拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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異文化

PHASE-11

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「で、なんであんな変な歩き方なんです?」
 話題をずらして、一呼吸入れよう。
 一歩一歩、円を描くように歩いています。
 変と言ってしまうと語弊か。
 色気を感じることが出来る歩き方と訂正しておこう。
 
 ――――高下駄を履いての外八文字と呼ばれる歩行だそうだ。
 しゃなりしゃなりと歩んでいく姿に、男性陣の目は大いに奪われております。ライゴウさんも見とれている。
 こうやって、目にする事だけでもありがたいそうだ。
 遊女だから――――、まあ俗に、春を鬻ぐ事を生業としているのだろう。
 社会的な地位からすると、低いというか、後ろ指を指されたりもするよね。決して、見下すわけではない。需要があるから、存在するわけだし。
 けども、こうも堂々と昼間から往来を練り歩いて、それを眺める人々というのも、知り得ない世界だから、ついて行けずに苦労している僕の脳。

「太夫になるためには美貌だけでなく、高い教養も必要なんです。そこいらの権力者が、権力を行使しても、太夫が気に入らなければ、それだけで相手にもされない。太夫に相手にされるという事は、それだけで名誉なんですよ。費用もしゃれになりませんがね」
 へ~。気高いんだな。
 美貌と知性か……。
 チラチラと隣に目を向けてしまう。

「なにかな?」
「いや~太夫になれるかなと」
「その時は、ピート君の相手はしてあげない」
「う……」
 そんな返し方をされるとは……、心臓を直接刺された気分だ……。
 
 ――――相手して欲しい。
 ついついロールさんに、目の前を通る太夫さんの鮮やかな着物を着てもらっての想像が、豊かに頭の中を巡っております。
 あはははは――――。
 なんて素敵なんだ。今から、寝床にダイブですよ――――。

「痛い!? 本当に痛い!!」

「目が覚めたかな?」
 ばっちり! 今回のは優しさがなかったよ。
 耳がもげるかと思うくらいに、引っ張られてしまった。
 涙目だよ。良いじゃないですか、トリップくらい。健全な男の子なんですから。
 
 ――――。
 
 未だに痛いよ……。
 異人街に到着。
 うむ、見慣れた感じの服装に建物だ。
 建物は、ワギョウの職人さんが無理して造ったって感じが見て取れる。煉瓦造りの建物の屋根には、和テイストな瓦が使用されてる。
 まあ、それでも、ここは先ほどまでとは違うね。
 ――落ち着く。



「宿の方はこの家屋をお使い下さい」

「え!? これをですか」
 良いのかな。こんなに至れり尽くせりで。
 平屋の一軒家。
 でも、三人だと広すぎるくらいだ。
 庭も広い。海も見渡せる高台。
 ちょっとしたお金持ちになった気分。古都のホテルを思い出す贅沢さ。

「風景を楽しみながら、酒を飲むには最高の場所だな」
「へ~景色を楽しみながらお酒飲むんですね。飲めればトイレの中でもいいのかと思ってましたよ」
「ハハハハ――なに? 喧嘩売ってる」
「いや、思った事を口にしただけですよ」
 笑顔。
 そしたら、整備長も笑顔――――。

 コノコノコノコノ! よくも船の中で僕の股間を見事に捉えてくれて! 油断しただけなんだからね!
 小競り合いが始まる。
 ほら、どうしたおっさん。その程度か。鍛える事を忘れ、酒に溺れた者に、僕が負けるわけがないのだ。
 投げ飛ばして、今度こそ僕の奥義である方面軍大移動ララパルーザを見舞ってくれる!
 相手は死ぬ!


「キョン!」

「あまいんだよ」
 くそ、一度ならず二度までも、僕の股間を狙ってくるとは。
 ていうか、それ卑怯だろ。狙うなよ。そこは狙っちゃいけないんだぞ。条約違反だ! 僕のご都合主義条約に違反だぞ!
 
 ――――そろそろ、眺めているお二人。止めませんか?

「いいんですか?」

「スキンシップです」
 ロールさん!? これ違いますから。ライゴウさんも納得しないの。
 二人が見届ける姿勢になると、整備長はニヤリと口角あげて、まだまだとばかりに続けてくる。
 ストンピングが地味に痛いんだよ。このおっさん!
 僕を踏んだ足が上がりそうなところで、仰向けになってから掴んで捻る。

「いててて」
 ヘイヘイヘイ、捻れば体はバランス崩して転びますわな。
 アキレス腱を両腕でロックじゃい!

「ギブギブギブ」
「ないんで。ギブなんて――――ないんで!」
「悪かったから」
「ないないないない」
 僕に敵うわけないでしょ。鍛え方が違うんだよ!
 これを機に、僕には親切丁寧な真人間になるといいですよ。

「はい、お終い」
 ちっ、女神に救われたか。今回はこのくらいで勘弁してやる。
 それと、僕の時には止めてくれなかったのに、おっさんでは止めるなんて……、ちょっと寂しい気持ちにもなった…………。
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