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洋上
PHASE-04
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「さてと」
甲板に続いて、一服しようとしたところで、
「う、ううん!」
あからさまな咳払いが耳朶に届く、目を向ければ、整備長に目を向けている。
強面なもんだから、強く睨む事は出来ていないけども、暗にここは禁煙だよと、伝えている。
船が船だからね。二等客室でも、僕たちから見たら成功を収めた方だ、お金と権力に弱い整備長は、小さく頷いて甲板へと出る。
荷物をベッドに置いてから、僕とロールさんも後を追った。
――――。
「遅いな」
「どうします」
「仕方ない、放棄とみなそう。人数は足りている」
って、話が耳に入ってきたけど、欠員かな?
どうやら、誰か間に合わなかったようだ。
そんな話が出て来るって事は、まもなく出港だね。
「船首に来てみな」
興奮する整備長の手招き。何事かと、船首に移動すると、
「おお、凄い」
「可愛い」
え……、可愛い?
船首の前、つまり海中に見える影。乗船する時は海中にいる存在だったから見えなかったけど、船の上からならよく見える。
頭にユニコーンのような立派な角がある、大海蛇だ。分類はドラゴン属。グライフ君と同じ幻獣種。
知能がとても高く、船を海中の生物から守ってくれる。
同時に、馬車を引く馬のように船の原動力にもなる。
三本マストの横帆であるシップ型帆装の快速さに加えて、大海蛇の牽引となれば、ワギョウまでわずか一週間の船旅なのも頷ける。
群青の刺々しい鱗と背鰭に、鋭い牙。立派な角に、翼のような胸鰭。
――……可愛い要素が見つからない……。無理にあげるなら、くりくりの丸い瞳だろうけど、そこはドラゴン属、縦長の黒目が怖い。
ロールさんにはどう見えてるんでしょうか……?
「よかったな」
と、整備長。
何が? と、目で返すと、僕の肩に腕を回して耳元に口を近づけて、
「あれで可愛いんだぜ。お前も、可愛いと思われるかもよ」
つまりは、あんなおっかないのと僕が同レベルだと言いたいのか。ハハハハ――。面白いな~整備長は――――――。
このっこのっ!
「なんだ、この野郎! やんのか」
あんたが喧嘩を売ってきたんだからな!
諸手で、思いっ切り頬をつねってやると、同じ攻撃を繰り出してきた――――。
――――。
「おお!」
「壮観だね」
船首から左舷甲板まで戻り、三本のマストに横帆が広がるのを目にする。
風を受けて帆が膨らみ、マストから軋む音が生じた。
と、同時に、船首で水しぶきが上がり、二頭の大海蛇が海面に姿を見せる。
ぐんっと後ろに強く引っ張られつつも、僕の体に反して、船は前傾姿勢とばかりに勢いよく前へと進んでいく――――。
穏やかな海のおかげか、ぐんぐんと進み、湾口からいよいよ出るといったところで、
「お~い。待ってくれ~」
なんか、聞いた声が船着き場から聞こえてくる。
「ちょっと~、お~い、待ってくれ」
全速力で足を動かして、船を追いかけてくる、スキンヘッド。
なにしてんですか、ドレークさん……。
勢いのまま、波止場に跳躍してからの、
「ふんが~」
更に跳躍。黒い塊が、僕たちの乗る船に近づいてくる。
「全員、対ショック!」
僕の大音声に、甲板の船員さん達は何事かと思いつつも、体を丸めて、諸手で頭を押さえる。
――……すいません。悪乗りでした。船に乗ったからには、一度は言ってみたいと思ってまして。
一応、ドンって音はしたけども、人間一人が飛び乗ってきたところで、こんな大きな船がどうにかなるなんて事は無い。
「いらん事を言うな!」
お叱りの拳骨を整備長にいただきました。
久しぶりにもらった感じがする。最近は怒られるより、僕の方が呆れる事が多かったもんだから、この痛みは新鮮ですな。先ほどの頬のつねり合戦の痛みが吹き飛びましたよ。
「行ったかと思ったよ」
「待ってませんよ。出港してました。貴男が遅いんです。てっきり、護衛の放棄かと」
「いや~。酔っ払って、さっきまで寝てたんだよ」
「まったく。お願いしますよ」
スキンヘッドを手で叩いて、ペチンと小気味のいい音を立てつつ、船員さんに頭を下げるドレークさん。
「いや~やばかった」
「この船だったんですね」
「この船だったんだよ。てゆうか公務員いいな。こんな船に乗れるんだな」
うん、そこは、あんまり触れないでいただきたい。国家権力の行使とか思わないでくださいね。局長が奮発してくれたんです。
遊興じゃないんで、仕事なんで。異文化交流なんで。
名目上の仕事とかじゃなくて、歴とした仕事ですから。
私的な事ではありませんので。
「なんで、そんなにあっぷあっぷしてるんだ?」
公務員なんで。とは、言いますまい。
「この船の護衛なんですね」
とりあえず、話をドレークさんの事へとすり替える。
金持ち達を乗せたこの船を護衛する代わりに、ワギョウまでロハで渡らせてもらう事を条件に仕事を受けたそうだ。
自分の稼ぎではどだい乗る事も出来ない船で、護衛をやるだけで、食事と寝る場所を提供してもらえて、ワギョウに行けるんだから最高だそうだ。
これだけの船だから、護衛の食事も従来の商船なんかで出るものとは違うんだろうと、子供のような屈託のない笑みを見せてくれる。
強い方なら大歓迎。
強いかどうかは分からないけども、船員さんとのやり取りを見れば、普通、雇い主である客船側は、遅刻に対して、怒気を混じらせて口に出すものだろうけども、そんな事もなく済んでいるから、ドレークさんとは顔なじみとも考えられる。
実力があるから、信頼されている。だから、ちょっとの事では怒られる事もないのかもしれない。
「これから一週間の船旅。よろしくお願いします」
恭しくロールさんに膝を突いてあいさつしてる。
昨日、酒で潰されたもんね。まあ、勝手に周囲が張り合うように飲み始めただけだけど、皆さんロールさんに大敗北だったね。
厳ついけども、いい人みたいだし、ドレークさんにはもしもの事があったら、頑張ってもらわないと。
「頼りにしてますよ」
「任せてくれ。でもまあ、そこまで警戒はしなくていいだろうけどな」
海賊の類いでも、相手は選ぶそうだ。
この船は、富裕層が乗っているから、一見すると狙われそうにも思われるけども、富裕層が乗るという事は、それだけ船の護衛力も高い。また、富裕層は個人的にも護衛を雇うから、通常の船に比べると戦力が充実している。
トドメに二頭の大海蛇。
死のリスクを背負ってまで、この船を狙う存在はまずいないそうだ。
それに、マスト三本が全て横帆の快速帆船だ。大海蛇がいなかったとしても、まずスピードで敵わない。容易に逃げ果せる事も可能。
安心して洋上を堪能すればいいとの事で、護衛のはずが、ドレークさん、さっそく甲板で横になって完全に体を弛緩させている。
何とも楽な仕事に見えるのは僕の気のせいかな?
油断はしないでくださいよ。一応、見張り台で遠眼鏡を使って、周辺の警戒に余念の無い護衛の方もいますから、感じ悪く見られますよ。
甲板に続いて、一服しようとしたところで、
「う、ううん!」
あからさまな咳払いが耳朶に届く、目を向ければ、整備長に目を向けている。
強面なもんだから、強く睨む事は出来ていないけども、暗にここは禁煙だよと、伝えている。
船が船だからね。二等客室でも、僕たちから見たら成功を収めた方だ、お金と権力に弱い整備長は、小さく頷いて甲板へと出る。
荷物をベッドに置いてから、僕とロールさんも後を追った。
――――。
「遅いな」
「どうします」
「仕方ない、放棄とみなそう。人数は足りている」
って、話が耳に入ってきたけど、欠員かな?
どうやら、誰か間に合わなかったようだ。
そんな話が出て来るって事は、まもなく出港だね。
「船首に来てみな」
興奮する整備長の手招き。何事かと、船首に移動すると、
「おお、凄い」
「可愛い」
え……、可愛い?
船首の前、つまり海中に見える影。乗船する時は海中にいる存在だったから見えなかったけど、船の上からならよく見える。
頭にユニコーンのような立派な角がある、大海蛇だ。分類はドラゴン属。グライフ君と同じ幻獣種。
知能がとても高く、船を海中の生物から守ってくれる。
同時に、馬車を引く馬のように船の原動力にもなる。
三本マストの横帆であるシップ型帆装の快速さに加えて、大海蛇の牽引となれば、ワギョウまでわずか一週間の船旅なのも頷ける。
群青の刺々しい鱗と背鰭に、鋭い牙。立派な角に、翼のような胸鰭。
――……可愛い要素が見つからない……。無理にあげるなら、くりくりの丸い瞳だろうけど、そこはドラゴン属、縦長の黒目が怖い。
ロールさんにはどう見えてるんでしょうか……?
「よかったな」
と、整備長。
何が? と、目で返すと、僕の肩に腕を回して耳元に口を近づけて、
「あれで可愛いんだぜ。お前も、可愛いと思われるかもよ」
つまりは、あんなおっかないのと僕が同レベルだと言いたいのか。ハハハハ――。面白いな~整備長は――――――。
このっこのっ!
「なんだ、この野郎! やんのか」
あんたが喧嘩を売ってきたんだからな!
諸手で、思いっ切り頬をつねってやると、同じ攻撃を繰り出してきた――――。
――――。
「おお!」
「壮観だね」
船首から左舷甲板まで戻り、三本のマストに横帆が広がるのを目にする。
風を受けて帆が膨らみ、マストから軋む音が生じた。
と、同時に、船首で水しぶきが上がり、二頭の大海蛇が海面に姿を見せる。
ぐんっと後ろに強く引っ張られつつも、僕の体に反して、船は前傾姿勢とばかりに勢いよく前へと進んでいく――――。
穏やかな海のおかげか、ぐんぐんと進み、湾口からいよいよ出るといったところで、
「お~い。待ってくれ~」
なんか、聞いた声が船着き場から聞こえてくる。
「ちょっと~、お~い、待ってくれ」
全速力で足を動かして、船を追いかけてくる、スキンヘッド。
なにしてんですか、ドレークさん……。
勢いのまま、波止場に跳躍してからの、
「ふんが~」
更に跳躍。黒い塊が、僕たちの乗る船に近づいてくる。
「全員、対ショック!」
僕の大音声に、甲板の船員さん達は何事かと思いつつも、体を丸めて、諸手で頭を押さえる。
――……すいません。悪乗りでした。船に乗ったからには、一度は言ってみたいと思ってまして。
一応、ドンって音はしたけども、人間一人が飛び乗ってきたところで、こんな大きな船がどうにかなるなんて事は無い。
「いらん事を言うな!」
お叱りの拳骨を整備長にいただきました。
久しぶりにもらった感じがする。最近は怒られるより、僕の方が呆れる事が多かったもんだから、この痛みは新鮮ですな。先ほどの頬のつねり合戦の痛みが吹き飛びましたよ。
「行ったかと思ったよ」
「待ってませんよ。出港してました。貴男が遅いんです。てっきり、護衛の放棄かと」
「いや~。酔っ払って、さっきまで寝てたんだよ」
「まったく。お願いしますよ」
スキンヘッドを手で叩いて、ペチンと小気味のいい音を立てつつ、船員さんに頭を下げるドレークさん。
「いや~やばかった」
「この船だったんですね」
「この船だったんだよ。てゆうか公務員いいな。こんな船に乗れるんだな」
うん、そこは、あんまり触れないでいただきたい。国家権力の行使とか思わないでくださいね。局長が奮発してくれたんです。
遊興じゃないんで、仕事なんで。異文化交流なんで。
名目上の仕事とかじゃなくて、歴とした仕事ですから。
私的な事ではありませんので。
「なんで、そんなにあっぷあっぷしてるんだ?」
公務員なんで。とは、言いますまい。
「この船の護衛なんですね」
とりあえず、話をドレークさんの事へとすり替える。
金持ち達を乗せたこの船を護衛する代わりに、ワギョウまでロハで渡らせてもらう事を条件に仕事を受けたそうだ。
自分の稼ぎではどだい乗る事も出来ない船で、護衛をやるだけで、食事と寝る場所を提供してもらえて、ワギョウに行けるんだから最高だそうだ。
これだけの船だから、護衛の食事も従来の商船なんかで出るものとは違うんだろうと、子供のような屈託のない笑みを見せてくれる。
強い方なら大歓迎。
強いかどうかは分からないけども、船員さんとのやり取りを見れば、普通、雇い主である客船側は、遅刻に対して、怒気を混じらせて口に出すものだろうけども、そんな事もなく済んでいるから、ドレークさんとは顔なじみとも考えられる。
実力があるから、信頼されている。だから、ちょっとの事では怒られる事もないのかもしれない。
「これから一週間の船旅。よろしくお願いします」
恭しくロールさんに膝を突いてあいさつしてる。
昨日、酒で潰されたもんね。まあ、勝手に周囲が張り合うように飲み始めただけだけど、皆さんロールさんに大敗北だったね。
厳ついけども、いい人みたいだし、ドレークさんにはもしもの事があったら、頑張ってもらわないと。
「頼りにしてますよ」
「任せてくれ。でもまあ、そこまで警戒はしなくていいだろうけどな」
海賊の類いでも、相手は選ぶそうだ。
この船は、富裕層が乗っているから、一見すると狙われそうにも思われるけども、富裕層が乗るという事は、それだけ船の護衛力も高い。また、富裕層は個人的にも護衛を雇うから、通常の船に比べると戦力が充実している。
トドメに二頭の大海蛇。
死のリスクを背負ってまで、この船を狙う存在はまずいないそうだ。
それに、マスト三本が全て横帆の快速帆船だ。大海蛇がいなかったとしても、まずスピードで敵わない。容易に逃げ果せる事も可能。
安心して洋上を堪能すればいいとの事で、護衛のはずが、ドレークさん、さっそく甲板で横になって完全に体を弛緩させている。
何とも楽な仕事に見えるのは僕の気のせいかな?
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