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ITADAKI-頂-
PHASE-57
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「その辺りで――」
ちょっと!? お奉行様、邪魔をしないでくださいよ!
折角、ここから【相手は死ぬ】的な技を発動するつもりだったのに。
確かに、他国のお偉い方の前でこんな醜態をさらすのはよくないでしょう。しかもそれをご本人が止めてくれる。ありがたい事ですし、お恥ずかしい事この上ない僕たちですが、ここでこのおっさんには引導を渡してやらねばならんのです。
後生ですのでこのまま継続させていただき――――、
「だらっしゃぁぁぁぁぁ!」
お奉行様の言葉に耳を向けていた僕の体は、一瞬だけど弛緩してしまったようで、おっさんのくせにそこを見逃さなかったのか、好機とばかりに膝裏を蹴られてしまい、派手に転倒してしまった。
僕が倒れた拍子に、巻き添えを食らったテーブルとその上に乗っていた物がガチャガチャと宙を舞い、床に落ちる。
これ、どっちが弁償するんだよ! という考えは――――、眼界の光景によって一瞬で消え失せてしまった。
「大丈夫ですか!」
と、ロールさん。
凄く焦っている。
周りの皆さんも、これは大変と集まる。
集まる場所は僕たちの所ではない。
「どうすんですか!? これ!」
「お前が力なく倒れるからだろ」
僕とおっさんの血の気が急速に引く。
眼界に映るのは、ひっちゃかめっちゃかになった飲み物や食べ物が、お奉行様を襲った状態。
何の因果なのか、それとも運命の神のいたずらなのか、僕が先ほどまで手にしていたドリンクピッチャーが、上手い具合にお奉行様の頭に逆さまになって乗っかっている。
あれかな、注ぎ口がちょんまげに引っかかったのかな……。
なんて事を考えてる場合じゃないよ! このまま行けばHARAKIRI待ったなしだ! KAISYAKUのオプション付きだよ。
どうしよう。このままだと僕たちの首がちょんぱされちゃうし、内蔵がこぼれ落ちるよ……。
ここで罪のなすりつけ合いなんてやってしまえば、見苦しいと、更なる怒りを買うだけだろう。
「早くどいてくださいよ! 謝らないと!!」
「落ち着け! いいか、まずは時渡りの精霊を探して、過去に渡る魔法をだな――――」
何だよ時渡りの精霊って! 始めて聞いたわ!
駄目だ……。おっさんまったくもって正常に機能していない…………。
「といや!」
巴投げでおっさんを投げ飛ばしてから、反動を利用して四つん這い。
そのまま赤ん坊の如き這い這いで、お奉行様の足下まで高速移動しつつ、
「申し訳ありませんでした!」
這い這いから繋げる、ワギョウスタイルDOGEZA!
これほど美しい所作は、和国においてもそうはおりますまい。
ばっちりと額を床にこすりつけた、お怒りを静める事を願いながらのこのスタイル。
「ついつい羽目を外してしまい、この様な失態を! ご慈悲を! 平に、平にぃぃぃぃぃぃぃ」
「局の者たちが、大変申し訳ないことを」
「とても思いやりのある方なんです。お許しください」
DOGEZAな僕の横で、ロールさんとサージャスさんが僕のために深く頭を下げて必死に許しを請うてくれている。
折角の楽しい空間を僕たちのせいで、台無しにしてしまった……。
感謝である。阿呆な僕のために矢面に立たせてしまって、申し訳ありません……。
僕はお二人を、全力で幸せにしたいと思います。
まあ、今後も何も、僕の運命はお奉行様の胸三寸しだいですけど……。
「怪我がなくて何よりですよ」
何と慈悲に溢れた優しきお言葉。
「お奉行さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――」
泣いて縋る僕の姿が気持ち悪かったのか、若干だけどもお奉行様の表情が引きつっている。
エードでベタベタになって、町歩き用の着流しもびしょびしょになったのに許してくださる懐の深さ。僕の上司になってほしいよ。
「まったく。しっかりしないとな」
「あ゛?」
テメー! 何を僕だけを犯人に仕立て上げようとしてんだよ!
しれっとお奉行様の横に立って、僕を見下ろすんじゃないよ!
色街やら、この状況の素因つくったのとか、お前だろうが! おっさん!!
跳び蹴りがトリガーだったんだよ!!!!
「整備長が原因です!」
「そうです。ブートガイさんが大本です」
はいざまぁ――――。はい! ざまぁ!! 僕のために先ほど頭を下げてくださった、二人の美人様がおっさんをお叱りだ。
エメラルドグリーンと、アメジストの瞳に睨まれてら。
「なんだよ……どいつもこいつも。こんなのの味方しやがって」
こんなの――――、だと。
「殺せぇぇぇぇぇぇ! この孤独で可哀想なおじさんを、今すぐ殺せばいいさ! 殺せぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ」
本当にさあ、デジマのトップの前でさ、みっともないったらないよ……。
「無様……」
ただただ無様――――。
ちょっと!? お奉行様、邪魔をしないでくださいよ!
折角、ここから【相手は死ぬ】的な技を発動するつもりだったのに。
確かに、他国のお偉い方の前でこんな醜態をさらすのはよくないでしょう。しかもそれをご本人が止めてくれる。ありがたい事ですし、お恥ずかしい事この上ない僕たちですが、ここでこのおっさんには引導を渡してやらねばならんのです。
後生ですのでこのまま継続させていただき――――、
「だらっしゃぁぁぁぁぁ!」
お奉行様の言葉に耳を向けていた僕の体は、一瞬だけど弛緩してしまったようで、おっさんのくせにそこを見逃さなかったのか、好機とばかりに膝裏を蹴られてしまい、派手に転倒してしまった。
僕が倒れた拍子に、巻き添えを食らったテーブルとその上に乗っていた物がガチャガチャと宙を舞い、床に落ちる。
これ、どっちが弁償するんだよ! という考えは――――、眼界の光景によって一瞬で消え失せてしまった。
「大丈夫ですか!」
と、ロールさん。
凄く焦っている。
周りの皆さんも、これは大変と集まる。
集まる場所は僕たちの所ではない。
「どうすんですか!? これ!」
「お前が力なく倒れるからだろ」
僕とおっさんの血の気が急速に引く。
眼界に映るのは、ひっちゃかめっちゃかになった飲み物や食べ物が、お奉行様を襲った状態。
何の因果なのか、それとも運命の神のいたずらなのか、僕が先ほどまで手にしていたドリンクピッチャーが、上手い具合にお奉行様の頭に逆さまになって乗っかっている。
あれかな、注ぎ口がちょんまげに引っかかったのかな……。
なんて事を考えてる場合じゃないよ! このまま行けばHARAKIRI待ったなしだ! KAISYAKUのオプション付きだよ。
どうしよう。このままだと僕たちの首がちょんぱされちゃうし、内蔵がこぼれ落ちるよ……。
ここで罪のなすりつけ合いなんてやってしまえば、見苦しいと、更なる怒りを買うだけだろう。
「早くどいてくださいよ! 謝らないと!!」
「落ち着け! いいか、まずは時渡りの精霊を探して、過去に渡る魔法をだな――――」
何だよ時渡りの精霊って! 始めて聞いたわ!
駄目だ……。おっさんまったくもって正常に機能していない…………。
「といや!」
巴投げでおっさんを投げ飛ばしてから、反動を利用して四つん這い。
そのまま赤ん坊の如き這い這いで、お奉行様の足下まで高速移動しつつ、
「申し訳ありませんでした!」
這い這いから繋げる、ワギョウスタイルDOGEZA!
これほど美しい所作は、和国においてもそうはおりますまい。
ばっちりと額を床にこすりつけた、お怒りを静める事を願いながらのこのスタイル。
「ついつい羽目を外してしまい、この様な失態を! ご慈悲を! 平に、平にぃぃぃぃぃぃぃ」
「局の者たちが、大変申し訳ないことを」
「とても思いやりのある方なんです。お許しください」
DOGEZAな僕の横で、ロールさんとサージャスさんが僕のために深く頭を下げて必死に許しを請うてくれている。
折角の楽しい空間を僕たちのせいで、台無しにしてしまった……。
感謝である。阿呆な僕のために矢面に立たせてしまって、申し訳ありません……。
僕はお二人を、全力で幸せにしたいと思います。
まあ、今後も何も、僕の運命はお奉行様の胸三寸しだいですけど……。
「怪我がなくて何よりですよ」
何と慈悲に溢れた優しきお言葉。
「お奉行さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――」
泣いて縋る僕の姿が気持ち悪かったのか、若干だけどもお奉行様の表情が引きつっている。
エードでベタベタになって、町歩き用の着流しもびしょびしょになったのに許してくださる懐の深さ。僕の上司になってほしいよ。
「まったく。しっかりしないとな」
「あ゛?」
テメー! 何を僕だけを犯人に仕立て上げようとしてんだよ!
しれっとお奉行様の横に立って、僕を見下ろすんじゃないよ!
色街やら、この状況の素因つくったのとか、お前だろうが! おっさん!!
跳び蹴りがトリガーだったんだよ!!!!
「整備長が原因です!」
「そうです。ブートガイさんが大本です」
はいざまぁ――――。はい! ざまぁ!! 僕のために先ほど頭を下げてくださった、二人の美人様がおっさんをお叱りだ。
エメラルドグリーンと、アメジストの瞳に睨まれてら。
「なんだよ……どいつもこいつも。こんなのの味方しやがって」
こんなの――――、だと。
「殺せぇぇぇぇぇぇ! この孤独で可哀想なおじさんを、今すぐ殺せばいいさ! 殺せぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ」
本当にさあ、デジマのトップの前でさ、みっともないったらないよ……。
「無様……」
ただただ無様――――。
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