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働く方々
PHASE-09
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「行きましょうか」
頷くサージャスさんと一緒に通路を歩き、官庁出入り口の受付のお姉さんに頭を下げると、
「サージャス・バレンタイン様」
呼び止められた。
何だろうかと、不安になっている。
受付に足を進める。――すると、サージャスさん、箱を手渡された。
「クエストの前報酬だそうです」
「クエスト? ですか」
「はい、違令管理課のゲイアード・マヒューズよりです」
疑問符だね。意味が分からないよ。
中身の確認の為に箱を開けると、紅茶の入った陶器。
これが報酬なのか……。
なんで紅茶――――?
もしかして、サージャスさんがおいしそうに飲んでいたのを目にしていたのかな?
「クエストの内容は?」
「先ほど違反を行ったバラクーダの二名が、そちらのウィザースプーン氏に報復を考えている可能性があるとの事で、王都にいる際は護衛を、との事です」
は? いやいや、あの二人が報復って、無いよ。いくら何でも報復は考えられない。そもそも、違反金払った後のあの凹みっぷり、上の方に報告されたのかもしれない。いくら不作法のトレジャーハンター団体とはいえ、整備局員を脅したと上の方が耳にしたら、問題を起こさなくていい相手に問題を起こすなと、激昂だろう。
わざわざ敵にする相手じゃ無いだろうからね。公務員なんて。
――――粋だな。
これって、クエストにする事で、紅茶をサージャスさんにプレゼントしたな。
僕の真似をしちゃってさ。
しかも、ここに戻って来なくていいように、前報酬にしたんだろう。何よりも、受付に紅茶を準備させてる用意周到さ。
白い髪の、琥珀な瞳の男前は出来るお人だった。
「クエスト、受けときましょう」
僕の発言に、
「ウィザースプーンさんの為なら」
と、笑顔で受けてくれた。
僕の為ならって、うれしいじゃないか。為っていうのがいいね。甘美だね。
――官庁を後にし、馬車に乗り、
「次はど――――」
何処にって言いたかったんだろうけども、〝きゅゅゅゅゅゅゅゅ〟って、何とも可愛らしい音がお腹の方から聞こえてきた。
その音で、サージャスさんの顔は燃えているかのように、真っ赤に染まってしまった。
「すみません…………」
お気になさらず、生理現象ですから。
「昼ご飯にしましょう」
では、バッカスにお願いします。
さあ、視察の時間だよ。ホルテン君。
「どうしました?」
悪そうな顔になってしまっていたようで、心配されてしまった。
問題ないんで、行きましょうか。
最近、バッカス率高いな。ケーシ―さんのとこで弁当を買ってから仕事場へ移動が主流だったけど、外で食べる事が増えてきてるな。
無駄遣いに繋がるから、また安くておいしいケーシ―さんの弁当に戻さないと。
――。
「うわ~」
でしょ、驚きますよね。最近とくに大繁盛なんですよ。
カルタさんの所属する勇者様と仲間がここに来た事で、魔王討伐に最も近い御一行として世界的に有名な方々が訪れた事で、それが凄い宣伝効果になっていて、他の御一行や、あやかりたいと思っている方々が、バッカスを訪れるようになり、王都の観光名所みたいになってしまっていた。
とくに店中の中央にある席は、一行が食事をした席という事で、プラチナシート扱いになっており、そこだけ予約席になっていて、現在一年待ちだそうだ。
一年後に来るんですかい? って突っ込みたくなるよね。
まったく、人間てのは、流行に弱いんだから。
おかげで、賑わい方に更に拍車がかかっているね。うるさいよ……。
細々とやりながらも、喧騒から離れられるぶん、ケーシ―さんのお店は僕にとってありがたいね。
よし、夕飯はケーシ―さんのとこだな。
「じゃあ、ボクはここで待ちますから」
なぜに? いやいや、ここまで来たんだから食べましょうよ。
「入りましょう」
「全額、支払いに使ったので……」
サージャスさん……、今後の行動も考えて、少しは残しておきましょう。そんなんだから、お腹の虫が可愛く鳴くんですよ。
「ボクにはコレがあるんで」
馬車の荷台に入り込んで、取り出した物を見せてくれる。
出たよ、堅パン…………。
もう、僕はこりごりだよ。
王都に戻ってきて、普通に食事を取り始めた途端、舌が我が儘になってしまったようで、もう、それを受け入れたくないって思っているんだよね。正直、見るのも嫌だ。
「それでいいんですか?」
「はい、最近はコレばかりですから。紅茶も頂いてますし、今日のお昼は贅沢です」
僕の一週間の演習が、サージャスさんを前にすれば、どれだけ生ぬるい湯船に浸かっていたのかを思い知らされる。
僕だけ食事をここでするのは、凄く罪悪感ですよ。
「僕を守るクエストですからね。店内に来てくれないと」
「でも」
困っている。本当に無一文なんだろうね……。
奢るって行為はいいよね。問題ないよね。整備長には奢ってやってるし。
あの野郎。未だに立て替え分を僕に返してない。
むさいおっさんに奢るのが許されるんだから、可愛い勇者様にならもっと許されないと、
「さあ、行きましょう」
手を取って引っ張る。
「いらっしゃい……ませ…………」
「本日も繁盛ですね」
笑顔だけども、目は笑っていない僕。
分かってるね、合う度に語末が暗くなるホルテン君。沈黙は金、雄弁は銀だからね。
「こちらへ」
怯えております。相変わらずお尻を隠しているのが腹立つ。まったく、付き添いを見てよ。おっさんじゃないですよ。美少女ですよ。羨ましがるところなのに――――。
――。
「さあ、何にします?」
「あの、お水で」
やめて……、その台詞。僕の目から水が出てきそうになるから。
好きなの頼んでくださいと、メニューを手渡してあげる。
「奢りますから、プライベートという事で、問題なくしますんで。贈答なんかじゃないですから」
大衆食堂の食事を贈答扱いするくらいなら、こんな国はさっさと魔王軍に占拠されちまえ! と思ってあげよう。
本当にいいのか迷ってますが、無理強いしてでも勧めると、ようやく首を縦に動かしてくれた。笑顔でメニューを見回している。いちいち可愛いですな!
さて、僕は何にしようかな~。
本日は、絡まれて疲れたので、ガッツリと胃袋に入れたいね――――。
店員を呼ぶと、ホルテン君が来る。
他の店員さんから、僕と顔なじみという認識を受けているようで、僕の担当にさせられたようだ。
ジャンバラヤとコーンチャウダーを頼んだ。
目を忙しく動かしていたサージャスさんは、僕の懐事情も気にしてくれたのか、トースト、フライドエッグ、厚切りベーコンとサラダがワンプレートに収まった、メニューの中でも、比較的に安くてボリュームのある物を注文。
――食事を待つ姿勢はそわそわだ。普段から堅パンばっかりみたいだから、相当に待ち遠しいみたいだ。
紅茶飲んで感動していたからな。心底、食事を待ち望んでいるようだ。
微笑ましい。
ずっと見てられる。
サージャスさんを眺めつつ、談笑していたら、待ち時間はとても短いものだった。
――来た来た。
さあ、食べましょう。
頷くサージャスさんと一緒に通路を歩き、官庁出入り口の受付のお姉さんに頭を下げると、
「サージャス・バレンタイン様」
呼び止められた。
何だろうかと、不安になっている。
受付に足を進める。――すると、サージャスさん、箱を手渡された。
「クエストの前報酬だそうです」
「クエスト? ですか」
「はい、違令管理課のゲイアード・マヒューズよりです」
疑問符だね。意味が分からないよ。
中身の確認の為に箱を開けると、紅茶の入った陶器。
これが報酬なのか……。
なんで紅茶――――?
もしかして、サージャスさんがおいしそうに飲んでいたのを目にしていたのかな?
「クエストの内容は?」
「先ほど違反を行ったバラクーダの二名が、そちらのウィザースプーン氏に報復を考えている可能性があるとの事で、王都にいる際は護衛を、との事です」
は? いやいや、あの二人が報復って、無いよ。いくら何でも報復は考えられない。そもそも、違反金払った後のあの凹みっぷり、上の方に報告されたのかもしれない。いくら不作法のトレジャーハンター団体とはいえ、整備局員を脅したと上の方が耳にしたら、問題を起こさなくていい相手に問題を起こすなと、激昂だろう。
わざわざ敵にする相手じゃ無いだろうからね。公務員なんて。
――――粋だな。
これって、クエストにする事で、紅茶をサージャスさんにプレゼントしたな。
僕の真似をしちゃってさ。
しかも、ここに戻って来なくていいように、前報酬にしたんだろう。何よりも、受付に紅茶を準備させてる用意周到さ。
白い髪の、琥珀な瞳の男前は出来るお人だった。
「クエスト、受けときましょう」
僕の発言に、
「ウィザースプーンさんの為なら」
と、笑顔で受けてくれた。
僕の為ならって、うれしいじゃないか。為っていうのがいいね。甘美だね。
――官庁を後にし、馬車に乗り、
「次はど――――」
何処にって言いたかったんだろうけども、〝きゅゅゅゅゅゅゅゅ〟って、何とも可愛らしい音がお腹の方から聞こえてきた。
その音で、サージャスさんの顔は燃えているかのように、真っ赤に染まってしまった。
「すみません…………」
お気になさらず、生理現象ですから。
「昼ご飯にしましょう」
では、バッカスにお願いします。
さあ、視察の時間だよ。ホルテン君。
「どうしました?」
悪そうな顔になってしまっていたようで、心配されてしまった。
問題ないんで、行きましょうか。
最近、バッカス率高いな。ケーシ―さんのとこで弁当を買ってから仕事場へ移動が主流だったけど、外で食べる事が増えてきてるな。
無駄遣いに繋がるから、また安くておいしいケーシ―さんの弁当に戻さないと。
――。
「うわ~」
でしょ、驚きますよね。最近とくに大繁盛なんですよ。
カルタさんの所属する勇者様と仲間がここに来た事で、魔王討伐に最も近い御一行として世界的に有名な方々が訪れた事で、それが凄い宣伝効果になっていて、他の御一行や、あやかりたいと思っている方々が、バッカスを訪れるようになり、王都の観光名所みたいになってしまっていた。
とくに店中の中央にある席は、一行が食事をした席という事で、プラチナシート扱いになっており、そこだけ予約席になっていて、現在一年待ちだそうだ。
一年後に来るんですかい? って突っ込みたくなるよね。
まったく、人間てのは、流行に弱いんだから。
おかげで、賑わい方に更に拍車がかかっているね。うるさいよ……。
細々とやりながらも、喧騒から離れられるぶん、ケーシ―さんのお店は僕にとってありがたいね。
よし、夕飯はケーシ―さんのとこだな。
「じゃあ、ボクはここで待ちますから」
なぜに? いやいや、ここまで来たんだから食べましょうよ。
「入りましょう」
「全額、支払いに使ったので……」
サージャスさん……、今後の行動も考えて、少しは残しておきましょう。そんなんだから、お腹の虫が可愛く鳴くんですよ。
「ボクにはコレがあるんで」
馬車の荷台に入り込んで、取り出した物を見せてくれる。
出たよ、堅パン…………。
もう、僕はこりごりだよ。
王都に戻ってきて、普通に食事を取り始めた途端、舌が我が儘になってしまったようで、もう、それを受け入れたくないって思っているんだよね。正直、見るのも嫌だ。
「それでいいんですか?」
「はい、最近はコレばかりですから。紅茶も頂いてますし、今日のお昼は贅沢です」
僕の一週間の演習が、サージャスさんを前にすれば、どれだけ生ぬるい湯船に浸かっていたのかを思い知らされる。
僕だけ食事をここでするのは、凄く罪悪感ですよ。
「僕を守るクエストですからね。店内に来てくれないと」
「でも」
困っている。本当に無一文なんだろうね……。
奢るって行為はいいよね。問題ないよね。整備長には奢ってやってるし。
あの野郎。未だに立て替え分を僕に返してない。
むさいおっさんに奢るのが許されるんだから、可愛い勇者様にならもっと許されないと、
「さあ、行きましょう」
手を取って引っ張る。
「いらっしゃい……ませ…………」
「本日も繁盛ですね」
笑顔だけども、目は笑っていない僕。
分かってるね、合う度に語末が暗くなるホルテン君。沈黙は金、雄弁は銀だからね。
「こちらへ」
怯えております。相変わらずお尻を隠しているのが腹立つ。まったく、付き添いを見てよ。おっさんじゃないですよ。美少女ですよ。羨ましがるところなのに――――。
――。
「さあ、何にします?」
「あの、お水で」
やめて……、その台詞。僕の目から水が出てきそうになるから。
好きなの頼んでくださいと、メニューを手渡してあげる。
「奢りますから、プライベートという事で、問題なくしますんで。贈答なんかじゃないですから」
大衆食堂の食事を贈答扱いするくらいなら、こんな国はさっさと魔王軍に占拠されちまえ! と思ってあげよう。
本当にいいのか迷ってますが、無理強いしてでも勧めると、ようやく首を縦に動かしてくれた。笑顔でメニューを見回している。いちいち可愛いですな!
さて、僕は何にしようかな~。
本日は、絡まれて疲れたので、ガッツリと胃袋に入れたいね――――。
店員を呼ぶと、ホルテン君が来る。
他の店員さんから、僕と顔なじみという認識を受けているようで、僕の担当にさせられたようだ。
ジャンバラヤとコーンチャウダーを頼んだ。
目を忙しく動かしていたサージャスさんは、僕の懐事情も気にしてくれたのか、トースト、フライドエッグ、厚切りベーコンとサラダがワンプレートに収まった、メニューの中でも、比較的に安くてボリュームのある物を注文。
――食事を待つ姿勢はそわそわだ。普段から堅パンばっかりみたいだから、相当に待ち遠しいみたいだ。
紅茶飲んで感動していたからな。心底、食事を待ち望んでいるようだ。
微笑ましい。
ずっと見てられる。
サージャスさんを眺めつつ、談笑していたら、待ち時間はとても短いものだった。
――来た来た。
さあ、食べましょう。
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