拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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トレジャーハントに挑む、三人の公務員

PHASE-26

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 ――――。

「ふう、人心地ついた」
 美味しかった。ただただ美味しかった。ここに来てからは、ずっとオートミールと干し肉に、ドライフルーツ。おまけのチョコレートだったからね。
 携行食としては恵まれてるけども、やはり手の込んだ食事からくる満足感には、携行食では太刀打ち出来ないね。
 
 煮込まれたほろほろの牛ほほ肉。かぶりつけばパリッと小気味のいい音を出すソーセージに、チョップドサラダ。
 後は丸焼きチキン――――、これは主にゴートさんの独占だったな……。
 しっかりとした作りだ。

「美味い~」
 満足そうに丸まるなお腹をポンポンとたたいてるよ。ゴートさん、だらしないですよ。
 チキンの骨が皿に堆く積んである。凄い食欲だ。

「何よりです」
「素晴らしい料理人を雇ってらっしゃる」
「私が作ったんですよ」
「ンダガランさんですか!?」
 ゴートさんとの会話に割り込む。
 大したもんだ。ロールさんもそうだけど、美人で料理が美味いって、最強だよね。
 ただでさえ美味しいのに、美人が作ってくれたってだけで、美味しさが数倍に跳ね上がるってもんだからね。
 
 ンダガランさんが言うには、料理を作ってる時は、それに没入できるのもいいとの事だ。
 やっぱり何かしらの悩みに、かかずらわってるのかな?
 心底こまったら、相談してくださいね。

「最高です」
 特に肉が。を、連呼してるゴートさん。

「このチキンの骨を化石って事に出来ないかな~?」
 ゴートさんの前にある皿を指さして独白。

「それ面白いよ」
 うん……。多分だけど、本当に面白いと思ってくれているんだろうけど、そんなに淡々と返されると、僕が完全に滑ってるようにしか見えないので、少しは表情を変えましょうよ。ゲイアードさん……。
 オパール化した化石のところまでは、いい表情してたのに。
 皆、喜んで今を堪能しているからいいけどさ。
  
 だが、しかし。
 まあ――――ねえ、
「食器、お下げします」

「あっ、はい」
 ンダガランさんだけじゃなく、ここで僕たちを歓待してくれる方々は皆さん美人様だ。
 僕たちの食事の世話のために、メイド服に身を包み、ドアの前で待機してくれてるし。全方位に美人様が立ってるもんだから、眼界が常に幸せだよ。

「目」

「ウッス」
 ティーカップに口を触れさせながら、キラリと眼鏡を光らせて、眼鏡以上にギラリと鋭い眼光で僕を指摘。
 いいじゃないですか。どうせ、王都に戻ったらボロクソに怒られるんだから。
 このくらいの役得はあってもいいでしょ。
 ゲイアードさん厳しすぎ。
 
 注意するなら、まだまだ食べ続けて、幼子のように口を汚しまくってるゴートさんを注意すべきだと――――、
「豪快に食べる方、素敵です!」

「本当に、素敵です!」
 え~……、数人の美人様に囲まれて、食べっぷりを褒められてるよ。
 ゴートさんも嬉しそうにして、更に手と口の動きを加速させると、拍手まで送られている。
 半面、ゲイアードさんには、あんまり興味がないようだね。
 ここでは、落ち着きあるイケメンさんより、豪快な食べ方が出来る、恰幅にいい方のほうが人気みたいだ。

「ご英断に感謝します」

「いや~」
 僕のグラスに濃い紫のグレープエードを注いでくれながら、改めて、ンダガランさんから感謝の言葉に加えて、笑顔のサービスをいただく。
 本当に、ここにいる時だけは幸せでいたい。

「はぁぁぁぁぁぁぁ……」
 十九年の人生の中で、一番、重い嘆息だろうな……。
 僕の場合は避難誘導だけじゃなく、男爵様と、その息子様に不遜を働いている事になってるからな~。
 最悪の事を考えると、再就職先を見つけないといけないかもな~。
 いや、免職はまだ序の口か……。
 真に最悪なのは、謂われのない罪状で、咎人に仕立て上げられるかもしれない…………。
 子爵様なら腹いせにやりそうだな~
 
 保険かけとかないといけないな。
 雑用でもいいから、ここで雇ってもらえないかな。
 周囲を見渡す。
 美人様たちに囲まれての職場か――――。
 ありだな!
 
 出世すればカグラさんの補佐とかに任命されちゃったりしてさ、深い関係になる未来ってのもある――――。
 尚更ありだな!!

「目……」

「ウッス」
 職を失うかもしれないのにこの余裕だ。
 流石のゲイアードさんも呆れている。
 僕は存外、大物なのかなと、そう感じざるをえないね。
 この大物感をもってして乗り越えてみせようじゃないか――――。
 
 埋葬現場から本来は三日間かけて帰ってくるはずが、空間魔法で一瞬だったから、このまま王都に戻ると、魔王軍の力を借りた事がばれてしまい、何かしら、よからぬ事を現場の判断で考えた結果、化石を獲得できなかったのでは? と、勘ぐられてしまう可能性が発生するかもしれないと、ゲイアードさんの提案で、この詰め所で三日間を過ごす事になった。
 
 詰め所の美人さん達に囲まれて、楽しい三日間になりそうだ。
 カグラさんが来れば、尚良しなんだけどね――――。
 とりあえず、三日間の余暇は、嫌な事を忘れて、全力で謳歌するぞ。
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