拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

文字の大きさ
286 / 604
トレジャーハントに挑む、三人の公務員

PHASE-28

しおりを挟む
 ――――。

「ほら」

「ぐふ……」
 しゃれにならなくなってきたな……。
 悶絶とは正にこの事。
 痛みと苦しさから、体を丸めてしまっている僕。
 床に顔をくっつけた状態だ。床のひんやりが顔に伝わってくる。
 みっともないったらありゃしないって姿だ。

「ハハハ――――まるで蛆虫みたいだな。蛆虫野郎に名を変えるか?」
 幼虫あつかいかよ……。

「ハハ――大体、何が炎竜王だ。そんなもの脅威ではないわ!」

「!?」 
 えらく大胆な発言だな、下男風情が。
 ――――ンダガランさんの憂いのある表情が蘇って――――!?

「ぃだい……ふっ…………」
 横腹に思いっ切りトーキックが入った。
 これヤバイ……。死ぬかも。今のは本気で入った。体全体に衝撃が走る。考え事も出来やしない……。
 目の前が変な色に染まってる。
 紫のような、緑のような、変な世界だ……。
 お二人も、きっと僕のこの状況に怒りの感情を抱きながらそれを抑えてるんだろうね。我慢をしてくださいよ。

「ピート君!」
 おお……? ロールさんの声だ。
 ドアが激しく開いたから、外で耳にして耐えられなくなったんだろうね。

「なんて事を……何してるんですか!」

「おお――――」
 床しか見えないけど、うずくまっていても分かる。ロールさん大激怒だ。
 ノムロのおっさんも迫力負けか?

「なんと、まあ――――」
 あ、これ違う……。不快になるヤツだ。ロールさんの気迫に押されたとかじゃなく、ロールさんの容姿に魅了されたヤツだ。

「この様なほこり臭いところに――――信じられんな」

「な、なんですか」
 大きく呼吸を数回、ゆっくりと行うと、少しだけど体が動いてくれる。頑張って顔を上げれば、ノムロのおっさんのにたついた表情。
 気持ち悪いってのが、真っ先に感想として浮かぶ。
 ロールさんもよせばいいのに入ってきてさ。

「いいな――――おい! 俺の女になれ!」

「何を馬鹿な事を。ピート君、大丈夫!」
 いやいや、僕の事はいいから、さっさと退室してくださいよ。

「いいから!」

「いた!?」
 ほら、掴まれてる。
 なんか、ロールさんって、こんな事が多いな……。
 甲鎧王の時みたく、邪神を召喚しますか?

「放してください!」

「暴れるんじゃない! そして、そこの二人も動くなよ」
 こういう時の機転は早いんだよな。小賢しい男ってのはさ。
 ゲイアードさん達を威圧してから動きを制している。

「こんな上物がいるとはな。お前の応対しだいで、コイツ等の今後を無事にする事も出来るぞ」
 むかつくわ~。

「そんな脅し文句は通用しません」
 強い目で睨み返してる。いいよ。流石はロールさんだ。
 そこの女性は、邪神にもぶれない心で対峙する事が出来る人だからな。脅しなんて通用しないよ。

「脅し文句ではない。コイツ等は失敗したんだ。俺の胸三寸だ。この伏してるヤツの首を飛ばすのも簡単。首が飛ぶっていうのは、仕事を失うという意味じゃない――――」
 言いながら、口角を上げて、手で自分の首を切るジェスチャー。
 どうやら、僕の命は、現状、この胸くそ悪い才槌頭が握っているようだ。
 不愉快きわまりないね。こんな助平でゲスなおっさんに命握られてるってさ。
 でもまあ、そうなったら僕も、いろんなつてを使ってあらがうんで、ロールさんもいちいち耳に入れる事じゃない。
 
 ――――ん?
 なんです? 僕なんか見て。気にしなくていいですよ。これは僕が作った結果だし、眉をそんなに下げて悲しまなくていいですから!
 ちょっと待ってよ! なに考えてんの! なんで項垂れた姿勢になってんの! いつもみたいに真っ直ぐと背筋を伸ばしてくださいよ。
 邪神や甲鎧王に対しての、凛とした姿は何処に行ったんですか!?
 
 公務員は、直接的な上の者の権力には弱いよ。でも、それは僕が受ける制裁だから。ロールさんは関係ないでしょう!

「分かるな?」

「――――はい……」

「なに、簡単だ。俺を満足させればいい。それだけの器量だ。一生面倒を見てやる。俺の欲する時に股を開けばいいんだ」
 気持ち悪い事を言ってんじゃないよ。なんだよそれ……。
 うるさいんだよ! さっきから自分の心臓がうるさいよ!
 どっどっどっどっ――――って、うるさいんだよ!!
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

処理中です...