拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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PHASE-17

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 ――――どうしよう、ドキドキする。ドキドキするよ。
 
 とりあえず、昨日の整備長みたいに、庭先の椅子に座って準備しとくか。
 切子グラスと、お酒だな。
 冷やせばいいのか。
 バタバタである。とにかく、最高の湯上がりを与えなければならない使命感。
 

 ――――あ~。緊張する。二人っきりになれたとはいえ、このおいしい状況の急な訪れに極度の重圧。
 今日は先にお風呂いただいたからね。時間はあるけども、心にゆとりがない。
 へたれなのは、僕が恋愛経験がないお子様だからか……。
 
 リー、リーって、虫の心地の良い鳴き声だけが耳朶に届く――――。
 
 その音色の中で、急にカチャリと人工的な音が混ざる事で、僕の鼓動は一気に速くなった。変な呼吸になっているが、そこは頑張って整えようじゃないか。

「いいお湯でした」

「どうじょ、こちらへ」

「どうじょなんだ」
 くそ、変なところで噛んでしまった……。
 昨日に続いて浴衣姿が色っぽい。
 それに髪型も違うし。

「どう? 似合う」
 視線がそこに向かってたから、聞かれてしまった。

「とてもお似合いです」
 浴衣に合うように、ワギョウスタイルを真似て、後頭部で髪をまとめている。
 プリンセスアップに似た髪型。

「ありがとう。整備長は?」

「あの方は、夜の街に消えていきました」

「そうなんだ……羽目を外さないといいけど」
 そりゃ無理だ。度が過ぎた行為で後悔するタイプだもの。
 
 庭先の椅子に座って、夕涼み。

「どうぞ」

「ありがとう」
 ひんやりとした酒瓶を手にして、グラスに注ぐ。
 量はなみなみと注げばいいのかな?

「入れるね~」
 注ぎすぎだったようだ……。
 でも、それをクピクピと飲んでいきます。いい飲みっぷりに見惚れてしまう。

「もういっぱい」
 昨日はこうやって、飲んだ後に整備長が直ぐに注いでたから、それを模倣してみる。あれ? もう一献って言うんだったかな?

「こんなにたくさん飲ませてどうするつもりかな~」
 何もしませんよ、ナニも……。
 やだな~。酔わせてからの先なんて、画策してませんよ。
 そもそもロールさん、どれだけ飲んでも酔わないじゃないですか。変なことを言わないでくださいよ~。
 発言を耳にすると、手が自分でも驚くくらいに震えている。
 動揺――、動揺なのである。
 ロールさんが手にするグラスと、僕の手にする酒瓶が、震えによって小刻みに当たって、キンキンといい音色を奏でるじゃないですか。

「変な事を考えてたんだ」
 いたずらじみた表情で、僕の顔を覗き込んでくる。

「考えてないですよ~」
 美人様の顔が急接近で、僕の心臓が高速稼働して、そのまま死んでしまいそうなんですが……。

「ピート君。あっぷあっぷしてる時って、可愛いよね」
 はわわわわわわ……。可愛いって言われた。
 天にも昇る気分だ。笑顔で可愛いって美人様に言われました。最高だ! モテ期万歳!! 僕のこの幸せを世界の方々にも分けてあげたい。
 ――――けども、こういう事に免疫のない僕としては、緊張で喉がカラカラだよ。
 全く参ったね……。
 もっと、こう――、男として余裕のある存在になりたいもんだよ。

「ちょっと!?」
 どうしました? そんなに焦った顔をして?
 
 ――……まっず…………。
 これは……、酒か……。
 なんてベタベタな……。緊張から、手にしていた酒瓶を口にするなんて。
 しかも――、グビグビと飲んでさ。
 まずい……。しかし、まずい…………。こんなもんをなんでロールさんも整備長もおいしそうに飲むの? 理解に苦しむよ。
 喉が熱いし、クラクラしてきたよ。
 
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