拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ブートキャンプへようこそ♪

PHASE-28

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「お疲れ様でした」
 おっ! パゼットさんじゃないか。元気そうで何より。
 出会った時の恰好から、皆と同じ軍服に身を包んでる。
 お叱りはあんまりなかったのかな。
 膝ついて、タオルを差し出している姿は配下というより、召使いって感じだけどね。

「面倒くさい」

「はっ、こちらへどうぞ」
 ――やっぱり子供じゃないか!
 羨ましいなオイ! パゼットさんの膝の上に座って、豪雨で濡れた体をタオルで拭いてもらっているその姿。いかんなく、その体の特権を利用してますね。
 ぐぬぬぬ――、僕も隣にいるロールさんに、恐怖で吹き出た汗を拭いてほしいところ。

「ふう、おっかなかったですね」

「そうだね」
 何となくこう、汗を見せてみるけど、それに関しては反応はない…………。

 ――――。 

 ――すげえ。
 砂の海と、木々の大地の境が無くなってしまった。
 さっきまで、眼前は熱砂の世界だったのに……。
 
 境だったところを越えて、踏み入ってみる。
 ――――足裏に伝わるのは悪路の感覚だ。ここ最近おなじみのやつだ。
 魔法って、本当に凄いな……。もう凄いって文字しか頭に浮かばない。
 自然をこうも容易く創造するって、神の領域だよ。
 こんな事が出来るのに、本気でカグラさんに畏れを抱くって、カグラさんって、どれだけ凄いの?

「いかがでしたか?」
 満足げだ。
 思っていた以上に魔法が綺麗に発動出来たようで、キドさんの笑みは清々しい。
 ――濡れてますね。僕が拭きましょうか?
 
 思った矢先に、お付きの女性のダークエルフさんが直ぐさま行動。
 無駄がないね。皆さん動きに無駄がない。キビキビしすぎて、ある意味おもしろみには欠ける。
 戦いにおもしろみなんていらないけどさ。
 

 ――――さあ、今度こそ帰りましょう。
 最初に訪れた場所にこれまたゾロゾロとお見送りを引き連れて到着。

「あ……」
 なんか、凄く懐かしい声が聞こえる。
 一週間ほど前に耳にしたけども、一年ぶりぐらいに思えてしまう。

「どうも」
 大きな体を小さくして、僕たちを待っていたのはジュラルミンさん。

「ウィザース――――」

「申し訳ありませんでした。取り乱してしまって」
 発言を断って、僕は頭を深々と下げた。
 なぜ自分に謝罪をするのか? と、訳が分かっていなかったようで、呆然としていたけども、非がない僕の謝罪に、咎があるのは自分と、頭を下げるのを止めてもらいたいと焦ってらっしゃる。

「あんなにも取り乱して、お恥ずかしかったのは事実です。心ない事を口にし、傷つけてしまった事が僕も尾を引いていまして……」

「そんな……」
 双方、謝罪を繰り返していくと、何ともむずがゆい照れくささが生まれる。
 ――そこに遅れて、
「私が割って入ってしまったのが原因です。反省しております」
 パゼットさんが、涙目で頭を下げてくる。
 背後には、ちびっ子が目を光らせていて、パゼットさん、涙と、冷や汗が同時に出ている状況だ。
 僕が、皆の前で温情な態度を見せる事で、この不祥事は解消されるんだろうね。

「ライバルとして、ぶつかる事もあるでしょうが、それはお互いの切磋琢磨に繋げるべきで有り、罵り合ってはいけません。それを誓えますか?」

「無論です」

「私もです」

「ならばよし!」
 大音声で、周囲にこの事に関しては円満解決だよ。とばかりに伝えてあげる。
 キドさんとちびっ子に目を向ければ、キドさんは僕たち公務員も見習いたいくらいの綺麗な一礼。
 ちびっ子は、笑顔だけども、一段上から見下ろすように、やり取りを窺っていた。でも、満足げだから良しとしよう。

「よかった」
 おお! いきなり上から影が落ちてきたと思ったら、ルガールさん。

「一人だけ、恰好が違いますよね」
 皆、統一された軍服。
 パゼットさんも初対面の時とは違って、皆と一緒だけど、ルガールさんだけは初対面の時と同じ、鎧姿だ。

「着る時は着ますよ。普段はあまり着たくないので……」
 あまり趣味ではないようだ。
 パゼットさんも私服だった事を考えれば、普段は自由に装備したい物や、着たい物を着てもいいようだね。
 
 ――――そう考えるとジュラルミンさんって、全裸だな…………。

「これで、関係してる者は全員揃ったかな? 客人が帰るんだから、見送りは丁重にね。それと、帰りは涼を満喫しておくれ」
 先ほどの戦略規模の大魔法の副産物で、この辺り一帯の気温が一時的に下がっているそうだ。僕たちが暑さにうだりながら帰る事のないようにとの配慮だった。
 
 ここに滞在してる時に、グライフ君の事情も、整備長から聞いていたようだ。
 今なら暑さから開放されているから、飛んでくれるだろうと、小さな体で、細かいところまで気が利く対応。
 やっぱり、僕より目上なだけあって、出来る大人なんだなと、思い知らされた。ちびっこいけども……。



「では、お世話になりました」
 三人で一礼。
 シナンさんに、アズナさんから別れを惜しむ声と共に柔肌の密着。このまま残ってもいいんじゃないだろうか? なんて思いつつ。
 冷ややかなロールさんの視線が痛かったので、別れを告げて、二人に離れてもらう。ロウさんにググタムさんと、一緒に行動した分隊男性陣からは笑顔が送られる。
 アクシャイさんはやはり、不死王さんと同じ毛色のようで、大号泣で僕との別れを悲しんでいる。
 砂漠が涼しくてよかった。熱い中で、暑苦しいのを見せられると、辛いからね。

「ウィザースプーン殿」
 ほほう。僕が整備局員に戻ると、敬語だけでなく、殿を付けるようになるんですね。百人長。

「お世話になりました。よい経験でした」

「今後の経験に生かしてくれ。辛かった時にはここの事を思い出せ」
 おっ、急に上官に変貌。
 ――しまった。とばかりに、表情が焦燥に変わる。
 まあ、僕は気にしませんよ。部下だったわけだし、今もそう思ってたりしますから。気にしないでいただきたい。

「選別です」
 百人長がキドさんと目配せをしたと思ったら、キドさんが首肯したのを確認して、僕にアタッシュケースを手渡した。
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