拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ

PHASE-18

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「急にだんまり。怖がってるっていうか、私を値踏みしてるみたいね」
 僕ってすぐに相手の事を詮索しようとする悪癖があるみたいだよね。

「落ち着いてください。整備局員の方に手を出すのは」

「邪魔よ!」
 !? やばい、この方は本当に危険だ。

「腹心ですら、悋気に触れれば命を奪うんですか!」

「ただ、凍ってもらっただけ」
 睨まれただけで、大精霊様であるイスキさんが凍りついた。
 青い肌が白い霜で覆われている。

「凍っているのは、貴女の心なんじゃないですか」

「貴男、私が怖くないの?」
 怖いですよ。でも、ここで弱腰になってしまうと、今後の職務に後を引くからね。折れちゃいけないところではしっかりとしないと。
 あの整備長でさへ、甲鎧王の時に、引いちゃいけないところでは、引かずに抗議を口にしたもんだ。
 この方の場合、下手したら今後の職務もなにも、冷凍されて人生終わりって感じにもなりそうだけど、ついさっき、ドレッドノートさんを前にして人生終わったと思ったせいか、無駄に覚悟が出来たようだ。
 なので、言う時は言わせてもらいますよ。

「悋気に触れれば、部下も容易く凍らせる。単純で狭量ですよね」

「ここではコレが効果的なの」

「更にそこから先を熟考もせずに力を振るう。怠惰をむさぼってるだけにしか見えません」
 ―――目が据わった。
 単純だよ。気に入らなければ痛い目にあわせるとか、子供の発想だよ。陳腐な独裁者だ。
 命を奪う、奪われるってのがどれだけ重いのかってのが、この方だけでなく、ここで戦ってる方々は分かっていないんだ。

「ここまで、力も無いような存在に馬鹿にされるのは初めての事ね。一度、死んでみたら考え方も変わるかしら?」

「考え方を変えないといけないのはそちらでしょ」
 本来ならここで後退りなんだろうけど、下がれば所詮はその程度の存在と思われると腹立つし、なによりこの高慢ちきに対して絶対に負けられないと、精神勝負を勝手に挑んでる僕は、強く一歩を踏み出して歩み寄ってやる。

「ちょっと!? なんなの!」
 前進じゃゴラァァァァァァァァァ! 演習でも万歳アタックしてんだよ! こっちは!!
 ガチ勢な冒険者さん達を死兵とか思ってたけど、僕も立派な死兵だな。

「ええい! 鬱陶しい!」
 ひぃぃぃぃぃぃ――、やっぱり怖い。命大事!
 ちょっと後ろに下がろうかとも考えたけど、勢いよく進んでたもんだから、足下を見てなかったよ。
 凍りついてたのをすっかりと忘れていた僕の足は、見事に氷に自由を奪われる。
 立ち位置からすると、館側に立つのが僕で、海側がシズクさん。
 傾斜は館から海に向かって、緩やかな下りになっている。
 自由を奪われた僕は必然的に海側――、つまりはシズクさんの方に進んで行くわけだ。
 もともと進んでたけども、あたふたとしながらってのは、僕の思うところじゃない。

「止めてください」

「なに、なんなのよ!? やだぁぁ――――!!」
 
 ――。

 公務員だって、魔王幹部に体当たりが出来るってのは立証できたよ……。
 本腰入れたら、近づかれる前に僕は氷漬けにされてたんだろうけど、それをしなかったって事はやっぱり思いやりのある方なのかな?
 なんて事を考えながらも、ムツ氏と同様に、特殊スキルであるラッキースケベを僕も所有していたようだ。
 現状は――――、砂浜に仰向けのシズクさん。その上に覆うようになって密着してるのが僕。



「ふむ――――」

「な? な? な!?」
 で、あるか。
 控えめな胸ではあるが、存外と柔らかき感触はあるのだな。
 だがやはり、質量の存在は大事よ。
 
 僕にはそれが最も欲する物だということが再確認できた。
 
 冷静。冷静である。僕は冷静だ。
 右手は、オレンジカラーのチューブトップの肩紐がないビキニの中に突入ブリーチングしている。
 ライトグリーンとブルーカラーのグラデーションからなる熱帯魚のような鮮やかなパレオをまさぐった感じで、左手は太ももと臀部ふきんに触れている状態。
 
 男の性なのか、自然と手が揉みし抱くように動いてしまっている。
 殺されても仕方ない状況ですよ。なのに、この冷静さたるや。
 第三者が目にすれば、僕の表情は――、無であろう。
 
 対してシズクさんは、氷竜王なんですか? と、言いたくなるくらいに紅潮しておられる。今にも顔から、紅蓮の炎が放出されそうな勢いだ。
 このままの状態が続くのであれば、時が止まったみたいな感じだからいいんだけども、静から動に転じる時、僕に訪れるのは死――――。
 ――――てな事にならないように、この状況を打破したいが、全くもって策が閃かないのである。
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