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異文化
PHASE-09
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「さあさあ、こちらの縁側に」
先ほどの風景と似た色彩に加えて、池もあり、茶室の入り口のように、ここにも錦鯉。
目で色を楽しませる作り方が上手いですね。
これは、ロールさんと二人で来たかったところだな。新鮮な緑の香りに池の涼。静かさの中での緩やかに回る水車の音も心を落ち着かせる。
あえて、手をつけないで自然のまま残した所と、手入れをした部分の織りなす美。
きっちりと手入れをする事で生まれる美の追究が大陸では主流。貴族の花園なんかは、庭師が常に整えて、無駄を徹底的にはぶいていく。
グラドさんにも見せてあげたい。邪教の神祇官でありながら、極寒の地でチューリップ育てる空間を造るくらいだから、きっと、この風景とは対極の大陸式である、きっちりした美にこだわりを持っていると思う。
違う美もある事を、園芸仲間として、ぜひ教えてあげたい。
――――目と耳に伝えてくる癒やしの空間。心のデトックスが出来る素晴らしき空間。最高だ!
「どうぞ」
縁側に座っている僕たちに店員さんが運んで来た物。
ガラスの器に入った、見るからに涼しげな物。
白い玉砂利みたいなのがいくつも入っている。
「これは?」
「これが、かんざらしです」
ライゴウさんが店員さんの説明を奪う。
僕たちに分かりやすく伝えるために、はしょってくれた結果、説明は、白玉団子にシロップかけた物――――。
すっごく、分かりやすかったけども、はしょりすぎてるから、作り手サイドである、後ろで説明を奪われた店員さんは些か不愉快な表情。
「景観を楽しみながら、どうぞ」
ここだけは言いたかったのか、店員さんがライゴウさんを押しのけて、僕たちに笑顔で伝えてくれた。
「こりゃ美味い!」
と、真っ先に声を上げたのは整備長。
「冷たくておいしい」
続いてロールさん。
スプーンですくって食べる様が、凄く艶っぽかった。
ツルツルの団子がチュルンと、口の中に吸い込まれていく感じがね……。団子になりたい! って、思えました。
ロールさんの横で煩悩爆発な僕も、遅れて口に運ぶ――。
「シンプル。そう、このシンプルさがいいんだよ」
シロップの甘みだけ。それ以上のものは野暮だろ? と言わんばかりだ。
白玉団子という、この団子を引き立てる甘さよ。
冷たくてツルツルで、もちもちの食感は、僕たちのような大陸の人間には新鮮だ。
いくつでも食べられると思える気になるのは、甘さがスッキリとしているからだね。
タルトやケーキなんかの甘さも良いけど、こういう甘さもいいものだ。体に優しい感じだ。
――なるほど、大陸の一部貴族の間で、健康志向の意識が高くなって、和食が流行ってきていると聞いたことがあるけども、何となく理解出来た。
ケーキばかり食べてたら太るからね。このかんざらしってのは食べても太らない感じがする。まあ、食べ過ぎたら駄目だけどさ。
かんざらしに、健康食として定評のある、和食の一端を見た。
思い返してみれば、ここまでにワギョウの方々を何人も目にしてきたけど、恰幅が良いっていう方々はいなかったな。
骨董店のブールさんみたいな丸々ボディは目にしていない。
標準的なスタイルばかりだ。
やるな! ワギョウの食文化。
――――涼んだところで、移動開始。
「暑い……」
「休んだばっかりでしょ!」
この湿度は、本当にどうにかしてほしいと思うのは理解出来るけど、整備長うっとうしい。
体から熱が逃げないから不快でしかないと、今にもつなぎを全て脱ぎ出しそうな勢いだ。
脱げばいいのに――。変態として直ぐに通報するのにさ。
――。
「なんだありゃ?」
うへ~。整備長の指さす方向を見れば、人垣が出来てる。
僕たちが通る方向に出来てますよ。
見えてくるよ……、ムンムンとした蒸気が体から上がっていっているような、オーラ的なものが…………。
気炎万丈とでも例えるべきか――――。
まあ、見てるだけで、不快指数が上がってくる人垣だけどね。
先ほどの風景と似た色彩に加えて、池もあり、茶室の入り口のように、ここにも錦鯉。
目で色を楽しませる作り方が上手いですね。
これは、ロールさんと二人で来たかったところだな。新鮮な緑の香りに池の涼。静かさの中での緩やかに回る水車の音も心を落ち着かせる。
あえて、手をつけないで自然のまま残した所と、手入れをした部分の織りなす美。
きっちりと手入れをする事で生まれる美の追究が大陸では主流。貴族の花園なんかは、庭師が常に整えて、無駄を徹底的にはぶいていく。
グラドさんにも見せてあげたい。邪教の神祇官でありながら、極寒の地でチューリップ育てる空間を造るくらいだから、きっと、この風景とは対極の大陸式である、きっちりした美にこだわりを持っていると思う。
違う美もある事を、園芸仲間として、ぜひ教えてあげたい。
――――目と耳に伝えてくる癒やしの空間。心のデトックスが出来る素晴らしき空間。最高だ!
「どうぞ」
縁側に座っている僕たちに店員さんが運んで来た物。
ガラスの器に入った、見るからに涼しげな物。
白い玉砂利みたいなのがいくつも入っている。
「これは?」
「これが、かんざらしです」
ライゴウさんが店員さんの説明を奪う。
僕たちに分かりやすく伝えるために、はしょってくれた結果、説明は、白玉団子にシロップかけた物――――。
すっごく、分かりやすかったけども、はしょりすぎてるから、作り手サイドである、後ろで説明を奪われた店員さんは些か不愉快な表情。
「景観を楽しみながら、どうぞ」
ここだけは言いたかったのか、店員さんがライゴウさんを押しのけて、僕たちに笑顔で伝えてくれた。
「こりゃ美味い!」
と、真っ先に声を上げたのは整備長。
「冷たくておいしい」
続いてロールさん。
スプーンですくって食べる様が、凄く艶っぽかった。
ツルツルの団子がチュルンと、口の中に吸い込まれていく感じがね……。団子になりたい! って、思えました。
ロールさんの横で煩悩爆発な僕も、遅れて口に運ぶ――。
「シンプル。そう、このシンプルさがいいんだよ」
シロップの甘みだけ。それ以上のものは野暮だろ? と言わんばかりだ。
白玉団子という、この団子を引き立てる甘さよ。
冷たくてツルツルで、もちもちの食感は、僕たちのような大陸の人間には新鮮だ。
いくつでも食べられると思える気になるのは、甘さがスッキリとしているからだね。
タルトやケーキなんかの甘さも良いけど、こういう甘さもいいものだ。体に優しい感じだ。
――なるほど、大陸の一部貴族の間で、健康志向の意識が高くなって、和食が流行ってきていると聞いたことがあるけども、何となく理解出来た。
ケーキばかり食べてたら太るからね。このかんざらしってのは食べても太らない感じがする。まあ、食べ過ぎたら駄目だけどさ。
かんざらしに、健康食として定評のある、和食の一端を見た。
思い返してみれば、ここまでにワギョウの方々を何人も目にしてきたけど、恰幅が良いっていう方々はいなかったな。
骨董店のブールさんみたいな丸々ボディは目にしていない。
標準的なスタイルばかりだ。
やるな! ワギョウの食文化。
――――涼んだところで、移動開始。
「暑い……」
「休んだばっかりでしょ!」
この湿度は、本当にどうにかしてほしいと思うのは理解出来るけど、整備長うっとうしい。
体から熱が逃げないから不快でしかないと、今にもつなぎを全て脱ぎ出しそうな勢いだ。
脱げばいいのに――。変態として直ぐに通報するのにさ。
――。
「なんだありゃ?」
うへ~。整備長の指さす方向を見れば、人垣が出来てる。
僕たちが通る方向に出来てますよ。
見えてくるよ……、ムンムンとした蒸気が体から上がっていっているような、オーラ的なものが…………。
気炎万丈とでも例えるべきか――――。
まあ、見てるだけで、不快指数が上がってくる人垣だけどね。
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