拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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洋上

PHASE-09

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 それにしても、最高の共同作業だ。ロールさんの細い腰を抱きしめる事が出来るなんて。
 触れて実感。女性の腰ってこんなに細いんだな~。
 これは、たまらん。たまらんぞ~。
 周囲に気取られないようにしないとな。完全の僕の表情は、弩級のスケベなものになってる。
 
 ――腰に触れる事も大事だけども、現状、両手だけでロッドを支えるのは辛いはず。
 男たるもの、ロールさんの御身を心配しなければ!
 
 ドレークさんにも手伝ってもらいたい。
 目で伝えると、頷いて歩み寄ってくる。

「駄目です。これは私が釣り上げます。サポートはピート君だけで結構です」
 助力のための接近と理解したロールさんは、瞥見して、はっきりと言い切る。
 なのでドレークさん、寂しげな表情に変わってしまった。すいませんね。頼んでおいてなんですけど、僕だけでいいと言われたら、凄く優越感ですよ。
 左腕を腰に回して、右手でロッドを掴んで、頼りないだろうけど、ロッドホルダーの代わりとして支える。

「楽になったよ」

「任せてください」 
 聞いてくれました。僕の男前な声。惚れてもいいですよ。しっかり、ロールさんの人生を支えてみせますから。
 ロッドを支えて分かった事は、ロールさんこんなのを長時間やってたのかという事……。すごい力でロッドを振ってくるじゃないか、カジキめ。
 まったくもって、邪神を前にしても恐れなかった胆力を持っているだけはありますな。
 食いしばりながら、リールを回しつつロッドを引く。僕も補助して引く。
 獲物が激しく水面を跳ねる。

「跳んでるっていうか、飛んでるって感じじゃないですか」
 海の青じゃなくて、空の青を背景にしている獲物に、度肝を抜かれてしまう。

「ここ!」
 僕とは違って、そんな事にも身じろがず、時宜を狙っていたロールさんは、宙を舞う獲物が一瞬宙で静止し、落下を始める直前のところを見計らって、ロッドを思いっ切り自分の方に引き、後方に倒れ込む。
 ドスンと激しい音と共に、倒れ込む僕たちの横では、ビチビチと激しく動き回る宿敵さん。

「ひっ!」
 ミスリル並の硬度があるふんが、僕の顔を掠める。

「押さえろ!」
 ドレークさんの指示のもと、釣りバカさん達が一気に押さえにかかる。

「うわ~」
 暴れ回る宿敵に吹き飛ばされつつも、そこは釣りバカ、大好きな魚に負けてなるものかと、素早く立ち上がり、
「こなくそ!」
 馬乗りになって押さえ込む。失敗しても、他の方が押さえ込みを繰り返す波状攻撃で、宿敵はとうとう根負けしたのか、抵抗をやめた。

「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」」」
 誰からともなく勝ち鬨にも似た大音声があがると、伝播し、万歳も始まる。

ぬしサイズだ!!」

「全くだ、吻がなくても俺よりデカい」
 おじさん達に混ざって、ドレークさんが宿敵の横に寝そべって大きさを確認している。大男のドレークさん二人分っと言ったところか。吻をふくめたら三人分。

「とんでもないのを釣りましたね」
 現状、僕は甲板に背を預け、ロールさんは僕に背を預けて寝そべった状態。
 ――ええ、理解してますよ。
 突発的なこのおいしい状況を堪能するために、あえて気付かないふりをして、この柔肌の密着を満喫している事を、
 確信犯ですけど。文句あります?
 まさかここで、Operation-SOINE-が続開ぞっかいするとは――、
 朝からは罪悪感を抱いていたけども、そんなもん抱いているのが馬鹿馬鹿しいくらいの柔らかさ。この重みが何とも心地いいですよ。
 状況に気付かれるまで、僕はこの状態を維持する不退転の覚悟。

「やったね!」
 寝そべったまま、僕の方に顔を向けてくるロールさん。満足の笑みである。可愛いのです。ギュッてしたいのです。

「お見事でした」
 賞賛を送ると、どんなもんだとばかりの勝ち気の笑みに変わった。

「いや~凄いな」
 起き上がったドレークさんが、ロールさんに手を伸ばす。
 なにをする!? やめろ!
 駄目だロールさん! その手を掴んじゃ…………。
 やあやあやあやあ…………。
 チキショウめ!!
 僕の至福の時間が奪われてしまった……。うらめしやドレークさん。僕は今日のこの事を、棺桶に入るまで忘れる事はないでしょう。
 
 ――――思考を切り替えて、ロールさんに賞賛を送りたいけども、あっという間に人垣が出来てしまい。ロールさんに近づく事が出来なくなった。
 大物を釣ったのも凄い事だけど、それを釣り上げたのが極上の美人様という事もあり、お近づきになって、少しでも尊顔を眺めたいという男心を丸出しにしている。

「これ、どうするんだい?」
 甲板の上で、ビッタンビッタンと弱々しく動く宿敵を押さえ込む一人の方が、ロールさんに指示を仰ぐ。
 早いところ捌いて美味いカジキステーキを堪能したいという声も上がる。
 これだけの大きさだ。客船の全員とはいかなくても、大人数に振る舞う事は出来る。
 ドレークさん、どこから持ってきたのか、鮪包丁を手にしており、いつでも準備万端とばかりに張り切っている。

「う~ん」
 なぜか悩んでいる。

「この客船は、食料の備蓄に困ってますか?」
 人垣の中にいる、船員の方にロールさんが質問すると、
「いえ、船旅は一週間を予定してますが、食欲が旺盛な方々ばかりだったとしても、ゆとりを持って二週間分はあります」

「じゃあ、リリースで」

「「「「え!?」」」」
 軽い口調で、海にかえすと返答するもんだから、皆さん驚きだ。
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