284 / 604
トレジャーハントに挑む、三人の公務員
PHASE-26
しおりを挟む
――――。
「ふう、人心地ついた」
美味しかった。ただただ美味しかった。ここに来てからは、ずっとオートミールと干し肉に、ドライフルーツ。おまけのチョコレートだったからね。
携行食としては恵まれてるけども、やはり手の込んだ食事からくる満足感には、携行食では太刀打ち出来ないね。
煮込まれたほろほろの牛ほほ肉。かぶりつけばパリッと小気味のいい音を出すソーセージに、チョップドサラダ。
後は丸焼きチキン――――、これは主にゴートさんの独占だったな……。
しっかりとした作りだ。
「美味い~」
満足そうに丸まるなお腹をポンポンとたたいてるよ。ゴートさん、だらしないですよ。
チキンの骨が皿に堆く積んである。凄い食欲だ。
「何よりです」
「素晴らしい料理人を雇ってらっしゃる」
「私が作ったんですよ」
「ンダガランさんですか!?」
ゴートさんとの会話に割り込む。
大したもんだ。ロールさんもそうだけど、美人で料理が美味いって、最強だよね。
ただでさえ美味しいのに、美人が作ってくれたってだけで、美味しさが数倍に跳ね上がるってもんだからね。
ンダガランさんが言うには、料理を作ってる時は、それに没入できるのもいいとの事だ。
やっぱり何かしらの悩みに、かかずらわってるのかな?
心底こまったら、相談してくださいね。
「最高です」
特に肉が。を、連呼してるゴートさん。
「このチキンの骨を化石って事に出来ないかな~?」
ゴートさんの前にある皿を指さして独白。
「それ面白いよ」
うん……。多分だけど、本当に面白いと思ってくれているんだろうけど、そんなに淡々と返されると、僕が完全に滑ってるようにしか見えないので、少しは表情を変えましょうよ。ゲイアードさん……。
オパール化した化石のところまでは、いい表情してたのに。
皆、喜んで今を堪能しているからいいけどさ。
だが、しかし。
まあ――――ねえ、
「食器、お下げします」
「あっ、はい」
ンダガランさんだけじゃなく、ここで僕たちを歓待してくれる方々は皆さん美人様だ。
僕たちの食事の世話のために、メイド服に身を包み、ドアの前で待機してくれてるし。全方位に美人様が立ってるもんだから、眼界が常に幸せだよ。
「目」
「ウッス」
ティーカップに口を触れさせながら、キラリと眼鏡を光らせて、眼鏡以上にギラリと鋭い眼光で僕を指摘。
いいじゃないですか。どうせ、王都に戻ったらボロクソに怒られるんだから。
このくらいの役得はあってもいいでしょ。
ゲイアードさん厳しすぎ。
注意するなら、まだまだ食べ続けて、幼子のように口を汚しまくってるゴートさんを注意すべきだと――――、
「豪快に食べる方、素敵です!」
「本当に、素敵です!」
え~……、数人の美人様に囲まれて、食べっぷりを褒められてるよ。
ゴートさんも嬉しそうにして、更に手と口の動きを加速させると、拍手まで送られている。
半面、ゲイアードさんには、あんまり興味がないようだね。
ここでは、落ち着きあるイケメンさんより、豪快な食べ方が出来る、恰幅にいい方のほうが人気みたいだ。
「ご英断に感謝します」
「いや~」
僕のグラスに濃い紫のグレープエードを注いでくれながら、改めて、ンダガランさんから感謝の言葉に加えて、笑顔のサービスをいただく。
本当に、ここにいる時だけは幸せでいたい。
「はぁぁぁぁぁぁぁ……」
十九年の人生の中で、一番、重い嘆息だろうな……。
僕の場合は避難誘導だけじゃなく、男爵様と、その息子様に不遜を働いている事になってるからな~。
最悪の事を考えると、再就職先を見つけないといけないかもな~。
いや、免職はまだ序の口か……。
真に最悪なのは、謂われのない罪状で、咎人に仕立て上げられるかもしれない…………。
子爵様なら腹いせにやりそうだな~
保険かけとかないといけないな。
雑用でもいいから、ここで雇ってもらえないかな。
周囲を見渡す。
美人様たちに囲まれての職場か――――。
ありだな!
出世すればカグラさんの補佐とかに任命されちゃったりしてさ、深い関係になる未来ってのもある――――。
尚更ありだな!!
「目……」
「ウッス」
職を失うかもしれないのにこの余裕だ。
流石のゲイアードさんも呆れている。
僕は存外、大物なのかなと、そう感じざるをえないね。
この大物感をもってして乗り越えてみせようじゃないか――――。
埋葬現場から本来は三日間かけて帰ってくるはずが、空間魔法で一瞬だったから、このまま王都に戻ると、魔王軍の力を借りた事がばれてしまい、何かしら、よからぬ事を現場の判断で考えた結果、化石を獲得できなかったのでは? と、勘ぐられてしまう可能性が発生するかもしれないと、ゲイアードさんの提案で、この詰め所で三日間を過ごす事になった。
詰め所の美人さん達に囲まれて、楽しい三日間になりそうだ。
カグラさんが来れば、尚良しなんだけどね――――。
とりあえず、三日間の余暇は、嫌な事を忘れて、全力で謳歌するぞ。
「ふう、人心地ついた」
美味しかった。ただただ美味しかった。ここに来てからは、ずっとオートミールと干し肉に、ドライフルーツ。おまけのチョコレートだったからね。
携行食としては恵まれてるけども、やはり手の込んだ食事からくる満足感には、携行食では太刀打ち出来ないね。
煮込まれたほろほろの牛ほほ肉。かぶりつけばパリッと小気味のいい音を出すソーセージに、チョップドサラダ。
後は丸焼きチキン――――、これは主にゴートさんの独占だったな……。
しっかりとした作りだ。
「美味い~」
満足そうに丸まるなお腹をポンポンとたたいてるよ。ゴートさん、だらしないですよ。
チキンの骨が皿に堆く積んである。凄い食欲だ。
「何よりです」
「素晴らしい料理人を雇ってらっしゃる」
「私が作ったんですよ」
「ンダガランさんですか!?」
ゴートさんとの会話に割り込む。
大したもんだ。ロールさんもそうだけど、美人で料理が美味いって、最強だよね。
ただでさえ美味しいのに、美人が作ってくれたってだけで、美味しさが数倍に跳ね上がるってもんだからね。
ンダガランさんが言うには、料理を作ってる時は、それに没入できるのもいいとの事だ。
やっぱり何かしらの悩みに、かかずらわってるのかな?
心底こまったら、相談してくださいね。
「最高です」
特に肉が。を、連呼してるゴートさん。
「このチキンの骨を化石って事に出来ないかな~?」
ゴートさんの前にある皿を指さして独白。
「それ面白いよ」
うん……。多分だけど、本当に面白いと思ってくれているんだろうけど、そんなに淡々と返されると、僕が完全に滑ってるようにしか見えないので、少しは表情を変えましょうよ。ゲイアードさん……。
オパール化した化石のところまでは、いい表情してたのに。
皆、喜んで今を堪能しているからいいけどさ。
だが、しかし。
まあ――――ねえ、
「食器、お下げします」
「あっ、はい」
ンダガランさんだけじゃなく、ここで僕たちを歓待してくれる方々は皆さん美人様だ。
僕たちの食事の世話のために、メイド服に身を包み、ドアの前で待機してくれてるし。全方位に美人様が立ってるもんだから、眼界が常に幸せだよ。
「目」
「ウッス」
ティーカップに口を触れさせながら、キラリと眼鏡を光らせて、眼鏡以上にギラリと鋭い眼光で僕を指摘。
いいじゃないですか。どうせ、王都に戻ったらボロクソに怒られるんだから。
このくらいの役得はあってもいいでしょ。
ゲイアードさん厳しすぎ。
注意するなら、まだまだ食べ続けて、幼子のように口を汚しまくってるゴートさんを注意すべきだと――――、
「豪快に食べる方、素敵です!」
「本当に、素敵です!」
え~……、数人の美人様に囲まれて、食べっぷりを褒められてるよ。
ゴートさんも嬉しそうにして、更に手と口の動きを加速させると、拍手まで送られている。
半面、ゲイアードさんには、あんまり興味がないようだね。
ここでは、落ち着きあるイケメンさんより、豪快な食べ方が出来る、恰幅にいい方のほうが人気みたいだ。
「ご英断に感謝します」
「いや~」
僕のグラスに濃い紫のグレープエードを注いでくれながら、改めて、ンダガランさんから感謝の言葉に加えて、笑顔のサービスをいただく。
本当に、ここにいる時だけは幸せでいたい。
「はぁぁぁぁぁぁぁ……」
十九年の人生の中で、一番、重い嘆息だろうな……。
僕の場合は避難誘導だけじゃなく、男爵様と、その息子様に不遜を働いている事になってるからな~。
最悪の事を考えると、再就職先を見つけないといけないかもな~。
いや、免職はまだ序の口か……。
真に最悪なのは、謂われのない罪状で、咎人に仕立て上げられるかもしれない…………。
子爵様なら腹いせにやりそうだな~
保険かけとかないといけないな。
雑用でもいいから、ここで雇ってもらえないかな。
周囲を見渡す。
美人様たちに囲まれての職場か――――。
ありだな!
出世すればカグラさんの補佐とかに任命されちゃったりしてさ、深い関係になる未来ってのもある――――。
尚更ありだな!!
「目……」
「ウッス」
職を失うかもしれないのにこの余裕だ。
流石のゲイアードさんも呆れている。
僕は存外、大物なのかなと、そう感じざるをえないね。
この大物感をもってして乗り越えてみせようじゃないか――――。
埋葬現場から本来は三日間かけて帰ってくるはずが、空間魔法で一瞬だったから、このまま王都に戻ると、魔王軍の力を借りた事がばれてしまい、何かしら、よからぬ事を現場の判断で考えた結果、化石を獲得できなかったのでは? と、勘ぐられてしまう可能性が発生するかもしれないと、ゲイアードさんの提案で、この詰め所で三日間を過ごす事になった。
詰め所の美人さん達に囲まれて、楽しい三日間になりそうだ。
カグラさんが来れば、尚良しなんだけどね――――。
とりあえず、三日間の余暇は、嫌な事を忘れて、全力で謳歌するぞ。
0
あなたにおすすめの小説
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる