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帰任からの休日
PHASE-06
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――――オーシャンズって店名の、海鮮専門の料理をいただけるレストラン。
王都は運河はあっても海はない。保存してここまで運ぶことだけでも、海の食材は価値が跳ね上がる。
僕はちょっと前までは鮮度のいいのを満足するまでいただいてた。
半漁人さんの笑えないネタを見せられながらね……。
正直、この店は庶民からしたら敷居が高い所なんだけど。
当たり前のように入っていったな。お兄様こと、ハインさん。お金持ちなのだろうか?
お兄様の事は邪神が復活する時にロールさんが口にしてたけど。まさかこんなにも男前だなんて。
ロールさんが美人なんだから、男前なのは当たり前だけども。想像を超える男前だった。
「魚介は大丈夫かい?」
「全く問題ないです。ここ最近はずっと食べてましたし」
「ボーイはヴィン海域で海鮮に対する舌は肥えてるからな。ボーイと俺ちゃんを満足させられる物が出るかが心配よ」
あの、大きな声で言わないでくれるかな……。
見て、店員さんが不安げになってるよ。普通は怒るところだろうけど、ヴィン海域って単語が出たせいで、口に合わない物を出したら命に関わるんじゃと思っているようだよ。
申し訳ないので、僕が公務員として培った一礼であやまる。
あと、いい加減ロールさんから離れようか。なんでまだ抱っこされた状態なのさ!
「改めて、おかえりなさいピート君」
「ありがとうございます」
これだよ。この発言と笑顔が欲しかったんだよ。僕は!
ようやくこれで、王都に帰ってきた実感を得られたよ。
「本当に、聞いてたらちゃんと出迎える準備してたんだからね」
「いいですよ。こうやって場を設けてもらえたことが幸せです」
本来は見逃してやるつもりだったけど、大公様同様に、局長も殴ることにしよう。まだ確定していないけど、疑わしきは罰せよの精神で。
「でも大変だったね。ヴィン海域に二ヶ月以上も滞在してたなんて」
円卓に座る僕たち。
お兄様から労いの言葉と共に、冷えた水にスライスレモンが入ったピッチャーを傾けられる。店員さんに対しての一礼以上に典雅なもので応対しつつ、グラスを諸手で持って、そちらに向かわせる。
なんといってもロールさんのお兄様だ。いずれは僕のお兄様になる可能性だってあるかもしれない。今のうちに気に入られないと!
外堀はしっかりと埋めておかないとね。
そして、語らなければね。あの地続きの異世界を、
「本当に地獄でした……」
「そ、そうなんだ……」
思い出しただけでも心が砕けそうになる。あんな所に少しでも慣れてしまった自分に嫌悪感まで生まれてきたよ。
安い命。リセット可能な人生。虹彩が皆無な方々が見せる嬉々とした戦闘。
「う……」
「大丈夫!?」
すかさずロールさんが優しく背中を擦ってくれた。
嬉しいよ。
更に嬉しいのは、思い出したら気分が悪くなったって事だ。ヴィン海域で過ごした後半ではその辺りが麻痺してたからね。
だんだんと思考が常人に戻ってきてるな。
「――――楽になりました」
胃液が逆流しそうになったけど、こんなところで粗相をしてしまえば、お二人に迷惑をかけてしまう。
けど、本当に嬉しい。もどしそうになる感覚が蘇ってくるってのは。
「噂では聞いていたけど、相当に過酷な場所なんだね」
お兄様も気になるようだね。基本的に何が行われているかというのは、いまいち理解されていない。
誰も関わり合いたくないからね。
初見で訪れたエクスペンダブルズを売り込みに来た商人だって、長く滞在していないだろうから、あの海域で行われている内容は解していないだろう。
近づくのが嫌で、ポズンの村で卸すようになったんだろうし。
「あんな所、興味本位で行ってはいけません。挑戦してみようという勇者御一行がいるとしたなら、僕は全力で反対しますよ」
「経験者は語る。貴重な意見として今後に活かさせてもらうよ」
? ハインさんは何をしている方? 勇者御一行のメンバーなのかな?
「私の兄は冒険者ギルドで行われる、クエストの受注や、クエストのランク付け、各地のクエスト監視を行ってる調査員だよ」
ギルドにおいてクエストを統括する側の人なのか。
ギルドは民間だからね。実力主義社会の中での立ち位置も立派みたいだから。お兄様はかなり稼いでらっしゃるようだね。
ここを昼食場所に選択するのがいい証拠。
王都は運河はあっても海はない。保存してここまで運ぶことだけでも、海の食材は価値が跳ね上がる。
僕はちょっと前までは鮮度のいいのを満足するまでいただいてた。
半漁人さんの笑えないネタを見せられながらね……。
正直、この店は庶民からしたら敷居が高い所なんだけど。
当たり前のように入っていったな。お兄様こと、ハインさん。お金持ちなのだろうか?
お兄様の事は邪神が復活する時にロールさんが口にしてたけど。まさかこんなにも男前だなんて。
ロールさんが美人なんだから、男前なのは当たり前だけども。想像を超える男前だった。
「魚介は大丈夫かい?」
「全く問題ないです。ここ最近はずっと食べてましたし」
「ボーイはヴィン海域で海鮮に対する舌は肥えてるからな。ボーイと俺ちゃんを満足させられる物が出るかが心配よ」
あの、大きな声で言わないでくれるかな……。
見て、店員さんが不安げになってるよ。普通は怒るところだろうけど、ヴィン海域って単語が出たせいで、口に合わない物を出したら命に関わるんじゃと思っているようだよ。
申し訳ないので、僕が公務員として培った一礼であやまる。
あと、いい加減ロールさんから離れようか。なんでまだ抱っこされた状態なのさ!
「改めて、おかえりなさいピート君」
「ありがとうございます」
これだよ。この発言と笑顔が欲しかったんだよ。僕は!
ようやくこれで、王都に帰ってきた実感を得られたよ。
「本当に、聞いてたらちゃんと出迎える準備してたんだからね」
「いいですよ。こうやって場を設けてもらえたことが幸せです」
本来は見逃してやるつもりだったけど、大公様同様に、局長も殴ることにしよう。まだ確定していないけど、疑わしきは罰せよの精神で。
「でも大変だったね。ヴィン海域に二ヶ月以上も滞在してたなんて」
円卓に座る僕たち。
お兄様から労いの言葉と共に、冷えた水にスライスレモンが入ったピッチャーを傾けられる。店員さんに対しての一礼以上に典雅なもので応対しつつ、グラスを諸手で持って、そちらに向かわせる。
なんといってもロールさんのお兄様だ。いずれは僕のお兄様になる可能性だってあるかもしれない。今のうちに気に入られないと!
外堀はしっかりと埋めておかないとね。
そして、語らなければね。あの地続きの異世界を、
「本当に地獄でした……」
「そ、そうなんだ……」
思い出しただけでも心が砕けそうになる。あんな所に少しでも慣れてしまった自分に嫌悪感まで生まれてきたよ。
安い命。リセット可能な人生。虹彩が皆無な方々が見せる嬉々とした戦闘。
「う……」
「大丈夫!?」
すかさずロールさんが優しく背中を擦ってくれた。
嬉しいよ。
更に嬉しいのは、思い出したら気分が悪くなったって事だ。ヴィン海域で過ごした後半ではその辺りが麻痺してたからね。
だんだんと思考が常人に戻ってきてるな。
「――――楽になりました」
胃液が逆流しそうになったけど、こんなところで粗相をしてしまえば、お二人に迷惑をかけてしまう。
けど、本当に嬉しい。もどしそうになる感覚が蘇ってくるってのは。
「噂では聞いていたけど、相当に過酷な場所なんだね」
お兄様も気になるようだね。基本的に何が行われているかというのは、いまいち理解されていない。
誰も関わり合いたくないからね。
初見で訪れたエクスペンダブルズを売り込みに来た商人だって、長く滞在していないだろうから、あの海域で行われている内容は解していないだろう。
近づくのが嫌で、ポズンの村で卸すようになったんだろうし。
「あんな所、興味本位で行ってはいけません。挑戦してみようという勇者御一行がいるとしたなら、僕は全力で反対しますよ」
「経験者は語る。貴重な意見として今後に活かさせてもらうよ」
? ハインさんは何をしている方? 勇者御一行のメンバーなのかな?
「私の兄は冒険者ギルドで行われる、クエストの受注や、クエストのランク付け、各地のクエスト監視を行ってる調査員だよ」
ギルドにおいてクエストを統括する側の人なのか。
ギルドは民間だからね。実力主義社会の中での立ち位置も立派みたいだから。お兄様はかなり稼いでらっしゃるようだね。
ここを昼食場所に選択するのがいい証拠。
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