拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ブートキャンプへようこそ♪

PHASE-29

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 わ~い。僕いつも帆布製の肩掛けカバンだから、こんな金属のケースがほしかったんだ。大人っぽくて格好いいじゃないですか。
 仕事場で使わせてもらいます。辞典を一回り大きくしたくらいの物だから、書類を入れたりするのにいいね。
 欲を言えば、もっと大きかったら、着替えとか入れれるんだけどな。まあ、只で貰えたし、いいか。
  
 ――でも、なんか重いな……。
 なんか入ってるのかな?

「中、見ていいですか?」

「どうぞ」
 百人長が手で進めてくるので、スナップ錠に手をのばして、ロックを外して開く。

「え~」
 これを僕が使う機会があるとでも? 僕は整備局員ですよ。OK?
 
 ケースの中で緩衝材として使われてるのは綿かな? その上を赤い布で被せているから綿かどうかは分からないけど、触れた感じ、多分、綿だな……。うん…………。
 そんなどうでもいい周囲の物に目を移したくなるよね。

「どうです?」
 百人長。どうですって言われましても……。
 突きつけられた現実に目を向ける。
 コレはアレかな。演習で、壌獣王さんの方に配属されたから、草花みたいなデザインなのかな……。
 ――ケースの中身は銃と弾だった…………。
 しかも、僕たちが演習で使用していた時の物とは別物で、小型化された、後床がないものだ。形状からして、手だけで支えて撃つ物かな? 
 懐に隠せる分。暗殺とかに使えそうですね。

「どうです。いい物でしょう」
 銀色の銃身に、木製のグリップは演習の物と似ている。ただ、草花をイメージした金細工の派手な彫刻が、銃身とグリップに彫り込まれている。

「このエングレーブには、なんのタクティカルアドバンテージもない。――ですよね?」

「それでも、装飾にこだわりたいのが、作り手なのさ。その作り手の気持ちも汲んでやれ――じゃなかった。汲んであげてください」
 いや、上官口調でいいですよ。
 
 ――正直、困るよね。
 
 銃の拡散をしてほしくないわけですよ。こんなの持ってるってしれたら、コレ欲しさに、僕が襲われる可能性も出て来るんですけど。
 
 しかし、これ、僕のために作ってくれたんだろな~。
 エングレーブもだけど。よく見たら、銃身の下部に僕の名前が刻まれてるからね。
 
 ――よし、こうしよう!
 中身だけ魔道開発局に預けて、ケースだけをいただこう。

「弾は、貴重な物ですから、大事に扱ってください」
 大丈夫です。僕がこれを使う事なんてないと思うんで。
 通常の弾に、魔法弾もある。
 説明では、通常弾が十発に、炎系に氷系、大地系に風系、雷系が各三発ずつ。
 それと、とっておきの回復弾を一発だってさ。
 瀕死の状態からでも、ポンと撃てば、ポンと立ち上がるそうだ。
 うん……。他はいらないから、回復弾で統一してほしかった。
 いや、本当に……、全弾回復でいいよ……。このケースの弾丸バランスからして、完全にりにいってるからね。僕はそんな職種じゃないので。

「後、こちらもよろしければ」
 あ、僕が履いてた半長靴に、軍服だ。
 こっちの方が嬉しい。
 この半長靴、一週間しか履いてないけど、相当に頑丈だし、普通の靴に比べたら足も疲れにくくて、いいんだよね。
 正直、元々はいてた靴だと、この悪路を歩き回っただけで、足の裏が悲鳴上げてるもの。
 演習中は、きつかったけども、足の裏の疲労は半長靴のおかげでかなり軽減されてたしね。
 それに、軍服。家着で使えるからありがたい。
 無駄に服を買わなくて済むよ。頑丈だしね。
 流石に、上はともかく、下のまだら模様は王都なんかでは目立つから、街中では履けないけども、
「ありがたくいただきます!」
 ――なんだろう。こっちを手にした時の方が、テンション高かったせいか、百人長のトカゲ顔が、ガッカリした表情だ。
 あれ? もしかして、このエングレーブを彫ったのって――――、百人長?

「もちろん、銃も装飾が素敵ですからね。家宝にします」
 実際、レアリティあふれる物だからね。
 世界広しといえど、公務員で銃所持してるの僕だけだろう。
 家宝って言葉に、百人長が喜んでくれた。
 この笑顔で、装飾を行った制作者がこの方だと確信した。

「挨拶は、もういいな?」
 流石に、長いだろうと、遠回しに整備長が言ってくる。
 じゃあ、帰りましょう。演習の臥所よりは幾分ましな、王都の硬いベッドが僕を待っている。
 
 ――――。
 
 パンッパン! と、柏手かしわでを打つと、その音に反応して、沙中から勢いよく砂漠オオトカゲが姿を見せた。
 
 感想は、まだいたんだね……。
 
 高い金を払っても、この子たちを選択するのがよく分かる。
 食べずに一週間、沙中にいるなんて経済的だ。

「快適な帰路を」
 ちびっ子の配慮のおかげで、砂漠だけども、全く暑さを感じない。むしろ寒いくらいだ。
 
 最後に、大きく手を振ってから、砂漠オオトカゲに跨がって帰路へと出た。
 
 ――――。

 快適だった。砂漠で暑さを気にせずに進めるなんて、中々に経験出来ないだろうね。
 些か湿気が強いから、体に水分を纏ってしまって、巻き上がる砂塵が体に付着して、体中に茶黒い斑点が出来てしまったけども……。


「おやおや、随分と長かったね」

「一週間もお借りして申し訳ありませんでした。賢くて助かりました」
 男の性というか、幻獣使いビーストテイマーさんの開口はロールさんに向けてのものだった。
 ロールさんは、砂漠オオトカゲの頭を優しく撫でつつ返答。撫でられる方は何とも気持ちよさそうな恍惚とした表情。
 爬虫類でも美人を認識出来るのかな。
 なつき方に、幻獣使いさんはロールさんに、幻獣使いの素質があると褒めていた。
 
 長い間お借りしてても、気にしてないのは、この方の収入が、三頭無料で貸し出してる現状でも、十分に稼ぎがあるからだろう。
 その稼ぎの根幹になっている二王の恩恵には、大きな恩を持っているからこそ無償で協力してくれたわけだし。
 感謝、感謝。

「よしよし、お疲れ様」
 飼い主に撫でられるのが一番嬉しいのか、大きな体をこすりつけて愛情表現。

「お? なんだ? 道中なんか喰ったのか?」
 砂漠オオトカゲが体を小さく上下に動かしていく。
 喉の部分が膨らんで、膨らみが口に到達すると――、
 ぶえっ、って、勢いよく内容物を嘔吐している。

「病気なっちゃったかな?」
 心配するロールさんの横で、無償で借りたとはいえ、何かあれば多額の弁償金を払わないといけないと感じ取ったのか、整備長が汗を流している。
 
 現在の、涼しい風の吹く環境で汗をかくとは器用なものですね。
 金銭にかかわる脅威が貴男の背後まで迫ってるんでしょうかね? 責任者だから、その辺りはよろしくお願いしませう。
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