拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ITADAKI-頂-

PHASE-53

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 ――――。
 
 本日は大人数。流石に屋台では窮屈だと、異人街に移動してからのお食事会。
 僕としては、あの窮屈さが好きだったんだけど。横は女性限定だけどね。

 ――豪壮な場所ではないけど、おもむきのある煉瓦造りの建物に、落ち着きのある木目調づくりの店内。
 親しみやすい造りだ。
 お奉行様は質素な所がお好きなようだ。倹約家なのはいい事だ。

 ――。

「美味しいな~」
 安くて美味しいなら問題はない。むしろ得した気分になる庶民な僕。
 ガーリックパウダーの利いた、鶏のモモ肉にかぶりつく。
 整備長はドレークさんと酒飲んで馬鹿笑い。寂しい光景だ。華やかさがない。
 ムツ氏は一人でおにぎり食べてる……。
 本当におにぎりだけでいいって言ってたけどさ、わざわざこの場で頼まなくてもよくない? 逆に異文化であるワギョウ食をここで頼むって、手間とコストがかかってると思うよ。
 ――僕はパンをいただこう。
 テーブルに盛られたパンを、レンズ豆の入ったトマトスープに浸して食べる。

「うまし!」
 平たい形状のレンズ豆がたっぷり入った、酸味の利いたトマトスープは、飲むというよりは食べるだね。
 酸味で鶏の脂がリセットされる。
 いいぞ、いいぞ。胃袋が勘弁してくれと土下座するまで食べ尽くしてやる――――。


「ねえ、ねえ、幌馬車買おうよ。幌馬車!」

「欲しいけど、お金がね」
 全く! サージャスさんを独り占めしやがって! あの天真爛漫小麦肌のお馬鹿っ子、略してザイオン氏め。
 そんな贅沢出来るわけないだろ。そもそも、お金は普段から使わないとか言ってなかったか? さっそく高価な物を買おうと相談してるじゃないか。
 
 確かにクエストで貸し与えられてた馬車に乗って、いずれはこういう馬車を――、みたいな事は言ってたけど、高価な物だし、ドレークさんのような大男が乗るとなると、並の馬じゃバテるからね。
 農耕馬みたいなでっかいのを、二頭くらい揃えないと。
 大きいとなれば、維持費もかかるし、現実味を帯びるには、まだ遠いな――――。

「いいじゃん。お金あるじゃん」
 と、ムツ氏に指を向けている。
 おにぎりを口に運んでいた手がピタリと止まった。

「駄目だよ。大金を一人に任せるなんて。皆で出し合わないと」
「小生、まったくもってかまわないが?」
「ほら、いいって。やっぱり男は財力があってこそだな。あたい達を養ってくれ」
「依存は駄目だよ!」
 サージャスさんがお怒りの雷を落とした。
 中々の迫力だった。怒られてしゅんとふさぎ込むザイオン氏。

「しかし、皆で共有する物だ。先に小生が支払って、後々、充てた分を返してもらえばいいのでは?」
 まあ、それなら問題ないと僕も思う。
 でも、違反金に馬車の立て替えの返済と、支払いが苦になって、精神的に追い込まれないようにしないとね。
 救いなのはどちらも無利子なところだけど。
 
 険悪というものではなく、パーティーとしてのあり方でのディスカッションなので、僕たちは遠巻きで傍観者に徹した――――。

「エードでいい?」

「はい、オレンジで」
 優しく微笑んで僕のグラスに注いでくれるロールさん。
 膝をつき合わせてのテーブル。二人だけで食事をする空間は誰にも邪魔されたくない。

「でも、よかったよね」
「ね~。パーティーバランスは悪いですけど。仲間が出来た事は、いい事ですね」
「でも、あの脅し方はね~」
「あれは聞かなかった事にしていただきたいです」
 免職も独房も嫌なので、是非とも箝口令を自主的に行ってください。
 まあ、ロールさんは冗談交じりな発言だから問題ないけど、華やかさからかけ離れたおっさんが報告しようものなら、死なば諸共の精神で、色街のことを報告する覚悟である。



「いいですか?」

「よくないです」

「意地悪しない」
 この境界に入って欲しくないのに……。
 エルンさんは空気が読めない人だな~。
 しかし――――、後ろの美人三人の追従はいい事だがね――――。

「残念でしたね」

「次は十年後。その間に更なる成長を」
 とりあえず、僕から語りかけてあげる。
 そして次回を目指して励むそうな。
 十年後か……。また新たな世代が誕生して、エルンさんもロートルな立場になってるな…………。
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