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PHASE-27
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「我が統馭にある存在よ、狂え、号哭し、大いに流せ。荒らせ」
ちびっ子、風雷王から始まる詠唱。
それにキドさんが続く、
「百花の紋章、咲き乱れ、地を染めよ。万緑よ重ね覆え」
「叩き、溢れよ、大いに散らせ」
「生まれし事を雀躍せよ。糧とせよ。指し示し、振り子の恩恵の如く、地脈よ万物に宿れ。衝突する力の奔流よ、淫らにまぐわえ――――」
「「霄壌開闢」」
共に口を合わせて唱えると、二王が青と緑の光に覆われる。
二人の魔法を唱える時の輝きが、ベレー帽の色に反映されたのだろう。
長い詠唱を終えると、瞬く間に砂漠上空が暗闇の雲に閉ざされ、陽射しは遮られ、夜の訪れを思わせる。
だからだろう、宙に浮き、光を纏う二王の姿はとても目立つ。
「お前、初めて見るだろ、大魔法?」
「いやいや、見た事ありますが、というよりそれで死にかけましたけど」
何を、汗を流して言っているのか。貴男も、僕が奈落に落ちていったところを見てたでしょうに。
「悪いな。大魔法って言っても、それは攻城クラスだろ。これは戦略規模だ」
正直、その辺はよく分からない。整備局員になる事を考えてたから、その辺は学舎でも学んだけども、そもそも、攻城クラスでも僕からしたら規格外の破壊力だから、戦略規模がどの程度とか、想像はつかない。
同じ大魔法なんだから、差ってそこまであるの? って思うのが僕の考え。
「見とけよ。こんなもんは、おいそれとは見られないぞ」
いつになく神妙なもんだから、すっごく説得力がありますよ整備長。
――遠雷が聞こえてきたなと思った矢先に、暗闇に閉ざす厚い雲に、目を覆いたくなるほどの強い光が走り出し、
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
強く大きな、いびつな光の柱が大地に触れた途端に、爆音を轟かせた。
体に突き刺さるようなその音に、僕だけじゃなく、一緒に来ていたシナンさんたち新兵の方々も、押されるように後ろに倒れて、尻餅をつかされてしまった。
爆音は止む事はなく、次から次へと、光の柱が降り注ぐ。
眼前の出来事だけではない。遠方の空まで、光の柱は降り注いでいる。
きっと、目に見えない距離でも同じ事象が起こっているに違いない。
凶悪な落雷の後を追うように、豪雨が降り注ぐ。僕たちが立つ森の中を境にして、落雷の影響は出ないけども、雨は風に流されて、僕たちにも当たる。
水滴が触れると、体の芯から寒気を覚えるほどの冷たさだ。
雨によって、砂漠の熱が急激に冷やされていく。
続いて、風が勢力を強めて、横殴りの暴風が吹き始める。
先ほどまでこちらに吹いていた風は、僕たちの立つ森とは反対側に向きが変わった。
濡れた砂が勢いよく僕たちから見て前方に進み舞い上がるので、風の流れは見て取れた。
なんとも不思議である。眼前では暴風が吹き荒んでいるのに、僕たちにはその風が感じ取れないんだから。
砂を纏った暴風は、意志を持っているかのように輻輳していき、巨大な竜巻が生まれる。
落雷、豪雨、竜巻と、こんな物が一気に発生して王都に直撃したら、城なんてもんじゃない。王都全体が瓦礫に早変わりである。
「とんでもないですね。戦略規模って」
「な~。でも、これで半分なんだろう」
整備長の言うとおりだ。これ、まだ魔法の感じからして、ちびっ子の魔法だろう。
これに更にキドさんのが発動するって事だよね。
――思っている矢先に、地震を思わせる強い揺れが発生。
ジュラルミンさんの大地転生の比ではない揺れだ。
最早、立って入れない状況で、皆して体を伏せて揺れの中で耐えている。
地震に、眼前の天候。
この世の終わりを思わせる歪みの中にいるのかと思える状況に、恐怖に体が支配されてしまう。
「ロールさん大丈夫ですか」
「大丈夫じゃないかな」
弱々しく、四つん這いになりながら、僕の方に来て、体をくっつけてくる。不安な時って、支え合いたくなりますもんね。
嬉しい状況なのに、今回は恐怖が勝ってしまって、ロールさんの体の感触とか温もりが堪能出来ないよ。
――――堪能出来ないよ。って思えるだけ僕はまだ余裕があるのかな。
「世界の終わりだニャ」
「終わってねえし、こんなんどうって事ないし」
シナンさんとアズナさん。
いがみ合っていたのに、二人して抱き合って震えている。
「こりゃすげえな」
「随分と余裕ですね整備長」
「まあな、あの二人がちゃんと調整してるから、こっちには実質的な被害は出ないって分かってるからな」
おお、そんな事を冷静に考えられるなんて、まるで、仕事経験の豊富な頼れる上司みたい。
「見てみろ」
指に沿って行くと、砂漠が凄い事になっていた。
例えるならば、ボールに入った小麦粉なんかを両手で底からすくって、こねるみたいに砂漠の大地が動いている。
その大地からは、立派な巨木が新緑で彩られながら生えてくる。
自然のたゆまざる長い時間においての成長ってのをすっ飛ばしての木々の出現に、
ああ――、やっぱりこの方々に魔石の委託を任せてれば問題ないんだなと、心底思い知らされた。
僕たちの目の前では、巨木が突風に吹きさらされて、新緑をまき散らし、竜巻に飲まれて折れ飛び、落雷で真っ二つになり、豪雨をなにするものぞとばかりに激しく燃え上がり、それに負けないように、更なる巨木がニョキニョキと生えてくる。
大地には草も生え始め、ほんの少し前まで、熱砂であった砂漠地帯だったのに、樹木が密集し、森林地帯といっても誰も異を唱えない光景に変わってしまった……。
――――――。
「ふう、これ、結構疲れるんだよね」
疲れているようには見えないけどね。
ゆっくりと宙から大地に足を下ろして、得意げな笑顔を見せてくる。
もう、心の中で、このちびっ子に突っ込む事はやめよう……。
悋気に触れたら、頭上に雷を落としてくるかもしれないからね――――。
ちびっ子、風雷王から始まる詠唱。
それにキドさんが続く、
「百花の紋章、咲き乱れ、地を染めよ。万緑よ重ね覆え」
「叩き、溢れよ、大いに散らせ」
「生まれし事を雀躍せよ。糧とせよ。指し示し、振り子の恩恵の如く、地脈よ万物に宿れ。衝突する力の奔流よ、淫らにまぐわえ――――」
「「霄壌開闢」」
共に口を合わせて唱えると、二王が青と緑の光に覆われる。
二人の魔法を唱える時の輝きが、ベレー帽の色に反映されたのだろう。
長い詠唱を終えると、瞬く間に砂漠上空が暗闇の雲に閉ざされ、陽射しは遮られ、夜の訪れを思わせる。
だからだろう、宙に浮き、光を纏う二王の姿はとても目立つ。
「お前、初めて見るだろ、大魔法?」
「いやいや、見た事ありますが、というよりそれで死にかけましたけど」
何を、汗を流して言っているのか。貴男も、僕が奈落に落ちていったところを見てたでしょうに。
「悪いな。大魔法って言っても、それは攻城クラスだろ。これは戦略規模だ」
正直、その辺はよく分からない。整備局員になる事を考えてたから、その辺は学舎でも学んだけども、そもそも、攻城クラスでも僕からしたら規格外の破壊力だから、戦略規模がどの程度とか、想像はつかない。
同じ大魔法なんだから、差ってそこまであるの? って思うのが僕の考え。
「見とけよ。こんなもんは、おいそれとは見られないぞ」
いつになく神妙なもんだから、すっごく説得力がありますよ整備長。
――遠雷が聞こえてきたなと思った矢先に、暗闇に閉ざす厚い雲に、目を覆いたくなるほどの強い光が走り出し、
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
強く大きな、いびつな光の柱が大地に触れた途端に、爆音を轟かせた。
体に突き刺さるようなその音に、僕だけじゃなく、一緒に来ていたシナンさんたち新兵の方々も、押されるように後ろに倒れて、尻餅をつかされてしまった。
爆音は止む事はなく、次から次へと、光の柱が降り注ぐ。
眼前の出来事だけではない。遠方の空まで、光の柱は降り注いでいる。
きっと、目に見えない距離でも同じ事象が起こっているに違いない。
凶悪な落雷の後を追うように、豪雨が降り注ぐ。僕たちが立つ森の中を境にして、落雷の影響は出ないけども、雨は風に流されて、僕たちにも当たる。
水滴が触れると、体の芯から寒気を覚えるほどの冷たさだ。
雨によって、砂漠の熱が急激に冷やされていく。
続いて、風が勢力を強めて、横殴りの暴風が吹き始める。
先ほどまでこちらに吹いていた風は、僕たちの立つ森とは反対側に向きが変わった。
濡れた砂が勢いよく僕たちから見て前方に進み舞い上がるので、風の流れは見て取れた。
なんとも不思議である。眼前では暴風が吹き荒んでいるのに、僕たちにはその風が感じ取れないんだから。
砂を纏った暴風は、意志を持っているかのように輻輳していき、巨大な竜巻が生まれる。
落雷、豪雨、竜巻と、こんな物が一気に発生して王都に直撃したら、城なんてもんじゃない。王都全体が瓦礫に早変わりである。
「とんでもないですね。戦略規模って」
「な~。でも、これで半分なんだろう」
整備長の言うとおりだ。これ、まだ魔法の感じからして、ちびっ子の魔法だろう。
これに更にキドさんのが発動するって事だよね。
――思っている矢先に、地震を思わせる強い揺れが発生。
ジュラルミンさんの大地転生の比ではない揺れだ。
最早、立って入れない状況で、皆して体を伏せて揺れの中で耐えている。
地震に、眼前の天候。
この世の終わりを思わせる歪みの中にいるのかと思える状況に、恐怖に体が支配されてしまう。
「ロールさん大丈夫ですか」
「大丈夫じゃないかな」
弱々しく、四つん這いになりながら、僕の方に来て、体をくっつけてくる。不安な時って、支え合いたくなりますもんね。
嬉しい状況なのに、今回は恐怖が勝ってしまって、ロールさんの体の感触とか温もりが堪能出来ないよ。
――――堪能出来ないよ。って思えるだけ僕はまだ余裕があるのかな。
「世界の終わりだニャ」
「終わってねえし、こんなんどうって事ないし」
シナンさんとアズナさん。
いがみ合っていたのに、二人して抱き合って震えている。
「こりゃすげえな」
「随分と余裕ですね整備長」
「まあな、あの二人がちゃんと調整してるから、こっちには実質的な被害は出ないって分かってるからな」
おお、そんな事を冷静に考えられるなんて、まるで、仕事経験の豊富な頼れる上司みたい。
「見てみろ」
指に沿って行くと、砂漠が凄い事になっていた。
例えるならば、ボールに入った小麦粉なんかを両手で底からすくって、こねるみたいに砂漠の大地が動いている。
その大地からは、立派な巨木が新緑で彩られながら生えてくる。
自然のたゆまざる長い時間においての成長ってのをすっ飛ばしての木々の出現に、
ああ――、やっぱりこの方々に魔石の委託を任せてれば問題ないんだなと、心底思い知らされた。
僕たちの目の前では、巨木が突風に吹きさらされて、新緑をまき散らし、竜巻に飲まれて折れ飛び、落雷で真っ二つになり、豪雨をなにするものぞとばかりに激しく燃え上がり、それに負けないように、更なる巨木がニョキニョキと生えてくる。
大地には草も生え始め、ほんの少し前まで、熱砂であった砂漠地帯だったのに、樹木が密集し、森林地帯といっても誰も異を唱えない光景に変わってしまった……。
――――――。
「ふう、これ、結構疲れるんだよね」
疲れているようには見えないけどね。
ゆっくりと宙から大地に足を下ろして、得意げな笑顔を見せてくる。
もう、心の中で、このちびっ子に突っ込む事はやめよう……。
悋気に触れたら、頭上に雷を落としてくるかもしれないからね――――。
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