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異文化
PHASE-15
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「やっぱり気になるのか」
「なって……ないですよ」
「無理すんなよ」
ムキ――! 馬鹿にした顔を僕に向けるんじゃないよ! 黒光りのくせに!
ニヤニヤと笑いやがって。
「ん!?」
ニヤニヤから一瞬にして、強張った表情になり、構えつつ荷車から離れて距離を取るドレークさん。
なんだ? 何を感じ取った?
「大丈夫ですか?」
聞いた声。
快活の良い愛らしい声。
「サージャスさん!?」
「どうも。で――、この方に絡まれてたんですか?」
いやいや、違いますよ。絡まれてないです。おちょくられてたんです。
「知り合いですから。――――しかし、いつも唐突に現れますね」
僕が貸しているという事になっている漆黒の装備は傷も無く、大切に使ってくれてるみたいだね。
嬉しい限りだ。
「鋭い動きだな。お嬢ちゃん」
「すみません。無頼漢にピートさんが襲われてるのかと」
素直にすみませんと言う事はいい事ですが、どストレートに無頼漢とか、そっちの方が失礼だと思うんですけど。
最初みたいに絡まれたって言葉の方が、まだオブラートだと思うんですが……。
見て下さい。ドレークさんの眉尻が若干下がってますよ。平たく言うと落ち込みですよ。
「サージャスさん」
「どうも、ロールさん」
「おう、支払い順調?」
サージャスさんの登場に、整備局員が集まる。
整備長の質問には元気な首肯と共に順調だと伝えてくれる。
装備のおかげで、今まで以上に高い報酬のクエストをこなせるようになって、生活も普通になってきたそうだ。
よかった――――。
安定しているようで、その事が嬉しく笑顔を向けると、照れくさそうにはにかみで返してくれる。
かわいい――――。
「はっ!?」
横に首を動かせば、ロールさんがジト目で僕を見ています。
まるで、先ほどロールさんを囲んでいた商人さん達に向けていた僕の視線のようだ――――。嫉妬最高!
「サージャスって、サージャス・バレンタインかい?」
落ち込んでいたドレークさんが、確認と共に体を見回している。
ぱっと見、変態じゃないですか。やだ~。
ジロジロと見られて困りつつも、首を縦に振って応対すると、
「すげ~な! 王都城内での暴動を止めた勇者様か!」
でっかい体が、小さな体の両肩を掴んで、
「こんなに小柄なのにな!」
感心するように声を出すと、周囲も、サージャス・バレンタインと耳朶にした事で、ロールさんの時のように人垣ができはじめる。
凄い人気だ。強いだけでなく、小柄の美少女。しかも、魔術学都市クリネアの出自という事も相まって、憧れと、愛でる視線が織り交ざっている。
「試合で当たってみたいな」
「貴男も出るんですか?」
「おうよ! こう見えても、腕に覚えはあるからな」
「――確かに、かなりの使い手のようで」
体を見て、鍛え抜かれて無駄がない筋肉から、相当に腕が立つと認識したのか、サージャスさんはドレークさんの事を油断出来ない相手と記憶したみたいだ。
――――しかし、人の圧が凄いな。
美少女勇者様の登場で、試合前なのに熱気が濛々と立ち上がっているようだ。
それくらいの情熱を持ち合わせていないと、遠路はるばる島国までやってきて商売なんて出来ないか。商魂たくましい方々だから、イベント事には傾倒して、燃えるんだろうね。
「失礼。通ります」
むむ、なにやらまた聞いた声だ。
「あ、エルンさん」
ロールさんが手を振ってる。
それに反応した、スミー村のお上り勇者様が笑顔で手を振ってらっしゃる。
釣りバカさん達に続き、エルンさんとも親しくやり取り……。
僕が楽しくサージャスさんとやり取りしてる時の、ロールさんの気持ちが分かったような気がした。
反面、こんな風にヤキモチを焼いてくれてるのかと、心の中では小躍りもしてしまう。
まあ、この嫉妬という感情が、僕が思い描いたとおりの物ならば――――、だけど……。
ロールさん信じてますよ。貴女の抱く嫉妬を!
「どうも」
「こんにちは」
エルンさんに続いて、フィットさんも登場。
この大会に出たがっていたからね。気合いが入っています。
フィットさんに至っては、戦士職なのに、鎧がなんか違う。胴部分が甲冑武者みたいに変わってる。
「あれ、侍職に戻ったんですか?」
「ええ、今回を機に初心に戻ろうかと」
気合いを伝えるように、頭に巻いた鉢金の結び目を、ギュッと締め直している。
「どうも、サージャス・バレンタインです」
「噂は聞いています。エルン・フェクシスです。こちらがパーティーのフィット・マヘリアです」
お互いに頭を下げて挨拶。
実力ある勇者が二人揃っているってのはそれだけで豪勢だ。
――――まあ、ヴィン海域に行けば、勇者一行という名の戦闘廃人たちがかなりいますけども……、平時で実力あると限定すれば、これは貴重だ。
「残りのお二人は?」
エルンさんに、ミリ―さんとリムさんの事を窺うと、二人は試合前に敵情視察を行ってくると、ノリノリで出て行ったそうだ。用は、この島国の観光。
行動するにはいい時間だったから、観光に出た二人に続いて宿から出てみれば、この人垣に出くわしたとの事。
でもって、自分も人垣が出来る立ち位置になってしまったわけですか――。
どうも、起床してからゆっくりと街中を歩き回るにはいい時間帯のようで、商人さんとは服装――、というより、装備が違う方々が出歩き始めている。
流石に大会で戦う事になるからか、目と目が合えば、それだけでバチバチだ。
一帯にしじまが走る緊張感。
バチバチな状態が方々で発生しているからか、巻き添えはごめんと、人垣が少しずつ崩れ始め、往来がスムーズになっていく。
騒動を起こせば大会自体に参加できないこともあるからか、お互い手は出さないけども、目をそらせば負けるという思いがそうさせるのか、通り過ぎた後も、首を後方に向けながら睨み合いをしている。
不良に似た行動だな…………。
口論や手を出したり、周囲に迷惑をかける事までには発展しない。
まあ――――、そこは倫理を持った人たちのようだ。
「なって……ないですよ」
「無理すんなよ」
ムキ――! 馬鹿にした顔を僕に向けるんじゃないよ! 黒光りのくせに!
ニヤニヤと笑いやがって。
「ん!?」
ニヤニヤから一瞬にして、強張った表情になり、構えつつ荷車から離れて距離を取るドレークさん。
なんだ? 何を感じ取った?
「大丈夫ですか?」
聞いた声。
快活の良い愛らしい声。
「サージャスさん!?」
「どうも。で――、この方に絡まれてたんですか?」
いやいや、違いますよ。絡まれてないです。おちょくられてたんです。
「知り合いですから。――――しかし、いつも唐突に現れますね」
僕が貸しているという事になっている漆黒の装備は傷も無く、大切に使ってくれてるみたいだね。
嬉しい限りだ。
「鋭い動きだな。お嬢ちゃん」
「すみません。無頼漢にピートさんが襲われてるのかと」
素直にすみませんと言う事はいい事ですが、どストレートに無頼漢とか、そっちの方が失礼だと思うんですけど。
最初みたいに絡まれたって言葉の方が、まだオブラートだと思うんですが……。
見て下さい。ドレークさんの眉尻が若干下がってますよ。平たく言うと落ち込みですよ。
「サージャスさん」
「どうも、ロールさん」
「おう、支払い順調?」
サージャスさんの登場に、整備局員が集まる。
整備長の質問には元気な首肯と共に順調だと伝えてくれる。
装備のおかげで、今まで以上に高い報酬のクエストをこなせるようになって、生活も普通になってきたそうだ。
よかった――――。
安定しているようで、その事が嬉しく笑顔を向けると、照れくさそうにはにかみで返してくれる。
かわいい――――。
「はっ!?」
横に首を動かせば、ロールさんがジト目で僕を見ています。
まるで、先ほどロールさんを囲んでいた商人さん達に向けていた僕の視線のようだ――――。嫉妬最高!
「サージャスって、サージャス・バレンタインかい?」
落ち込んでいたドレークさんが、確認と共に体を見回している。
ぱっと見、変態じゃないですか。やだ~。
ジロジロと見られて困りつつも、首を縦に振って応対すると、
「すげ~な! 王都城内での暴動を止めた勇者様か!」
でっかい体が、小さな体の両肩を掴んで、
「こんなに小柄なのにな!」
感心するように声を出すと、周囲も、サージャス・バレンタインと耳朶にした事で、ロールさんの時のように人垣ができはじめる。
凄い人気だ。強いだけでなく、小柄の美少女。しかも、魔術学都市クリネアの出自という事も相まって、憧れと、愛でる視線が織り交ざっている。
「試合で当たってみたいな」
「貴男も出るんですか?」
「おうよ! こう見えても、腕に覚えはあるからな」
「――確かに、かなりの使い手のようで」
体を見て、鍛え抜かれて無駄がない筋肉から、相当に腕が立つと認識したのか、サージャスさんはドレークさんの事を油断出来ない相手と記憶したみたいだ。
――――しかし、人の圧が凄いな。
美少女勇者様の登場で、試合前なのに熱気が濛々と立ち上がっているようだ。
それくらいの情熱を持ち合わせていないと、遠路はるばる島国までやってきて商売なんて出来ないか。商魂たくましい方々だから、イベント事には傾倒して、燃えるんだろうね。
「失礼。通ります」
むむ、なにやらまた聞いた声だ。
「あ、エルンさん」
ロールさんが手を振ってる。
それに反応した、スミー村のお上り勇者様が笑顔で手を振ってらっしゃる。
釣りバカさん達に続き、エルンさんとも親しくやり取り……。
僕が楽しくサージャスさんとやり取りしてる時の、ロールさんの気持ちが分かったような気がした。
反面、こんな風にヤキモチを焼いてくれてるのかと、心の中では小躍りもしてしまう。
まあ、この嫉妬という感情が、僕が思い描いたとおりの物ならば――――、だけど……。
ロールさん信じてますよ。貴女の抱く嫉妬を!
「どうも」
「こんにちは」
エルンさんに続いて、フィットさんも登場。
この大会に出たがっていたからね。気合いが入っています。
フィットさんに至っては、戦士職なのに、鎧がなんか違う。胴部分が甲冑武者みたいに変わってる。
「あれ、侍職に戻ったんですか?」
「ええ、今回を機に初心に戻ろうかと」
気合いを伝えるように、頭に巻いた鉢金の結び目を、ギュッと締め直している。
「どうも、サージャス・バレンタインです」
「噂は聞いています。エルン・フェクシスです。こちらがパーティーのフィット・マヘリアです」
お互いに頭を下げて挨拶。
実力ある勇者が二人揃っているってのはそれだけで豪勢だ。
――――まあ、ヴィン海域に行けば、勇者一行という名の戦闘廃人たちがかなりいますけども……、平時で実力あると限定すれば、これは貴重だ。
「残りのお二人は?」
エルンさんに、ミリ―さんとリムさんの事を窺うと、二人は試合前に敵情視察を行ってくると、ノリノリで出て行ったそうだ。用は、この島国の観光。
行動するにはいい時間だったから、観光に出た二人に続いて宿から出てみれば、この人垣に出くわしたとの事。
でもって、自分も人垣が出来る立ち位置になってしまったわけですか――。
どうも、起床してからゆっくりと街中を歩き回るにはいい時間帯のようで、商人さんとは服装――、というより、装備が違う方々が出歩き始めている。
流石に大会で戦う事になるからか、目と目が合えば、それだけでバチバチだ。
一帯にしじまが走る緊張感。
バチバチな状態が方々で発生しているからか、巻き添えはごめんと、人垣が少しずつ崩れ始め、往来がスムーズになっていく。
騒動を起こせば大会自体に参加できないこともあるからか、お互い手は出さないけども、目をそらせば負けるという思いがそうさせるのか、通り過ぎた後も、首を後方に向けながら睨み合いをしている。
不良に似た行動だな…………。
口論や手を出したり、周囲に迷惑をかける事までには発展しない。
まあ――――、そこは倫理を持った人たちのようだ。
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