拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ITADAKI-頂-

PHASE-29

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「ふぅ~」

「大きなため息ですね」

「ピートさん!」
 驚きの表情。
 素人の僕に指呼の距離まで接近されても気付かないとは……、追い込まれてるな~。

「激励に来ました」

「ありがとうございます」
 黒い胴着で、会場の人目のつかない日陰にいるもんだから、探すのに苦労した。
 
 正座スタイル。――――あれ? これ、もしかして精神統一してたかな。

「お邪魔でしたか?」

「全然。全く問題ないです」
 ピョンと跳ねるように立ち上がる姿が何とも愛らしいじゃないかね。

「何か飲み物いります?」
 うむ――。本来なら、こんな事を言うのではなく。ここに来た時点で飲み物を持参してこそ出来る男なんだろうな。
 王都に帰ったらゲイアードさんに師事して下さいと、頭を下げよう。

「お水を飲んだので」

「そうですか……」
 只だもんね……。少しは余裕も出てきただろうから、売店なんかで買えばいいのに。財布の紐はガッチガチですね。
 気負ってないかな? 心配だ。強い瞳だけど、表情が強張って緊張してるのは分かる。

「正々堂々」
 主語が無かったから疑問符だったけど、直ぐに理解。

「別に回復してあげる事もなかったのに……というのが、個人的な意見なんですけどね」

「あまいですかね」

「あまいですね」
 あ……なんだろう。僕に言われるのは嫌だったのかな? ふさぎ込んでしまった。
 自分のあまさ加減が原因でもあるから、違反金を背負い込む事にもなったようなものだし。
 相手に塩を送る行為で、不利になるという事は理解してはいるんだね~。

「まあ、サージャスさんは戦士や剣士じゃないですからね」

「はあ――」
 起こした顔で僕を見る。
 アメジストの瞳の美しさ。世のどの紫水晶よりも美しい瞳だ。
 見つめられるだけで、美しさにあてられて、仰け反りそうになる。
 それに耐えつつ――、
「勇者なんですからね。勇者はどんな時も悪に挫けず、困った人々に手をさしのべる。それが勇者然たる対応ですもんね」
 だからこそ、二人を無償の行為で救うわけだし。

「はい!」
 うむ、快活のよいものだ。
 僕の勝手な思い込みかもしれないけども、強張った表情が幾分かほぐれた感じがする。

「いつも――――ありがとうございます」
 なんだろう。また顔を伏せましたよ。
 さっきのふさぎ込みとは違う気がする。よく見れば、耳がほんのりと朱色になってるよ。
 あれ!? これって僕に――、あれ、これマジなやつか。
 二人っきりだぞ。しかも人目のつかない日陰だぞ。
 
 なんだ? この不思議な感覚は――――、
 雑多な音は聞こえてるんだけども、遠くで聞こえているような感覚だ。はっきりと聞こえるのは、サージャスさんの細かな動きが原因での、胴着の発する衣擦れの音。
 何となくは分かってた。好感が高いのが、尊敬とかじゃなく、恋心的なものなんじゃないだろうかと……。
 これ、今から告白とかされてもおかしくない状況ですよね。
 お礼の後に、【実はボク――――】的な! そんな台詞が脳内で再生されます。
 どうしよう、そんな事をもし言われたら、僕は一発でOK出しちゃいますよ。
 でもそうなると、ロールさんとの関係も……。
 ――――凄いよね~。まだそうとは決まってないのに。この勝ち組的な思考。
 調子に乗って、【選ぶのが辛い】や【モテない男が羨ましい】などを口にしたら、世の男性陣から殺されるよね。
 だって、逆なら僕は可及的速やかに状況ころしを開始するもの。
 
 まあ、落ち着こう。まだそうと決まったわけではないのだ。
 足下すくわれるのは嫌だと、常に思っているじゃないか――――。

「雪風、時雨。手にして下さい」
 と、試合の内容で話を展開してみる。
 がわから攻めるんだよ。がわから。
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