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ITADAKI-頂-
PHASE-36
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後退、後退、後退の連続――――。
今までに経験のない行為。
「煩わしいな」
「賞賛と受け取ります」
「生意気を通り越して、気分がいい」
乱れた総髪に対して、短い亜麻色の髪を軽快に揺らしつつも、アメジストの瞳は常に標的を捉えて離さない。
その姿は捕食者そのもの。
「これから、これから」
足のがくつきが回復したところで、次の動きに出るサージャスに対して口を開いて、横一文字で牽制。
サージャスは足を止める事なく跳躍で軽々と躱して、身をよじってから空中でムツに斜からの打ち下ろし。
いなしてから、次にくる蹴撃を左腕で払いのける。
「まったく、軽量なのに重い蹴りだ。見た目と違って体重があるのかな?」
「失礼な! 標準より軽いくらいですよ!」
そこは女性。体重の事を言われれば、頬を膨らませる。
左手の痛みは何処とばかりの怒った表情に、ムツは思わず失笑。
その笑いに対し、
「本当に失礼ですね」
気色ばみつつ足が地に着いたと同時に攻めるサージャス。
常に動き続ける持久力がその小柄な体のどこにあるのか。恐れ入ると、足の感覚を確認しながら負けじと動き回るムツ。
「はあっ」
蹴撃で加速させた斬撃をムツへと――――、
「!?」
――だが、それを中断。
弓なりになって体を反らすサージャス。そのまま後方転回につなげて後ろへ移動。
「絶影でしったっけ?」
「手の内を知られると、やはり不利になるな」
「ドレークさんに感謝です」
後手でも先手の者より早く攻撃を見舞う神速の攻撃。
攻めにくいとばかりにサージャスは今までの活発さから緩やかな動きへと変更して、一定の距離をとる。
(こまったな~)
心底で呟きつつ、炎天下の中に吹く涼を与えてくれる風を受けつつ、同じように涼を受けて揺れる総髪の男を眺めながら、どう攻めるかを熟考する。
魔法ありきなら周囲の物を操ったり、魔法で直接攻撃すれば、絶影は脅威ではないが、刀剣同士のみの戦いとなると、あのカウンターを攻略するのは難儀であると舌なめずり。
(あれより早く動く……)
一撃目を打ち込み、絶影なるカウンターを誘発させたら、それ以上の速さで二撃目を打ち込む。
カウンターのカウンターで対応――――。
(それは無理か)
首を左右に振って現実的ではないとその案を破棄する。
自分が魔法剣や、チャクラと魔法を融合させる研鑽を積んでいる間に、眼界の人物は剣術に心血を注いできている。
一長一短であのカウンターに挑むのは無謀と判断。
(ふう……痛い…………)
色々と考えて紛らわせているが、時間の経過と共に左手の腫れは治まる事なく進行。
ズキズキと体中に痛みが伝播。じっとりとした脂汗は止まる事はない。
左手は今では拳を作る事も出来ない。
痛みを誤魔化すように、右手に持った木刀をゆっくりと胸の高さまで上げ、ムツへと切っ先を向ける。
「動かないんですか?」
「打ち込んでこないのかな?」
始まった時とは違い、サージャスの方から促す。
だがムツは不動の姿勢。
どうしても、サージャスに先手を与えたいようである。
ならば――――と、
大きな呼気を一つ行って、身を低くし床を削るような勢いで足を踏みだし、左手が使えない分、腰をよじらせ回転を加える事で、斬撃の威力と速度を上げ、そこに峰に見舞う蹴撃を足して、更に威力を加算させる。
今までで最高の一撃と自負。
ムツもこれを見舞われればただでは済まないと、腰を落として居合いの構えを取ると――――、観衆から見れば、手だけを振るように動かす所作。
その瞬間サージャスの姿勢が崩れ、床へと滑り倒れる。
決まったか。と、確認しようとするモンジに、
「「まだ!」」
と、双方から確認不要の発言。
了承したと大きく頷き、歩みを中止。
「紙一重」
「いえ……そうでもないです」
サージャスの右の額がぱっくりと切れており、鮮血が流れる。
左手に続き、自らの血で、右の視界が奪われてしまう。
サージャス渾身の一撃も、目にも留まらぬムツの絶影による抜刀術の前に、不発に終わる。
今までに経験のない行為。
「煩わしいな」
「賞賛と受け取ります」
「生意気を通り越して、気分がいい」
乱れた総髪に対して、短い亜麻色の髪を軽快に揺らしつつも、アメジストの瞳は常に標的を捉えて離さない。
その姿は捕食者そのもの。
「これから、これから」
足のがくつきが回復したところで、次の動きに出るサージャスに対して口を開いて、横一文字で牽制。
サージャスは足を止める事なく跳躍で軽々と躱して、身をよじってから空中でムツに斜からの打ち下ろし。
いなしてから、次にくる蹴撃を左腕で払いのける。
「まったく、軽量なのに重い蹴りだ。見た目と違って体重があるのかな?」
「失礼な! 標準より軽いくらいですよ!」
そこは女性。体重の事を言われれば、頬を膨らませる。
左手の痛みは何処とばかりの怒った表情に、ムツは思わず失笑。
その笑いに対し、
「本当に失礼ですね」
気色ばみつつ足が地に着いたと同時に攻めるサージャス。
常に動き続ける持久力がその小柄な体のどこにあるのか。恐れ入ると、足の感覚を確認しながら負けじと動き回るムツ。
「はあっ」
蹴撃で加速させた斬撃をムツへと――――、
「!?」
――だが、それを中断。
弓なりになって体を反らすサージャス。そのまま後方転回につなげて後ろへ移動。
「絶影でしったっけ?」
「手の内を知られると、やはり不利になるな」
「ドレークさんに感謝です」
後手でも先手の者より早く攻撃を見舞う神速の攻撃。
攻めにくいとばかりにサージャスは今までの活発さから緩やかな動きへと変更して、一定の距離をとる。
(こまったな~)
心底で呟きつつ、炎天下の中に吹く涼を与えてくれる風を受けつつ、同じように涼を受けて揺れる総髪の男を眺めながら、どう攻めるかを熟考する。
魔法ありきなら周囲の物を操ったり、魔法で直接攻撃すれば、絶影は脅威ではないが、刀剣同士のみの戦いとなると、あのカウンターを攻略するのは難儀であると舌なめずり。
(あれより早く動く……)
一撃目を打ち込み、絶影なるカウンターを誘発させたら、それ以上の速さで二撃目を打ち込む。
カウンターのカウンターで対応――――。
(それは無理か)
首を左右に振って現実的ではないとその案を破棄する。
自分が魔法剣や、チャクラと魔法を融合させる研鑽を積んでいる間に、眼界の人物は剣術に心血を注いできている。
一長一短であのカウンターに挑むのは無謀と判断。
(ふう……痛い…………)
色々と考えて紛らわせているが、時間の経過と共に左手の腫れは治まる事なく進行。
ズキズキと体中に痛みが伝播。じっとりとした脂汗は止まる事はない。
左手は今では拳を作る事も出来ない。
痛みを誤魔化すように、右手に持った木刀をゆっくりと胸の高さまで上げ、ムツへと切っ先を向ける。
「動かないんですか?」
「打ち込んでこないのかな?」
始まった時とは違い、サージャスの方から促す。
だがムツは不動の姿勢。
どうしても、サージャスに先手を与えたいようである。
ならば――――と、
大きな呼気を一つ行って、身を低くし床を削るような勢いで足を踏みだし、左手が使えない分、腰をよじらせ回転を加える事で、斬撃の威力と速度を上げ、そこに峰に見舞う蹴撃を足して、更に威力を加算させる。
今までで最高の一撃と自負。
ムツもこれを見舞われればただでは済まないと、腰を落として居合いの構えを取ると――――、観衆から見れば、手だけを振るように動かす所作。
その瞬間サージャスの姿勢が崩れ、床へと滑り倒れる。
決まったか。と、確認しようとするモンジに、
「「まだ!」」
と、双方から確認不要の発言。
了承したと大きく頷き、歩みを中止。
「紙一重」
「いえ……そうでもないです」
サージャスの右の額がぱっくりと切れており、鮮血が流れる。
左手に続き、自らの血で、右の視界が奪われてしまう。
サージャス渾身の一撃も、目にも留まらぬムツの絶影による抜刀術の前に、不発に終わる。
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