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トレジャーハントに挑む、三人の公務員
PHASE-02
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「ふぅ」
ゲイアードさんの入れてくれたお茶で一服。
「美味しかった。素晴らしい女性だ」
やい、ゲイアードさん! まさか狙ってないよね。駄目ですよ。ハイスペックさんが好意を持ったら僕がかなわないよ……。
「うん、彼女にするなら、ジャイロスパイクさんは最高の――――!? 痛い! これは本当に痛い!! 冗談じゃない痛みだ」
「?」
なんだ? 何が痛いんだろうか。ロールさんを狙ってるみたいな発言だったから、僕、知らず知らず呪詛に目覚めたのかな? それがゲイアードさんに発動しちゃったのかな?
それとも美味しい料理を食べると、体が拒絶反応でもするのだろうか?
ケーシーさんのとこでも、急に痛いって口にしてたっけ。
ゲイアードさんの顔が苦痛に歪んでいる。涙目だ。これまた初めて見る顔だ――――。
食事を済ませて大満足。ちょっと横になってリラックス。
「さあ、一週間もこのままには出来ないから、洗おうか」
ゲイアードさんつと立って川に向かう。
匂いが臭いに変わらないうちに、弁当箱を目の前の川で洗う。作り手の気持ちをおもんばかる対応。
僕の直ぐに後に続く。
山から流れてきている川の水は冷たい。リラックスしてぼやけた頭がすっきりとする。
運転前にはありがたいね。
――。
車に乗って緑の平原を走る――――。
ほどなくして、ケルプト山とそれを囲む森が目に入ってくる。
山の頂きは分厚い雲で覆われていて見る事が出来ない。
「もうすぐ歩きになります」
「気を引き締めないとね。なにかあったらお二人は自分の後ろに」
頼りになる発言だ。
有事の際はと、目つきが温厚なものから鋭いものに変わっている。
手にするのは六角からなる鉄製の棒。
普段は棒状の革袋に砂鉄をいれている懲罰棒だけど、今回のは殺傷力重視のものだ。
ゴートさん、やる気が窺える――――。
なんて思っていたら、急な突風に平原の草木が大きく揺れて、車内も大きく揺れる。
ハンドルを持って行かれそうになったので、急停車。
突風に続いて、青空だったはずなのに、車内が一瞬だったが暗くなった。
何かが上を通過したようだ。
車窓から顔を出して空を見上げれば、燃えるような赤い鱗に包まれた巨大な火龍が数頭、山を覆う厚い雲から現れて、山の周りを飛び始めた。
それを目にした僕は口をあんぐりと開き、ゲイアードさんは無表情。
そして、任せておけとやる気のあったゴートさんは、静々と剣ほどの長さがある鉄の棒を、足下に隠すように置いた……。
「自分たちの実力では、奇跡が起きても無理ですな」
なんて、清々しく言い切ったんだろう。聞いてるこっちも気持ちがいいよ。
「ですね~」
ゴートさんに呼応する僕。
見つからない事を祈りつつ、できるだけゆっくりと走って進む。
――。
魔道車から荷物を取り出して、森の中へと足を踏み入れる。
深く広い森。緑の海とでも言うべきか。迷ってしまえば抜け出す事も絶望的だな。
邪神の神殿に赴いた時の森とも、ゲンジ砂漠に出来た森ともなんかちがうな。
森閑だけども重々しい雰囲気だ。その理由は空を飛んでるでっかい火龍さん達が原因なんだろうけども……。
最古参位モンスターの恐怖に気を配りながら、道無き道を進んでいく。
お弁当を食べてた時のうきうき感は遙か彼方へと飛んでいったな……。
背負ったリックサックの側面に掛けている錫製のカップが動く度に金属音を響かせる。その音で気付かれたらと、直ぐさまバックの中にしまう。
「大丈夫ですか本当に?」
「問題ないよ」
こんな森の中をスーツと革靴でさ。
到着したら着替えるもんだと思ってたけど、本当にスーツで活動するなんてね。ゲイアードさん……。
疲れてヒーヒー言ってもしりませんよ。
――――。
「ヒーヒー……」
と、真っ先に言い出したのはゴートさんだった。六角の鉄の棒が重量があるとはいえ、少しは痩せた方がいいと思いますよ。
「ふ、二人とも早いですね」
「僕は一週間くらい、こんな森の中で走り回されてたので。それきっかけで普段からも鍛えるようにしてまして」
――――それよりも、僕よりも更に先を行くゲイアードさんだ。
苔の生えた滑りやすそうな足場を、滑りやすそうな靴底の革靴で、地図を片手に静かでいて素早く進んでいく。
汗一つかいてないよ……。
「凄い体力ですね」
「違令管理課の人間だからね。相手に侮られないようにする為には、胆力だけじゃなく、それに見合った体力もないといけないんだよ」
ちょっとずれた眼鏡を戻しつつ、答えてくれる。
出来る男は体の管理も出来るようだ。
スーツを脱いだら、いい体をしているかもしれない。
男前で、細身だけど脱いだら凄いボディ。
女性の飛びつきそうな条件をたくさん持ってますね……。
「本当に来られたか」
ぎゃあぁあぁぁぁぁぁぁぁあ!! ここでいきなりの大イベント発生じゃないか。
ンダガランさん。地面から急に発生した火柱からの参上だ。
ゲイアードさんの入れてくれたお茶で一服。
「美味しかった。素晴らしい女性だ」
やい、ゲイアードさん! まさか狙ってないよね。駄目ですよ。ハイスペックさんが好意を持ったら僕がかなわないよ……。
「うん、彼女にするなら、ジャイロスパイクさんは最高の――――!? 痛い! これは本当に痛い!! 冗談じゃない痛みだ」
「?」
なんだ? 何が痛いんだろうか。ロールさんを狙ってるみたいな発言だったから、僕、知らず知らず呪詛に目覚めたのかな? それがゲイアードさんに発動しちゃったのかな?
それとも美味しい料理を食べると、体が拒絶反応でもするのだろうか?
ケーシーさんのとこでも、急に痛いって口にしてたっけ。
ゲイアードさんの顔が苦痛に歪んでいる。涙目だ。これまた初めて見る顔だ――――。
食事を済ませて大満足。ちょっと横になってリラックス。
「さあ、一週間もこのままには出来ないから、洗おうか」
ゲイアードさんつと立って川に向かう。
匂いが臭いに変わらないうちに、弁当箱を目の前の川で洗う。作り手の気持ちをおもんばかる対応。
僕の直ぐに後に続く。
山から流れてきている川の水は冷たい。リラックスしてぼやけた頭がすっきりとする。
運転前にはありがたいね。
――。
車に乗って緑の平原を走る――――。
ほどなくして、ケルプト山とそれを囲む森が目に入ってくる。
山の頂きは分厚い雲で覆われていて見る事が出来ない。
「もうすぐ歩きになります」
「気を引き締めないとね。なにかあったらお二人は自分の後ろに」
頼りになる発言だ。
有事の際はと、目つきが温厚なものから鋭いものに変わっている。
手にするのは六角からなる鉄製の棒。
普段は棒状の革袋に砂鉄をいれている懲罰棒だけど、今回のは殺傷力重視のものだ。
ゴートさん、やる気が窺える――――。
なんて思っていたら、急な突風に平原の草木が大きく揺れて、車内も大きく揺れる。
ハンドルを持って行かれそうになったので、急停車。
突風に続いて、青空だったはずなのに、車内が一瞬だったが暗くなった。
何かが上を通過したようだ。
車窓から顔を出して空を見上げれば、燃えるような赤い鱗に包まれた巨大な火龍が数頭、山を覆う厚い雲から現れて、山の周りを飛び始めた。
それを目にした僕は口をあんぐりと開き、ゲイアードさんは無表情。
そして、任せておけとやる気のあったゴートさんは、静々と剣ほどの長さがある鉄の棒を、足下に隠すように置いた……。
「自分たちの実力では、奇跡が起きても無理ですな」
なんて、清々しく言い切ったんだろう。聞いてるこっちも気持ちがいいよ。
「ですね~」
ゴートさんに呼応する僕。
見つからない事を祈りつつ、できるだけゆっくりと走って進む。
――。
魔道車から荷物を取り出して、森の中へと足を踏み入れる。
深く広い森。緑の海とでも言うべきか。迷ってしまえば抜け出す事も絶望的だな。
邪神の神殿に赴いた時の森とも、ゲンジ砂漠に出来た森ともなんかちがうな。
森閑だけども重々しい雰囲気だ。その理由は空を飛んでるでっかい火龍さん達が原因なんだろうけども……。
最古参位モンスターの恐怖に気を配りながら、道無き道を進んでいく。
お弁当を食べてた時のうきうき感は遙か彼方へと飛んでいったな……。
背負ったリックサックの側面に掛けている錫製のカップが動く度に金属音を響かせる。その音で気付かれたらと、直ぐさまバックの中にしまう。
「大丈夫ですか本当に?」
「問題ないよ」
こんな森の中をスーツと革靴でさ。
到着したら着替えるもんだと思ってたけど、本当にスーツで活動するなんてね。ゲイアードさん……。
疲れてヒーヒー言ってもしりませんよ。
――――。
「ヒーヒー……」
と、真っ先に言い出したのはゴートさんだった。六角の鉄の棒が重量があるとはいえ、少しは痩せた方がいいと思いますよ。
「ふ、二人とも早いですね」
「僕は一週間くらい、こんな森の中で走り回されてたので。それきっかけで普段からも鍛えるようにしてまして」
――――それよりも、僕よりも更に先を行くゲイアードさんだ。
苔の生えた滑りやすそうな足場を、滑りやすそうな靴底の革靴で、地図を片手に静かでいて素早く進んでいく。
汗一つかいてないよ……。
「凄い体力ですね」
「違令管理課の人間だからね。相手に侮られないようにする為には、胆力だけじゃなく、それに見合った体力もないといけないんだよ」
ちょっとずれた眼鏡を戻しつつ、答えてくれる。
出来る男は体の管理も出来るようだ。
スーツを脱いだら、いい体をしているかもしれない。
男前で、細身だけど脱いだら凄いボディ。
女性の飛びつきそうな条件をたくさん持ってますね……。
「本当に来られたか」
ぎゃあぁあぁぁぁぁぁぁぁあ!! ここでいきなりの大イベント発生じゃないか。
ンダガランさん。地面から急に発生した火柱からの参上だ。
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