拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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洋上

Operation-SOINE-

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 おやすみの挨拶はしたものの――――、何だろうか、この感じ。
 挨拶から一刻ほど、下からはロールさんの可愛い寝息が聞こえてくる。

 間仕切りカーテンによって、外界と隔絶された二段ベッド。
 上段が僕、下段にはロールさん。
 仕切られたベッド。つまりは、外部からの視線を気にしなくてよい。
 仕切られたベッド。僕たち、二人きり…………。
 
 あかん! 先ほどのロールさんの服装を思い出したらムラムラしてきた。これは、聖域げだんへと下りていいでしょうか?
 
 ――――脳内に住まう、普段は小躍り担当の、小さな七人の僕が会議を始める――――――。

 僕1号『行くべきだろ』

 僕3号『否、断じて否』

 僕2号『そうだ、ここは耐えるべきだ。信頼関係が壊れるぞ。それを今まで維持して、耐える時は耐えただろう』

 僕1号『だが、女神の湯にダイブしたじゃないか。耐えたとは言えん』

 僕2号『あれは、耐えた結果のご褒美と考えるべきだ。それに飲まなかっただろ。十分に耐えたと考えるべきだ』

 僕1号『だが、見たぞ――――美しきピンクを!』

 僕3号『不可抗力である。あれは含めるべきではない』

 僕5号『最近は好感度も高いしな。更には他のおなごと親密だと嫉妬する。これはいける好機ではないか?』

 僕7号『しかり、しかり!』

 僕1号『攻める時に攻めねばならんのだ』

 僕7号『しかり、しかり!』

 僕3号『だが、まだその時ではないぞ。更なる信頼を構築し、機をうかがうのが肝要』

 僕5号『万全を期そうとするから上手くいかんのだ。機を逃さず決断を下すべきだ』

 僕7号『しかり、しかり!』

「で――あるか――――」
 肯定の独白後に、柔軟開始。
 コキコキと小気味のいい音を、首や背骨から発する。
 では、Operation-SOINE-状況開始。 

 僕1号『いいか、これは夜這いではない。繰り返す。これは夜這いではない!』

 僕7号『宜しく候。宜しく候』
 
 ゆっくりと、狩りをする虎のように、身を伏せ梯子に手を掛ける。
 ロールさんが目を覚ました時は【僕、寝相悪くて】を、金科玉条いいわけとすれば、何とかなると信じて――、いや、ここは寝ぼけたままトイレに行って、そのまま下のベッドで寝ちゃってました。
 ――の方が、真実味があるな。
 うん――、それでいこう。

 僕4号『ステンバーイ、ステンバーイ』

「Go」
 波に揺られて進む船の中で、先行した手に続いて、足が梯子に触れる。

 僕4号『レッツドゥディス』
 時折、耳朶に届いてくるギイギイといった船が奏でる軋み音。その音に合わせて梯子を降りていく。
 いいぞ、このヒリヒリ感。演習を思い出す。
 ピタリと足を止める。
 下から、寝返りで生まれる衣擦れ音が耳朶に届いたからだ。
 ふう――、緊張する。
 一段一段を、丁寧に慎重に降りていく。
 ペタリとした感触を足裏全体で感じる。梯子を下りる時の土踏まずだけのものではない。
 つまりは――、床への移動まではクリアしたという事だ。
 
 眼下にはベッドで寝てらっしゃるロールさん。
 横向きに寝ていると思った矢先に仰向けだ。
 ――――胸部の動きを擬音で例えるなら――――――。

【バン!】
 
 僕4号『ビューティフォービューリフォー

 僕6号『重力に逆らう双乳を発見!』

 僕1号『駄目だ!』
 僕2号『駄目だ!』
 僕3号『駄目だ!』

 僕2号『落ち着くのだ。これは夜這いではないのだ。添い寝である事を思い出せ!!』

 僕5号『その通りだ。Operation-SOINE-に、非人道的エロな行為は御法度だ! 触れてみろ――軍法会議により断頭台くびちょんぱだ!!』
 無意識に諸手が胸へと向かっていた。
 危ない、危ない。性欲に溺れるところであった。
 ――では、失礼します。
 密着はしませんので、横で寝るだけですから。やってもくんかくんかまでで我慢しますので。
 トイレから戻ってきたら、そのまま一段目で寝てしまったんです。本当です! 信じてください!!
 
 呼吸を乱すな。落ち着け。僕はただ隣で寝たいだけなんだ。
 ――――よし!

 踏み出そうとしたその時――、
 シャァァァァァァって背後から音が届く。
 外界とを遮断する結界カーテンが開かれた音。
 固まる僕。
 恐る恐る首だけを可動させ、背後の確認に移行。
 その刹那の瞬間に考えているのは言い訳だ。
 トイレに行こうと、降りたところだったんです。そう言えば逃げれる。大丈夫だ。問題無い。僕の言い訳ミスディレクションは通用する。

「レオニアちゃ~ん」
 誰だ!? レオニアちゃんって! おっさん寝ぼけてやがる! コレじゃ弁解をしても意味がない!
 落ち着けおっさん。僕ですから。がっちりとホールドするな! お願い、あめ玉あげるから。
 助けてください! このおっさん寝ぼけてるのになんて力だ。背後を取られたとはいえ、逃げれないなんて。
 やめろ、腰を振るな! 気持ち悪い。
 目の前では女神が寝ているというのに。ただ、添い寝したかっただけなんだ! 
 よせ! やめろ! 僕を魔窟おっさんのねどこへと引き込まないでくれ。
 やあやあやあやあやあ! 待っててば!!
 
 僕2号『蹉跌さてつ……蹉跌をきたしたのである』
 
 僕7号『しかり、しかり』

 僕3号『これより、最終手段に打って出なければならない』

 僕7号『しかり、しかり』

 僕5号『我ら、この失態を次に活かすために、この辛酸――舐めなければなるまい』

 僕1号『くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ』

 僕5号『嘆くな。臥薪嘗胆よ』

 僕3号『では、これより、ピートマック・ウィザースプーンの思考停止を、可及的速やかに実行する。意識を保たせたまま腰を振られ続ければ、精神世界アストラルサイドから崩壊が始まってしまう。そうなれば、待っているのは廃人の未来よ……』

 僕7号『宜しく候。宜しく候』
 脳内の小さな僕たちが、演習時に使用した通信機に似たアイテムを耳から外してかなぐり捨てたり、涙を流して、状況の失敗を受け入れている。
 中央にある思考停止ボタンを4号が代表して食指にて押した。
 と、同時に、皆が敬礼を行う。
 その瞬間、僕の意識は遠のいていく――。
 
 教訓――――。
 悪い事を考えてはいけない。エロい事も考えてはいけない。
 必ず――――、天罰が下ってしまうから…………。
 
 酒臭いおっさんに、羽交い締めにされつつ、腰を振られる中で眠りにつくという、未だかつて体験した事のない、おっさんとの-SOINE-という地獄を経験する事になってしまった…………。




 僕4号『グッナイ』
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