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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ
PHASE-27
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「慊焉なる心中、気炎万丈、世を謳歌せし者。慊焉なる心中、未だ満ち足りることなく、現世にて十全はたせる事ならじ者。悔恨の情いまだ抱く魂魄よ、満ちたりし生を得たいのならば集え」
詠唱だ。
「顕界再訪」
ナイゼルさん、詠唱からの魔法。
そして、同じ詠唱が方々から聞こえてくる。
程なくして、光の粒子が空から地に落ちてくる。
淡く青白い幻想的でもあり寂しい光。
光の粒子は集まってくると、形を作っていく。それは人の形をしていた。
――。
「よっし! 復活!! て、拠点に氷竜王の旗立ってんじゃん! また負けたのかよ」
「ふぇ!?」
あれれれ――、おかしいな~。僕の目がおかしくなったのかな? ドレッドノートさんに咀嚼、嚥下されたバロニアさんがいるような気がするんだけど……?
でもって――――。
「はあ……肩こる~」
ポキポキと小気味よい音を出しながら、僕の横で起き上がったのは、これまたドレッドノートさんに体を貫かれ、握りつぶされたザンデさんの姿が。
なんだ……、これは…………。
夢でも見てるのか? 確かに二人とも命を落としたよな……。
「おい! 起こすなよ!!」
と、僕の背後で怒号を飛ばす方。
寝起きが悪い感じで蘇ってる。
「俺も起こしてほしくなかったな~。折角、女神さんといいとこまで行けそうだったのに」
食指と中指の間から拇指を出しての女握り。蘇って早々に下品このうえない。間違いなくヴィン海域在住だと分かる。
「そりゃ残念だったな。俺は狙ってた女神ちゃんとワッショイよ! こっちの世界は敗北で幕を下ろしたが。向こうじゃ膜を破ったぜ!!」
腰を高速で前後に振ってのどや顔のおっさん……。間違いなくここ在住の方だな……。
「しっかし、死ぬ度に毎回、同じこと言うよな。お役所じゃあるまいし」
「俺のとこもそうだぜ。異世界で魔王を倒してくれとかなんとか。了承してくれたら、最強の武器やら能力を与えるとか言うのよ。んなもんいらねえから、とりあえず股開けって言い続けて十六回。堅物だった女神ちゃんがとうとうってヤツよ――デヘヘヘ」
「羨ましいな~。てゆうか、今回、馬鹿凸してさっさとくたばったのは、それ目当てか?」
「ヘヘヘ――――まあな。でよ、終わったらよ。では異世界へ――なんて言うからよ。きっぱり断ったら、体だけが目的だったの! って泣きやがってよ。だってよ、ここより素敵な場所なんてねえだろう」
「いいな~。ま、俺もいい感じよ。最初は追いかけ回してたら、泣いて逃げ回ってたけど、最近はいい感じでさ。後ちょっとで乳吸えそうだったからな。今度くたばったらワッショイにこぎ着けてやるぜ」
「ヒーヒー言わしたれ」
何だろうか、この野卑な連中は……。急に生き返ったりしてくれて。こっちはそれに対応できなくて、頭がパンパンなのにさ……。
側ではパンパンと、リズムよく手を叩いてるけど、一体何の音を再現しているのやら……。
「俺は、死神のセラ様に、ピンヒールで踏まれるのが――――」
「ああ、いいな~。あの綺麗な銀髪を靡かせながら、琥珀色の目で蔑まれるの最高だよな」
――……やっぱりこいつら、腐ってやがる!!!!
蘇ったと思ったら、こんな話ばかりが周囲から聞こえてくる。
「てゆうか、死んだら一週間は起こすなって言ったろナイゼル」
「すまんな。直ぐにでも次の戦いに参加してほしくてな」
「仕方ねえな。ワッショイも好きだが、命が擦り切れる感覚はそれ以上だからな。ハハハハハハ――――」
異次元のやり取りは、ナイゼルさんとプールさんの猟奇的カップルの専売特許だと思ってたけど、いやはや、ここでは誰もが異次元のやり取りをしてるよ。
何を楽しく会話してんだよ。死んでただろうがよ。なんですんなり復活してくれてんの? 笑うんじゃないよ! ヘラヘラと!
「笑うんじゃないよ!」
思っていた事がついつい口から出てしまった。
ピタリと笑いが止まって、しじまに支配される。僕の怒号が耳朶にしっかり届いたようだ。
「すいません」
と、ナイゼルさん。
「ここで戦う者達は、戦いが終わればこうやって蘇らせるんですよ。次の戦いのためにね」
――……どこの死せる戦士たち? 地上にそんなルールを持ち込まないでいただきたい。
詠唱だ。
「顕界再訪」
ナイゼルさん、詠唱からの魔法。
そして、同じ詠唱が方々から聞こえてくる。
程なくして、光の粒子が空から地に落ちてくる。
淡く青白い幻想的でもあり寂しい光。
光の粒子は集まってくると、形を作っていく。それは人の形をしていた。
――。
「よっし! 復活!! て、拠点に氷竜王の旗立ってんじゃん! また負けたのかよ」
「ふぇ!?」
あれれれ――、おかしいな~。僕の目がおかしくなったのかな? ドレッドノートさんに咀嚼、嚥下されたバロニアさんがいるような気がするんだけど……?
でもって――――。
「はあ……肩こる~」
ポキポキと小気味よい音を出しながら、僕の横で起き上がったのは、これまたドレッドノートさんに体を貫かれ、握りつぶされたザンデさんの姿が。
なんだ……、これは…………。
夢でも見てるのか? 確かに二人とも命を落としたよな……。
「おい! 起こすなよ!!」
と、僕の背後で怒号を飛ばす方。
寝起きが悪い感じで蘇ってる。
「俺も起こしてほしくなかったな~。折角、女神さんといいとこまで行けそうだったのに」
食指と中指の間から拇指を出しての女握り。蘇って早々に下品このうえない。間違いなくヴィン海域在住だと分かる。
「そりゃ残念だったな。俺は狙ってた女神ちゃんとワッショイよ! こっちの世界は敗北で幕を下ろしたが。向こうじゃ膜を破ったぜ!!」
腰を高速で前後に振ってのどや顔のおっさん……。間違いなくここ在住の方だな……。
「しっかし、死ぬ度に毎回、同じこと言うよな。お役所じゃあるまいし」
「俺のとこもそうだぜ。異世界で魔王を倒してくれとかなんとか。了承してくれたら、最強の武器やら能力を与えるとか言うのよ。んなもんいらねえから、とりあえず股開けって言い続けて十六回。堅物だった女神ちゃんがとうとうってヤツよ――デヘヘヘ」
「羨ましいな~。てゆうか、今回、馬鹿凸してさっさとくたばったのは、それ目当てか?」
「ヘヘヘ――――まあな。でよ、終わったらよ。では異世界へ――なんて言うからよ。きっぱり断ったら、体だけが目的だったの! って泣きやがってよ。だってよ、ここより素敵な場所なんてねえだろう」
「いいな~。ま、俺もいい感じよ。最初は追いかけ回してたら、泣いて逃げ回ってたけど、最近はいい感じでさ。後ちょっとで乳吸えそうだったからな。今度くたばったらワッショイにこぎ着けてやるぜ」
「ヒーヒー言わしたれ」
何だろうか、この野卑な連中は……。急に生き返ったりしてくれて。こっちはそれに対応できなくて、頭がパンパンなのにさ……。
側ではパンパンと、リズムよく手を叩いてるけど、一体何の音を再現しているのやら……。
「俺は、死神のセラ様に、ピンヒールで踏まれるのが――――」
「ああ、いいな~。あの綺麗な銀髪を靡かせながら、琥珀色の目で蔑まれるの最高だよな」
――……やっぱりこいつら、腐ってやがる!!!!
蘇ったと思ったら、こんな話ばかりが周囲から聞こえてくる。
「てゆうか、死んだら一週間は起こすなって言ったろナイゼル」
「すまんな。直ぐにでも次の戦いに参加してほしくてな」
「仕方ねえな。ワッショイも好きだが、命が擦り切れる感覚はそれ以上だからな。ハハハハハハ――――」
異次元のやり取りは、ナイゼルさんとプールさんの猟奇的カップルの専売特許だと思ってたけど、いやはや、ここでは誰もが異次元のやり取りをしてるよ。
何を楽しく会話してんだよ。死んでただろうがよ。なんですんなり復活してくれてんの? 笑うんじゃないよ! ヘラヘラと!
「笑うんじゃないよ!」
思っていた事がついつい口から出てしまった。
ピタリと笑いが止まって、しじまに支配される。僕の怒号が耳朶にしっかり届いたようだ。
「すいません」
と、ナイゼルさん。
「ここで戦う者達は、戦いが終わればこうやって蘇らせるんですよ。次の戦いのためにね」
――……どこの死せる戦士たち? 地上にそんなルールを持ち込まないでいただきたい。
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