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ITADAKI-頂-
PHASE-12
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サージャスは笑みで手を振ると、ピート達に背を見せる。
次に備えて、闘う者の目に戻り、勝ち上がってきて、自分と相対するであろう者たちの試合を監察する為に、闘技場の隅に移動する。
* *
「いや~危なかった」
「無茶しすぎだよ」
「ついつい興奮してしまいましてね。応援に熱が入ると、冷めるのも時間がかかるもんですね」
そのおかげで背に感じた柔らかくも弾き返してくるような弾力を堪能出来たのは僥倖だった。怪我の功名とは正にこのこと。
こんなおいしい思いが出来るなら、何度だって欄干を乗り越えますよ。
乗り越えた先のアルカディアの為にね。その為なら危険行為も容易いさ。代償としては安くつく。
だってそうだろ? 代償は女神のおっぱいだぜ。
「調子のんなよ」
はいはい、嫉妬お疲れ様です。
分かりますよ。僕だって朴念仁じゃない。その対極にいる存在ですからね。
ロールさんに抱きしめられた事で、ついつい顔がけしからんものになったし。
サージャスさんがそれを目にして、ヤキモチ焼いてた事も重々承知してます。
それらをばっちり目にしたのが僕だけでなく、貴男も見てたという事も理解してますよ――。整備長殿。
僕ばかりがモテて、面白くないんでしょ?
すみませんね。
でも――、貴男だって昨晩は良い思いしたんじゃないんですか? お金を払って、美しい女性にあんな事こんな事、いっぱいサービスしてもらったんですよね?
じゃあ、いいじゃないですか。
まあ、僕は、お金なんか使わずに、そういう大切な行為は卒業してみせますから。
僕は貴男と違って――――、モテるんで。
バチバチとした視線を向けてくるので、余裕の笑みで見下してやった。
――――。
「四回戦、始まりますよ」
サージャスさん。同じ黒色胴着のブロックでは、フィットさんが最も脅威であった存在だったと思わせるくらいに、次なる相手は、サージャスさんの一刀のもとに叩き伏せられた。
心なしか、倒れている方の表情は大満足といったようなもので、口角を上げて気を失っていた。
強者と自分の差を分からせてもらった感謝の笑みだったのかもしれない。
完勝に対して、今となっては物静かに見物するスタイルは何処へいったのかと言わんばかりに、サージャスさんには、大きな賞賛の声が送られた。
ドレークさんも試合の度に、霹靂のような、空気を震わせる声を上げつつ、相手を場外に叩き落としていく豪快な終わらせ方が、見ている者の気分を高揚させるようで、サージャスさんに負けないくらいの歓声を全身に浴びていた。
何とも気持ちよさそうだ。闘技場に立って、勝利したものだけが味わえる快感だな。
僕も味わってみたいな。
会場全体が熱い戦闘にヒートアップして、応援を行っていた――――。
でも――――、それが静まりかえる事になる。
「嘘だ……」
「ありゃ強いな……」
エルンさんが四回戦で当たった、ムツ・ノリムネ氏。
サージャスさんとフィットさんと並ぶ好カードであったけども、試合中は終始、観衆はしじまに支配されてしまった。
試合が始まるまでは割れんばかりの大歓声だったのが、嘘のようだった。
その殆どの歓声が、自国のムツ氏に対するもの。
アウェイの洗礼を思いっ切り受けてしまったエルンさん。
それでも開始となれば、二人が発する闘気に当てられたのか、ピタリと歓声が止むんだから、二人の闘気は常人には脅威だ。
個人的に常人が闘気を当てられれば、倒れてしまう凶器ともなるかもしれない。
双方の木剣、木刀の重なり合う音は一度も奏でられる事は無く、他の試合の方々が奏でる音だけが耳朶に届いた。
あっても、木剣、木刀を振る時の風切り音くらいのものだった――――。
「結局、エルンさんの木剣は一度も相手に触れる事も無く、負けちゃったね……」
残念な声だ。まるで自分の事のように悔しがっているロールさん。
心なしか、サイドテールが項垂れているようにも見える。
「とはいえ、互角であったのは確かですよ」
ムツ氏だって自分の攻撃が容易く当たらず、最終的には膝を付いて、肩で息をするほどの疲労に襲われていたのだから。
辛勝なのは誰が見ても明らかだった。
あまりにも静かな戦いだったから、サージャスさんやドレークさんに比べて、見応えが無かったようにも思われていたかもしれないけど、実際は跳んで、走り回っての、派手な動きもあって凄い戦闘だったんだけどね――。
音の無さが、その派手さを相殺してしまっていたね。
――。
「ムツ・ノリムネの戦いはご覧に?」
建具を開いて入室しての開口一番がこの台詞。
ライゴウさんが戻ってきた。
次に備えて、闘う者の目に戻り、勝ち上がってきて、自分と相対するであろう者たちの試合を監察する為に、闘技場の隅に移動する。
* *
「いや~危なかった」
「無茶しすぎだよ」
「ついつい興奮してしまいましてね。応援に熱が入ると、冷めるのも時間がかかるもんですね」
そのおかげで背に感じた柔らかくも弾き返してくるような弾力を堪能出来たのは僥倖だった。怪我の功名とは正にこのこと。
こんなおいしい思いが出来るなら、何度だって欄干を乗り越えますよ。
乗り越えた先のアルカディアの為にね。その為なら危険行為も容易いさ。代償としては安くつく。
だってそうだろ? 代償は女神のおっぱいだぜ。
「調子のんなよ」
はいはい、嫉妬お疲れ様です。
分かりますよ。僕だって朴念仁じゃない。その対極にいる存在ですからね。
ロールさんに抱きしめられた事で、ついつい顔がけしからんものになったし。
サージャスさんがそれを目にして、ヤキモチ焼いてた事も重々承知してます。
それらをばっちり目にしたのが僕だけでなく、貴男も見てたという事も理解してますよ――。整備長殿。
僕ばかりがモテて、面白くないんでしょ?
すみませんね。
でも――、貴男だって昨晩は良い思いしたんじゃないんですか? お金を払って、美しい女性にあんな事こんな事、いっぱいサービスしてもらったんですよね?
じゃあ、いいじゃないですか。
まあ、僕は、お金なんか使わずに、そういう大切な行為は卒業してみせますから。
僕は貴男と違って――――、モテるんで。
バチバチとした視線を向けてくるので、余裕の笑みで見下してやった。
――――。
「四回戦、始まりますよ」
サージャスさん。同じ黒色胴着のブロックでは、フィットさんが最も脅威であった存在だったと思わせるくらいに、次なる相手は、サージャスさんの一刀のもとに叩き伏せられた。
心なしか、倒れている方の表情は大満足といったようなもので、口角を上げて気を失っていた。
強者と自分の差を分からせてもらった感謝の笑みだったのかもしれない。
完勝に対して、今となっては物静かに見物するスタイルは何処へいったのかと言わんばかりに、サージャスさんには、大きな賞賛の声が送られた。
ドレークさんも試合の度に、霹靂のような、空気を震わせる声を上げつつ、相手を場外に叩き落としていく豪快な終わらせ方が、見ている者の気分を高揚させるようで、サージャスさんに負けないくらいの歓声を全身に浴びていた。
何とも気持ちよさそうだ。闘技場に立って、勝利したものだけが味わえる快感だな。
僕も味わってみたいな。
会場全体が熱い戦闘にヒートアップして、応援を行っていた――――。
でも――――、それが静まりかえる事になる。
「嘘だ……」
「ありゃ強いな……」
エルンさんが四回戦で当たった、ムツ・ノリムネ氏。
サージャスさんとフィットさんと並ぶ好カードであったけども、試合中は終始、観衆はしじまに支配されてしまった。
試合が始まるまでは割れんばかりの大歓声だったのが、嘘のようだった。
その殆どの歓声が、自国のムツ氏に対するもの。
アウェイの洗礼を思いっ切り受けてしまったエルンさん。
それでも開始となれば、二人が発する闘気に当てられたのか、ピタリと歓声が止むんだから、二人の闘気は常人には脅威だ。
個人的に常人が闘気を当てられれば、倒れてしまう凶器ともなるかもしれない。
双方の木剣、木刀の重なり合う音は一度も奏でられる事は無く、他の試合の方々が奏でる音だけが耳朶に届いた。
あっても、木剣、木刀を振る時の風切り音くらいのものだった――――。
「結局、エルンさんの木剣は一度も相手に触れる事も無く、負けちゃったね……」
残念な声だ。まるで自分の事のように悔しがっているロールさん。
心なしか、サイドテールが項垂れているようにも見える。
「とはいえ、互角であったのは確かですよ」
ムツ氏だって自分の攻撃が容易く当たらず、最終的には膝を付いて、肩で息をするほどの疲労に襲われていたのだから。
辛勝なのは誰が見ても明らかだった。
あまりにも静かな戦いだったから、サージャスさんやドレークさんに比べて、見応えが無かったようにも思われていたかもしれないけど、実際は跳んで、走り回っての、派手な動きもあって凄い戦闘だったんだけどね――。
音の無さが、その派手さを相殺してしまっていたね。
――。
「ムツ・ノリムネの戦いはご覧に?」
建具を開いて入室しての開口一番がこの台詞。
ライゴウさんが戻ってきた。
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