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トレジャーハントに挑む、三人の公務員
PHASE-38
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「憶測を口にするものじゃない。自身に危機が訪れる事もある。もっと、整理してから語りなさい」
「はい。申し訳ありません」
「とりあえず、その事には箝口令を敷く。もし、本当にウィザースプーン君の憶測通りなら、炎竜王殿になにかあったと広がると、途端に冒険者たちが――――分かるね?」
ゆっくりとした首肯で返した。
名声を上げようと冒険者たちが、霊山であるケルプト山を奪還する為に、大きく動き出す可能性が出て来る。
熱が入り始めると、大規模な戦闘へと発展する可能性もある。そうなれば、王都にも累がおよぶ。
「この事はもちろん、誰にも語ったりはしていないね?」
「はい」
「よろしい。親しい者にも言ってはいけないからね。ジャイロスパイク君にもだよ」
「はい!」
「う、うん。いい返事だ。化石の情報を流した者達に関しては、私も調べてみよう」
局長。いま、僕ポイントが上がりましたよ。
ロールさんを親しい存在に見てるなんて、いいセンスですよ。局長にはそういう風に見えてるんですね。素晴らしい。
結婚式を挙げる時には、仲人を頼もうかな。
前半が嬉しすぎて、後半の化石の件は適当に聞いていた僕。
退室すると、親しいと思われているロールさんが席に座っていながらも、挙動に落ち着きがないのが窺える。
僕が退室したのを目にすると、直ぐに僕に駆け寄ってくれるのが嬉しいじゃないか。
「どうだった?」
「何事もなく。です」
「よかった」
だから、そんな風に瞳を潤ませないでくださいよ。可愛いな~。チュウしていいですか?
「いいご身分ですな~。美人様から心配されてよ~」
はいはい、おっさん。当たらないでくださいよ。昨日は僕の分の仕事もこなしてくれたみたいだから。強くは対抗しないであげます。
「僕の無事を祝して、お昼は奢らせてあげますよ。整備長」
「アホか! 俺に奢れよ。俺は昨日、お前の仕事もしたんだぞ」
普段は僕が貴男の仕事をやってあげてるでしょ。直ぐに外回りとか言ってサボってるの分かってても、こなしてあげてるんですよ僕。
本当に、しわい人だ――――。
馬鹿みたいなやりとりが出来るくらいに、余裕は出てきたな。僕の精神状態――――。
――――。
さて、本日も頑張るぞ!
今日も朝の通勤は、ロールさんと一緒。最高の朝が続くぜ。
「おはようございます」
うん! おっさんは本日は遅いみたいだな。それでこそ整備長だ。
「ウィザースプーン君」
「はい」
「ちょっと来てくれるかな」
おんおん? 昨日の今日でまた何かあったのかな?
局長に呼ばれて執務室へ、
「昨日の今日ですまないね」
僕も同じ事を考えてましたよ。
手で、ソファの方に案内される。どうやら、悪い話では―――――、いやまて、そう考えていて、ケルプト山に赴いたからな。
今度もまた悪い話とかじゃないよね?
「やはり…………大公様の威光であっても――――」
え~。その後の台詞が分かっちゃうよ。持ち上げといて落としにかかるスタイルですか?
「罷免ですか?」
「違うよ。だが、子爵様サイドから意を唱えられてね」
無罪は納得いかないとの事だ。
「一応、体裁でということで、大公様が案を出された」
ほとぼりが冷めるまで、一時は古都で働けってことかな?
結局、折れたところを見ると、やはりそこは魔王軍在籍。大公様の威光ってのは弱まってるのかな~。
暴力を振るって、ただで済むってのがあり得ないわけだもんね。
「本来なら喧嘩両成敗だと思うのだが……」
やだ……、声が重いよ。
「大公様はなんと?」
――――渋面だ……。ペナルティは大きそうだな。
やおら口が動き出した。
「君には調査に出てもらう事になった」
調査? 過酷なのかな……。
凶悪モンスターの生息地の調査とかかな?
最悪と考えると、ケルプト山での後処理か? それだと、ンダガランさんに手伝ってもらえるし、カグラさんの事を聞けるかも。
「何処です?」
――――……なんだこの間は? 森閑が怖い。
「結構な遠出になると思うんだが」
てことは、ケルプト山ではないか。
また出張か~。
罰とはいえですよ。調査なら、現地の局員にやらせればいいじゃないですか。
その旨を伝えてみたら――、
「そこには局がなくてね」
って、返ってきた。
なるほど、局がないのか。未開の地なのか? はたまた、まだ局を設置するほどの規模ではない村とかかな?
だとしても、近くの局員を派遣させるってのがセオリーでしょ?
なのに、僕が行く。まあ、それが罰って事なんだろうけども……。
ハハ――――、背筋が不思議と寒くなってきたよ。野生の勘てのが、僕にもあるのかな。
「そこは何というか……土地? いや、う~ん。地形かな? ――――地形だな。地形が常に変化してね……」
はわわわわわわ…………。
局がない。
地形が常に変化。
その台詞に、立毛筋が収縮して、全身がぶつぶつの鳥肌に変わったよ。
総毛立つってやつだ。
「それ、大陸の西――――南西部分の端っこですよね……」
ゴクリと唾を飲んで、震える声で質問すると、申し訳なさそうに重々しい首肯が返ってきた。
「子爵様サイドがそこを指定したんですか?」
「いや、落としどころとして、大公様がそこを指定したんだ。もとより調査は必要だったからね。未だかつて、誰も調査した事ないけども……。子爵様は指定された場所を聞いて、たいそう驚いていたそうだよ」
流石の子爵様もひくわな……。
ケルプト山なんて、ただのピクニックじゃないか………………。
あの大公ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおっ!!
とんでもない場所を指定したもんだな。モノクル叩き割ってやろうか! くそったれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
「ひぃぃぃぃぃ――――ふぅぅぅぅぅぅ――――」
「呼吸が変だが、大丈夫かな? なにか飲むかい?」
手を出して、結構と伝えつつ、変な呼吸法になったけども、整えつつ――――、
「あの……ヴィン海域で何を調べろと……?」
「どのくらいの戦闘規模と日数で、地形が変化しているのか。とか……どれだけの大魔法が使用されているのか。とか……うん…………」
ふわっふわしてる内容だな。間違いなく芯のない調査だな。
単純に遠島を申しつけられただけじゃないか。
ワギョウスタイルだよ。Seppukuだよ。詰め腹を切らされるってやつだろコレ。
「はい。申し訳ありません」
「とりあえず、その事には箝口令を敷く。もし、本当にウィザースプーン君の憶測通りなら、炎竜王殿になにかあったと広がると、途端に冒険者たちが――――分かるね?」
ゆっくりとした首肯で返した。
名声を上げようと冒険者たちが、霊山であるケルプト山を奪還する為に、大きく動き出す可能性が出て来る。
熱が入り始めると、大規模な戦闘へと発展する可能性もある。そうなれば、王都にも累がおよぶ。
「この事はもちろん、誰にも語ったりはしていないね?」
「はい」
「よろしい。親しい者にも言ってはいけないからね。ジャイロスパイク君にもだよ」
「はい!」
「う、うん。いい返事だ。化石の情報を流した者達に関しては、私も調べてみよう」
局長。いま、僕ポイントが上がりましたよ。
ロールさんを親しい存在に見てるなんて、いいセンスですよ。局長にはそういう風に見えてるんですね。素晴らしい。
結婚式を挙げる時には、仲人を頼もうかな。
前半が嬉しすぎて、後半の化石の件は適当に聞いていた僕。
退室すると、親しいと思われているロールさんが席に座っていながらも、挙動に落ち着きがないのが窺える。
僕が退室したのを目にすると、直ぐに僕に駆け寄ってくれるのが嬉しいじゃないか。
「どうだった?」
「何事もなく。です」
「よかった」
だから、そんな風に瞳を潤ませないでくださいよ。可愛いな~。チュウしていいですか?
「いいご身分ですな~。美人様から心配されてよ~」
はいはい、おっさん。当たらないでくださいよ。昨日は僕の分の仕事もこなしてくれたみたいだから。強くは対抗しないであげます。
「僕の無事を祝して、お昼は奢らせてあげますよ。整備長」
「アホか! 俺に奢れよ。俺は昨日、お前の仕事もしたんだぞ」
普段は僕が貴男の仕事をやってあげてるでしょ。直ぐに外回りとか言ってサボってるの分かってても、こなしてあげてるんですよ僕。
本当に、しわい人だ――――。
馬鹿みたいなやりとりが出来るくらいに、余裕は出てきたな。僕の精神状態――――。
――――。
さて、本日も頑張るぞ!
今日も朝の通勤は、ロールさんと一緒。最高の朝が続くぜ。
「おはようございます」
うん! おっさんは本日は遅いみたいだな。それでこそ整備長だ。
「ウィザースプーン君」
「はい」
「ちょっと来てくれるかな」
おんおん? 昨日の今日でまた何かあったのかな?
局長に呼ばれて執務室へ、
「昨日の今日ですまないね」
僕も同じ事を考えてましたよ。
手で、ソファの方に案内される。どうやら、悪い話では―――――、いやまて、そう考えていて、ケルプト山に赴いたからな。
今度もまた悪い話とかじゃないよね?
「やはり…………大公様の威光であっても――――」
え~。その後の台詞が分かっちゃうよ。持ち上げといて落としにかかるスタイルですか?
「罷免ですか?」
「違うよ。だが、子爵様サイドから意を唱えられてね」
無罪は納得いかないとの事だ。
「一応、体裁でということで、大公様が案を出された」
ほとぼりが冷めるまで、一時は古都で働けってことかな?
結局、折れたところを見ると、やはりそこは魔王軍在籍。大公様の威光ってのは弱まってるのかな~。
暴力を振るって、ただで済むってのがあり得ないわけだもんね。
「本来なら喧嘩両成敗だと思うのだが……」
やだ……、声が重いよ。
「大公様はなんと?」
――――渋面だ……。ペナルティは大きそうだな。
やおら口が動き出した。
「君には調査に出てもらう事になった」
調査? 過酷なのかな……。
凶悪モンスターの生息地の調査とかかな?
最悪と考えると、ケルプト山での後処理か? それだと、ンダガランさんに手伝ってもらえるし、カグラさんの事を聞けるかも。
「何処です?」
――――……なんだこの間は? 森閑が怖い。
「結構な遠出になると思うんだが」
てことは、ケルプト山ではないか。
また出張か~。
罰とはいえですよ。調査なら、現地の局員にやらせればいいじゃないですか。
その旨を伝えてみたら――、
「そこには局がなくてね」
って、返ってきた。
なるほど、局がないのか。未開の地なのか? はたまた、まだ局を設置するほどの規模ではない村とかかな?
だとしても、近くの局員を派遣させるってのがセオリーでしょ?
なのに、僕が行く。まあ、それが罰って事なんだろうけども……。
ハハ――――、背筋が不思議と寒くなってきたよ。野生の勘てのが、僕にもあるのかな。
「そこは何というか……土地? いや、う~ん。地形かな? ――――地形だな。地形が常に変化してね……」
はわわわわわわ…………。
局がない。
地形が常に変化。
その台詞に、立毛筋が収縮して、全身がぶつぶつの鳥肌に変わったよ。
総毛立つってやつだ。
「それ、大陸の西――――南西部分の端っこですよね……」
ゴクリと唾を飲んで、震える声で質問すると、申し訳なさそうに重々しい首肯が返ってきた。
「子爵様サイドがそこを指定したんですか?」
「いや、落としどころとして、大公様がそこを指定したんだ。もとより調査は必要だったからね。未だかつて、誰も調査した事ないけども……。子爵様は指定された場所を聞いて、たいそう驚いていたそうだよ」
流石の子爵様もひくわな……。
ケルプト山なんて、ただのピクニックじゃないか………………。
あの大公ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおっ!!
とんでもない場所を指定したもんだな。モノクル叩き割ってやろうか! くそったれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
「ひぃぃぃぃぃ――――ふぅぅぅぅぅぅ――――」
「呼吸が変だが、大丈夫かな? なにか飲むかい?」
手を出して、結構と伝えつつ、変な呼吸法になったけども、整えつつ――――、
「あの……ヴィン海域で何を調べろと……?」
「どのくらいの戦闘規模と日数で、地形が変化しているのか。とか……どれだけの大魔法が使用されているのか。とか……うん…………」
ふわっふわしてる内容だな。間違いなく芯のない調査だな。
単純に遠島を申しつけられただけじゃないか。
ワギョウスタイルだよ。Seppukuだよ。詰め腹を切らされるってやつだろコレ。
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