拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ITADAKI-頂-

PHASE-54

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 十年後という長さに、うら悲しさに似た感情が生まれる中でも、僕は横にあったテーブルを自分たちのにくっつけて、各々のために椅子を手早く準備。
 二つ隣にオレンジエードを注いだグラスを置いてから、エルンさんをそこに座らせる。
 うむ、ロールさんの隣は駄目なのだ。

 でもって――――、
「フィットさん、サージャスさんとの戦い、お見事でした」
「いえ、努力の差を痛感させられました」
「これからですよ。日々の修練です」
「ど、どうも……」
 何を驚いているのかな? 
 まあいい。
 僕の隣にグラスを置いて、そこにフィットさんを座らせ、ロールさんの並びに、決勝後の回復魔法に感謝を述べて、リムさんを誘導し、その隣にミリーさんを座らせる。
 ――――この完璧な布陣である。
 素早く正確なこの布陣を展開させる僕の才。古の天才軍師も裸足で逃げ出すってもんだ。
 でも、僕の隣は、なんかそわそわしてらっしゃる。

「どうしました?」

「私たち、ウィザースプーンさんには煙たがられていると思っていたので、こうも歓待な応対をされるとは」
 歓待て……。ただテーブルと椅子を準備してあげただけなのに。
 それに、僕は美人様を煙たがるなんてしませんよ。
 見てください、この布陣を! 僕いま――、凄く幸せ。

「僕は一度たりとも、貴女方を疎ましく思った事などありません」
 めっちゃいい声で、めっちゃ嘘ついた。
 その発言に、フィットさんが笑顔で返してくれるよ。
 なんでしょう。この人、美人なのは分かってたけど、すっごい美人だよ。
 常に刀剣を手にしてるような方ですけど、総髪の、長く艶やかな青みがかった黒髪の美人は、凄く色気を放っている。

「ニヤニヤしないの」
 目の前のロールさんからのお叱り。
 最高だ。この状況は最高だ!
 ――――で、なんだったっけ? ああ、煙たがるね。
 まあ、確かにそれは思ってもいた。

「なぜそう思うんです?」
 と、知ってるくせに聞く僕。

「王都では迷惑ばかり……」
 うん、やはりそれだよね。
 でも、僕が本当に疎ましかったのはエルンさんであって、貴女方ではないんですよ。
 分かります? 方であって、方ではないんです。貴男エルンさんがイラッとするんです。
 今、二つ隣で、骨付き羊肉を幸せそうにかぶりついてるエルンさんが原因なんです。
 
 まあ実際は、美人三人と常に行動していて羨ましい!! という感情を抱いていた、僕の仄暗さが一番の原因なんですけどね……。
 最近は僕にも春が来てまして、暗黒面ダークサイドもたまにしか顔を出しません。
 なので、今ではエルンさんにも、少しは優しく接することが出来ると思い――――ます。

「お気になさらずに。それ以上に、ラゴットでは無償の協力に深く感謝してます」

「本当ですか!」

「――はい」
 ――……エルンさん。いきなり話しに参加しないでくださいね。僕はフィットさんに言ったんであって、貴男に対して、こんなにもいい声を出すわけないでしょう。
 そういったところが煙たいんですよ。

「よかったね」

「うん」

「そうだね」
 と、美人三人が胸をなで下ろしている。
 あれ? 僕ってそんなにぞんざいに対応していたかな?
 う~ん、怖いね。モテている存在を妬ましく思っていた、暗黒面ダークサイドにズブズブに浸かっていた時ってのは、今では全くもって思い出せない。というか思い出したくない。

「もう、トマトスープで口周りが真っ赤だよ」
 ヤフゥゥゥゥゥゥ! ロールさんに拭いてもらった。
 僕の眼界には美人様ばかり、ハーレム天国である。
 こんなに幸せだと、後でとんでもない大返しがあるんじゃないかとも考えちゃうよね~。
 そんな事は起こらないだろうけどさ。
 ハハハハ――――。楽しいよ~。

「ささ、皆様。お酒が飲めるなら注いでいきますよ~」
 有頂天な僕。
 ロールさん、フィットさん、ミリーさんは僕より年上。フィットさんが二十一歳。ロールさんとミリーさんが同じ二十歳。リムさんが僕と同い年の十九歳。
 
 エルンさんのパーティーの年齢と誕生日は、以前の違反取り締まりの時に記入してもらったのをバッチリとメモしたからね。
 これに、おっさんのメモ帳を、我が手中に収める事が出来れば、文句なしなんだが……。
 追々とそれは手に入れさせてもらおう。
 今はこの場を全力で楽しむのだ! ピートマックよ!!
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