拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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異文化

PHASE-04

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 ――とりあえず、この辺を切り取ってと……。

「それは駄目だよ」

「ですよね~」

「ちょっとだったらばれねえよ。いっそ、この引き戸を一枚もらおうぜ」
 さすが、整備長。
 貴男の言動で、こっちは冷静になれますよ。
 誰だよ、土道だけで文明レベル低いとか思った奴……。僕だよ……。
 この和紙の部屋で完全に観点がゴロリと変わりました。この国はレベル高いです。

 ――。

「お待たせを、お奉行の準備が整いました。ぜひに、もてなしたいとの事で」
 おもてなしですか。
 靴を履いて、またも移動。
 建物に沿ってから石畳の上を歩くんだけども、この奉行所って何なの? 部屋を一つ一つ区切ってる建具に和紙を貼ってるんですけど……。
 僕たちがいた周辺だけじゃないの? もしかして、この奉行所全体に使用してるの。

「あの、和紙を豪勢に使用してますよね」

「和紙ですか? まあ、使ってますね」
 え、なに、そのうっすいリアクション。
 使ってて当たり前な感じ。

「贅沢ですね。こんな高級な紙を」

「確かに貿易では大きな利益になってますね。でも、先ほどの長屋もそうですが、何処でも使用してますよ」

「ご冗談を……」

「いえいえ、本当に」
 嘘だろ……。一般的な集合住宅でも使用してるの? どんだけ金持ちが多いの? それとも、これだけ質の高い物を、効率よく生産出来る技術でもあるのかな? その辺りの技術は、是非に大陸でも組み込みたいところですね。
 
 ――。

 奉行所に隣接した離れに案内された。
 周囲を竹垣で囲んである小さな建物だ。
 木造で、奉行所同様の漆喰壁。シンプルだけども、おもむきのあるものだ。
 玄関に続く道の間に池がある。沢渡りもあり、それを渡って玄関に入る、こった作り込み。

「綺麗な魚がいますよ」

「本当だ! 綺麗だね。赤に白、黒のまだら模様に、金色もいるね」

「高そうだな」
 まったく……。年長者が一番風情のない発言ですよ。
 この景観を台無しにする存在ですね。貴男という人は、
 恥ずかしい……。見てください。案内役のライゴウさんを――、苦笑いしてますよ。

「それは錦鯉という観賞用の魚です」
 へ~。観賞用か。食べないんだな。ワギョウでは魚がよく食べられるって聞くけど、こんな風に愛でる事にも魚を使用するんだね。
 苦笑いを正してから、説明してくれた。

「では、お入りください」
 わざわざ引き戸を開いて、僕たちを迎えいれてくれる。
 ――入った先ではまた靴を脱ぎ、人一人が通れる程の細い通路を歩く。

「どうぞ」
 玄関同様に引き戸を開いてくれたライゴウさん。
 だけども……である……。
 えっと、馬鹿にしてるのかな?
 なんなの、僕たちは物ですか? 物置の中にでも入れようとしてるのかな?
 これは、一体どうすれば正解なんだ? 一つ笑いを入れるために、ツッコミをいれるのだろうか?
 けど、ライゴウさんの表情は至ってまじめ。
 縦隊状態の僕たちは、前後で顔を見合わせる。最後尾の整備長が顎をしゃくって僕に指示を出してくる。
 こういう時に限って、先頭を行かないのが如何にもこの人らしい。まあ、ここで、入れ替わるってのも出来ないけどさ。
 渋々、僕はライゴウさんと同じように中腰スタイル。
 子供の秘密基地じゃないんだから。なんでこんなに低い入り口に入らなければならないのか……。
 みっともないけど、四つん這いで進入をこころみる。
 ああ……、どうせなら、ロールさんが先頭であってほしかったな~。四つん這いで、臀部の丸みを眼福、眼福と見れたのに。
 どうせ、あれでしょ? 直ぐに行き止まりなんでしょ。物置でしょ。
 
 ――――物置ではなかった……。人がいた……。
 なんか、普通に部屋があった……。

「ようこそ」
 重みのある口調だ。基本、皆さんチョンマゲという特徴的なヘアスタイルだけども、そればっかりが目立つと、特徴的でもなくなってくるからね。不思議だね。
 髪型はチョンマゲ。皺の数だけいろんな経験をしてるんじゃないだろうかといった、初老前の男性が、着物姿に正座で、僕と目が合うと、真っ直ぐ伸びた背が斜めになって、僕に頭を下げてきた。

「こちらこそ。お誘い頂き、ありがたきしだいでございまする」
 偉い感じのオーラが出ていたから、直ぐに室内に入り込んで、居住まいを正してから、挨拶を返したけども、急な遭遇だったから、明らかに間違った言葉の使い方での返しだった……。
 
 僕に続いて、ロールさん、整備長が入ってくると、その度に綺麗なおじぎをしてくるので、僕同様に、二人も直ぐに部屋に入り、挨拶を返していた。
 僕と違って、しっかりとした返しだった……。

「センジ・オサフネと申します。このデジマ奉行所で、奉行を務めております」
 僕たち三人がお奉行と相対して座り、こちらが一呼吸ついたところを見計らってから、再度、自己紹介を含めておじぎを行ってきたので、僕たちは、お奉行以上に頭を下げて、自己紹介を行った。
 額に触れる畳みの感触は、ひんやりとしたものだった――。
 これがDOGEZAスタイルか…………。
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