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ITADAKI-頂-
PHASE-37
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「これは無理っぽいかな……」
小声で独白。ムツには顎に一撃見舞っているが、決定打に繋げるまでには至らなかった。
くらべて、こちらは左手と右目が使い物にならない。
まだと口にはしてみたが、圧倒的に不利な状況。
「続けるか?」
問いかけるムツ。
「もちろん」
と返す。
ならばと、ムツも今一度、覚悟を決める。
今立つ場が、死屍累々の戦場だとすり込ませ、自分に足りない部分である非情さを体に纏わせ、左手を潰した時の酷薄さを心に宿らせる。
木刀を腰に収めると、その場で軽快に跳躍を行いながら、
「よき相手であった。魔法だけでなく、剣に体術と、若くでここまで磨き上げているのは稀。これが闘技場ではなく、戦場ならば、小生はサージャス殿の足下にも及ばぬ存在。敬愛し、見上げるだけであっただろうな」
「まだ終わりもしてないのに、喋々と締めの挨拶ですか」
決着もついていない状況。サージャスは馬鹿にされているのかと、怒りの感情がわき出しているようで、切れた右の額から感情と比例して流血の量が増す。
「ふぅ――――」
それを堰き止めるように呼気と共に怒気を吐き出し、やおら瞳を閉じてから――、開く。
対峙している状況下でその行為は隙を与えるからよくないとは思っているが、それ以上に荒れた感情のまま対峙する方が危険と判断しての精神統一行為であった。
「終わらせるよ。すまないが、こちらもとっておきだ」
「ドレークさんの時に比べたら、まだまだダメージは蓄積されてないはずですけど」
「あの御仁もやり手だが、君に対しての方が、小生は余裕がない」
早く決着をつけなければと思うのは、サージャスの成長の伸びしろが、自分の比ではないと痛感させられているからである。
臨機応変に、斬撃と蹴撃の複合。抜群の剣技と体術。本来ならこれに魔法を加える事で本物の実力となる。
この試合中に更なる進化をとげてしまえば、自分の勝機が失われてしまう。
そうなる前に――、
「終わらせる」
軽い跳躍をやめ、緩やかに体を動かしながら身を低くする。
猫科が狩りを行うくらいの低さ。
「切り札である絶影が後手でも先手が取れるのならば」
「ならば?」
「先の先をとるのがこの技」
「受けてみないと、いまいち理解出来ないようですね」
「心配無用。小生も理解出来ていないまま使用する。つまりは未完の技」
「未完ですか」
「さよう。しかし現状で小生の奥の手――――」
笑みを見せると、低くした体勢のままムツが動く。
――――動体視力ならば自信があったサージャスが、その動きを捉えられないでいた。
サージャスでそれである。一般的な会場にいる観衆からすれば、ムツは急に闘技場から消えたとしか思えなかった。
音もなく姿が消えた次の瞬間、サージャスは宙を舞い、彼女が立っていた付近にはムツが消えた時の姿勢で姿を現した。
違いがあるとすれば、腰に収めていた木刀が振り切られていた事だった。
何が起こったのかすら分からないまま意識をなくすサージャス。
なくしたからこそ、受け身を取る事も出来ずに床に落ちる。
まるで、子供が手にした人形が地に落ちたかのような落ち方。
遅れて額から飛び散った鮮血がパタパタと床に付着し、大小不規則な赤い花を咲かせる。
「徒花ではない。この敗戦は君にとって経験として残り、それは実を結び、大輪として開花するだろう」
横たわる少女の側に立ち、血の花に目を向け語るムツ。
小声で独白。ムツには顎に一撃見舞っているが、決定打に繋げるまでには至らなかった。
くらべて、こちらは左手と右目が使い物にならない。
まだと口にはしてみたが、圧倒的に不利な状況。
「続けるか?」
問いかけるムツ。
「もちろん」
と返す。
ならばと、ムツも今一度、覚悟を決める。
今立つ場が、死屍累々の戦場だとすり込ませ、自分に足りない部分である非情さを体に纏わせ、左手を潰した時の酷薄さを心に宿らせる。
木刀を腰に収めると、その場で軽快に跳躍を行いながら、
「よき相手であった。魔法だけでなく、剣に体術と、若くでここまで磨き上げているのは稀。これが闘技場ではなく、戦場ならば、小生はサージャス殿の足下にも及ばぬ存在。敬愛し、見上げるだけであっただろうな」
「まだ終わりもしてないのに、喋々と締めの挨拶ですか」
決着もついていない状況。サージャスは馬鹿にされているのかと、怒りの感情がわき出しているようで、切れた右の額から感情と比例して流血の量が増す。
「ふぅ――――」
それを堰き止めるように呼気と共に怒気を吐き出し、やおら瞳を閉じてから――、開く。
対峙している状況下でその行為は隙を与えるからよくないとは思っているが、それ以上に荒れた感情のまま対峙する方が危険と判断しての精神統一行為であった。
「終わらせるよ。すまないが、こちらもとっておきだ」
「ドレークさんの時に比べたら、まだまだダメージは蓄積されてないはずですけど」
「あの御仁もやり手だが、君に対しての方が、小生は余裕がない」
早く決着をつけなければと思うのは、サージャスの成長の伸びしろが、自分の比ではないと痛感させられているからである。
臨機応変に、斬撃と蹴撃の複合。抜群の剣技と体術。本来ならこれに魔法を加える事で本物の実力となる。
この試合中に更なる進化をとげてしまえば、自分の勝機が失われてしまう。
そうなる前に――、
「終わらせる」
軽い跳躍をやめ、緩やかに体を動かしながら身を低くする。
猫科が狩りを行うくらいの低さ。
「切り札である絶影が後手でも先手が取れるのならば」
「ならば?」
「先の先をとるのがこの技」
「受けてみないと、いまいち理解出来ないようですね」
「心配無用。小生も理解出来ていないまま使用する。つまりは未完の技」
「未完ですか」
「さよう。しかし現状で小生の奥の手――――」
笑みを見せると、低くした体勢のままムツが動く。
――――動体視力ならば自信があったサージャスが、その動きを捉えられないでいた。
サージャスでそれである。一般的な会場にいる観衆からすれば、ムツは急に闘技場から消えたとしか思えなかった。
音もなく姿が消えた次の瞬間、サージャスは宙を舞い、彼女が立っていた付近にはムツが消えた時の姿勢で姿を現した。
違いがあるとすれば、腰に収めていた木刀が振り切られていた事だった。
何が起こったのかすら分からないまま意識をなくすサージャス。
なくしたからこそ、受け身を取る事も出来ずに床に落ちる。
まるで、子供が手にした人形が地に落ちたかのような落ち方。
遅れて額から飛び散った鮮血がパタパタと床に付着し、大小不規則な赤い花を咲かせる。
「徒花ではない。この敗戦は君にとって経験として残り、それは実を結び、大輪として開花するだろう」
横たわる少女の側に立ち、血の花に目を向け語るムツ。
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