拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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異文化

PHASE-10

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「祭りですか?」

「いや、まだ、夏祭りの時期ではないですね」
 じゃあ、なんなのあれ?
 案内人なのに知らないとかどうよ、ライゴウさん。
 
「――ああ、ここは花街ですからな」
 場所で思い出してくれた様子。
 ――――で、
「花街? 花がいっぱい咲き誇ってるんですか?」

「ええ、たくさん咲いてますよ」
 なんでにたり顔なの? この与力。変な顔だな。

「ヒャッハー!」
 なんで走り出したの? この整備長。だらしない顔だな。

「ロールさん、花街ですって。僕たちも行ってみましょう」

「いや……う~ん」
 なんで頬が染まるの? この美人様。可愛い顔だな。
 
 なんだよ? 花街って名前からして、花がいっぱい植えてあるとかじゃないの? 春爛漫な景観なんでしょ? 夏だけど。
 チューリップ大好きグラドさんとか喜びそうなんだけど。
 サボテン育ててる僕としては、最近は多肉植物にも手を出そうかと考えているんだけども。あるかな?
 道すがらでもあるし、行ってみましょうかね。

「行きましょう。ロールさん」

「う~ん」

「ワギョウの風俗の一つと思っていただければ」
 ライゴウさんの一言で、首肯するロールさん。
 驚きなのは、整備長が感心を持った事だよね。花が好きだったとは知らなかったな。
 まあ、知るつもりもなかったけども。
 僕があの人に関心があるとしたら、あの人が持つ女性のデータが記入されたメモ帳くらいだし。
 
 人垣に消えた整備長の後を追いかける。
 しかし、この人垣……。本当に花があるのかな?

 ――。

「うわ~」
 むさ苦しいことこの上ないね……。
 この男性陣の多さよ。女性なんて数えるくらいしかいない。ワギョウの花文化は、女性より男性の方が人気なのかな?
 
 こんな所に、ロールさんを近づけるわけにはいかないな。

「おお、異人さんに美人さん」
 人垣が見事に割れました。ロールさんの美しさに、皆さん近づくのも恐れ多いといった感じになっております。
 よい選択です。ワギョウの民よ。
 おかげで、むさ苦しさから開放されました。
 ――で、何をそんなに見ているのか。

 ――。

「花なんてないじゃないか」

「あのねピート君。花街ってね――」

「来たぞ!」
 ロールさんが何か言いそうだったけども、人垣の中から、誰かが大音声で周囲に伝える。
 何が来たんだい?

 ――――。

「ヒャッハー。ワギョウの美人様だ」
 赤い髪も目立つけどさ。バカみたいにテンションの高い声が更に目立つよ。
 恥ずかしいよ。同じつなぎを来てるから、仲間だと思われるよ。
 節操なく木にまで登ってさ…………。
 まあ、僕もロールさんも、髪の色が周囲と違うから、その時点で目立ってるんだろうけども――――。
 
 ――バカみたいにテンション上がるのも仕方が無いか――――。

「美人さんですね~」
 自分で目にして、整備長の喜びを理解する。
 変わった恰好してるけどね。歩き方も変だし。
 真っ白の化粧で、値の張りそうな髪留めをいくつか付けてます。半月状の頭飾り。ティアラに見えなくもない。
 それに――、けっこう大胆に胸の部分がはだけてるね。鎖骨が――――、エロい……。

「お姫様?」

「太夫の花魁道中ですね」
 花魁道中?
 ライゴウさん曰く。
 禿かむろ振袖新造ふりそでしんぞうなどと呼ばれる女性達を引き連れた最高位の太夫とよばれる女性が、馴染み客を迎えに出るために、豪勢に着飾って練り歩く行為だそうな。
 何だろうか、心なしかオブラートに包んでくれているような。
 僕が、何も知らないと思って心配りをしてくれてるのかな?
 最初の説明で、にたり顔だったライゴウさんと、整備長のあのバカなテンションから察すると――――、花街の花という単語は、大人の甘美なる物を含んだ響きでOK?
 とりあえず、ロールさんに目をやる。
 僕が理解したという表情を理解してくれたようで、心のOKに、恥じらいを見せながら頷いてくれた。
 その仕草だけで、僕は辛抱たまらんわけですが。
 遠くからこっちに近づいてくる美人に、目の前の美人。
 最高の眼福だ。
 
 なじみの客を迎えに行くって、えらく大仰だし、迎えに行った後はなにするんですかね。
 ――――頭の中が桃色に染まってしまう。
 よし! エロい顔にはならなかったぞ! この状況下でそんな表情を作ったら、ロールさんに怒られるからね。
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