拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ブートキャンプへようこそ♪

PHASE-12

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「終わったか?」 

「はい。とりあえず、あの方の名誉のために、通信内容は箝口かんこうします」

「ああ、うん。それが良いだろう……」
 獅子さん事、ジャジャイさんの土下座に近い姿が見て取れるので、百人長と僕は、若干、引き気味でそれを眺めていた――――。
 
 勇気が必要なライオンさんとの交信を終えて、通信機を外して眺める。
 便利なもんだな。声だけの連絡手段だけど、魔石鏡を持ち運ぶのは大変だからね。これは凄い開発だ。
 
 百人長が説明してくれる。
 魔石鏡と同じ魔石を使用してるらしいけど、魔石鏡のように、魔石を磨き上げて鏡にするのではなく、もっと簡単で生産的な、魔石を砕いて欠片にして、それを耳当ての部分につける。
 銃と同じ原理で、ボタンを押すと、欠片に触れる部分に発動印が彫られていて、それで会話が出来るようになっているそうだ。
 魔石鏡のように長距離かつ、お互いが同時に会話を交わす事は出来ず、一度、受信して内容を聞き、返信。それが欠点――――。でも、同時に会話を交わす事ってほぼほぼ無いから、欠点とも言えないな。
 それ以上に、携行が容易で、一定の距離までは会話が出来るっていうのは凄い技術だ。これ、補修作業とかしてる時に、離れた人と指示を出し合えるし、使えると凄い便利だな。
 長距離は無理だそうだけど、中継を活用すれば、この森の中でも、広範囲で連絡が取れるとの事。ますます、この通信機なる物を欲しくなる。
 
 
 ――――皆が、通信を体験すると、これと、銃を手渡されて、戦闘を行い、相手を制圧し、ベレー帽を奪い勝利せよと、僕たちにそう伝える。
 
 ――――いやいや百人長、死ぬから。こんなの直撃したら、僕だけじゃなく、ここにいる亜人の方々でも死ぬから。
 
 いくら、人間とは違う体力を有していたとしても、これは助からないだろう。
 皆、一気に不安な顔。いくら何でも殺し合いなの? と、なんとも始まる前から厭戦ムードだ。

「心配するな。実弾なんか使うわけ無いだろう」
 ですよね~。演習で殺し合いなんて、今時の考えじゃないですよ。大昔はあったみたいだけど、そんな事が今の世で受け入れられるわけがない。
 絶対反対と、組合出来ちゃうよ。
 
 ――演習ではスタン系が封じられた魔法の弾丸を使用するとの事。

「外すなよ」
 と、強く発言。
 どうやら、鉛玉の殺傷力のある弾丸より、訓練用の魔法弾の方が相当に高価なようだ。
 
 支給された銃を手にすると、飛散する的を思い出して、ちょっと怖いな……。いくら、非殺傷でも、当たると意識飛ぶんでしょ? スタン系なんだもんね。
 
 練度の低い僕たちに、実戦に近い演習で鍛えろって事なのかな。
 習うより慣れろのスタイルだな。
 人間の兵隊さんの訓練とは真反対かな。人間サイドは、一つ一つをちゃんと時間かけて訓練するからね。
 人間以上に基礎能力の高い方々の訓練法は、本当にスパルタだな……。
 まあ、今日一日でどれだけ出来るのかは、自分たちで工夫していかなきゃね。

 ――――――。 
 
 とりあえず、的に向かって撃って撃って撃ちまくる。射撃訓練も全員で出来るわけではないから、次が来るまで、人のいないところで、一人で使用済みの空薬莢を一つ拝借して、折って空薬莢を装填して、連結してから構える。
 ――これを、延々と繰り返す。
 
 一人で、こんな事をやってると、俯瞰から見れば滑稽な動作かも……。
 特に、銃なんて存在をしらない、この森より外の世界で、もしこんな動作してたら、間違いなく変人あつかいだろうね…………。

 ――――。

「よし、スムーズになってきた」
 装填して、連結。折って、排莢。それを行って、次は装填する時に、銃を見ないで正面を見ながらやってみる。

「ありゃりゃ」
 流石に上手くいかないもので、薬莢が地面にコトリと落ちた。
 感覚を掴んでいこう。どの位置が薬室なのか、目で見て、手で触れていって、覚えていく。見ながらやればいいだけなんだろうけども、こういう練習もいるのかと個人的に考えてしまう。
 
 相手と出くわして、初弾を双方外してしまった時の練習も重要と考える。二射目の装填中に、目を離した隙に移動を行われては、相手を捕捉する時間を要してしまう。
 相手を見つつ、素早い装填。即座に捕捉し、撃てれば勝ちを大きく自分に引っ張る事も出来るだろうからね。
 ――そうか、相手が移動ってのも考慮しなきゃいけないな――――。
 動かないなんて、いくら新兵でもありえない。それじゃ、ただの案山子ですな。
 動きを捕らえつつ、装填のイメージトレーニングだ。
 装填しつつ、足場の悪い地面を移動しながら相手を捕捉して、手、肩、頬付けの三点固定で構える!
 今度は、銃を見ないで装填、連結、撃鉄起こして、構える。引き金に手を添える――。

「バン」
 カチンと、音がする。
 口でバンとか言ってしまった。正直、恥ずかしい……。誰も見てないよね~。周囲を確認して、
「よしよし、いいぞ、今のスムーズだった」
 忘れないうちに、体に感覚を刻ませていかないと。
  
 ――――。
 
 反復練習を繰り返していく。
 射撃訓練以外では、次の射撃訓練が回ってくるまで談笑していた方々が、いつの間にか僕の周りで、同じ事をやっていた。
  
 一人でやりたかったんだけどね……。
 だって、この動きシュールすぎて恥ずかしいからさ……。
 
 でも、僕の一連の動きに得心がいくのか、皆さんノリノリだった――――。
 最初の射撃で、一番の成績だったから、説得力もあったんだろう。


 ――――――。

「ええと――」
 射撃訓練を行う合間に、戦場となる森の中を地図を広げながら確認。
 正直、分からないよ……。
 右を見ても、左を見ても、上を見ても、木しかないんだもの……。
 特徴的な木々があったとしてもさ、どう伝えればいいいの? 伝えようがないよね。こうも、目印的な物もないんじゃ。

「あ――、穴蔵発見」
 ううんと、この地図で見ると、どの辺りかな? 
 ――…………。

「へっ、わかりゃしない……」
 感覚なのかな~。木に目印とか付けるの駄目だよね。やっていいとしたら、戦いが始まってからだろうね。

「お?」
 木々を巧みに細かい曲線を描きながら飛んでいる一団。五人の編隊飛行だ。
 真ん中先頭の方と、僕との目が合う。
 鳥人タンガタ・マヌだ。青いベレー帽。ちびっ子のとこの方だ。
 顔は鷲か鷹かな? 鋭い猛禽の瞳に捕捉される。
 嘴部分が上がったから、笑っているようだ。食指と中指を立てて顔の前にそれを移動させて挨拶してきた。
 きざったらしいけど、素で出来るところは格好いいな。
 どこぞの、狙ってる感が丸出しのポージングきめてくるシスコン邪神とは質が違う。
 気さくな方のようだ。
 僕は右手を後頭部にあてて、【あ、どうも】って感じで会釈。小物感丸出しだな……。
 
 便利だよな~。飛びながらのマッピング。
 僕なんてかちなのにさ。
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