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叙勲の日
PHASE-03
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「馬になれ」
ははは……、開口一番で生意気な事を命令口調で言うキッズだ。泣かしてやろうか?
「お断りだよ」
普段、自分が言えば周囲の者は縦に首を振って当然なんだろう。断られた事に、驚きの表情のキッズだ。
「ぼくにさからうと、たいへんだぞ」
どう大変なんだろう。貴族の親が出てきて、僕に説教かな。困るな~。
貴族の我が儘で、仕事を辞めるわけにも行かないけども、キッズの馬になるなんて、もっと嫌だからね。
これがレインちゃんだったら、純粋可愛さ爆発だから、喜んで千里の名馬にでもなってあげるけど、君では驢馬にだってなってあげな~い。
「他をあたってね~」
優しく言ってあげたんだけども、むっす~って、ほっぺを膨らませて不快感。
地団駄ですよ。
それを見ながら食べる、青首鴨のローストも美味いですね~。性悪だね僕。
「やってやれよ」
あのね、仕事はなくても、それは書類整理とかをやらなくていいという事であって、一応ですね、僕たち今、職務中ではあるんですよ。
何をはめ外してワインを飲んでるの。何とも上機嫌ですね。そんなに機嫌がいいなら、あんたがやってやればいいでしょうが。
「このおじさんが馬になってくれるってさ」
「なんでだよ!」
「僕は拒否したいんで、やってやれと肯定するなら、整備長は出来るんでしょ」
「やなこった。なんで俺がこんなク――お子様の相手しなきゃいけないんだよ。歳が近いお前がやれ」
クソ餓鬼って言いそうだったね。そのまま口にすれば良かったのに。良質の滑り止めを、口にお持ちのようで。
「ね~君もおじさんがいいよね~」
頷けキッズ。僕は相手にしたくないんだからさ。
「こんな、怖い顔なんて嫌に決まってるだろ。お前がなれ」
どんな教育したらこんなのが育つんだい?
怖い顔ってのは賛同だけどね。整備長、すっごく見下された発言を十歳前後のキッズに言われたもんだから、手にしたワインの瓶をビックンビックンと振るわせてますよ。いや~、これ、このままその瓶で、キッズを殴りそうな勢いで、怖いよ。
自分より、権力、武力が弱い存在にはめっぽう強いからね。そして、そんな相手には妥協しないのがこのおっさんだ。
でも、耐えている。この子の背後にいる貴族の親が怖いものね。
――面倒くさいキッズが僕たちのテリトリーに入って来てくれて、迷惑です。
子供って、一人が入り込んでくると、一気に群がってくるからね。
しかも、ここにいるのは何とも可愛げのない我が儘ばかりを口にしてくるのばっかりだ。レインちゃんの爪の垢でも飲んでくれい。
周りでも、同僚や警務局の方々に、馬だ、肩車だと言いたい放題。ポカポカと殴られている方もいる。これが街中なら説教もするんだろうけどね。苦笑いで耐えておりますよ。
「ぼくをむしするな、さっさと馬になれ」
「あんまり我が儘を言っちゃダメだよ」
キッズに目線を合わせて、優しい笑みで応対するロールさん。キッズでも美人は理解出来るのか、目を丸くして、笑顔に動揺している。言い返したいけども、相手が綺麗な方となると、どう返せばいいのかと、子供ながらに考えを巡らしてるみたいだけど、思考が追っつかないものだから、オロオロとしているだけになっている。
「ね、ダメだよ」
駄目出しの一言だったけど、
「うるさい!」
と、混乱したキッズの頭では、暴挙が答えとして出たようで、両手でロールさんを押す。
「痛たた……」
押されて尻餅をつくロールさん。弱い力だから、別段、怪我とかはないみたいだったけど、それ以上に、押した時に触れたところは――――、おっぱいだぞ! 何を触ってくれてるの! このお子様! 僕のだゾ!
じゃない! 暴力を振るうとは、なんて教育がなってないんだ!
首根っこ捕まえて、睨み付けてやった。
いや~。一週間と短かったけど、ブートキャンプに放り込まれたからね。目つきってのが、一般の方とは少し違いが出ていたようで、困った事に、お子様が大泣きし始めてしまった。
――。
こんな下々の集いの場に足を運ぶ前に、親なら止めればいいのにさ。泣き声を耳にしてから、走ってこられても困るよ。
しかも、立派な護衛もいるようで、
怒りの顔が、キッズの首根っこ捕まえてる僕を捕捉ですよ。
「貴様! 私の子供に何をしている」
見ての通りなんですけども。
至る所に金刺繍の入った、青地のジュストコールを着ているお父様。
確かにお父様のようで――――、息子さんと、垂れた目元がそっくりですね。
「どうも、すみません。この子をちょっと注意しただけなんですが」
「ちょっとの事で泣くものか! 私を、ペアニト・ドゥール・ハワードと知って、その様な偽りを口にしているのか!」
貴男がまず、知られているという前提の先入観を捨てましょうか。初耳なんですけど。誰なの? 周囲に目を向けると首を傾げているだけで、助言をもらえない。
――局長は? と、目を向けると、声は出さないけど、口の動きで、【男爵】って言ってたので、爵位のある立派な方なんだなと、理解しました。
「可哀想に怖かったであろう。さあ、こっちに」
うわ、そんなに優しくして、甘やかすから、我が儘で可愛げのないお子様に育つんですよ。
しっかりと、自分の両足で立つ事の出来る、親に頼らない将来を送れる為の教育をしてもらいたい。
「頭を下げよ!」
え~。なんで? 泣かせたのは悪かったけども、そもそもその子が悪いし、何よりそんな子を放置している親が悪いんであって、謝るならそちらが先でしょう。
――そしたら、いえいえ、こちらこそ、つい目に力が入ってしまい、お子様を驚かせたみたいで――。って事で、円滑に済みそうなんだけど。
「あの、その子が私を押し倒した事が原因でして」
「ほう、名は?」
うわ! なんか、すっごくこの男爵、いやらしい目つきになったよ。つなぎ姿のロールさんを、なめるように見ております。
「ロール・ジャイロスパイクです」
「では、お前に責任を取ってもらおう」
なんでだよ。被害にあってるんだから、謝罪だろう。
はいはい、手を掴もうとしない。
「なんだ!」
悪くもない人間をこの場から連れて行こうとする事こそ、なんだ! と、問いたい。僕が割って入るから、不快な顔だ。
「ロールさんは関係ないんで。僕が謝ればいいだけでしょ」
「お前、私を馬鹿にしているだろう」
「してませんよ」
「その、抑揚のない語り口がすでに馬鹿にしているのだ!」
言い得て妙だ。
はい、ごめんなさい。その通りです。頭さげますね。
深々と一礼。これでいいですか?
あれ? なんでだろう。さっき以上にお怒りだ。
「私に逆らった事を後悔させてやれ」
え~! 軽装鎧を装備したお付き四人が、僕を囲んだんですけど、暴力反対。僕みたいな非力な公務員に手を出さないでいただきたい。
ははは……、開口一番で生意気な事を命令口調で言うキッズだ。泣かしてやろうか?
「お断りだよ」
普段、自分が言えば周囲の者は縦に首を振って当然なんだろう。断られた事に、驚きの表情のキッズだ。
「ぼくにさからうと、たいへんだぞ」
どう大変なんだろう。貴族の親が出てきて、僕に説教かな。困るな~。
貴族の我が儘で、仕事を辞めるわけにも行かないけども、キッズの馬になるなんて、もっと嫌だからね。
これがレインちゃんだったら、純粋可愛さ爆発だから、喜んで千里の名馬にでもなってあげるけど、君では驢馬にだってなってあげな~い。
「他をあたってね~」
優しく言ってあげたんだけども、むっす~って、ほっぺを膨らませて不快感。
地団駄ですよ。
それを見ながら食べる、青首鴨のローストも美味いですね~。性悪だね僕。
「やってやれよ」
あのね、仕事はなくても、それは書類整理とかをやらなくていいという事であって、一応ですね、僕たち今、職務中ではあるんですよ。
何をはめ外してワインを飲んでるの。何とも上機嫌ですね。そんなに機嫌がいいなら、あんたがやってやればいいでしょうが。
「このおじさんが馬になってくれるってさ」
「なんでだよ!」
「僕は拒否したいんで、やってやれと肯定するなら、整備長は出来るんでしょ」
「やなこった。なんで俺がこんなク――お子様の相手しなきゃいけないんだよ。歳が近いお前がやれ」
クソ餓鬼って言いそうだったね。そのまま口にすれば良かったのに。良質の滑り止めを、口にお持ちのようで。
「ね~君もおじさんがいいよね~」
頷けキッズ。僕は相手にしたくないんだからさ。
「こんな、怖い顔なんて嫌に決まってるだろ。お前がなれ」
どんな教育したらこんなのが育つんだい?
怖い顔ってのは賛同だけどね。整備長、すっごく見下された発言を十歳前後のキッズに言われたもんだから、手にしたワインの瓶をビックンビックンと振るわせてますよ。いや~、これ、このままその瓶で、キッズを殴りそうな勢いで、怖いよ。
自分より、権力、武力が弱い存在にはめっぽう強いからね。そして、そんな相手には妥協しないのがこのおっさんだ。
でも、耐えている。この子の背後にいる貴族の親が怖いものね。
――面倒くさいキッズが僕たちのテリトリーに入って来てくれて、迷惑です。
子供って、一人が入り込んでくると、一気に群がってくるからね。
しかも、ここにいるのは何とも可愛げのない我が儘ばかりを口にしてくるのばっかりだ。レインちゃんの爪の垢でも飲んでくれい。
周りでも、同僚や警務局の方々に、馬だ、肩車だと言いたい放題。ポカポカと殴られている方もいる。これが街中なら説教もするんだろうけどね。苦笑いで耐えておりますよ。
「ぼくをむしするな、さっさと馬になれ」
「あんまり我が儘を言っちゃダメだよ」
キッズに目線を合わせて、優しい笑みで応対するロールさん。キッズでも美人は理解出来るのか、目を丸くして、笑顔に動揺している。言い返したいけども、相手が綺麗な方となると、どう返せばいいのかと、子供ながらに考えを巡らしてるみたいだけど、思考が追っつかないものだから、オロオロとしているだけになっている。
「ね、ダメだよ」
駄目出しの一言だったけど、
「うるさい!」
と、混乱したキッズの頭では、暴挙が答えとして出たようで、両手でロールさんを押す。
「痛たた……」
押されて尻餅をつくロールさん。弱い力だから、別段、怪我とかはないみたいだったけど、それ以上に、押した時に触れたところは――――、おっぱいだぞ! 何を触ってくれてるの! このお子様! 僕のだゾ!
じゃない! 暴力を振るうとは、なんて教育がなってないんだ!
首根っこ捕まえて、睨み付けてやった。
いや~。一週間と短かったけど、ブートキャンプに放り込まれたからね。目つきってのが、一般の方とは少し違いが出ていたようで、困った事に、お子様が大泣きし始めてしまった。
――。
こんな下々の集いの場に足を運ぶ前に、親なら止めればいいのにさ。泣き声を耳にしてから、走ってこられても困るよ。
しかも、立派な護衛もいるようで、
怒りの顔が、キッズの首根っこ捕まえてる僕を捕捉ですよ。
「貴様! 私の子供に何をしている」
見ての通りなんですけども。
至る所に金刺繍の入った、青地のジュストコールを着ているお父様。
確かにお父様のようで――――、息子さんと、垂れた目元がそっくりですね。
「どうも、すみません。この子をちょっと注意しただけなんですが」
「ちょっとの事で泣くものか! 私を、ペアニト・ドゥール・ハワードと知って、その様な偽りを口にしているのか!」
貴男がまず、知られているという前提の先入観を捨てましょうか。初耳なんですけど。誰なの? 周囲に目を向けると首を傾げているだけで、助言をもらえない。
――局長は? と、目を向けると、声は出さないけど、口の動きで、【男爵】って言ってたので、爵位のある立派な方なんだなと、理解しました。
「可哀想に怖かったであろう。さあ、こっちに」
うわ、そんなに優しくして、甘やかすから、我が儘で可愛げのないお子様に育つんですよ。
しっかりと、自分の両足で立つ事の出来る、親に頼らない将来を送れる為の教育をしてもらいたい。
「頭を下げよ!」
え~。なんで? 泣かせたのは悪かったけども、そもそもその子が悪いし、何よりそんな子を放置している親が悪いんであって、謝るならそちらが先でしょう。
――そしたら、いえいえ、こちらこそ、つい目に力が入ってしまい、お子様を驚かせたみたいで――。って事で、円滑に済みそうなんだけど。
「あの、その子が私を押し倒した事が原因でして」
「ほう、名は?」
うわ! なんか、すっごくこの男爵、いやらしい目つきになったよ。つなぎ姿のロールさんを、なめるように見ております。
「ロール・ジャイロスパイクです」
「では、お前に責任を取ってもらおう」
なんでだよ。被害にあってるんだから、謝罪だろう。
はいはい、手を掴もうとしない。
「なんだ!」
悪くもない人間をこの場から連れて行こうとする事こそ、なんだ! と、問いたい。僕が割って入るから、不快な顔だ。
「ロールさんは関係ないんで。僕が謝ればいいだけでしょ」
「お前、私を馬鹿にしているだろう」
「してませんよ」
「その、抑揚のない語り口がすでに馬鹿にしているのだ!」
言い得て妙だ。
はい、ごめんなさい。その通りです。頭さげますね。
深々と一礼。これでいいですか?
あれ? なんでだろう。さっき以上にお怒りだ。
「私に逆らった事を後悔させてやれ」
え~! 軽装鎧を装備したお付き四人が、僕を囲んだんですけど、暴力反対。僕みたいな非力な公務員に手を出さないでいただきたい。
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