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洋上
PHASE-01
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湾港都市ネーガル。
王都より南、大陸の南東に位置する大海に面した大都市。
現在、僕はここにいる。
海猫が飛んでるね~。潮の匂いが凄い。王都だと、中々に経験出来ないね。
海から河をさかのぼって王都まで来る貨物船はあるから、河港に並ぶ大型の貨物船を見慣れている事もあって、海港のそれを目にしても新鮮味はないけども、この潮の匂いはとっても新鮮。
といっても……、あんまりいい匂いとは思えないんだよね。生臭いよね。後、肌にべた付く感じも嫌だな。
そんな事を口にしたら、ネーガルの方に怒られそうだから、口にはしないけど。
「それにしても、大時化だね~」
「ですね。これも今日までらしいですから、明日には船は出せるそうですけどね」
曇天の下で、ロールさんと一緒に荒れた海を港から眺めている。
サイドテールの長い銀髪が靡いているのがよいですな。
「な、余裕もって王都を出立してよかったろ」
何を得意げに言ってるんだか。
僕とロールさんの二人だけの空間に、たばこ臭い世界の住人は必要ないですからお帰りください。
そもそも早めに行動して、もしも予定が狂う事があっても対処出来るように考えたのはロールさんでしょ。なにを自分の案みたいにすげ替えてるの?
まったく、ロールさん様々ですよ。
この大時化が原因の嵐で、王都と周辺は今頃、大荒れ。出発が遅れて、船に乗る事も難しかっただろうね。
上手い具合に嵐を避けれてよかったよ。
「グライフを使えば、ワギョウも直ぐなのによ~」
鎖国してるところに、いきなりグライフ君で行った日には領空侵犯になりますよ。
葉煙草の紫煙の流れが、かっこよさを醸し出していて生意気ですね。
やはり、波止場や港での煙草姿は、誰でもかっこいい存在に変貌させるな。
「お、一羽だけだ。迷子かな」
曇天の中、集団からはぐれた海猫が飛んでいる。
灰色の支配下に白い色が栄える。荒れた風を読んで飛翔する姿が妙に神々しく見えてしまう。
「宿に戻ろうぜ。どうせ明日までは足止めなんだから」
僕はもう少しロールさんといたいんだけどね。ロールさんも反転だから、仕方が無いので僕も続く。
湾港都市だけあって、貿易が盛んで、様々な家具や調度品が街商や、店舗の飾り棚に置かれている。
シンプルな一色の絨毯もあれば、羊毛からなる幾何学的なデザインが施された絨毯もあり、値段も驚きだ。
でも、ここで買うとまだ安くで済むんだろうね。これがこの都市から離れた地での売買になれば、更に値が膨れあがるわけだから。
商人の方々も、真新しい物がないか、目を至る所に向けて商魂をたぎらせている。
反面、港で働く方々は、暇なのか、各酒場から笑い声が溢れている。昼から随分と繁盛しているね。
この辺はバッカスと同じだね。
商人に、普段は港での荷役作業や漁に励む方々。それ以外では、鎧に、刀剣を腰に帯びた方々も多く目にする。
この人たちの目的地は僕たちと同じなんだろう。
ITADAKI-頂-に参加する方々か。
手にしたい名声と、金。そして、もっとも欲するのがサボ・セレクが打った最上業物の二振り、雪風と時雨だろうね。
「皆、ただ者じゃないって目をしてるぜ」
うん。それっぽい事を言えば、さも、方々の力量を測れてるぜ俺。って、思われたいんでしょうけども、そんなもんは見てれば誰でも分かりますから。
素行の良さそうな方もいるけども、力だけを誇示してきた方もいるようで、荒々しいのも目に入ってくる。
そんな方々はロールさんに対して、目つきがいやらしくなるね。勇者御一行なら、つなぎ姿で理解するけども、当てはまらない方々は服装をあんまり気にしてないようだね。謙虚にならない。
小刻みに口笛を吹いて、こっちを向くように促しているや。
気にせずに足を進める。
まあ、ロールさんをはじめ、全国の美人さんとかって、こういう時、大変なんだろうな~。絡まれたりしてさ、迷惑だし怖い目にも遭うし。甲鎧王みたいな奴ばっかりだったらたまんないよね。
まあ、大会前に問題を起こすのはよくないだろうから、誰も無理はしないだろうけども……。
「姉ちゃん」
その無理しない考えすらも打ち壊すロールさんの美しさが罪なのだろうか……。
スキンヘッドの褐色の筋肉大男が僕たちの前に立ちふさがった。
腰蓑みたいな物に、タンクトップ姿。丸太のような腕。体系的にはタモンさんタイプ。
顔には炎をイメージしているような入れ墨が左頬から首を伝って、胸元まで入っている。
「整備局ですから。先急ぎますね」
とっさに僕が前に出てお断り。道を避けてから通過を考える。
整備長も、一応は睨みを利かせてくれる。
口さえ開かなければ、輩にしか見えないからね。
大抵は整備長の睨みと、整備局と言えば問題にならないまま解決なんだけどね。
「まあまあ、そう言うなよ。あんたらにも一杯奢るから、一緒に飲もうぜ」
どうしてもロールさんとご一緒したいのか、食い下がってくる。
暴力的ではないのでいいけども、下から来られると逆に対処に困るというか……。
高圧的ならこっちも高圧的に出来るんだけどね。
「先を急ぐんで」
「うそうそ、どうせ明日の船乗るんだろ」
イエーイばれてるぜ。
「職務中なんで」
「うそうそ、どうせワギョウから本気出すだろ」
イエーイ、筋肉に似合わず読みが鋭いぜ。
「こんな曇り空の下を明るく照らしてくれる宝石を見つけたんだ。手にする事は出来なくても、眺めて愛でたいのさ」
あら、筋肉に似合わず詩的な言い回し。中々に女性を口説くのがお得意なようで。
強制はしたくない。側で美人を肴に一緒に飲みたいだけなんだろけども、それはそれで犯罪めいているというか、視姦したいのかとも思えてしまう。
奢るからと、しつこく食い下がってくる。
その奢るという単語に根負けしたのが整備長だ。
「まあ俺たちがいれば、問題ないだろう♪」
問題だらけだよ。
あんたがなんの役に立つのだろうか。只酒にご相伴する気が満々じゃないか……。
語調がノリノリだよ…………。
王都より南、大陸の南東に位置する大海に面した大都市。
現在、僕はここにいる。
海猫が飛んでるね~。潮の匂いが凄い。王都だと、中々に経験出来ないね。
海から河をさかのぼって王都まで来る貨物船はあるから、河港に並ぶ大型の貨物船を見慣れている事もあって、海港のそれを目にしても新鮮味はないけども、この潮の匂いはとっても新鮮。
といっても……、あんまりいい匂いとは思えないんだよね。生臭いよね。後、肌にべた付く感じも嫌だな。
そんな事を口にしたら、ネーガルの方に怒られそうだから、口にはしないけど。
「それにしても、大時化だね~」
「ですね。これも今日までらしいですから、明日には船は出せるそうですけどね」
曇天の下で、ロールさんと一緒に荒れた海を港から眺めている。
サイドテールの長い銀髪が靡いているのがよいですな。
「な、余裕もって王都を出立してよかったろ」
何を得意げに言ってるんだか。
僕とロールさんの二人だけの空間に、たばこ臭い世界の住人は必要ないですからお帰りください。
そもそも早めに行動して、もしも予定が狂う事があっても対処出来るように考えたのはロールさんでしょ。なにを自分の案みたいにすげ替えてるの?
まったく、ロールさん様々ですよ。
この大時化が原因の嵐で、王都と周辺は今頃、大荒れ。出発が遅れて、船に乗る事も難しかっただろうね。
上手い具合に嵐を避けれてよかったよ。
「グライフを使えば、ワギョウも直ぐなのによ~」
鎖国してるところに、いきなりグライフ君で行った日には領空侵犯になりますよ。
葉煙草の紫煙の流れが、かっこよさを醸し出していて生意気ですね。
やはり、波止場や港での煙草姿は、誰でもかっこいい存在に変貌させるな。
「お、一羽だけだ。迷子かな」
曇天の中、集団からはぐれた海猫が飛んでいる。
灰色の支配下に白い色が栄える。荒れた風を読んで飛翔する姿が妙に神々しく見えてしまう。
「宿に戻ろうぜ。どうせ明日までは足止めなんだから」
僕はもう少しロールさんといたいんだけどね。ロールさんも反転だから、仕方が無いので僕も続く。
湾港都市だけあって、貿易が盛んで、様々な家具や調度品が街商や、店舗の飾り棚に置かれている。
シンプルな一色の絨毯もあれば、羊毛からなる幾何学的なデザインが施された絨毯もあり、値段も驚きだ。
でも、ここで買うとまだ安くで済むんだろうね。これがこの都市から離れた地での売買になれば、更に値が膨れあがるわけだから。
商人の方々も、真新しい物がないか、目を至る所に向けて商魂をたぎらせている。
反面、港で働く方々は、暇なのか、各酒場から笑い声が溢れている。昼から随分と繁盛しているね。
この辺はバッカスと同じだね。
商人に、普段は港での荷役作業や漁に励む方々。それ以外では、鎧に、刀剣を腰に帯びた方々も多く目にする。
この人たちの目的地は僕たちと同じなんだろう。
ITADAKI-頂-に参加する方々か。
手にしたい名声と、金。そして、もっとも欲するのがサボ・セレクが打った最上業物の二振り、雪風と時雨だろうね。
「皆、ただ者じゃないって目をしてるぜ」
うん。それっぽい事を言えば、さも、方々の力量を測れてるぜ俺。って、思われたいんでしょうけども、そんなもんは見てれば誰でも分かりますから。
素行の良さそうな方もいるけども、力だけを誇示してきた方もいるようで、荒々しいのも目に入ってくる。
そんな方々はロールさんに対して、目つきがいやらしくなるね。勇者御一行なら、つなぎ姿で理解するけども、当てはまらない方々は服装をあんまり気にしてないようだね。謙虚にならない。
小刻みに口笛を吹いて、こっちを向くように促しているや。
気にせずに足を進める。
まあ、ロールさんをはじめ、全国の美人さんとかって、こういう時、大変なんだろうな~。絡まれたりしてさ、迷惑だし怖い目にも遭うし。甲鎧王みたいな奴ばっかりだったらたまんないよね。
まあ、大会前に問題を起こすのはよくないだろうから、誰も無理はしないだろうけども……。
「姉ちゃん」
その無理しない考えすらも打ち壊すロールさんの美しさが罪なのだろうか……。
スキンヘッドの褐色の筋肉大男が僕たちの前に立ちふさがった。
腰蓑みたいな物に、タンクトップ姿。丸太のような腕。体系的にはタモンさんタイプ。
顔には炎をイメージしているような入れ墨が左頬から首を伝って、胸元まで入っている。
「整備局ですから。先急ぎますね」
とっさに僕が前に出てお断り。道を避けてから通過を考える。
整備長も、一応は睨みを利かせてくれる。
口さえ開かなければ、輩にしか見えないからね。
大抵は整備長の睨みと、整備局と言えば問題にならないまま解決なんだけどね。
「まあまあ、そう言うなよ。あんたらにも一杯奢るから、一緒に飲もうぜ」
どうしてもロールさんとご一緒したいのか、食い下がってくる。
暴力的ではないのでいいけども、下から来られると逆に対処に困るというか……。
高圧的ならこっちも高圧的に出来るんだけどね。
「先を急ぐんで」
「うそうそ、どうせ明日の船乗るんだろ」
イエーイばれてるぜ。
「職務中なんで」
「うそうそ、どうせワギョウから本気出すだろ」
イエーイ、筋肉に似合わず読みが鋭いぜ。
「こんな曇り空の下を明るく照らしてくれる宝石を見つけたんだ。手にする事は出来なくても、眺めて愛でたいのさ」
あら、筋肉に似合わず詩的な言い回し。中々に女性を口説くのがお得意なようで。
強制はしたくない。側で美人を肴に一緒に飲みたいだけなんだろけども、それはそれで犯罪めいているというか、視姦したいのかとも思えてしまう。
奢るからと、しつこく食い下がってくる。
その奢るという単語に根負けしたのが整備長だ。
「まあ俺たちがいれば、問題ないだろう♪」
問題だらけだよ。
あんたがなんの役に立つのだろうか。只酒にご相伴する気が満々じゃないか……。
語調がノリノリだよ…………。
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