拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ

PHASE-16

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「静かですね」

「ここは結界が展開されています。音、衝撃の一切を遮ります。喧騒さを嫌う主への配慮がここでは肝要なので」
 そういう事ね。きっと結界自体に、外の空間が干渉しないようにしてあるんだろう。 
 空に目を向ければ音どころか、爆発による空に走る光すらないもの。
 シズクさんって神経質な方みたいだね。
 喧騒を嫌うって事は、戦いも好んでするってタイプじゃないかも。
 だったら戦闘狂って可能性は低いな。交渉次第では、ここのリゾート開発に興味を持って、耳を傾けてくれそうだな。

 でだ――、
「ここで何を?」
 泳いで気分転換でもしろという事なのだろうか? 滅入った心を癒やすにはいいかもしれないけどね。
 
「もうすぐ、お見えになります」
 お見えになるか。大精霊様にそう語らせる、ここでの対象は一人しかいないよね。

 ――。

「む?」
 白い砂浜の先の透明度の高い海。
 海面に人のような影がはっきりと見える。
 眺めていると、サパッと静かな水音が耳朶に届いた刹那で――、目を奪われてしまうとは正にこの事! と、ばかりの美人様が海から現れました。

「はぁ~」
 息を漏らしてしまうほどの美人様。
 
 カグラさんと同じだね。
 違うのは、赤系でなく、青系。
 青の階調色からなる髪の色。
 毛先に進むにつれて、淡い青い髪の色が、濃くなっていく。
 細い体にすらりと伸びた脚。腰の位置も高く、更に美脚を引き立てている。
 日焼けなんてなにするものぞ、とばかりの透き通るような白い肌には、白い砂浜なんかじゃ太刀打ち出来ない。
 濡れた髪をかき上げると、キラキラと飛び散る海水。
 ショートカットの髪型から、活動的なのを窺わせる。
 本当に――――、綺麗だ。
 ロールさんやカグラさんとの初対面の時を思い出すな~。
 ロールさんとは局に入ったばかりの時だったっけ、一目で心奪われたな~。
 ああ……。ロールさんに会いたい……。

 ――。

「目が覚めたようね」
 近くで見ると更に綺麗だ――――。
 髪の階調色もそうだけど、瞳を目にすれば、カグラさんと姉妹だって分かるよ。
 オッドアイだ。右は紺碧の瞳。左は深紅の瞳。カグラさんと逆だね。

「ん? なに?」
 ――――いかんいかん、見入ってしまった。

「王都整備局より来ました。ピートマッ――――」

「知ってる。聞いてるから」

「あ……はい…………」
 カグラさんと違って、素っ気ないな~。敬語でもないし。

「あのシズクさんですよね?」

「え!? なに? 初対面なのに名前で呼ぶとか。気安いわね。しかもさん付け。氷竜王も随分と下に見られたものね」

「申し訳ありません」
 深々と典雅な一礼を行って、謝罪する。
 カグラさんとは違うタイプのようだ。姉妹だからって同じタイプと決めつけて、フランクに名前を呼んだのが問題だったな。
 これは公務員として、僕の配慮が至らなかった。反省だ。

「カグラさんとは懇意にさせてもらっております」

「は? だから? 姉と懇意だから私の事もさん付けでいいとか浅はかよね。馬鹿なの? 人間のくせに馴れ馴れしい」

「申し訳ありません……」
 まあ、これが本来の魔王軍としての正しい反応なのかもしれないね。
 後ろに立つイスキさんは苦笑いだけどさ。
 
 初対面の僕に対する応対は薄いものだ。
 そう、薄かった。
 仕方ないね。カグラさんと違って、胸元の感触も堪能できなさそうな薄さですもんね。そりゃ応対も薄くなりますわな。
 あれかな? カグラさんに栄養全部を持っていかれたのかな?
 ケッケッケ――――。

「やだ、気持ち悪い……。イスキ、この男、私の胸を見てる」
 …………。

「いえ、そんなつもりは」
 恥ずかしそうに諸手で隠してますが、大仰ですよ。片手でも十分事足りるものじゃないですか。
 紅潮しながらのその仕草。可愛いとは思いますが、欲情はしないですよ。僕は――――。
 
 極上の美人である事は認めよう。
 だが、断崖絶壁に近いわずかな膨らみしかないものを目にしても、なんの感慨も湧かないです。
 僕はね――――、しっかりとしたメリハリボディにしか興味がないんですよ。
 ね、メリ胸、お尻ハリ。コレ! メリは合格ですけどね。後がね。 
 なんて発言したら、死んじゃうかな? 僕。
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