拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ

PHASE-37

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「調査はこれくらいでいいとは? もしや、帰られるのですか!?」
 驚くほどの事ですか?

「出来る事なら帰ろうかと」
 こんな乱痴気な所からはさっさと帰りたいという本音が口から出そうになってしまった……。危ない危ない。侮辱されたと怒るかもしれないからね。

「まだ、十分に調査も出来ていないと思いますが?」

「十分ですよ」
 中々の、さわやかな笑顔で返してあげた。
 魔力粒子もそうだし、リセットのきく人生とかなめきった連中だというのも理解できたし、十分です。

「いえ、まだまだ滞在するべきです」
 なんでここまで食い下がるの? 

「コンクエストも見せてもらいましたし、決着もつきましたし」
 猟奇的で凄惨な死を眼界に収めたくもないし、僕の精神が病まないうちに。急性ストレス障害を煩いたくないし、進行しての心的外傷後ストレス障害なんて面舵いっぱいで絶対回避したいからね。

「明日にでも撤収させてもらいます」
 ――……お願いですから、そんな寂しそうな目を僕に向けないでください。
 随分と気に入られたな。やっぱり僕ってモテ期が到来しているのかな?
 いや――――、まさか。氷竜王ですよ。たかが人間にね~。
 もしそうだとしても、きついよ~。
 他の女性をいやらしい目で見ようものなら、ロールさんは頬をつねるくらいだけど、この方だと、周囲の現状みたく氷漬け待ったなしですよ。
 ロールさんを例えに出してみたけど、別に恋人同士というわけではない……。
 自分で例えて、自分の精神世界アストラルサイドにダメージ入ったよ…………。

「今後も皆さんの健闘を、お祈りします――」
 ――遠い、王都の地でね。
 二の句を継いで、まとめの挨拶。
 皆さんが復活したら挨拶をして、さっさとここより去りますよ。


「ああ!?」
 急にシズクさんが膝をつく。なんだ? 何がおこった。

「魔力の使いすぎで、体が上手く動かない~」
 なにを棒読みで言ってるんでしょうか?

「いま、旗を立てられたら負けてしまう~」
 はい。僕は旗を立てないので。冒険者サイド全滅の時点でコンクエストは終了してます。貴女サイドの勝ちですよ。
 僕は、冒険者ではないので。公務員なので。

「負けてしまう~」
 いやいや、勝ちですよ。僕を見ないでくださいね。僕は戦闘なんかには参戦してないので。傍観者なので。
 
 突拍子もなく始まったコントに付き合う気は毛頭ないので、冒険者サイドの拠点に帰りますね。

「おわ!?」
 ちょっと!? やめてくださいよシズクさん!! 氷が通せんぼですよ。
 帰路を塞がないでいただきたい。僕は帰るんだから。
 
 ――……待ってよ……。これ、もしかしてだけど、ここまで冒険者サイドが有利に拠点とれてきたのって、シズクさんサイドが手心を加えたんじゃないか。そんな気がしてきたぞ。

「またもピート様がMVPになるのかしら~」
 手心を加えてらっしゃった……。
 僕のためにやらせを仕立て上げたのか? 
 僕がお気に入りだからって、ここまでするか!? 冒険者全員を戦闘不能にして、配下も氷漬けにして、僕のためにお膳立てを整えた? 
 もしそうだとするなら、シズクさんは危ない思考の持ち主なのでは……。
 命を平然と奪う時点でそうなんだけども、それとは違う危険性を持ってる可能性が…………。
 後、棒読み、いい加減やめてもらえますか。
 
 ここまで気に入られたのは? ――――あれか、押し倒したのが原因か?
 まあ、悪い気はしない。嬉しくもある。美人だし、胸意外ならスタイルは文句ない。
 でも冷酷さがね……。いくら生き返るからって、ポンポンポンポン命を消し去っていくのが怖いし、ここの方々は総じて病んでるし。
 病んでる方は出来るだけ回避したい。可愛いけど。ひじょうにそこは勿体なくて残念でならないけど。病んでるのは…………。

「僕、戻りますから!」
 ――……ああ、くそ! これ帰さないパターンだな。氷の壁に囲まれてしまった。
 唯一、開かれてるのは館まで一直線に続いた道だ。
 ありがた迷惑な事に、浜辺まで続く海も、氷の世界になってるし。
 断りたいけど、ここで断れば、何をされるか分からないしな~。
 氷の壁が狭まってくるってのを想像したら、総毛立ってしまった……。
 とんでもない方に気に入られてしまったな……。
 意地でも、僕をMVPに仕立て上げようとしている……。

 ――。
 
 根負けだよ……。
 そして、僕に託したナイゼルさんの期待を裏切ったらと考えると、冒険者サイドも怖い。
 結局、どっちも怖い……。
 足を前に進める。選択肢は、これしか残っていないようだ……。
 この地に来た時点で、僕は流れに逆らわず、揺蕩うしか出来ない些末な存在なんだな……。

「魔力が足りなくて、ピート様の侵攻を止める事が出来ない~」
 棒読みもういいですから。魔力ないとか言ってますが、本気も出さないで冒険者さん達を全滅させてるし、氷の壁で出来た道を作ってるし、めちゃくちゃ元気でしょ。
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