拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ

PHASE-02

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「ご一緒させていただきます。乗ってください」
 村でグライフ君を預かってもらって、ロッケンジーさんの誘導に従って幌馬車に乗り込む。
 本来なら、グライフ君で移動するつもりであったけど……。
 甲鎧王の配下を前にしても怯む事なく、ぶっ飛ばした気骨ある幻獣グライフ君――――なんだけども……。
 いかんせんここに来てからというもの、落ち着きがなくなってしまった。
 なだめるのが大変だったよ……。
 野生の勘が、この環境下を危険と伝えているんだろうね。
 
 ヴィン海域から離れた状態でこれだからね。絶対にここから先は行く気はないようだ。
 この幌馬車の馬たちは鍛えられてるんだな。そんな地からやって来てるんだから。
 
 グライフ君がてこでも動きたくないのに、僕はその中心地に赴くわけですよ……。
 いまにも胃から、朝食べた内容物が口まで上がってきそうだ……。

 ――。

「で、調査って何ですか?」
 移動し始めてからの、ロッケンジーさんからの質問。
 ハハ――――……。なんでしょうね? 僕が知りたいんですけども。
 体のいい罰なんで、詳しくは大公様にでも聞いていただければ幸いです。

「まあ、その……」

「なんすか? 煮え切らないですね。重大なんですか」
 圧が凄い。手綱をしっかり持って正面を見ていただきたい。僕に顔を近づけるのではなく……。
 虹彩の薄い目が怖いから、余計に凄みがあるよ。

「重大な内容って、まさかゲンジ砂漠に続いて――――」
 やめて、その台詞で、併走している幌馬車のパーティーがざわついて、こっちを見ているよ。

「いやいやいや! 断じて違いますから。制限を設けるとか、話には出てませんから」
 これ以上、ガチ勢のはけ口を摘んでいったら、僕たちの首が摘まれそうだよ。この人達に……。

「頼みますよ。俺たち、まだここじゃあ駆け出しなんですから。こういうお使いしか、まださせてもらえないんですよ。前戦に立てるころに、ハイ――――制限。なんて言われたらたまらんすわ」
 話が進むにつれて凄みが増していくんですけど……。
 語り方が輩と同じ手法ですよ。勇者様。
 
 僕としては、適当に調査して、さっさと帰って、疲弊した芝居をしながら、ロールさんの胸に飛び込みたいだけなんですから。
 
 ――。

 遠方からの轟音を耳にしながら、手綱を持つロッケンジーさんを眺める。
 素人の僕から見ても分かるくらいのやり手だ。
 装備もいい。
 よく磨かれているけど、光が反射しないようにつや消しのされた、白銀のブリガンダイン。
 黄色と黒の市松模様のマント。
 マントの肩部分は、肩に沿うように歪曲された金属の防具も施されてる。
 金がかかった装備だ。こんな装備を持っていても、駆け出し扱いなんだな。ヴィン海域では……。
 流石はガチ勢の巣窟である。

「やっぱり、あれなんですか? マップも覚えてないのに――――」
「前戦に立たないでくれる。後方支援推奨。って、言われますよ」
「そうなんですか。じゃあ――」
「遊びで勇者やってんじゃないんだよ! は、大事な事なので三回言います」
 おお! やっぱり言うんだ。
 本当にあるんだ、そんな流儀が。
 毎日、戦いに興じている方々はやはり頭が少し病んでるんだな。そんな事を金科玉律として掲げてるんだから。

 ――。
 
「おわ!? おぉおぉぉぉ……」
 段々とヴィン海域に接近して行くにつれ、大地、大気を震わす轟音が強さを増していく。
 これ、中心地に行ったら、衝撃だけで体内がズタズタにされそうな気がするんだけど……。
 到着した矢先に故人にならないよね?
 
 ――――。

「お、帰ってきたな」

「うっす、買い占めてきました」
 体育会系のようなやり取りだな。この辺は古都に相通じるものがある。
 加えてこちらは、血なまぐさいのも混じってるけどさ……。

「局長殿から聞いてますよ。ナイゼル・エースといいます」

「ピートマック・ウィザースプーンです」
 局長? 大公様じゃないんだ。
 気を利かせて、局長の方から連絡を入れてくれたのかな? 大公様よ、案を出したならここへの連絡までやっとけよ。
 そこまでやって、ようやく仕事っていえるんですよ。
 
 
 ロッケンジーさんも中々だったけど――――、ナイゼルさん、これまた凄い人が出てきたな。
 無造作に伸ばされた長い金色の髪は、お日様の光でキラキラだ。
 それに負けじとばかりに、装備している鎧はロッケンジーさんとは逆で、つや消しを施していない、煌びやかに輝く白銀のプレートアーマーだ。首から下が全て守られている装備。
 深紅のマントには、伏せている姿の獅子が、金刺繍で施されている。
 この俺を狙ってこい! って、相手にアピールしてるみたいな派手さだ。
 
 剣はサイズからして、両手持ちのクレイモア。
 そのクレイモアの柄頭ポンメルには、マントと同色の、輝く大きなタリスマン。
 ガードの両端と中央にも小さめのタリスマンが三つ埋め込まれている。
 色は、青に黄に緑。
 各属性魔法の底上げに秀でた一振りの剣だ。
 ここまで豪奢な武具の所持者は、見た事がない。
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