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お兄様Incoming
PHASE-10
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おい、まだ言い切れてないよ……。
食い気味だよ……。
「ていうか速いよ! その速さ利用して、運送業やれよ」
「黙れ! 男は喋るな」
ああ……。甲鎧王の主だなってのが分かる台詞だ……。
あまりの迅速さに、ついつい口に出して突っ込んだら、立ち籠める煙の中から、これまた速い返事が来たよ。
「すまんな。待ったであろう。どういう状況で救いを求めたのだ。義妹よ」
立ち籠める埃やら瓦礫の作り出す粉塵が邪魔なんだろうね。あっという間に払いのけたね。どういう原理?
――。
「ぶっは!」
王都でも吹き出したけども、今回も相当だよ。
なんだよ、その全身真っ赤なスーツは、色が凄くうるさい。白に続いて今回の赤。あれか、以前の白を僕が目にして、これは最後は刺されて鮮血に染めないと物語が終わらない的な事を思っていたを汲んでくれたのかな? だから赤なのかな?
目がチカチカする明るい赤だな、チクショウめ!
――まあ、なんだ。そんな事を気にしているのも束の間だ。
地鳴りが始まったようなんですが。震える山なんですけども。大気も震えだしたよ。
「なん……だと…………」
明らかにこの大地を振るわせている御方が、見せられているお姫様だっこに、混乱と怒りを抱いているようでございます。
「どぶいるぢうごうだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁあぁっっぁあぁああっぁぁ」
すまねえ、神聖語はさっぱりなんだ。
冗談はさておき――、推測するに【どういう状況だぁぁぁぁぁぁ】っと、言っているのだろう。
ロールさんがお姫様だっこされているのを目にしたものだから、地獄の釜の蓋が開いたのか、そこから聞こえてくる亡者の断末魔の如き叫びを上げていて、このまま続けさせれば、喉が張り裂けて吐血しそうな勢いだ。
「僕が説明します」
「許す」
「自由になりたいんですけども」
「許す」
僕を拘束していた方々に向かって、はらうような動作をすると、方々、ものすっごい速度で後方に飛んでいき、壁にめり込みましたとさ。
――――説明中――。
――――説明中――。
――――説明中――。
――――説明終了。
――――更に震え出す宮殿。邪神がダイナミック参上で開けた天井の穴から、ガラガラと瓦礫が落ちてくるし、柱にヒビが走っております。
立っているのもやっとなくらい揺れております。
感情だけで、キドさんと、ちびっ子の合体魔法で発生した地震クラスの揺れが起こっております。
やっぱり邪神なんだな。恰好はあれだけど……。
「へ? は? 嘘でしょ。パンゲア様?」
驚きの顔ですな。甲鎧王さんよぉ。僕の事を殴った代償は、ロールさんがこれからどうなるところだったかを、ばっちりとお知らせしたから。きっちり支払ってもらうからな。
ざまぁ、甲鎧王ざまぁ。
「パンゲア様。お懐かしゅうございます」
「貴様など知らんわ! その不潔極まりない蛇の腕から、さっさと義妹を放さぬか!」
「ふぁ!? 義妹!? それよりも、知らない? 私です忠臣ナーガ・ルジャ・ヌラルキアです」
「男など知らん。我が配下だとしても、男など興味ないわ! はあっゾワッ! 汚らわしい!! 早く義妹を放せ!!」
ゾワッて。擬音を口にするとか、面白い神だな。
「そ、そんな……」
甲鎧王は、自分の事を忘れられて、落ち込んでいるご様子。
興味ないと言われて、凹んでるや。
力なく腕が落ちて、必然的にロールさんが解放された。
「おお大丈夫だったか!? 義妹よ!」
まあ、そんなに両手を大きく広げて、胸に飛び込んで来いってか。
――あら、可哀想。駆け出すロールさんは邪神を通りすぎてら。
空しく開いた両手を誤魔化したいのか、開いて閉じて、開いて閉じてな体操を始めたよ。長い紫の髪が心なしかパサパサに見える。キューティクル死んだかな?
――…………。
ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
心と口で雄叫びを上げてしまった。
柔らかいよ。いい匂いだよ。温かいよ。
様々な感情が一緒くたになって、今の僕は甘美の世界に没入しております。
駆け出したロールさんの向かった先は、僕の胸板でした。ありがとうございました。
やったぜ!
「だ、大丈夫でしたか」
裏返りまくる声と共に、ロールさんの両肩に手を当ててあげる。
小さく、頷くと、
「私よりも、ピート君だよ、血が出てるよ」
殴られて、唇が切れてたみたいで、結構な血が口から流れてるみたいだ。殴られてズキズキするところが気になって、流れてるのは気付かなかった。
今となっては、痛みすらも吹き飛ぶ気持ちよさですけどね。
唯一痛いと思うのは、邪神の視線だ。
怨嗟に染まった嫉妬の視線を僕に送ってきている。自分の拇指の爪をガジガジと勢いよく噛んでるや。
視線の痛みなんてなんのその。この心地よさに加えて、ハンカチで優しく血を拭いてくれる優しさにテンションが――、
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
何処にぶつけてやろうかというような、僕とは対極を行く、邪神、怒りの咆哮。
ビッシビシと、柱やら金ピカの壁に更に大きなヒビが入っていく。
なので――、
「ロールさん怖かったですよね。もう少しで、酷い目に遭わされそうになったんですからね。蹂躙ですよ。あいつだけでなく、周りの奴らにきっと、心に一生消えない大きな傷を刻まれるところでしたね」
抑揚なく、ただ大きな声で、この玉座の間にいる方々の耳朶にしっかりと届くように口する。
輪姦なんて言葉は使用しない。表現がストレートすぎて、ロールさんを傷つけるだろうからね。蹂躙も大分だろうけど、輪姦よりはましだろう。
「ロールさん、頷いて」
小声で伝えて、頷かせつつ。今から言う台詞を口にして出してほしいと、案を出す。
――――なんか、嫌々な面持ち。
精神的に恐怖を受けたし、イーロン整備局員の方々の為にも、ここで一気に甲鎧王を黙らせましょうと、説得。
からの――。
「怖かったです。おにいさ――――」
「我だけを見ろ」
ちゃんと聞きたいんじゃないの? お兄様って言葉を! 折角ロールさんが聞かせてあげてるのに、有頂天になって、思いっ切り甲鎧王をぶっ飛ばしました。
食い気味だよ……。
「ていうか速いよ! その速さ利用して、運送業やれよ」
「黙れ! 男は喋るな」
ああ……。甲鎧王の主だなってのが分かる台詞だ……。
あまりの迅速さに、ついつい口に出して突っ込んだら、立ち籠める煙の中から、これまた速い返事が来たよ。
「すまんな。待ったであろう。どういう状況で救いを求めたのだ。義妹よ」
立ち籠める埃やら瓦礫の作り出す粉塵が邪魔なんだろうね。あっという間に払いのけたね。どういう原理?
――。
「ぶっは!」
王都でも吹き出したけども、今回も相当だよ。
なんだよ、その全身真っ赤なスーツは、色が凄くうるさい。白に続いて今回の赤。あれか、以前の白を僕が目にして、これは最後は刺されて鮮血に染めないと物語が終わらない的な事を思っていたを汲んでくれたのかな? だから赤なのかな?
目がチカチカする明るい赤だな、チクショウめ!
――まあ、なんだ。そんな事を気にしているのも束の間だ。
地鳴りが始まったようなんですが。震える山なんですけども。大気も震えだしたよ。
「なん……だと…………」
明らかにこの大地を振るわせている御方が、見せられているお姫様だっこに、混乱と怒りを抱いているようでございます。
「どぶいるぢうごうだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁあぁっっぁあぁああっぁぁ」
すまねえ、神聖語はさっぱりなんだ。
冗談はさておき――、推測するに【どういう状況だぁぁぁぁぁぁ】っと、言っているのだろう。
ロールさんがお姫様だっこされているのを目にしたものだから、地獄の釜の蓋が開いたのか、そこから聞こえてくる亡者の断末魔の如き叫びを上げていて、このまま続けさせれば、喉が張り裂けて吐血しそうな勢いだ。
「僕が説明します」
「許す」
「自由になりたいんですけども」
「許す」
僕を拘束していた方々に向かって、はらうような動作をすると、方々、ものすっごい速度で後方に飛んでいき、壁にめり込みましたとさ。
――――説明中――。
――――説明中――。
――――説明中――。
――――説明終了。
――――更に震え出す宮殿。邪神がダイナミック参上で開けた天井の穴から、ガラガラと瓦礫が落ちてくるし、柱にヒビが走っております。
立っているのもやっとなくらい揺れております。
感情だけで、キドさんと、ちびっ子の合体魔法で発生した地震クラスの揺れが起こっております。
やっぱり邪神なんだな。恰好はあれだけど……。
「へ? は? 嘘でしょ。パンゲア様?」
驚きの顔ですな。甲鎧王さんよぉ。僕の事を殴った代償は、ロールさんがこれからどうなるところだったかを、ばっちりとお知らせしたから。きっちり支払ってもらうからな。
ざまぁ、甲鎧王ざまぁ。
「パンゲア様。お懐かしゅうございます」
「貴様など知らんわ! その不潔極まりない蛇の腕から、さっさと義妹を放さぬか!」
「ふぁ!? 義妹!? それよりも、知らない? 私です忠臣ナーガ・ルジャ・ヌラルキアです」
「男など知らん。我が配下だとしても、男など興味ないわ! はあっゾワッ! 汚らわしい!! 早く義妹を放せ!!」
ゾワッて。擬音を口にするとか、面白い神だな。
「そ、そんな……」
甲鎧王は、自分の事を忘れられて、落ち込んでいるご様子。
興味ないと言われて、凹んでるや。
力なく腕が落ちて、必然的にロールさんが解放された。
「おお大丈夫だったか!? 義妹よ!」
まあ、そんなに両手を大きく広げて、胸に飛び込んで来いってか。
――あら、可哀想。駆け出すロールさんは邪神を通りすぎてら。
空しく開いた両手を誤魔化したいのか、開いて閉じて、開いて閉じてな体操を始めたよ。長い紫の髪が心なしかパサパサに見える。キューティクル死んだかな?
――…………。
ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
心と口で雄叫びを上げてしまった。
柔らかいよ。いい匂いだよ。温かいよ。
様々な感情が一緒くたになって、今の僕は甘美の世界に没入しております。
駆け出したロールさんの向かった先は、僕の胸板でした。ありがとうございました。
やったぜ!
「だ、大丈夫でしたか」
裏返りまくる声と共に、ロールさんの両肩に手を当ててあげる。
小さく、頷くと、
「私よりも、ピート君だよ、血が出てるよ」
殴られて、唇が切れてたみたいで、結構な血が口から流れてるみたいだ。殴られてズキズキするところが気になって、流れてるのは気付かなかった。
今となっては、痛みすらも吹き飛ぶ気持ちよさですけどね。
唯一痛いと思うのは、邪神の視線だ。
怨嗟に染まった嫉妬の視線を僕に送ってきている。自分の拇指の爪をガジガジと勢いよく噛んでるや。
視線の痛みなんてなんのその。この心地よさに加えて、ハンカチで優しく血を拭いてくれる優しさにテンションが――、
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
何処にぶつけてやろうかというような、僕とは対極を行く、邪神、怒りの咆哮。
ビッシビシと、柱やら金ピカの壁に更に大きなヒビが入っていく。
なので――、
「ロールさん怖かったですよね。もう少しで、酷い目に遭わされそうになったんですからね。蹂躙ですよ。あいつだけでなく、周りの奴らにきっと、心に一生消えない大きな傷を刻まれるところでしたね」
抑揚なく、ただ大きな声で、この玉座の間にいる方々の耳朶にしっかりと届くように口する。
輪姦なんて言葉は使用しない。表現がストレートすぎて、ロールさんを傷つけるだろうからね。蹂躙も大分だろうけど、輪姦よりはましだろう。
「ロールさん、頷いて」
小声で伝えて、頷かせつつ。今から言う台詞を口にして出してほしいと、案を出す。
――――なんか、嫌々な面持ち。
精神的に恐怖を受けたし、イーロン整備局員の方々の為にも、ここで一気に甲鎧王を黙らせましょうと、説得。
からの――。
「怖かったです。おにいさ――――」
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