100 / 604
ブートキャンプへようこそ♪
PHASE-30
しおりを挟む
「問題ない。吐き戻しだよ」
「吐き戻しって、鳥なんかがする行為の?」
首肯で返してくる。
砂漠オオトカゲには胃が二つあるそうで、一つ目の胃には消化が出来ない物を残しておくそうだ。
「この吐き戻しがレンタル中に副産物を生んだりするんだよ」
何を戻したのか理解しているようで、幻獣使いさんは笑顔だ。
一頭に続いて、残り二頭も吐き戻しだ。
――……、
中々に臭う……。
酸っぱい臭いが立ち籠める。あんまり見たくない物だけども、幻獣使いさんの喜び具合からいい物のようだ。
黒く一塊で湯気を上げている物を、僕も見てみる。
黒光りする球体に、黄色みがかった胃液がべっとりとついている。
見ているだけで、もらいゲロをしそうだ……。
「大当たりじゃないか! よくやった! 無償でも十分過ぎるお釣りが来るぞ」
嬉々として、飛び跳ねる。
「この黒いのは?」
「おや? 貴方方はコイツ等に乗ってたんだから、何を捕食したのか知ってるんじゃ?」
――これ、あれか。
砂漠の頂点に立つタイラントデスストーカーのなれの果てか……。
レンタル時にモンスターに遭遇、捕食させると、こうやって、一つ目の胃に残った物を、帰ってきてから吐かせる。
それが副産物になり、稼ぎが更に潤うそうだ。
何という迷惑行為……。
騎乗している僕たちに、何かあったらどうしたのか。こういうのは自分の時間の中で行っていただきたい。
その事を追及すると、たまたま前方にいたんだろうと、防衛の為に捕食したんだろうと、そう返してきた。
よっぽどの状況じゃないかぎり、旅人を騎乗させた状態では襲わないようにはしつけているとの事。
確かに進行方向にいたけども。
蘇ってくる断末魔に、寒気を覚えて、両方の二の腕を両手でさする。
「迷惑をかけてしまったのは申し訳ない」
一礼すると、
「そうだ、貴方方にこれ、半分やるよ」
笑顔で指を向ける先にあるのは、湯気濛々のゲロ……。
タイラントデスストーカーの外骨格はとても高価だ。利益ではあるけども、これを――、ね~……。
欲しくないな。汚いし、臭うし、
それに僕たちは公務員。贈答品は受け取れない。
はたして、これを贈答品と言っていいかは分からないけども。
贈答品っていうか、排泄物だからね。
「まあ、そう言わずに。贈答には入らないよ。貴方方にレンタルした時に発生した事だし、所有権はそちらにあるから」
でも、いらないよ。
僕たちには何の利用価値もないから。銃しかり、ゲロしかり。
「まあ、もらっとけ」
幻獣使いさんが、どうしてもとしつこいから、整備長が僕に受け取るように促した。
おい、自分が欲しくないからって、僕に委ねるなよ。
贈答じゃないから、売買も出来るぞ。高いお金になりますよ。いいんですか? 綺麗にしたところで、やっぱり貰うとか言ったら――、ぶっ飛ばしますからね。
こちとら一週間、森の中で鍛えてきたんだ。
「もらっときなよ記念に。何かの役に立つかもだよ」
ロールさんがそう言うなら。いただきましょうかね。
「じゃあ、洗ってもらっていいですか」
洗いたくないから、そこは幻獣使いさんに任せたいところ。
「手本見せてやるよ」
わ~い。なんて、お優しい。僕も洗わないといけない事に変更は無いんだね。回避不能なんだね……。
――――はあ~。
水で洗わないのか……。
潤ってるっていっても、貴重な水は使わないってさ。
代わりに地面にいっぱいある砂を使うんだってさ……。
ねっちょりとした音を立てて、ツーンとした刺激ある臭いに耐えつつ、外骨格を砂に突っ込んでから、ゴシゴシと砂で洗う。
おお! エライもんで、胃液が落ちていく。
さっそく軍服と一緒にもらった、演習で使用した軽作業用の手袋が活躍。
大半はかみ砕かれて皿サイズだ。
なので、皿洗いと言い聞かせて洗っていく。
長いのもある。形的に、脚の節部分か?
メンタル的に、一週間の演習よりくるものがある…………。
――――。
「よっしゃー!」
終わった! 量的に鎧一つ分はあるそうだ。
こうなったら、魔道開発局に持っていって、職人さんに片手間でもいいからと頼んで、鎧を作ってもらってから、売りさばいてやる!
王都の魔道開発局はスペシャリストが揃っている。一流の職人さんレベルの方もいる。一式あれば国の宝具にも認定される代物なんだから、鎧だけでも、とんでもないお金に化けるはずだ!
そしたら、老後のために貯金だ!
遊んで余生を過ごしてやる!!
大きな革袋を頂いて、洗った外骨格を入れてから、持ち上げる。脚の節部分が革袋から飛び出てるのが何ともシュールだ。
「よっこいしょ」
肩で担ぐ。
存外、軽いから驚きだ。鎧一つ分なのに、随分と軽い。本当に強度高いの? 容易く食べられてたよ。
お願いだよ。苦労して洗ったんだから。少しは稼がせてよね。
精神的にも、体力的にも今回の出張は疲れた……。
まさか最後に、ゲロ処理があるとは思わなかったもの…………。
「帰りましょう!」
もう、帰りたい! 華やかな王都に今すぐ帰りたい!
幻獣使いさんに別れの挨拶。
涼しくなって、元気な姿のグライフ君。
さあ、僕を王都に連れてっておくれ。
馬小屋を貸してくださった方には、グライフ君の餌代は整備局に申し出てくれればと頭を下げて、お礼を言ってから、騎乗。
――長かった……。
砂まみれ、泥まみれ。でも、ピンク色の先端。
――――ヘヘヘ――。
これだけは記憶から消える事ないよ。
「変な顔になってる」
「なってません」
全力で首を左右に振ってから返す。
「まあ、いいけど」
なんか、嫉妬してくれたりもしたし、これは僕とロールさんに、春が来るのでは? と、感じざるを得ません。
そしたら、堂々と見れるのかな――。
うむ、頭の中がショッキングピンクに染まってしまう。
さっきまでゲロに手を突っ込んでたのにね。僕って単純な存在だね。
暑さから解放されたグライフ君の豪快な飛行で、一路王都へ――――。
「吐き戻しって、鳥なんかがする行為の?」
首肯で返してくる。
砂漠オオトカゲには胃が二つあるそうで、一つ目の胃には消化が出来ない物を残しておくそうだ。
「この吐き戻しがレンタル中に副産物を生んだりするんだよ」
何を戻したのか理解しているようで、幻獣使いさんは笑顔だ。
一頭に続いて、残り二頭も吐き戻しだ。
――……、
中々に臭う……。
酸っぱい臭いが立ち籠める。あんまり見たくない物だけども、幻獣使いさんの喜び具合からいい物のようだ。
黒く一塊で湯気を上げている物を、僕も見てみる。
黒光りする球体に、黄色みがかった胃液がべっとりとついている。
見ているだけで、もらいゲロをしそうだ……。
「大当たりじゃないか! よくやった! 無償でも十分過ぎるお釣りが来るぞ」
嬉々として、飛び跳ねる。
「この黒いのは?」
「おや? 貴方方はコイツ等に乗ってたんだから、何を捕食したのか知ってるんじゃ?」
――これ、あれか。
砂漠の頂点に立つタイラントデスストーカーのなれの果てか……。
レンタル時にモンスターに遭遇、捕食させると、こうやって、一つ目の胃に残った物を、帰ってきてから吐かせる。
それが副産物になり、稼ぎが更に潤うそうだ。
何という迷惑行為……。
騎乗している僕たちに、何かあったらどうしたのか。こういうのは自分の時間の中で行っていただきたい。
その事を追及すると、たまたま前方にいたんだろうと、防衛の為に捕食したんだろうと、そう返してきた。
よっぽどの状況じゃないかぎり、旅人を騎乗させた状態では襲わないようにはしつけているとの事。
確かに進行方向にいたけども。
蘇ってくる断末魔に、寒気を覚えて、両方の二の腕を両手でさする。
「迷惑をかけてしまったのは申し訳ない」
一礼すると、
「そうだ、貴方方にこれ、半分やるよ」
笑顔で指を向ける先にあるのは、湯気濛々のゲロ……。
タイラントデスストーカーの外骨格はとても高価だ。利益ではあるけども、これを――、ね~……。
欲しくないな。汚いし、臭うし、
それに僕たちは公務員。贈答品は受け取れない。
はたして、これを贈答品と言っていいかは分からないけども。
贈答品っていうか、排泄物だからね。
「まあ、そう言わずに。贈答には入らないよ。貴方方にレンタルした時に発生した事だし、所有権はそちらにあるから」
でも、いらないよ。
僕たちには何の利用価値もないから。銃しかり、ゲロしかり。
「まあ、もらっとけ」
幻獣使いさんが、どうしてもとしつこいから、整備長が僕に受け取るように促した。
おい、自分が欲しくないからって、僕に委ねるなよ。
贈答じゃないから、売買も出来るぞ。高いお金になりますよ。いいんですか? 綺麗にしたところで、やっぱり貰うとか言ったら――、ぶっ飛ばしますからね。
こちとら一週間、森の中で鍛えてきたんだ。
「もらっときなよ記念に。何かの役に立つかもだよ」
ロールさんがそう言うなら。いただきましょうかね。
「じゃあ、洗ってもらっていいですか」
洗いたくないから、そこは幻獣使いさんに任せたいところ。
「手本見せてやるよ」
わ~い。なんて、お優しい。僕も洗わないといけない事に変更は無いんだね。回避不能なんだね……。
――――はあ~。
水で洗わないのか……。
潤ってるっていっても、貴重な水は使わないってさ。
代わりに地面にいっぱいある砂を使うんだってさ……。
ねっちょりとした音を立てて、ツーンとした刺激ある臭いに耐えつつ、外骨格を砂に突っ込んでから、ゴシゴシと砂で洗う。
おお! エライもんで、胃液が落ちていく。
さっそく軍服と一緒にもらった、演習で使用した軽作業用の手袋が活躍。
大半はかみ砕かれて皿サイズだ。
なので、皿洗いと言い聞かせて洗っていく。
長いのもある。形的に、脚の節部分か?
メンタル的に、一週間の演習よりくるものがある…………。
――――。
「よっしゃー!」
終わった! 量的に鎧一つ分はあるそうだ。
こうなったら、魔道開発局に持っていって、職人さんに片手間でもいいからと頼んで、鎧を作ってもらってから、売りさばいてやる!
王都の魔道開発局はスペシャリストが揃っている。一流の職人さんレベルの方もいる。一式あれば国の宝具にも認定される代物なんだから、鎧だけでも、とんでもないお金に化けるはずだ!
そしたら、老後のために貯金だ!
遊んで余生を過ごしてやる!!
大きな革袋を頂いて、洗った外骨格を入れてから、持ち上げる。脚の節部分が革袋から飛び出てるのが何ともシュールだ。
「よっこいしょ」
肩で担ぐ。
存外、軽いから驚きだ。鎧一つ分なのに、随分と軽い。本当に強度高いの? 容易く食べられてたよ。
お願いだよ。苦労して洗ったんだから。少しは稼がせてよね。
精神的にも、体力的にも今回の出張は疲れた……。
まさか最後に、ゲロ処理があるとは思わなかったもの…………。
「帰りましょう!」
もう、帰りたい! 華やかな王都に今すぐ帰りたい!
幻獣使いさんに別れの挨拶。
涼しくなって、元気な姿のグライフ君。
さあ、僕を王都に連れてっておくれ。
馬小屋を貸してくださった方には、グライフ君の餌代は整備局に申し出てくれればと頭を下げて、お礼を言ってから、騎乗。
――長かった……。
砂まみれ、泥まみれ。でも、ピンク色の先端。
――――ヘヘヘ――。
これだけは記憶から消える事ないよ。
「変な顔になってる」
「なってません」
全力で首を左右に振ってから返す。
「まあ、いいけど」
なんか、嫉妬してくれたりもしたし、これは僕とロールさんに、春が来るのでは? と、感じざるを得ません。
そしたら、堂々と見れるのかな――。
うむ、頭の中がショッキングピンクに染まってしまう。
さっきまでゲロに手を突っ込んでたのにね。僕って単純な存在だね。
暑さから解放されたグライフ君の豪快な飛行で、一路王都へ――――。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる