拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ

PHASE-15

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「そして、ここはわたくしの主である氷竜王が住まう館です」

「へ!? ウンディーネ様なのに主がいるんですか!?」
 四大精霊様の一柱を従えてるなんて、凄い方なんだな、シズクさんって。
 そもそも邪神シスコンの話では、魔王さんは元々が戦女神。
 となれば、カグラさんや妹のシズクさんも、神族的な立ち位置なのかな? そうならば、精霊を従えるってのにも得心はいく。しかし、まさか従えているのが大精霊様とは……。

「気を失ったところを、ドレッドノート様が運ばれたんです」
 ああ……、バロニアさん、ザンデさん…………。
 ドレッドノートさんの名を聞いて、現実が僕に押し迫ってくる。
 嫌でも思い出される、二人の死。
 ベッドで頭を抱え込んでしまう。

「気をしっかりと持ってください」
 背中を優しく擦ってくれる。
 不思議とそれで安心するのだからありがたい。
 やはり、人って誰かに支えてもらわないと駄目になるんだな。
 とくに、僕みたいなヘタレな存在にはね――――。

「この様な環境です。貴男が気に病むことはありません。覚悟の上でここに居座ってるのですから」
 暖かな笑みが、滅入っている心を癒やしてくれる。

「大分、楽になり――――」

「ここでは命など儚きもの、そのようなに苛まれていては、何も出来ませんよ」
 おお……、おぉ…………。
 なんという、残酷な笑顔か……。
 一緒じゃねえか……。向こうの病んでる意識高いガチ勢と一緒じゃないか…………。


「ここはやはり、現世でなく――――地獄だ……」

「いえいえ、ここは楽園です。だって、好きなだけ暴れられるんですから。命の奪い合いって刺激的でいいですよ♪」
 なんてこったい……。美しい虹彩の存在からは聞きたくなかったよ……。
 澱みもない澄んだ清流のように、すらすらと語ったな。流石は水の大精霊様だ。
 なのに、台詞は真逆のドブ泥のようだよ……。
 結局はこの方もガチ勢って事か…………。
 腐ってやがる!!
 誰がなんと言おうと、ここは……、地獄だ…………。

「起き上がれますか」

「はい、大丈夫です……」

「元気がありませんね」
 十割で、ここで馬鹿やってる貴方方が原因ですよ。とは言いたいけど、言えない。
 殺されたくないからね……。命の奪い合いは刺激的とか言っちゃう時点で、魔王軍こっちサイドも、命を軽んじてるもの。悋気に触れたら、平気で命を刈り取る方々だよ。
 
 はぁ…………、バロニアさん。ザンデさん。本当に死んだんだな……。
 初めてだった、人が命を落とすのを目撃するのは、しかもあんな感じで……。
 発狂していない自分が、不思議でならないよ。

「では――――行きましょうか」
 帰らせてくれるのかな? これで一応、魔王軍サイドも見れたという体も出来たわけだし、これで調査終了って事にならないかな……。
 
 ――。 

 寝室同様、通路もオリエンタルなデザインで統一されていて、木の皮を格子状にして作られた筒状の入れ物や、陶器などの調度品が並んでいる。
 僕の前を歩くイスキさん。普段ならその後ろ姿、特に臀部なんかを凝視して喜んだりするんだろうけど、この方もガチ勢と分かった途端に、眺めるって行為が出来なくなった。
 心身共に滅入っているよ……。
 
 本来さ、人間って追い込まれたりすると、種の保存に傾倒するらしいけど、反応しないというね……。
 あれかな? まだ極限状態じゃないと、本能が理解していたりするのかな? でも、これ以上の極限状態ってないよ。

 ――。

「こちらへ」
 通路から、境となる扉もドアもなく、そのまま広い部屋へと繋がっている。
 テラスもあって、眼前にはオーシャンビュー。先ほどの部屋より海が近い。というかテラスの先は真っ白な砂浜が広がった素敵な風光だ。
 陽射しは強いけど、心地いい。リゾート地と見紛うばかりだ。
 真っ赤な南国の花々に椰子の木。
 南国然たる風光。
 本当にここで血みどろの戦闘があってるとは考えられないよ。
 
 ――――そうだよ。

「あの戦闘中ですよね?」

「ええ、しゃにむに戦いを楽しんでいる事でしょう」
 ――……楽しんでるって部分はいらない。
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