拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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トレジャーハントに挑む、三人の公務員

PHASE-28

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 ――――。

「ほら」

「ぐふ……」
 しゃれにならなくなってきたな……。
 悶絶とは正にこの事。
 痛みと苦しさから、体を丸めてしまっている僕。
 床に顔をくっつけた状態だ。床のひんやりが顔に伝わってくる。
 みっともないったらありゃしないって姿だ。

「ハハハ――――まるで蛆虫みたいだな。蛆虫野郎に名を変えるか?」
 幼虫あつかいかよ……。

「ハハ――大体、何が炎竜王だ。そんなもの脅威ではないわ!」

「!?」 
 えらく大胆な発言だな、下男風情が。
 ――――ンダガランさんの憂いのある表情が蘇って――――!?

「ぃだい……ふっ…………」
 横腹に思いっ切りトーキックが入った。
 これヤバイ……。死ぬかも。今のは本気で入った。体全体に衝撃が走る。考え事も出来やしない……。
 目の前が変な色に染まってる。
 紫のような、緑のような、変な世界だ……。
 お二人も、きっと僕のこの状況に怒りの感情を抱きながらそれを抑えてるんだろうね。我慢をしてくださいよ。

「ピート君!」
 おお……? ロールさんの声だ。
 ドアが激しく開いたから、外で耳にして耐えられなくなったんだろうね。

「なんて事を……何してるんですか!」

「おお――――」
 床しか見えないけど、うずくまっていても分かる。ロールさん大激怒だ。
 ノムロのおっさんも迫力負けか?

「なんと、まあ――――」
 あ、これ違う……。不快になるヤツだ。ロールさんの気迫に押されたとかじゃなく、ロールさんの容姿に魅了されたヤツだ。

「この様なほこり臭いところに――――信じられんな」

「な、なんですか」
 大きく呼吸を数回、ゆっくりと行うと、少しだけど体が動いてくれる。頑張って顔を上げれば、ノムロのおっさんのにたついた表情。
 気持ち悪いってのが、真っ先に感想として浮かぶ。
 ロールさんもよせばいいのに入ってきてさ。

「いいな――――おい! 俺の女になれ!」

「何を馬鹿な事を。ピート君、大丈夫!」
 いやいや、僕の事はいいから、さっさと退室してくださいよ。

「いいから!」

「いた!?」
 ほら、掴まれてる。
 なんか、ロールさんって、こんな事が多いな……。
 甲鎧王の時みたく、邪神を召喚しますか?

「放してください!」

「暴れるんじゃない! そして、そこの二人も動くなよ」
 こういう時の機転は早いんだよな。小賢しい男ってのはさ。
 ゲイアードさん達を威圧してから動きを制している。

「こんな上物がいるとはな。お前の応対しだいで、コイツ等の今後を無事にする事も出来るぞ」
 むかつくわ~。

「そんな脅し文句は通用しません」
 強い目で睨み返してる。いいよ。流石はロールさんだ。
 そこの女性は、邪神にもぶれない心で対峙する事が出来る人だからな。脅しなんて通用しないよ。

「脅し文句ではない。コイツ等は失敗したんだ。俺の胸三寸だ。この伏してるヤツの首を飛ばすのも簡単。首が飛ぶっていうのは、仕事を失うという意味じゃない――――」
 言いながら、口角を上げて、手で自分の首を切るジェスチャー。
 どうやら、僕の命は、現状、この胸くそ悪い才槌頭が握っているようだ。
 不愉快きわまりないね。こんな助平でゲスなおっさんに命握られてるってさ。
 でもまあ、そうなったら僕も、いろんなつてを使ってあらがうんで、ロールさんもいちいち耳に入れる事じゃない。
 
 ――――ん?
 なんです? 僕なんか見て。気にしなくていいですよ。これは僕が作った結果だし、眉をそんなに下げて悲しまなくていいですから!
 ちょっと待ってよ! なに考えてんの! なんで項垂れた姿勢になってんの! いつもみたいに真っ直ぐと背筋を伸ばしてくださいよ。
 邪神や甲鎧王に対しての、凛とした姿は何処に行ったんですか!?
 
 公務員は、直接的な上の者の権力には弱いよ。でも、それは僕が受ける制裁だから。ロールさんは関係ないでしょう!

「分かるな?」

「――――はい……」

「なに、簡単だ。俺を満足させればいい。それだけの器量だ。一生面倒を見てやる。俺の欲する時に股を開けばいいんだ」
 気持ち悪い事を言ってんじゃないよ。なんだよそれ……。
 うるさいんだよ! さっきから自分の心臓がうるさいよ!
 どっどっどっどっ――――って、うるさいんだよ!!
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