315 / 604
ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ
PHASE-17
しおりを挟む
「無事なら帰りなさい。貴男みたいなのがいる所じゃないから。命が失われる前にね」
言い方は刺々しいけど、優しかったりする?
正直な話、ここにいたい。戻ったとしても、むさいのが殆どを占めててさ、市場の魚の目をした連中ばかり。そんな方々とは親密になりたいとは思わないし。
ここは結界も展開されてるって事だし、何より美人と一緒にいたい。
「だから、気持ちの悪い目を向けないでくれない」
「胆力のある方なんですよ。わたくしも熱い視線を送られました。ですがウィザースプーンさん、シズク様を不快にしてしまえば、本来なら氷漬けですよ」
ゾッとする事を背後で言わないでくださいよ。
まったく、ここではちょっとした冗談も通用しないかもしれないぞ。即、氷漬けなんてまっぴらごめんだ。
素直に言葉に従うべきかな――――。
「おらっ!」
何事!?
「その首もらったぞ氷竜王!!」
急な雄叫びにも似た大音声。
海中から現れる複数の人影。
日の下に晒されると、はっきり表情を見て取れる。
うん……。市場の魚の目をした御一行だ……。
結界の中を侵入してきたのかな? 御一行が強襲に成功した場の目撃者になってしまった。
また戦闘が始まるとか、もうやだよ!
「鬱陶しい」
「か…………」
――――瞬時に御一行が氷漬けだ。
五人いたんだけど……。
五人とも、シズクさんが腕を横に軽く振るように動かしただけで、分厚い氷柱の中に閉じ込められた。
一瞬の出来事だったからだろう、氷柱内の御一行の表情は勢いのあるものだ。
今にも手にした利器で斬りかかりそうな迫力のまま、時が止まったみたいだ。
「あ」
目が動いたのが見て取れる。よかった。まだ命はあるみたいだ。
早く出してあげれば助かるかもしれない。命だけでも取らないでもらえるよう、ここは僕が交渉を――――、
「よいしょ」
――……イスキさん!?
なんて事を! かけ声と共に氷柱を殴ったよこの大精霊様。
――――ヒビが走る。
中に封じられた御一行が粉々になってしまった…………。
またかよ……。また簡単に命が消えたよ……。
そして、また僕の胃から内容物が逆流してしまったよ。
「やだ……気持ち悪い……」
むかつく! 戻す原因作ったのそっちだろうに。
これがカグラさんやンダガランさんなら、気持ち悪いなんて思わずに、すぐに背中をさすってくれたり、優しい言葉を口にしてくれるはずだ。
そこにお姉さんとの差があるよね。
「なにその目? 私をそんな目で見るとか生意気なんだけど。姉と懇意だからって調子に乗らないでよね。ここで姉の威光なんて無意味」
僕、やっぱり胆力あると思うよ。
「たかが人間の視線にいちいち苛立ちを覚えるとか。いやはや、スタイルもそうですが、性格の良さなんかも、全部お姉様の方に持って行かれたようで」
ね。こんな事を口走るなんて、自分でもビックリだし、〝え!?〟って、イスキさんも驚きを隠せないでいる。
氷竜王にまさか意見というか、悪口を発する存在がいるなんて、頭にもよぎらなかっただろう。
しかも、それが只の人間だったなんて、想像だにしてなかっただろうね。
「ねえ、いま、スタイルがどうとか口にしたわよね?」
やっぱり気にしてたか~。
はあ!? さぶ! 南国なのに、急に寒くなってきたんだけど。寒冷地の如き寒さですよ。
「ねえ!」
「おわ!?」
怒りの発言と共に、白い砂浜だけでなく、海まで凍りついたんですけど。
ただムキになっただけで、こんな風に環境を変化させられるとか、流石は氷竜王。
カグラさんも他の魔王軍幹部に畏怖の対象で見られてるみたいだけど、妹さんのこの行為で、間接的にカグラさんの実力を窺えた気がした。
言い方は刺々しいけど、優しかったりする?
正直な話、ここにいたい。戻ったとしても、むさいのが殆どを占めててさ、市場の魚の目をした連中ばかり。そんな方々とは親密になりたいとは思わないし。
ここは結界も展開されてるって事だし、何より美人と一緒にいたい。
「だから、気持ちの悪い目を向けないでくれない」
「胆力のある方なんですよ。わたくしも熱い視線を送られました。ですがウィザースプーンさん、シズク様を不快にしてしまえば、本来なら氷漬けですよ」
ゾッとする事を背後で言わないでくださいよ。
まったく、ここではちょっとした冗談も通用しないかもしれないぞ。即、氷漬けなんてまっぴらごめんだ。
素直に言葉に従うべきかな――――。
「おらっ!」
何事!?
「その首もらったぞ氷竜王!!」
急な雄叫びにも似た大音声。
海中から現れる複数の人影。
日の下に晒されると、はっきり表情を見て取れる。
うん……。市場の魚の目をした御一行だ……。
結界の中を侵入してきたのかな? 御一行が強襲に成功した場の目撃者になってしまった。
また戦闘が始まるとか、もうやだよ!
「鬱陶しい」
「か…………」
――――瞬時に御一行が氷漬けだ。
五人いたんだけど……。
五人とも、シズクさんが腕を横に軽く振るように動かしただけで、分厚い氷柱の中に閉じ込められた。
一瞬の出来事だったからだろう、氷柱内の御一行の表情は勢いのあるものだ。
今にも手にした利器で斬りかかりそうな迫力のまま、時が止まったみたいだ。
「あ」
目が動いたのが見て取れる。よかった。まだ命はあるみたいだ。
早く出してあげれば助かるかもしれない。命だけでも取らないでもらえるよう、ここは僕が交渉を――――、
「よいしょ」
――……イスキさん!?
なんて事を! かけ声と共に氷柱を殴ったよこの大精霊様。
――――ヒビが走る。
中に封じられた御一行が粉々になってしまった…………。
またかよ……。また簡単に命が消えたよ……。
そして、また僕の胃から内容物が逆流してしまったよ。
「やだ……気持ち悪い……」
むかつく! 戻す原因作ったのそっちだろうに。
これがカグラさんやンダガランさんなら、気持ち悪いなんて思わずに、すぐに背中をさすってくれたり、優しい言葉を口にしてくれるはずだ。
そこにお姉さんとの差があるよね。
「なにその目? 私をそんな目で見るとか生意気なんだけど。姉と懇意だからって調子に乗らないでよね。ここで姉の威光なんて無意味」
僕、やっぱり胆力あると思うよ。
「たかが人間の視線にいちいち苛立ちを覚えるとか。いやはや、スタイルもそうですが、性格の良さなんかも、全部お姉様の方に持って行かれたようで」
ね。こんな事を口走るなんて、自分でもビックリだし、〝え!?〟って、イスキさんも驚きを隠せないでいる。
氷竜王にまさか意見というか、悪口を発する存在がいるなんて、頭にもよぎらなかっただろう。
しかも、それが只の人間だったなんて、想像だにしてなかっただろうね。
「ねえ、いま、スタイルがどうとか口にしたわよね?」
やっぱり気にしてたか~。
はあ!? さぶ! 南国なのに、急に寒くなってきたんだけど。寒冷地の如き寒さですよ。
「ねえ!」
「おわ!?」
怒りの発言と共に、白い砂浜だけでなく、海まで凍りついたんですけど。
ただムキになっただけで、こんな風に環境を変化させられるとか、流石は氷竜王。
カグラさんも他の魔王軍幹部に畏怖の対象で見られてるみたいだけど、妹さんのこの行為で、間接的にカグラさんの実力を窺えた気がした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる