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帰任からの休日
PHASE-07
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「王都にはロールさんに会いにですか?」
「それもあるけど、最近、王都でのクエスト数が減少傾向でね」
そういう内部情報をここで話していいのかな? 僕の事を信頼してくださってるのかな? だと嬉しいけど。
――――現在、王都にあるクエストは、探索系や、炎竜王のカグラさんやその配下の討伐。
後者は形骸化しているものだけど。
貴重な品々の探索、採掘なんかも、現在ギルドでは募集がかかっていないらしく、しかもカグラさん討伐的なものは完全になくなっているそうだ。
僕としてはありがたいけどね。カグラさんが負けるって事は、シズクさんを見る限りあり得ないけど、怪我をしてほしくないからね。
現在あるのは、貴族の出してるクエストばかりが占めているとの事。
剣術の指南、特定危険生物に属するのをペットで飼ってたりもするらしいから、それらを大切に世話するとか、冒険者としては楽しくない雑用にも似たクエストばかり。人気も無いので有って無いような内容ばかりだ。
勘違いしているお偉いさんの相手をするのは御免こうむるからね。ま、王都の貴族はましな人が多いと思うけどね。王様がしっかりしてるだろうから、周りもしっかり者が多いと思うし。
それでも、堅苦しいのを相手にするのは、自由を愛する冒険者には不向きだ。
得られる報酬も、冒険者の冒険心をくすぐる採掘、探索に比べれば確実に手には入るだろうけど、うま味は少ないからね~。
だから今現在。王都には冒険者が少ないそうだ。
王都を見て回ってたけど、意識して見てないから、そんな事には気付きもしなかった。
「僕がいない間にそんな事が起きてたんですね」
「そうなの。今、冒険者の人たちがいるとするなら、お食事処のバッカスさんで、クシュリナさん御一行が座った席に座ることで、力をあやかりたいと思ってる人たちくらいだよ。その後はギルドでクエストを受けることなく、王都を見て回って、そのまま出て行くの」
なにそれ? あやかりたいとか、見て回るとか、完全にただの旅行じゃないか。
「俺も、数日前に王都に到着してね。ロールに頼んで各冒険者ギルドに足を運んでるんだけど、どこもクエストがない状況なんだよ」
ああ、局長が、ロールさんは案内役をしてるって言ってたけど、お兄様のために道案内をしてたんだ。
「このサーモンおいし~」
「あ~ん」
「あ~ん♪」
おい! いい加減に離れろ。いつまで可愛い声で対応してるんだ!
「シュパーブ君はその声のままなの?」
「この声じゃ嫌なの?」
「可愛さの中にある渋いさ。そのギャップがいいんだよ」
「――――じゃあ、もどす」
「それそれ!」
チッ、器用な声だな。百八十度ちがう声質だよ。
クエスト枯渇の話も中断されたし。
「しかし、他の魚はともかく、サーモンは運河がある王都のものに軍配が上がるな。キャビアの塩味をサーモンの脂のあまみがマイルドにし、オリーブオイルがまとめ役になっている」
なに、この二頭身美食家。
「お腹いっぱい食べてね。好きなだけ頼んでいいから」
「俺ちゃん幸せ~」
コムリィィィィィィィ――――! ヴィン海域に強制送還するぞ!
「まあまあ、落ち着いて。ペットのようなあつかいだから」
嫉妬に狂った目で僕が見ていたんだろう。お兄様に諭されてしまった。
大きな金額を払うことになるであろうお兄様に比べたら、怒ることも出来ないね。
でも、お兄様。そのちっこいのは、この中で一番金持ってますからね。
全く、シュパーブ君、お兄様を見るんだ。
稼ぎがいいからといっても、流石に上質な物ばかり頼みすぎだよ。
男前が若干引きつった笑みになってるよ。
引きつっても格好良さは保たれてる。
シュパーブ君の口と、皿から運ばれるサーモンのカルパッチョを往復して見てるよ。
清潔感のあるくせ毛のないショートな銀髪が、その度にサラリと動いてら。
――……僕の錆色頭とは雲泥の差だね……。
レモンのスライスが入った冷たい水を飲んで、気分もスッキリさわやか――――、になりたいけれど、目の前の光景でなれやしない。
楽しそうにしやがってチビドラゴンめ! 今日は僕が主人公として、もてはやされるはずなのに!
――――ちゃんとおかえりなさい。って言われたからいいけども。今度からシュパーブ君は留守番担当だな。
収穫としては、お兄様とお知り合いになれたことか。僕に対しても印象いいみたいだし、今後、ロールさんとの仲を深めるためにも、力になってもらわないとね。
おかえりなさいの一言で、明日からは楽しく仕事が出来そうだよ。
「それもあるけど、最近、王都でのクエスト数が減少傾向でね」
そういう内部情報をここで話していいのかな? 僕の事を信頼してくださってるのかな? だと嬉しいけど。
――――現在、王都にあるクエストは、探索系や、炎竜王のカグラさんやその配下の討伐。
後者は形骸化しているものだけど。
貴重な品々の探索、採掘なんかも、現在ギルドでは募集がかかっていないらしく、しかもカグラさん討伐的なものは完全になくなっているそうだ。
僕としてはありがたいけどね。カグラさんが負けるって事は、シズクさんを見る限りあり得ないけど、怪我をしてほしくないからね。
現在あるのは、貴族の出してるクエストばかりが占めているとの事。
剣術の指南、特定危険生物に属するのをペットで飼ってたりもするらしいから、それらを大切に世話するとか、冒険者としては楽しくない雑用にも似たクエストばかり。人気も無いので有って無いような内容ばかりだ。
勘違いしているお偉いさんの相手をするのは御免こうむるからね。ま、王都の貴族はましな人が多いと思うけどね。王様がしっかりしてるだろうから、周りもしっかり者が多いと思うし。
それでも、堅苦しいのを相手にするのは、自由を愛する冒険者には不向きだ。
得られる報酬も、冒険者の冒険心をくすぐる採掘、探索に比べれば確実に手には入るだろうけど、うま味は少ないからね~。
だから今現在。王都には冒険者が少ないそうだ。
王都を見て回ってたけど、意識して見てないから、そんな事には気付きもしなかった。
「僕がいない間にそんな事が起きてたんですね」
「そうなの。今、冒険者の人たちがいるとするなら、お食事処のバッカスさんで、クシュリナさん御一行が座った席に座ることで、力をあやかりたいと思ってる人たちくらいだよ。その後はギルドでクエストを受けることなく、王都を見て回って、そのまま出て行くの」
なにそれ? あやかりたいとか、見て回るとか、完全にただの旅行じゃないか。
「俺も、数日前に王都に到着してね。ロールに頼んで各冒険者ギルドに足を運んでるんだけど、どこもクエストがない状況なんだよ」
ああ、局長が、ロールさんは案内役をしてるって言ってたけど、お兄様のために道案内をしてたんだ。
「このサーモンおいし~」
「あ~ん」
「あ~ん♪」
おい! いい加減に離れろ。いつまで可愛い声で対応してるんだ!
「シュパーブ君はその声のままなの?」
「この声じゃ嫌なの?」
「可愛さの中にある渋いさ。そのギャップがいいんだよ」
「――――じゃあ、もどす」
「それそれ!」
チッ、器用な声だな。百八十度ちがう声質だよ。
クエスト枯渇の話も中断されたし。
「しかし、他の魚はともかく、サーモンは運河がある王都のものに軍配が上がるな。キャビアの塩味をサーモンの脂のあまみがマイルドにし、オリーブオイルがまとめ役になっている」
なに、この二頭身美食家。
「お腹いっぱい食べてね。好きなだけ頼んでいいから」
「俺ちゃん幸せ~」
コムリィィィィィィィ――――! ヴィン海域に強制送還するぞ!
「まあまあ、落ち着いて。ペットのようなあつかいだから」
嫉妬に狂った目で僕が見ていたんだろう。お兄様に諭されてしまった。
大きな金額を払うことになるであろうお兄様に比べたら、怒ることも出来ないね。
でも、お兄様。そのちっこいのは、この中で一番金持ってますからね。
全く、シュパーブ君、お兄様を見るんだ。
稼ぎがいいからといっても、流石に上質な物ばかり頼みすぎだよ。
男前が若干引きつった笑みになってるよ。
引きつっても格好良さは保たれてる。
シュパーブ君の口と、皿から運ばれるサーモンのカルパッチョを往復して見てるよ。
清潔感のあるくせ毛のないショートな銀髪が、その度にサラリと動いてら。
――……僕の錆色頭とは雲泥の差だね……。
レモンのスライスが入った冷たい水を飲んで、気分もスッキリさわやか――――、になりたいけれど、目の前の光景でなれやしない。
楽しそうにしやがってチビドラゴンめ! 今日は僕が主人公として、もてはやされるはずなのに!
――――ちゃんとおかえりなさい。って言われたからいいけども。今度からシュパーブ君は留守番担当だな。
収穫としては、お兄様とお知り合いになれたことか。僕に対しても印象いいみたいだし、今後、ロールさんとの仲を深めるためにも、力になってもらわないとね。
おかえりなさいの一言で、明日からは楽しく仕事が出来そうだよ。
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