靴を手にして履く。
昨日までは、どうせ直ぐに泥に濡れるからと、乾ききってない半長靴に足を通して、冷たい気分を味わっていたけど、それに比べれば、本日は足に不快感は伝わってこない。
毎日こうやって、渇かせばよかったな~。朝の始まり方の、すがすがしさが違う。
不精はよくないと経験。
綺麗な訓練用の軍服に身を包んで、本日も頑張って、体を酷使していこう!
――……まったく、マイナス思考なのか、プラス思考なのか分からなくなるね……。
「明日、六日目から最終である七日目の日没まで、お前達には戦闘演習をやってもらう」
ふぁ~。なんて面倒くさそうなのが始まるんだ……。
対戦する相手はもちろん風雷王配下の訓練生。
ルールは、相手のベレー帽を奪い取り、終了時間までに奪った数の多い方、もしくは殲滅した方の勝利と、なんともシンプルなもの。
魔法の使用は一切禁止。飛行能力のある方々なんかは、元々、備わっている能力だから使用して良いそうだ。
己の体力と、知力を駆使し、戦略を練り、そこから戦術を生み出し、戦略に導く。
勝利をもぎ取れとの事だ。
「俺たちはお前達に勝利の味しか教えるつもりはない。そのために、たった四日間だったが、鍛えてきたんだ。負けて学ぶなんてのは実戦じゃクソだ。死んで終わりだ。学べやしねえ! 甘ったれのクソな言い訳だ。お前達はそうなるな! 勝て! 絶対に勝て!!」
絶対なんて絶対無いんですよ、百人長――――と、突っ込みたいけども、ここは素直に答えないといけないような空気。
しかも百人長の視線は僕に向けられていて、周りも僕の言動待ちみたいなので――――、
「了解しました! 勝利の栄光を百人長に!」
「「「「百人長に!!」」」」
僕に続く、大きな波のような声。
勘弁してくれよ……。完全にリーダー確定じゃないか僕。
アーメイ百人長、満足したかのように大きく首肯。
「では、本日はお前達で作戦会議を開け。演習場の地図は渡す。それと、装備だ。始めて見せる代物だ。今日中に覚えて使いこなせ。最低限は教える」
なんてアバウト。それなら、今日までの間に教えてよ。
相手チームも同じ境遇だそうだ。突発的に発生する状況への対処と攻略か。
実戦では何が起こるかなんて予測不可能。だからこそ、咄嗟に覚えて自分を生かせってさ。なんなのこの考え方。
スパルタが過ぎるよ。僕はこれが終わればただの公務員だけど、この方々を対勇者用のキリングチームにでもしたいの?
――――。
なんか見た事のない代物が配給される。
なんすかこれ? 耳当てに、口元近くまで棒状の物が伸びてる。
後、この小刀サイズの金属の筒みたいなのは何だろう? 金属部分と木製部分を境に、真ん中で折れてる。
その隣には、拇指サイズで、鏃のような金属製の物がくっついた、小さい筒が並んでいて、如何にも折れ曲がった筒の部分に挿入する感じ。
――初めて見る物だ。ロウさん達も初めてのようで、いろんな角度から覗き見ている。
シナンさんは筒を持ち上げて、中を覗き込もうとしたら、百人長に拳骨をもらった。
所作からして、危ない物だから、無闇矢鱈に覗き込むな。という事みたいだった。
そんな物を渡してほしくない。しかも初見で……。
「いいか、これは銃という」
初耳だ。
こんな物は巷では見た事がない。
ここで作られた物なのだろうか? どっちにしろ、あまり手にしたくないってのが、僕の直感と本心。
覗き込んでくる縦長の黒目に、そう返してみると、
ニヤリと笑みを見せた。
なんだよ。明日からしんどいのか? 今まで通りでいいよ。それを終わらせて、ロールさんに褒めてもらうんだから。
ぎゅって、してくれないかな~。ないな~。でも、褒めてもらうんだ。そして、切羽詰まっていたからといって、嘘をつく事も、もうしないぞ。
「余裕だな」
なにが?
どうやら、ロールさんに褒めてもらう事を考えている事で、トリップしていたようで、にやついてたようだ。
百人長に呆れられてしまった。
「まあ、アホな想像も大概にしとけよ。お前、顔に出やすいみたいだからな」
おう、その結果がここにいるって事なんだろうけどね。
その辺の胆力も鍛えないとな~。
「明日に備えて、洗った半長靴は燃やさないように注意して、よく渇かしておくんだな」
ん? なんだ? 泥まみれコースじゃないって事なのか?
「それと、こうやって風呂には入れて、ミルクが飲めるのは、お前達がまだ訓練生だからだ。恵まれている事に感謝しろ」
だ、そうだ。
僕たちとは違う場で、正規の配下の方々も演習に汗を流しているそうだ。
その方々は堅パンと水だけだそうで、風呂なんて入る事も出来ないそうだ。
ここに来た時に出された堅パンと、塩のお湯と言ってもいいスープに喉を動かしていたのが今なら理解出来る。
これでも恵まれてるなんて。と、思う都会に染まった僕。そして悲惨だな正規の方々。
――――入浴後は言われたとおりに、テント前で皆と火を熾して、離れた位置に逆さにした半長靴を干す。
黒色の半長靴から湯気が濛々と上がりだす。
――――――。
起床時間。
慣れってのはすごいもんで、起床ラッパの吹鳴前に目が覚めて、臥所の布団をたたみ終えてから外に出て、若干、湿気ている半長靴を手にして履く。
昨日までは、どうせ直ぐに泥に濡れるからと、乾ききってない半長靴に足を通して、冷たい気分を味わっていたけど、それに比べれば、本日は足に不快感は伝わってこない。
毎日こうやって、渇かせばよかったな~。朝の始まり方の、すがすがしさが違う。
不精はよくないと経験。
綺麗な訓練用の軍服に身を包んで、本日も頑張って、体を酷使していこう!
――……まったく、マイナス思考なのか、プラス思考なのか分からなくなるね……。
「明日、六日目から最終である七日目の日没まで、お前達には戦闘演習をやってもらう」
ふぁ~。なんて面倒くさそうなのが始まるんだ……。
対戦する相手はもちろん風雷王配下の訓練生。
ルールは、相手のベレー帽を奪い取り、終了時間までに奪った数の多い方、もしくは殲滅した方の勝利と、なんともシンプルなもの。
魔法の使用は一切禁止。飛行能力のある方々なんかは、元々、備わっている能力だから使用して良いそうだ。
己の体力と、知力を駆使し、戦略を練り、そこから戦術を生み出し、戦略に導く。
勝利をもぎ取れとの事だ。
「俺たちはお前達に勝利の味しか教えるつもりはない。そのために、たった四日間だったが、鍛えてきたんだ。負けて学ぶなんてのは実戦じゃクソだ。死んで終わりだ。学べやしねえ! 甘ったれのクソな言い訳だ。お前達はそうなるな! 勝て! 絶対に勝て!!」
絶対なんて絶対無いんですよ、百人長――――と、突っ込みたいけども、ここは素直に答えないといけないような空気。
しかも百人長の視線は僕に向けられていて、周りも僕の言動待ちみたいなので――――、
「了解しました! 勝利の栄光を百人長に!」
「「「「百人長に!!」」」」
僕に続く、大きな波のような声。
勘弁してくれよ……。完全にリーダー確定じゃないか僕。
アーメイ百人長、満足したかのように大きく首肯。
「では、本日はお前達で作戦会議を開け。演習場の地図は渡す。それと、装備だ。始めて見せる代物だ。今日中に覚えて使いこなせ。最低限は教える」
なんてアバウト。それなら、今日までの間に教えてよ。
相手チームも同じ境遇だそうだ。突発的に発生する状況への対処と攻略か。
実戦では何が起こるかなんて予測不可能。だからこそ、咄嗟に覚えて自分を生かせってさ。なんなのこの考え方。
スパルタが過ぎるよ。僕はこれが終わればただの公務員だけど、この方々を対勇者用のキリングチームにでもしたいの?
――――。
なんか見た事のない代物が配給される。
なんすかこれ? 耳当てに、口元近くまで棒状の物が伸びてる。
後、この小刀サイズの金属の筒みたいなのは何だろう? 金属部分と木製部分を境に、真ん中で折れてる。
その隣には、拇指サイズで、鏃のような金属製の物がくっついた、小さい筒が並んでいて、如何にも折れ曲がった筒の部分に挿入する感じ。
――初めて見る物だ。ロウさん達も初めてのようで、いろんな角度から覗き見ている。
シナンさんは筒を持ち上げて、中を覗き込もうとしたら、百人長に拳骨をもらった。
所作からして、危ない物だから、無闇矢鱈に覗き込むな。という事みたいだった。
そんな物を渡してほしくない。しかも初見で……。
「いいか、これは銃という」
初耳だ。
こんな物は巷では見た事がない。
ここで作られた物なのだろうか? どっちにしろ、あまり手にしたくないってのが、僕の直感と本心。
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