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お兄様Incoming
PHASE-02
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そんな事がずっと続いたものだから、説得と、住人からの陳状の狭間に立たされたアームラン局長は心労でダウン。
局長がダウンしたからって、訓練も陳状も止まらない。
それに対処するだけで、職務が終わってしまう状態。局長に続いて、イーロンの整備局員が皆ダウンしそうな勢い。
街自体にも活気がなくなり、侵攻もされていないのに、街は崩壊前といったところ。
まさか、こんな形で追い詰められるケースが発生するってね。初めての事だから、対処も難しいのかもね。
「いつから始まったんです?」
おお、整備長がいつになくまともな事を聞いてるぞ。
「最近なんです」
それまでは、少なからず、ここまで派手な行動はしなかったそうだ。
急に活発化して、抗議に対しても高圧的。
以前は一応、耳を貸す事はあっても、今はそんな事は一切無い。
下手したら、命すら奪うような行動まで見せてきたそうだ。
「許せませんね。力で訴えるなんて。どの様な事をしてきたのですか?」
正義感が強いロールさんが内容を知りたがる。
アームラン局長とペトロム整備長が赴いた時には、茶請けになりそうな菓子でも持参してこいと脅したあげくに、刃物を喉元に突き付けたそうだ。
その時は本気で死を覚悟したそうで、局長は喉元をプツリと刺されたそうで、少々だが血が流れたそうだ。
即座に違反金と口にして、小馬鹿にした笑いで、お金の入った革袋を投げつけてきたとの事。
心折れるね。正直、そんな所には行きたくないよ。
見てくださいよロールさん。普段は条約を笠に着ている整備長が、話を聞いて、表情が引きつってますよ。
絶対に行きたくないって、だだこねますよ――――。
「俺は絶対に逝きたくない――じゃなかった。行きたくない」
ほら、はたして正にですよ。
僕も同意見ですよ。
普通に刃物出して脅してくるって、野盗ですよ。とても真摯な魔王軍の方とは思えないですよ。
ここは一つ、他の幹部の方々、良心的なカグラさんや不死王さん。キドさん、ちびっ子あたりにお願いして、厳重に注意してもらって、更にお願いして、同伴してもらってから、話し合いの席を作るべきだね。
「僕は整備長に賛成です」
――――とりあえず、僕が考えていた事を、説明。
他の幹部の方の同伴ってところで、〝それがいい〟と、整備長も賛同。
これが一番、安全な牌の切り方ですね。
「私は、反対」
「なぜです?」
「ここで、他の幹部の方にお願いしたら。今後、このような事例がある度に、魔王軍の方々に迷惑をかけるもの」
いいんじゃないですかね。皆さん、困ったら全力で協力してくれるって言ってますし。
ここは甘えたいんですけども。
ロールさんはこういう状況がある度に、そんな事では、整備局の存在意義がないと、強く反発。
その迫力に、皆さんも押されっぱなし。
――
え~、案を出したのは僕ですが、仕方が無いので、ロールさんの意見に賛同させてもらいます。
それはなぜか、美人様だからだ。
行ってみて、僕たちでも駄目なら、その時は魔王軍幹部の方々に手伝ってもらうという方向を妥協点にしていただきました。
甲鎧王さんも魔王軍ですから、そこは話し合えば何とかなると思います。
皆さん良心の塊ですし、こちらも真剣に話せば耳を傾けてくれると信じてます。違反金を支払う姿勢。高圧的であっても、合理的だと思えば、良識あるとも考えられるし。良識……。あるよね?
――。
「ロトト山脈の中腹ですよね? 甲鎧王さんが住んでいるのは――――誰が道案内を?」
しじま、森閑、静寂、水を打ったように、etc……。
皆様、押し黙ってしまいましたとさ。めでたくない、めでたくない。
おい! 貴方方は何なの。急に明後日の方向を揃って見てさ。そこに僕たちには見えない何かが見えるんですかね。こっち見なさいよ。
暖炉にくべた薪が、パチ、パチンと爆ぜる音だけが耳朶に入ってくるよ。あれだね、癒やしの音だよね。僕、好きなんですよ。この音。
もしかしてあれかな? その音を楽しんでるのかな?
「あの、道案内――」
僕に続いて、ロールさん。
でも、反応はない。申し訳なさそうにペトロム整備長が何となく、こちらをチラチラと見るものの、確実には目を合わせてこない。
捕捉されると、自分が案内をしないといけないと思っているのかもしれない。
――でもね。
「ペトロム整備長」
そこは貴男、現状で責任者なんですからね。案内願いますよ。
――……おい、こっち見ろ。カタカタと震えるんじゃない。外と違って、暖房は行き届いてますよ。
それほどまでに、怖いのか?
マジか? 行く前から僕の心折れそうなんだけども。
ロールさんは自分の言葉が宙に浮いたままなので、困ったといった表情。
おい整備長?
――…………この腰抜けが!
何をイーロン整備局の方々と一緒に明後日の方向見てんの。しっかりしろ! 王都の代表。
――それにしても、無視を決め込むのは気に入らないな。
「ペトロム整備長!」
今度は強めに言ってみる。
ビクリと体が動いて、観念したのか、ゆっくりとこっちに首を動かす。
擬音を入れるなら、ギギギギ……。って、感じの動きだ。油を差してあげたいところ。
「何かな? ウィザースプーン君」
「代表して、道案内をお願いします」
まあ、生唾飲みながら、視点も合わずに頭がプルプル動いてますね。どこぞの郷土玩具みたいですよ。
いっそ、貴男をモチーフにした人形を作って、土産物屋にでも陳列してみてはどうです? アイデア料は売り上げの10パーでいいですよ。
「私がかい?」
「現状、ここの代表ですからね」
「代表だからこそ、ここに残って、指示をだ――――」
「整備長が行けばいいと思います!」
あ……。矢庭に台詞を断ちましたよ。
眼前では、上司を売った光景。
誰が言ったのだろう。皆さん明後日の方向を見てるから、分からなかったけども。唯一、ペトロム整備長は誰なのか声で分かったのか、凝視している。
「ちょっと、なに言ってるんだい。こっちを見なさい」
言葉を断った方に、問いただすも、
「ペトロム整備長が相応しいと思う人!」
その発言を待ってましたとばかりに、見事としか言いようのない、気持ちのいいほど揃った動きでの綺麗な挙手。そう、天をも貫きそうな、真っ直ぐと伸びた複数の手がそこにはあった。
「はい! 満場一致。拍手」
早口でそう言うと、挙手していた手を素早く皆さん胸元まで移動させると、局内に響き渡る拍手をペトロム整備長に送った。
局長がダウンしたからって、訓練も陳状も止まらない。
それに対処するだけで、職務が終わってしまう状態。局長に続いて、イーロンの整備局員が皆ダウンしそうな勢い。
街自体にも活気がなくなり、侵攻もされていないのに、街は崩壊前といったところ。
まさか、こんな形で追い詰められるケースが発生するってね。初めての事だから、対処も難しいのかもね。
「いつから始まったんです?」
おお、整備長がいつになくまともな事を聞いてるぞ。
「最近なんです」
それまでは、少なからず、ここまで派手な行動はしなかったそうだ。
急に活発化して、抗議に対しても高圧的。
以前は一応、耳を貸す事はあっても、今はそんな事は一切無い。
下手したら、命すら奪うような行動まで見せてきたそうだ。
「許せませんね。力で訴えるなんて。どの様な事をしてきたのですか?」
正義感が強いロールさんが内容を知りたがる。
アームラン局長とペトロム整備長が赴いた時には、茶請けになりそうな菓子でも持参してこいと脅したあげくに、刃物を喉元に突き付けたそうだ。
その時は本気で死を覚悟したそうで、局長は喉元をプツリと刺されたそうで、少々だが血が流れたそうだ。
即座に違反金と口にして、小馬鹿にした笑いで、お金の入った革袋を投げつけてきたとの事。
心折れるね。正直、そんな所には行きたくないよ。
見てくださいよロールさん。普段は条約を笠に着ている整備長が、話を聞いて、表情が引きつってますよ。
絶対に行きたくないって、だだこねますよ――――。
「俺は絶対に逝きたくない――じゃなかった。行きたくない」
ほら、はたして正にですよ。
僕も同意見ですよ。
普通に刃物出して脅してくるって、野盗ですよ。とても真摯な魔王軍の方とは思えないですよ。
ここは一つ、他の幹部の方々、良心的なカグラさんや不死王さん。キドさん、ちびっ子あたりにお願いして、厳重に注意してもらって、更にお願いして、同伴してもらってから、話し合いの席を作るべきだね。
「僕は整備長に賛成です」
――――とりあえず、僕が考えていた事を、説明。
他の幹部の方の同伴ってところで、〝それがいい〟と、整備長も賛同。
これが一番、安全な牌の切り方ですね。
「私は、反対」
「なぜです?」
「ここで、他の幹部の方にお願いしたら。今後、このような事例がある度に、魔王軍の方々に迷惑をかけるもの」
いいんじゃないですかね。皆さん、困ったら全力で協力してくれるって言ってますし。
ここは甘えたいんですけども。
ロールさんはこういう状況がある度に、そんな事では、整備局の存在意義がないと、強く反発。
その迫力に、皆さんも押されっぱなし。
――
え~、案を出したのは僕ですが、仕方が無いので、ロールさんの意見に賛同させてもらいます。
それはなぜか、美人様だからだ。
行ってみて、僕たちでも駄目なら、その時は魔王軍幹部の方々に手伝ってもらうという方向を妥協点にしていただきました。
甲鎧王さんも魔王軍ですから、そこは話し合えば何とかなると思います。
皆さん良心の塊ですし、こちらも真剣に話せば耳を傾けてくれると信じてます。違反金を支払う姿勢。高圧的であっても、合理的だと思えば、良識あるとも考えられるし。良識……。あるよね?
――。
「ロトト山脈の中腹ですよね? 甲鎧王さんが住んでいるのは――――誰が道案内を?」
しじま、森閑、静寂、水を打ったように、etc……。
皆様、押し黙ってしまいましたとさ。めでたくない、めでたくない。
おい! 貴方方は何なの。急に明後日の方向を揃って見てさ。そこに僕たちには見えない何かが見えるんですかね。こっち見なさいよ。
暖炉にくべた薪が、パチ、パチンと爆ぜる音だけが耳朶に入ってくるよ。あれだね、癒やしの音だよね。僕、好きなんですよ。この音。
もしかしてあれかな? その音を楽しんでるのかな?
「あの、道案内――」
僕に続いて、ロールさん。
でも、反応はない。申し訳なさそうにペトロム整備長が何となく、こちらをチラチラと見るものの、確実には目を合わせてこない。
捕捉されると、自分が案内をしないといけないと思っているのかもしれない。
――でもね。
「ペトロム整備長」
そこは貴男、現状で責任者なんですからね。案内願いますよ。
――……おい、こっち見ろ。カタカタと震えるんじゃない。外と違って、暖房は行き届いてますよ。
それほどまでに、怖いのか?
マジか? 行く前から僕の心折れそうなんだけども。
ロールさんは自分の言葉が宙に浮いたままなので、困ったといった表情。
おい整備長?
――…………この腰抜けが!
何をイーロン整備局の方々と一緒に明後日の方向見てんの。しっかりしろ! 王都の代表。
――それにしても、無視を決め込むのは気に入らないな。
「ペトロム整備長!」
今度は強めに言ってみる。
ビクリと体が動いて、観念したのか、ゆっくりとこっちに首を動かす。
擬音を入れるなら、ギギギギ……。って、感じの動きだ。油を差してあげたいところ。
「何かな? ウィザースプーン君」
「代表して、道案内をお願いします」
まあ、生唾飲みながら、視点も合わずに頭がプルプル動いてますね。どこぞの郷土玩具みたいですよ。
いっそ、貴男をモチーフにした人形を作って、土産物屋にでも陳列してみてはどうです? アイデア料は売り上げの10パーでいいですよ。
「私がかい?」
「現状、ここの代表ですからね」
「代表だからこそ、ここに残って、指示をだ――――」
「整備長が行けばいいと思います!」
あ……。矢庭に台詞を断ちましたよ。
眼前では、上司を売った光景。
誰が言ったのだろう。皆さん明後日の方向を見てるから、分からなかったけども。唯一、ペトロム整備長は誰なのか声で分かったのか、凝視している。
「ちょっと、なに言ってるんだい。こっちを見なさい」
言葉を断った方に、問いただすも、
「ペトロム整備長が相応しいと思う人!」
その発言を待ってましたとばかりに、見事としか言いようのない、気持ちのいいほど揃った動きでの綺麗な挙手。そう、天をも貫きそうな、真っ直ぐと伸びた複数の手がそこにはあった。
「はい! 満場一致。拍手」
早口でそう言うと、挙手していた手を素早く皆さん胸元まで移動させると、局内に響き渡る拍手をペトロム整備長に送った。
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