拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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トレジャーハントに挑む、三人の公務員

PHASE-14

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「素晴らしき身のこなしと反撃。違令管理課から、警務局に来ませんか?」
「今のところが気に入っているので、お断りを」
「残念。何処で、鍛錬を?」
「自主的なものですよ。道場通いとかのものではないです。違令管理課ですから、もし違反に納得いかずに暴れられた時、直ぐに逃げ出す為に足は鍛えてますよ」
 逃げるためね~。本当かな?
 確かに戦いのプロが相手になれば、敵わないかもだろうけど、バーン・ワイバーンさんを出し抜いて合流したのを考えたら、相当な逃げ足だよね。
 いやしかし、先ほどの僕たちの攻撃を躱す動きは見事だったな。
 
 男三人でお湯に浸かりながら馬鹿が出来るのも、この深い森の中で裸になった開放感からなのかな。
 最古参位エルダークラスが生息する森で、危機感より開放感が勝るってのも、胆力があるのか、はたまた鈍感なのか。と、自問自答したいよ。
 しかし、ゲイアードさんには、筋肉でも負けて、お湯のかけ合いでも一発でのされて。
 おまけに――――、シンボルのサイズでも敗北さ………………。
 どれだけ完璧を宿していれば気が済むんですかね。
 僕の持っていない物を全て証有していると思えて仕方ない。
 やはり、目指すべきはゲイアードさんだな!

 ――――。

 本日もゴートさんの高いびきを耳朶にしながら眠りにつく――――。


「そろそろですね」

「そうだね。油断せずに行こう」
 目的地までもうすぐといったところだ。
 相変わらず先を進むゲイアードさんが、炯眼にて周囲を見渡している。
 ――ピタリと足が止まる。
 手を横に出し、僕たちに注意喚起すると、ゴートさんが六角鉄棒を手にして、先頭のゲイアードさんみたいに、急に周辺を警戒しはじめた。

「ピート君」
 鍋を渡された。

「? ご飯はまだですよ」

「そうじゃないよ。取っ手の部分を握って盾代わりにしなよ」

「なるほど」
 ゴートさんに言われるままに取っ手を握る。
 何かあったとして、これで防ぐにしても、一撃を防ぐことが出来れば御の字だろう。
 刀剣だと、一振りで駄目になるのは目に見えてるけど、無いよりましなレベルだな。
 穴空いちゃうかもしれないですよ? いいんですか? ご飯作れなくなりますよ。ゴートさんにとっては死活問題だと思うんですけど。
 
 そんな事が起きない事を願ってますけども、そんな願いだけは中々に叶ってくれないのが現実なのかな……。
 二人の動きが緩やかになって、さっき以上に周囲を忙しなく見回している。警戒のレベルが上がったようだ。

「伏せて」
 ゴートさんにつむじ部分をぐっと押されるようにして、藪の中から眼界の状況を窺う。
 開けた場所である。まるでそういう場の為に用意されたみたいだね。
 そういうのってのは、つまりは戦場って事なんだけども……。
 
 利器がぶつかり合う激しい音。
 耳がキーンってなる嫌な音だ。

「おうおう、どいつもこいつも、ぎらついた目をしているな」
 ワギョウで整備長が口にしたのに何となく類似しているけど、重みが違うね。ゴートさんの語り方と、この光景が合わさると……。
 報酬の為なのか、相手に対して躊躇なく刃を振り下ろしている。
 こんな状況だけど、モンスターは現れない。
 魔法を使用していない戦いだ。
 だからなのかな、大した存在じゃないとモンスターも考えているのか、歯牙にもかけないといったところか?
 これだけ金属音が響いていても、現れないのがいい証拠。

「う~……」
 ざっくりと斬られている。
 見てるだけでお尻の部分がムズムズする。
 
 流血が凄い。正直、僕の胆力では見るのは辛い。
 痛みで叫び吠えるバラクーダの方。
 側に立つ、穴を掘るようなイメージの入れ墨が掌にある人物。
 
 一見、茶目っ気のある入れ墨だけど、血なまぐさいぶつかり合いをして、痛みに苦しんでいる方にとどめを刺すかのように剣を高く掲げているのが、ガリンペイロの方だ。
 かろうじてその一撃を痛みに襲われながらも、バラクーダの方が回避しているけど、他のお仲間さん達は、怪我を負っている方に見向きもしていない。
 助ける余裕がないのか、それとも一人減ればその人の分の報酬が自分たちに上乗せされるとか考えているのかな?

「どうします? ここを通らないと目的地まで行けませんよ」
 もしかしたら、迂回できるルートもあるのかもしれないけども、地図には載っていないからね。迷ったら元も子もないからそんな冒険は出来ない。

「もう少し待って、双方が弱るのを待ちますか? そうなれば突破も容易くなります」
 ゴートさん、結構、冷徹だな。
 僕は死屍累々の中を歩きたくないんですけど……。
 出来れば、双方が矛を収めてくれるような方法を模索したいんだけどね。甘い考えだけど、死人は出したくないよね。
 今のところ死者が出てないから、このまま停戦させたいな。

「二虎競食の計ですか。この状況ならありですね」
 ゴートさんの意見にゲイアードさんは賛成か……。
 僕たち三人に対して、戦っている方々は二十人以上。
 そんな中を飛び込んでいけば、一斉に注目を浴びて、数の少ない僕たちを襲ってくるかもしれないし、現実的には二人の思惑が理想的で、正しいのかな。
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