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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ
PHASE-12
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「じゃあ、備えようか?」
「へ?」
何にでしょうか?
「来るぜぇぇぇぇ!」
「え?」
考える間もなく、背後から強烈な衝撃が襲ってきた。
「あわわわわ……」
地面を転がされる。足に纏った風のせいで、姿勢をコントロール出来ないもんだから、勢いが凄かった。
なんだ!? 何が僕を襲ったんだ?
「威力からして、荒天乱舞だな」
遠くで唱えられた魔法の衝撃で、魔法を推測するバロニアさん。
「大魔法ですよね?」
「当たり前。ここじゃこれが普通だって事は分かってるだろ」
だから、なんで笑ってるんですかね? かなり離れた位置だったから、この程度で済んだわけだけども。
ここから更に前線へと行くとなると…………。
やだ……。
「さあ、バロニア、更に前行くよ」
と、先ほど同様に疾風脚を纏った足で前線へとひた走る。
で、その後を、またも自分の股をいじめながら、ザンデさんに引っ張られて付いていく……。
先ほどよりは些か慣れたようで、目を方々に向けられるまでの余裕が出てきた。
目に映る世界は、美しい花々が咲いている緑の小島に、透明度の高い遠浅の海だ。
多島海ということもあり、小島と小島の間の海を移動。
周囲では、空気を振動させる爆音に、海上での衝撃が水しぶきとなり、雨のように僕たちの頭上に海水を降らせてくる。
疾風脚による水面の移動。死と隣り合わせだけども、この海面を滑るように移動する感じは正直――――楽しい。
ここは戦場ではなく、リゾート地として運用した方がいいと思う。
地形変化はそういう事に利用すべきだ。不肖な存在ではありますが、僕が整備局員として、陣頭に立って取り仕切るんで、そうしませんか?
血生臭くないなら、長期の出張だろうと、そっちを選択するよ。
とか、考えている矢先に――、
「ザンデさん! 目の前に高波」
「大丈夫」
そう言うと、僕の手から、腕組みに変えて、高波に逆らわないように、正面じゃなく横に移動。
「おお、ビックウェーブだ」
「ね~最高!」
凄く楽しんでますね。
――かくいう僕も、怖いの半分、興奮半分だ。
波が僕たちの背後から覆うように形を変えてくる。さながら波のパイプラインの中を移動しているみたい。
すっごく幻想的だ。
あと、肘に当たるおっぱいが柔らかくて気持ちいい。
この余裕。エロは恐怖に勝るという事を絶賛体感中だ。
僕の余裕が伝わったのか、それとも胆力があると認められたのか、勝ち気な笑みと、組んでる腕が更に強さを増していく。
僕としては嬉しい限りの感触である。
「この波をくぐり抜けた先――――」
ザンデさんが興奮気味に声をあげ、口角も上げてる。
嫌な予感しかしないんですが……。
「見えた! ドレッドノート」
見えなくていい! いやぁぁぁぁぁぁあぁぁあああぁ! いる! 小島の向こう側、本当にとんでもなくデカいのがいる。奥側にいる。帰る、帰るぅぅぅぅぅぅ!!
「俺から先行だ」
バロニアさん、自分の体よりも大きな幅広の大剣を振り上げて、足に纏った疾風脚の効果なのか、豆粒みたいに小さく見えるくらいまで跳躍。
飛翔しているようにも見える。
なんで躊躇なく仕掛けられるの? この人……。
「いいぞ!」
豆粒の大きさの方向から、こちらまでしっかりと届く野太い声。
「まったく、私がサポートなんて――――魔風甲。プラスで超越力」
「来た来た来た――――!」
魔法効果で、体の底から力が漲ってくるのか、声も更に大きくなり、空に掲げた大剣を、とんでもなくドデカい標的である、ドレッドノートさんの頭に目がけて振り下ろす。
「よっしゃぁぁぁぁぁぁ!! いちう゛ぁ!?」
へ…………?
は? なんだよ……。これ、何なんだよ!
今までこんな光景を見たことなんてないぞ……。
夢や嘘であってよ……。
――……なめていた……。
なんだかんだで、和気藹々的な戦闘だと思っていた。
僕の知る場所では、出来るだけ死者が出ないように、皆、配慮していたり、双方が礼節をもっていたりと…………、
そうなんだよ、ここでは会話からも分かるけど、死人が普通に出るんだよな……。
嬉々として語っていたから、半ば冗談とも考えていたけど、死人が容易く出る場なんだよな……。
ヴィン海域は…………、
波のパイプラインを潜っていた時の高揚感が、一瞬で消え失せてしまった……。
「へ?」
何にでしょうか?
「来るぜぇぇぇぇ!」
「え?」
考える間もなく、背後から強烈な衝撃が襲ってきた。
「あわわわわ……」
地面を転がされる。足に纏った風のせいで、姿勢をコントロール出来ないもんだから、勢いが凄かった。
なんだ!? 何が僕を襲ったんだ?
「威力からして、荒天乱舞だな」
遠くで唱えられた魔法の衝撃で、魔法を推測するバロニアさん。
「大魔法ですよね?」
「当たり前。ここじゃこれが普通だって事は分かってるだろ」
だから、なんで笑ってるんですかね? かなり離れた位置だったから、この程度で済んだわけだけども。
ここから更に前線へと行くとなると…………。
やだ……。
「さあ、バロニア、更に前行くよ」
と、先ほど同様に疾風脚を纏った足で前線へとひた走る。
で、その後を、またも自分の股をいじめながら、ザンデさんに引っ張られて付いていく……。
先ほどよりは些か慣れたようで、目を方々に向けられるまでの余裕が出てきた。
目に映る世界は、美しい花々が咲いている緑の小島に、透明度の高い遠浅の海だ。
多島海ということもあり、小島と小島の間の海を移動。
周囲では、空気を振動させる爆音に、海上での衝撃が水しぶきとなり、雨のように僕たちの頭上に海水を降らせてくる。
疾風脚による水面の移動。死と隣り合わせだけども、この海面を滑るように移動する感じは正直――――楽しい。
ここは戦場ではなく、リゾート地として運用した方がいいと思う。
地形変化はそういう事に利用すべきだ。不肖な存在ではありますが、僕が整備局員として、陣頭に立って取り仕切るんで、そうしませんか?
血生臭くないなら、長期の出張だろうと、そっちを選択するよ。
とか、考えている矢先に――、
「ザンデさん! 目の前に高波」
「大丈夫」
そう言うと、僕の手から、腕組みに変えて、高波に逆らわないように、正面じゃなく横に移動。
「おお、ビックウェーブだ」
「ね~最高!」
凄く楽しんでますね。
――かくいう僕も、怖いの半分、興奮半分だ。
波が僕たちの背後から覆うように形を変えてくる。さながら波のパイプラインの中を移動しているみたい。
すっごく幻想的だ。
あと、肘に当たるおっぱいが柔らかくて気持ちいい。
この余裕。エロは恐怖に勝るという事を絶賛体感中だ。
僕の余裕が伝わったのか、それとも胆力があると認められたのか、勝ち気な笑みと、組んでる腕が更に強さを増していく。
僕としては嬉しい限りの感触である。
「この波をくぐり抜けた先――――」
ザンデさんが興奮気味に声をあげ、口角も上げてる。
嫌な予感しかしないんですが……。
「見えた! ドレッドノート」
見えなくていい! いやぁぁぁぁぁぁあぁぁあああぁ! いる! 小島の向こう側、本当にとんでもなくデカいのがいる。奥側にいる。帰る、帰るぅぅぅぅぅぅ!!
「俺から先行だ」
バロニアさん、自分の体よりも大きな幅広の大剣を振り上げて、足に纏った疾風脚の効果なのか、豆粒みたいに小さく見えるくらいまで跳躍。
飛翔しているようにも見える。
なんで躊躇なく仕掛けられるの? この人……。
「いいぞ!」
豆粒の大きさの方向から、こちらまでしっかりと届く野太い声。
「まったく、私がサポートなんて――――魔風甲。プラスで超越力」
「来た来た来た――――!」
魔法効果で、体の底から力が漲ってくるのか、声も更に大きくなり、空に掲げた大剣を、とんでもなくドデカい標的である、ドレッドノートさんの頭に目がけて振り下ろす。
「よっしゃぁぁぁぁぁぁ!! いちう゛ぁ!?」
へ…………?
は? なんだよ……。これ、何なんだよ!
今までこんな光景を見たことなんてないぞ……。
夢や嘘であってよ……。
――……なめていた……。
なんだかんだで、和気藹々的な戦闘だと思っていた。
僕の知る場所では、出来るだけ死者が出ないように、皆、配慮していたり、双方が礼節をもっていたりと…………、
そうなんだよ、ここでは会話からも分かるけど、死人が普通に出るんだよな……。
嬉々として語っていたから、半ば冗談とも考えていたけど、死人が容易く出る場なんだよな……。
ヴィン海域は…………、
波のパイプラインを潜っていた時の高揚感が、一瞬で消え失せてしまった……。
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