323 / 604
ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ
PHASE-25
しおりを挟む
別れを告げると、空に巨大な黒い穴が数カ所に現れる。
「おいおい、嘘だろ……」
独白しながら、少しでも離れようと、波さんに指示を出す。
高速で離れる背後では空にぽっかりと現れた闇に支配された穴から、巨大な岩の塊が落ち、雷が走って海面に落ち、あげくにはマグマのような赤く、ドロリとしたものまで流れ落ちてくる。
離れていても、熱は伝わる。間違いなくマグマだ。
海に触れれると爆発を起こす。水蒸気爆発だ。濛々と白い煙が発生し、ナイゼルさんの姿が完全に見えなくなってしまった。
そんな中で、巨大な岩も海へと落下、煙をなぎ払うような高波が生まれて、勢いよく僕の方へと向かってくる。
「冗談じゃない」
波さんが同じ波であるからか、上手い具合に高波を乗りこなしてくれるが、後方では更に穴から竜巻がいくつも発生し、豪雨に、マグマ、稲妻など、天変地異の代表格が次々と発生している。
あの穴から召喚してるって事なのだろうか?
この世の終わりを眼界に捕捉している事は理解できる。
ありがたいのは、限定的だということ、高波の脅威はあったけども、僕に迫ったのは高波と、それが連れてきた、水蒸気爆発で発生した、むあっとした蒸気程度。
でも――――、中心地にいたナイゼルさんは……。
「終わり終わり。これの直撃には耐えられないわよ」
巨大な穴の近くで宙に佇み、勝ち誇るプールさん。ケープと三角帽子をゆらしながら勝利者としての笑みを見せている。
「この程度で勝ち誇るなよ」
「ナイゼル!?」
「空間移動魔法は、お前だけに許された魔法じゃないだろう。誰でも使用可能なのは公知。特にこの程度の移動ならな。それにしても、いただけないな、この大魔法は。天地開闢は大多数には絶大の効果だが、俺一人に使用するには大仰だ。小手先以上に容易いぞ。ここぞという時に大味になるのがお前の悪い癖だ。ヤー」
おお! 生きてた。無傷だ。
「ええい!」
プールさん、ナイゼルさんの方向に手を向けると、それに使役されるかのように、竜巻や稲妻が穴から直接ナイゼルさんに向かっていき襲いかかる。
「全甲」
クレイモアに埋め込まれたタリスマンが全て輝き、多色の光がナイゼルさんを包むと、迫る事象を全て無効化するように消し去っていく。
「くそ!」
「下品な言葉だな。ヤー」
「うるさい」
「王蛍火」
激昂するプールさんに向かって放つ。
目を覆いたくなるような強い光。目を閉じても光が入ってくるようで、目の逃げ場がない。
ハッタさんが暗がりの神殿内で使用した物とは比べものにならない。
ナイゼルさんのは、篝火としての使用ではなく、攻撃方法として使用するものだ。
「かふ……」
開く事が出来ないけど、弱々しい女性の声が、離れていながらも、不思議と聞き取れた。
光から解放されて視界が開けてくると、上空では抱き合うように密着したナイゼルさんとプールさん。
プールさんの背中からは幅広な利器の切っ先が突き出ている。
鮮血が剣身を伝い、切っ先から海へとしたたり落ちている。
「やった……やっちゃったよ…………」
信じられなかった。まさか恋人同士で本当に命を奪い合うなんて。しかも、本当にくだらない理由からの仲違いでこんな事を行うなんて……。
プールさんの両腕が力なく下がり、貫かれた衝撃が原因なのか、黒いケープが風に乗って飛んでいく。
「まだまだだな」
「恋人を……へ、平然と刺せる……そんなところが……す、素敵よ……」
「とどめだ」
剣を引き抜くと天へと掲げる。輝き続けるタリスマンが目を引く。
「もういいじゃないですかぁぁぁぁぁぁぁぁ――――」
渾身の声で制止を促すけど、ナイゼルさんは耳を貸さずに、振り上げたクレイモアをプールさんに見舞う。
タリスマンの残光と共に、切り口から吹き出す鮮血。
プールさんの体が反転し、頭から海へと落下していく。
小豆色の、黒みをおびが赤色に陽射しが注がれて、妖艶な光沢を纏わせながら、水面に小さな水柱が生じた。
「助けないと」
独白しつつ、絶望的だけど、プールさんの落下した位置に移動。
何処に落ちたか、一目で分かる、海を染める赤。
「あ……あぁ……」
海に漂っているプールさん。鮮血を流し続けながらも、なぜか満足そうに笑みを見せている。
体に触れるが反応は返ってこない。
遠浅という事もあり、立っても海水は胸の部分くらい。飛び込んでプールさんを抱き上げると、波さんが僕の意思を理解してくれて、僕とプールさんを板きれに乗せる。
横抱きのまま板きれに腰を下ろせば、海と混ざり合ったプールさんの血で、僕の灰色のつなぎは、淡く赤いまだら模様になっていた。
「おいおい、嘘だろ……」
独白しながら、少しでも離れようと、波さんに指示を出す。
高速で離れる背後では空にぽっかりと現れた闇に支配された穴から、巨大な岩の塊が落ち、雷が走って海面に落ち、あげくにはマグマのような赤く、ドロリとしたものまで流れ落ちてくる。
離れていても、熱は伝わる。間違いなくマグマだ。
海に触れれると爆発を起こす。水蒸気爆発だ。濛々と白い煙が発生し、ナイゼルさんの姿が完全に見えなくなってしまった。
そんな中で、巨大な岩も海へと落下、煙をなぎ払うような高波が生まれて、勢いよく僕の方へと向かってくる。
「冗談じゃない」
波さんが同じ波であるからか、上手い具合に高波を乗りこなしてくれるが、後方では更に穴から竜巻がいくつも発生し、豪雨に、マグマ、稲妻など、天変地異の代表格が次々と発生している。
あの穴から召喚してるって事なのだろうか?
この世の終わりを眼界に捕捉している事は理解できる。
ありがたいのは、限定的だということ、高波の脅威はあったけども、僕に迫ったのは高波と、それが連れてきた、水蒸気爆発で発生した、むあっとした蒸気程度。
でも――――、中心地にいたナイゼルさんは……。
「終わり終わり。これの直撃には耐えられないわよ」
巨大な穴の近くで宙に佇み、勝ち誇るプールさん。ケープと三角帽子をゆらしながら勝利者としての笑みを見せている。
「この程度で勝ち誇るなよ」
「ナイゼル!?」
「空間移動魔法は、お前だけに許された魔法じゃないだろう。誰でも使用可能なのは公知。特にこの程度の移動ならな。それにしても、いただけないな、この大魔法は。天地開闢は大多数には絶大の効果だが、俺一人に使用するには大仰だ。小手先以上に容易いぞ。ここぞという時に大味になるのがお前の悪い癖だ。ヤー」
おお! 生きてた。無傷だ。
「ええい!」
プールさん、ナイゼルさんの方向に手を向けると、それに使役されるかのように、竜巻や稲妻が穴から直接ナイゼルさんに向かっていき襲いかかる。
「全甲」
クレイモアに埋め込まれたタリスマンが全て輝き、多色の光がナイゼルさんを包むと、迫る事象を全て無効化するように消し去っていく。
「くそ!」
「下品な言葉だな。ヤー」
「うるさい」
「王蛍火」
激昂するプールさんに向かって放つ。
目を覆いたくなるような強い光。目を閉じても光が入ってくるようで、目の逃げ場がない。
ハッタさんが暗がりの神殿内で使用した物とは比べものにならない。
ナイゼルさんのは、篝火としての使用ではなく、攻撃方法として使用するものだ。
「かふ……」
開く事が出来ないけど、弱々しい女性の声が、離れていながらも、不思議と聞き取れた。
光から解放されて視界が開けてくると、上空では抱き合うように密着したナイゼルさんとプールさん。
プールさんの背中からは幅広な利器の切っ先が突き出ている。
鮮血が剣身を伝い、切っ先から海へとしたたり落ちている。
「やった……やっちゃったよ…………」
信じられなかった。まさか恋人同士で本当に命を奪い合うなんて。しかも、本当にくだらない理由からの仲違いでこんな事を行うなんて……。
プールさんの両腕が力なく下がり、貫かれた衝撃が原因なのか、黒いケープが風に乗って飛んでいく。
「まだまだだな」
「恋人を……へ、平然と刺せる……そんなところが……す、素敵よ……」
「とどめだ」
剣を引き抜くと天へと掲げる。輝き続けるタリスマンが目を引く。
「もういいじゃないですかぁぁぁぁぁぁぁぁ――――」
渾身の声で制止を促すけど、ナイゼルさんは耳を貸さずに、振り上げたクレイモアをプールさんに見舞う。
タリスマンの残光と共に、切り口から吹き出す鮮血。
プールさんの体が反転し、頭から海へと落下していく。
小豆色の、黒みをおびが赤色に陽射しが注がれて、妖艶な光沢を纏わせながら、水面に小さな水柱が生じた。
「助けないと」
独白しつつ、絶望的だけど、プールさんの落下した位置に移動。
何処に落ちたか、一目で分かる、海を染める赤。
「あ……あぁ……」
海に漂っているプールさん。鮮血を流し続けながらも、なぜか満足そうに笑みを見せている。
体に触れるが反応は返ってこない。
遠浅という事もあり、立っても海水は胸の部分くらい。飛び込んでプールさんを抱き上げると、波さんが僕の意思を理解してくれて、僕とプールさんを板きれに乗せる。
横抱きのまま板きれに腰を下ろせば、海と混ざり合ったプールさんの血で、僕の灰色のつなぎは、淡く赤いまだら模様になっていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる